呼称などは私の匙加減なのでそこはご了承ください←
でも、リクエストは受け付けているので何かあれば活動報告によろしくお願いします←
では、紅白戦前のスカウト日記帳スタート←
相澤このはのスカウト日記帳 1日目
スカウト1人目
GK「五十嵐 佳奈」編 (人生百一様より)
…………。
「(う〜む。むむむ……。)」
ボクは悩んでいた。
勢いに任せて現美ちゃんと試合をしようと持ちかけたはいいものの現在メンバーは2人、ボクこと相澤 このはと御陵 現美だけであり、しかもそもそも二人しかいないので部ですらない状態だ。
新設校でまだまだどこもかしこも駆け出したばかりというのもあるが、人数がいなければ部として活動などは出来ない。それくらいボクにも分かる。
その場のノリで「いなければ探せばいいのよ!」とかなんとか言ってしまったが宛なんてある訳もなく、ボクは放課後の廊下をうんうん唸りながら歩いていた。
ボクは何よりサッカーが大好きだ。
本当ならちゃんとサッカー部がある学校に進学すればよかっただけの話なのだが、何となくそれではつまらないと思ってしまったボクはサッカー部のない、そもそも新設されて間もない無名の学校への進学を決めたのだ。
(学力が足りなかったのは乙女の秘密。)
やるからには全国を狙いたい。
ただ、もともと基盤が出来上がってしまっているチームで全国に行っても味気ないし、自分たちで1から作り上げてこそ楽しさというのは膨れ上がっていくのだ。
まぁ、そんなことは置いておいてとりあえずチームというか部員を何とか確保しなければ大会どころの話でもなく、自分の提案した紅白戦にも影響してしまう。うかうかしていたら現美ちゃんに取られかねないからね。
そんなことを考えていたちょうどその時。
バシッ!…………バシッ!…………
「(?ボールの音…………何処からだろう。)」
ボクは無意識のうちに走り出していた。
校舎裏。
ボクが校舎裏に着くとそこには校舎の影を吹き抜ける風に乗せ、日陰の色に溶け込んだ黒髪の一つ結びをなびかせてボールを蹴る少女の姿があった。
足元のボールをつま先で軽く浮かせて思い切り校舎の壁へ蹴り込み、跳ね返ってきたボールをそのままボレーシュート。
それを数回繰り返してそこそこ跳弾にも威力が加わってきたころ、跳ね返ってきたボールを再び思い切り壁に蹴りこみ、その跳弾に向かって軽く腰を落として軸足の右足を踏ん張ると、強くにぎりしめた右手の拳を力いっぱい突き出した。
ボールは少女の拳に当たると同時に反作用を受けて今までのシュートよりも一回りくらい早いスピードで壁に激突した。
返ったきたボールをトラップし大きく息を吐き出す
。
「はぁ!…………はぁ!…………。み、見つけた!!」
学校の敷地内を全力で走り回ったボクは校舎に右手をつきながら荒く乱れた息を整えていく。
「ねぇ!君!」
そして、まだ息も完全に整わないままボクは校舎の裏で1人ボールを蹴る帽子をかぶった少女に声をかけた。
「?……私?」
「そう!君、サッカー好きなの?」
「え…………好き、ですけど、どうして……」
「サッカー部!入らない?」
唐突の部活勧誘に少女が驚いて目を見開いた。
「あの、私になにか?」
そう問われてはっと我に返る。
「あ、ごめん。つい興奮しちゃって……。ボクは相澤 このはって言うんだ。これから作るサッカー部のキャプテン。君は?」
「え?私?……私は五十嵐です。」
「五十嵐……なにさん?」
「……五十嵐 佳奈です。」
「五十嵐 佳奈…………佳奈ちゃんだね。じゃあ、サッカー部入ってくれる?ポジションは?ジュニアの時どのチームだった?あとはあとは……」
「ま、待って!!」
その一言でまたしても興奮しすぎていた自分から我に返る。
と同時に無意識のうちに掴んでいた佳奈ちゃんの手をぱっと離した。
……これがボクの悪い癖だってわかっているのにな。
興奮しすぎると周りが見えなくなっちゃうの。
と、心の中でひとりため息をついていると佳奈ちゃんがボソリと小さな声で呟いた。
「……怖くないの?」
不意の一言にボクは疑問符を浮かべた。
「?怖い?どうして?」
「え?いや、だって私、目つきだって悪いし。人付き合いだって悪いし。」
言葉を発するたびにだんだんと声のトーンも落ちてきてしまいには視線すらゆらゆら宙を漂い始めた。
…………なんか物凄いデジャブを感じるのはボクだけかな。
「ん〜。ボクにはそういうことわかんないよ。目つきがどうとか人付き合いがどうとか、そんなことより君を一目見た時にこれだーって思っただけなんだよね。さっきの見てたけど凄かったよね♪こう……ズバーン!って感じから最後はバシーー!!って感じで、とにかくすごかったの!」
「へ?」
佳奈ちゃんが信じられないとでも言いたそうに再び目を丸くする。
「だから、ボクと一緒にサッカー、やろうよ♪絶対楽しいよ♪にひひ♪」
そう言ってボクは佳奈ちゃんに向けて右手を差し出す。
佳奈ちゃんは差し出されたボクの手と顔を1度ずつ見てから、ふわりと微笑んで被っていた帽子を照れ臭そうに深く被り直した。
そして、小さく頷きながらその手を取るのだった。
「そうだ、佳奈ちゃんはポジションどこなの?」
「私ですか?私はゴールキーパーです。」
「ゴールキーパー!?やった!キーパー確保だ♪」
「……そう言えば、その……」
「このはでいいよ。」
「……このはさんはいつもこんな感じで勧誘を?」
「う〜ん。いつもはもっと…………って!こんなことしてる場合じゃないよ佳奈ちゃん!早くほかのメンバーも集めないと!」
「え!え!?どういうことですか?」
「あーとーでーせーつーめーいーすーるー!!!」
「わっ!ちょ……ちょっと!……まっ!……ひゃあっ!」
そう叫びながら慌てて走り出したため無意識のうちにボクが
佳奈ちゃんの腕を掴んでいたことなんてしばらく気づかなかった。
スカウト2人目
MF「時乃 運命」編 (音無 重音様より)
教室前。
「ふぅ、着いた。」
無意識に掴んでしまった挙句ここまで引っ張り回してしまった1人目の部員、五十嵐佳奈の腕を離しつつ私は自分の教室の前で一息つきながら腰に手を当てた。
「はぁ……はぁ……このはさん早すぎです。……はぁ……」
「ごめんごめん。」
あははと苦笑いを浮かべながらボクは両手をパンっと合わせて謝罪の言葉を述べる。
「……でも、どうして教室?もう誰もいないと思いますけど。」
「あぁー、いや、別に教室に来たのは誰かを誘う訳じゃなくて…………忘れ物。」
その一言に佳奈ちゃんがため息をついた。
「明日の宿題引き出しの中に置いてきちゃって…………」
「なにしてるんですか、もう。」
半ば呆れ気味に言う佳奈ちゃんに苦笑いを返しながら教室の引戸に手をかけようとしたその時。
……教室の入口が勝手に開いた。
あれ?
ここって自動だったっけ?
いきなりのことに若干眉間に皺を寄せつつ腕を組むと頭の上を疑問符が飛び交っていく。
「ん〜、騒がしいなぁ。誰?」
「あ、時乃さん。」
不意に開いた教室から今まで爆睡でもしていたのだろうか眠い目を擦りながら現れたポニーテールの少女に佳奈ちゃんが反応した。
「…………ん?あれ?五十嵐さんじゃんそれと、このはも。なんでここにいるの?」
「時乃さんこそ、どうして?」
「僕は授業終わって爆睡してたんだけど、気づいたらこの時間。」
「ね、寝てたんだ。」
「机に突っ伏してたおかげで身体中痛いんだけどね。」
教室から出てきた少女はやれやれというふうに首をふるふると横に振った。
「ん?運命っちと佳奈ちゃんって知り合い?」
なんてなんとなーく言ったつもりだったが、何故かふたりとも目をぱちぱちさせながらお互いの顔を見合わせていた。
「いや、このはこそ何言ってるのさ。」
「は?」
「クラスメイト。」
「へ?」
自分でもわかるほど間抜けな声を出した私は軽く首を傾げたポーズのままフリーズした。
「待って、まさか同じクラスだって知らずに連れ回してたわけ?」
「私、そんなに影薄いかな?」
「いやだって、まだ新しいクラスになって1ヶ月……だし?」
「1ヶ月あれば大抵覚えられるよ。」
「私も覚えてる。」
もはや四面楚歌状態になりつつあるこの状況の打開策はひとつしか思い浮かばなかった。
「ご、ごめん〜!!!」
こうして教室に着いたボク達のスカウト大作戦開戦合図はボクの盛大なる謝罪からスタートしたのだった。
※
「……なるほど、このははサッカー部に入ってくれる生徒を片っ端から勧誘して回っていると。」
「そう!さすが運命っち。話が早くて助かる!」
教室の隅っこの誰ともわからない人の机に腰掛けながらビシッと人差し指を運命っちこと時乃 運命に向けた。
「で、それに巻き込まれたのが五十嵐さんってわけか。」
「うん…………うん?」
「巻き込んだなんて人聞きの悪い言い方しないでよ。ボクは誠心誠意心を込めてお願いをしたんだがら。」
「誠心誠意ね〜。どうなんだか。」
「嘘じゃないよ、ね?佳奈ちゃん。」
「え?うん……まぁ。」
「なんか言わされてる感がするんだけど。」
「気のせいじゃない?」
ふぅ、と息をつきながらボクは足をぶらぶらさせた。
「でも、サッカー部に入るって決めたのは……私、だから。」
おぉ!
ナイスタイミングの助け舟!
さすが紅組(自称)のゴールキーパー!
「……あの無口の五十嵐さんが、ねぇ。」
「あうっ……。」
何となく話があらん方向に向かいそうなのでここいらで軌道修正でもしないとのちのち収集がつかなくなる可能性が。
そう思ったボクは無理矢理話題を戻して本題に入った。
「もう!そういうことはいいの!でね?事は相談というかお願いごとなんだけど、運命っちさ…………。」
「いいよ。」
「いやまだ何も言ってないんだけど?」
「サッカー部、入ってってことでしょ?」
「どうして分かるの!?」
「今の話の流れを聞いていれば誰でもわかるよ。で?いいの?ダメなの?」
なんとなく話の主導権を握られているようで若干の違和感を感じながら腰掛けていた机からぴょんと飛び降りた。
「いいに決まってるよ。…………それでさ、一応聞きたいんだけど、運命っちってサッカー出来る?」
運命っちが呆れたようにため息をついた。
「え、今頃?知ってて誘ってきたんじゃないの?」
「いやぁ、偶然教室に戻ったら…………。」
「呆れた。」
「あはは……。」
「時乃さんがいないと、先が不安。」
勧誘したばかりの佳奈ちゃんにまで言われてしまったらもはやぐうの音も出なくなってしまう。
ボクは諦めて降伏のポーズを示した。
「そういうわけだから、よろしく。このは。」
「でさこのは、ひとつ聞いてもいい?」
「ん?」
「あの新学期そうそう引きこもりになった現美がさ、1人でメンバー集められると思う?」
「………………。」
「少しは考えなよ。」
「不安……。」
「大丈夫だよ大丈夫。きっとなんとかなるって。」
「「……はぁ。」」
スカウト初日からため息が多発中のAチームであった。
さて、このはルートスカウト1日目が終わりました!
1人目は五十嵐 佳奈ちゃん(人生百一様より)、2人目は時乃 運命ちゃん(音無 重音様より)でした。
正直、まさか1人目からキーパー来るとは思いませんでした←(笑)
佳奈ちゃんは「校舎裏でよく壁あてをしている:スカウト場所は校舎裏 」ということでしっかり校舎裏までこのはちゃんに走ってもらいました←(笑)
一応本文中では直ぐに校舎裏に到着していますが、実は音を頼りに敷地内をひたすら駆けずり回っていたんです。←
それから、「目つきが悪い。無口。孤立癖。」等々、目つきが悪いのは置いておいて残りの2つは現美ちゃんに似ている部分があるので、結構ストーリーも考えやすかったですね〜。
2人目の運命ちゃんですが、この娘は必殺技の説明見た時からイメージが頭の中に出来すぎて(考案した時のイメージと同じかはわからないですが…………)その演出を書きたい衝動に襲われながらストーリー重視で書き上げました。←
運命ちゃんの私の中でのイメージは「このはのストッパー」みたいな感じですかね。(違ったら申し訳ないですけど)
感覚派のようなので試合中どのように動いてもらおうか考えるのか結構楽しいです←(笑)
この回の見所ですが、
佳奈ちゃん編では行き当たりばったりの勢い任せなこのはとそれに流されつつも「独り」から抜け出した少女ですね。勢い任せな所は現美ちゃんと対称性を持たせてます←
運命ちゃん編では「部の勧誘」と言うよりかは「放課後の1場面」でスカウトってところですね。お人好しな娘なので恐らくどう言っても「部員が足りない」って言えば入ってくれると思ったので、勧誘と言うよりかは常識人枠というのを少し表に出してみました。感覚派というのは後ほど←(笑)
というわけで、このはルート1日目はこんな感じでした←