魔法少女リリカルなのは - THE DESIRE OF ACTRESS -   作:今日の朝食

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2.初めての――

「――ィ――チェ、大――夫ですか?ディア――……」

 

 誰かに名前を呼ばれた気がして、ディアーチェは目を覚ました。だが部屋は薄暗く、誰もいない。なのははいないが、ドアの裏側から団欒の声がかすかに聞こえる。

 とりあえず声の元へ向かえば誰かいるはずだと思い、身を起こすが、身体が重い。やはり、まだ本調子ではないようだ。しかし、先ほどまで自分を苦しめていた頭痛はなくなったようなので、快方に向かっていると信じて、まずは声の元へと向かう。

 階段をゆっくり降りて(なのはの部屋は2Fにあった)その先のドアをあけると、なのはの他にも女性が一人いた。なのはと同じ茶髪だがストレートにしており、なのはをそのまま大人にしたような印象だ。なのはの姉のようだ。二人とも食べ終わり、何か話している。

 すると茶髪の女性が立ち上がり、心配そうにこちらに駆け寄って来た。

 

「ディアーチェちゃんだっけ、もう身体は大丈夫?」

「ふむ、まだ身体に力は入らぬが、頭痛もなくなったので余程マシになった。」

「あらまぁ、よかったぁ……!」

 

 その答えに目の前の彼女は安心したようで、特製のおかゆをご馳走するから座って待つように言って、台所に行った。ついでに、また面白いしゃべり方だと去り際に言われたのは忘れない。自分でもなんでこんな口調なのかわからないが。あと、なんとなく自分の名前の呼ばれ方に違和感を感じるような気がする。しかし、よくわからないので、まずは置いておこう。

 手持ち無沙汰で立っているのもあれなので、とりあえず空いていた席に座り、なのはに話しかけた。

 

「今のは貴様の姉か」

「ううん、お母さんだよ……名前は『高町桃子』、喫茶『翠屋』の店長さん……どうしたの、固まっちゃって」

 

 驚きのあまり、固まってしまうのもしょうがない。なにせなのはの外見は十五歳ほどに見える。その母となれば大体四十歳と見当がつくが、まるで二十歳ほどに見えた。

 このまま考え続けると、記憶を思い出そうとするときにする頭痛とは別の頭痛がしそうだったので、話題を変えようと再び話しかける。

 

「……き、気を取り直してだな――先ほどは突然倒れてしまってすまなかったな。」

「ううん。ディアーチェちゃんが大丈夫ならいいんだよ。あと少し訊きたいことがあるんだけど、いいかな?」

「ふむ、申してみよ」

 

 なのはが遠慮がちに口を開く。

「さっき話してた時に思ったけど、自分の名前を思い出すのに結構苦労してたみたいだよね。もしかして……」

 

 言葉の先を察する。どうやら記憶喪失なのを推測されていたらしい。隠すこともないので、

「あぁ、そちらも察しているようだが、今の我には記憶がない。どこから来たか、なぜ倒れていたか、全くわからぬ。」

「うわぁ、かなり大変だねぇ。覚えていることって何かある?」

「自分の名前、しかもその一部だけだな。これ以上思い出そうとすると、また頭が痛くなりそうだ……」

「あ、それなら無理矢理思い出さなくてもいいよ!!」

 

 正直ありがたい。また頭痛と戦う気力は今はない。お腹もすいているし。

 そうしていると料理が出来たようで、桃子が戻ってきた。

 

「はい、柔らかめのリゾットよ。栄養満点だから召し上がれ」

 

 なるほど、おかゆといっても色々あるが日本のおかゆでは栄養分が足りない、リゾットならば野菜も豊富にとれる……なぜこんなことを知っている?と混乱しつつ、スプーンですくい、一口目を口に運ぶ。

 

「――なんと……うまい!!」

 

 こんなうまいもの食べたことないぞ、と内心で叫びつつ、次々と口へ運ぶ。

 キノコ、パプリカ、トマトが食べやすいように小さめに切られており、米を柔らかくするために、ブイヨンスープを蒸発させないように炒めたようだ。よく香るたまねぎとオリーブオイルの香りが食欲をそそる。味付けには塩・胡椒よりはバジルやハーブといった香辛料を多く使い、栄養面でもバランスをとるように心がけているようだ。

 細かい工夫が見て取れるのはわかるが、しかし、それだけでここまで美味しくなるだろうか。よくわからない美味しさに目も少し潤んでる気がする。

 パクパクと次々スプーンを口へ運んでいると、桃子がおずおずと提案してきた。

 

「さっきね、なのはとも話したんだけど……。住む場所に困ってるなら――うちに住んでみない? 部屋も空いてるし」

「それに、記憶を取り戻すお手伝いもできるかもしれないし」

 

 続けてなのはが言った。

 少し考えてから答えを返す。

 

「――かなり助かるがいいのか? それに記憶を取り戻す手伝いとはどういうことだ」

 

 疑問には、なのはが答えた。

 

「今は店番していてここにいないけど、私のお父さんが昔ボディガードをしていてね。その関係でお医者さんにいろいろ知り合いがいるんだ」

 

 ……なんとなくだがはぐらかされた気がする。桃子をチラッと見れば、医者の知り合いなんていたっけ?と考えているようだし。

 しかし、ここで断ると路頭に迷うことになる。

 背に腹は帰られない。

 

 「――よし、よろしくお願いする。記憶を取り戻す手がかりがつかめるまででいい。ここにおいてくれ!!」

 

「「はい、よろしくお願いします」」

 

 

 

こうして高町家に住人がひとり増えることとなった。




なの×ディアってわけじゃありません

もうちょっと早く書けるようになりたいな
リゾット食べたい
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