イナズマイレブン〜双星の軌跡〜   作:奇稲田姫

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現美ルート2日目です。


またまた確定枠のキャラを2人書きました。



必殺技のカラーリングとエフェクトはイメージで書いちゃったので………………どうだろう。

とりあえず本編どうぞ←


御陵現美のスカウト日記帳 2日目

スカウト2人目

 

 

 

MF「銀 桃華」編 (妄想のkioku様より)

 

 

 

 

 

このはがサッカー部創立を決意した上に突拍子もないようなぶっ飛んだアイディアを出したのが昨日。

あれから1日経った2日目の放課後。

芯の補充を済ませたシャーペンをペンケースにしまいつつ先程までなんやかんやと騒いでいたこのはちゃんが次のメンバーをスカウトしにバタバタと教室を飛び出して行ったのをぼんやりと見送った。

 

私一人だけになった教室内に静寂という名の空間が訪れるのと共に、ようやく落ち着ける時間が出来て少し胸を撫で下ろす。

 

そもそも引きこもりの私には教室に1日いるだけで相当のストレスなので正直言うと早いところ人目のない場所に篭もりたい衝動に駆られていた。

それこそ掃除道具用のロッカーの中でも全く問題はない程に。

とはいえさすがに自分が女子であるという自覚だけはあるので出来ないけど…………。

 

はぁ…………。

 

 

「はぁ…………。」

 

心の中と現実とで2回ほどため息をつくと机の横に掛けられた鞄にテキストを無造作に放り込み、窓から外を眺め見る。

 

そんな時、不意に声を掛けられた。

 

「少し、お話よろしいですか?」

 

「へ?…………(サァァァーーーーッ)…………あ、ご、ごめんなさいごめんなさい!!!」

 

いきなりの出来事に一瞬脳がフリーズする。

 

わ、私に!?

なんで!?

い、いつから!?

 

真っ白だった頭の中が徐々に色彩を取り戻したのも束の間、今度は思考回路が真っ黒な「?」で埋め尽くされた。

 

過去のトラウマ故、予想外の出来事に脳の処理が追いつかずパニックに陥った私は小刻みに身体を震わせながら萎縮しきってまるで石のように動かなくなった体を両手で抱き締めた。

 

それから無意識のうちに口から言葉が次から次へと漏れ出てくるが、それがどういう意味なのか理解できるほど私に余裕すらなかった。

 

「あ…………あ……ダメ…………いや……や……めて…………そんな、そんな目で…………見…ない……で…………。わた……し…………私…………。」

 

そして、過去の記憶が一瞬にしてフラッシュバックしそうになったその瞬間。

 

 

 

 

 

「大丈夫です!今ここにあなたを咎める人はいません!安心してください!御陵(みささぎ)さん!」

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

いきなり両肩を掴まれたかと思うと何かが言葉を発した。

何故かそれだけが鮮明に脳内に響き渡り、黒い「?」で埋め尽くされた霧が一瞬にして晴れていくのを感じる。

 

そのおかげでようやく今の状況の処理が出来るようになった。

 

「あ…………、(しろがね)……さん?」

 

「そうです!…………あなた、やっぱり訳アリだったのですね?」

 

ゆっくりと顔を上げると、そこには真っ白な長髪を夕日に反射させたクラスの中でそれこそいい所の令嬢だと噂される少女が真っ直ぐに私を見ていた。

 

その引き込まれるような鮮やかな青色の瞳は…………なんか、あんしん……する

 

黒に近い群青は深く鮮やかな色を醸し出し、さながらラピスラズリのように私の心に安らかな落ち着きを与えてくれる。

 

私は安堵の表情をした少女の瞳を見つめながら、またしても無意識のうちに自分の頭の右側面を軽く叩いていた。

 

 

 

 

 

 

【Change】

 

 

 

 

 

 

さて、落ち着きつつはあるもののそろそろ精神状態が限界になりそうな我が愛しの妹の腕を動かして無理矢理出てきた私は、頭を人格入換の反動でだらりと前に垂れ下がった状態のまま自分の肩に乗せられた手を僅かに力を込めて掴んだ。

 

案の定いきなり今までと違う反応を見せられた目の前の少女は目を白黒させている頃だろうが、そんなことに構っている暇はない。

 

「…………ふぅ、ごめんよ。現美(うつみ)は突発的な出来事にめっぽう弱くてね。直ぐにパニックになってしまうんだ。…………あまり深くまでの詮索はオススメしないよ?」

 

不意に自分の腕を掴まれたおかげで少女が小さく呻いた。

 

「…………。それで?君は……いや、銀さんは私になんの用かな?」

 

「用……と言うか、少しお話をしてみたかっただけです。入学早々学校に来なくなってしまったあなたと。」

 

「私と?」

 

……驚いた。

私を見ても驚かないのか。

いい所の令嬢だと思っていたけど、意外と肝は座っている方なのかもしれない。

それかただの鈍感か……。

 

つられて私もニヤリと笑みをこぼした。

 

…………まぁ何につられたのかなんて私にもさっぱりわからないけど。

 

「奇遇だね。私も君に話があるんだよ。」

 

「私に?」

 

先ほどと全く同じ問答を攻守入れ替えで行い、私は掴んでいた手首をぱっと離して頭を上げた。

 

「そう、(しろがね) 桃華(とうか)っていう娘にサッカー部勧誘の話をね。」

 

「…………。」

 

その一言で彼女が僅かに目を見開いたのを私は見逃さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※明夢説明中…………※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……事情は分かりました。協力ももちろん致します、が、その話とさっきの話の繋がりが分からないのですが。」

 

「そりゃそうさ、繋がりなんてほとんどないからね。乙女の話題は2転3転が当たり前、なのさ。」

 

「そうなのですか?」

 

「そうさ。それにさっきも言ったでしょ?()()()()()()()()()()()()()()()って。まだ時期じゃないのだよ。さ、そんなことよりおめでとう♪今日から君はこの弓鶴学園サッカー部の一員だ。仲良く行こうじゃないか♪」

 

何か釈然としないとでも言いたそうな桃華には気もくれずに私は椅子に座ったまま両手を軽く広げて見せた。

 

「そんなわけでもう一度軽く自己紹介しようか。私のこともただ『雰囲気が変わった』程度にしか考えていないんだろうからね。でしょ?」

 

「む…………。」

 

「当たりかな。私は御陵 明夢(あかめ)。現美とは姉妹でね。私が姉なんだ。あ、いつも妹がお世話になってます♪今後とも妹をよろしく。」

 

そう言いながら私はカタンと軽く椅子を引いた。

そんな新設校特有の真新しい椅子の音によって何かを言いかけた桃華はそのまま口をつぐみ、私も笑みを浮かべながら軽く2、3度頷く。

 

「さぁ、こんなことしてはいられない。やることはいっぱいあるんだ。まずは1人目のスカウトと顔合わせからだね♪実は今日はね昨日スカウトした娘とグラウンドで軽く練習しようと思っていたところなんだよ。というわけで、グラウンドにレッツゴー♪」

 

私は手早く荷物をまとめてテキストの分だけ重量の増した鞄を肩に担いで、足早に教室の扉に手をかけた。

 

手をかけたところで軽く視線だけを後方に移し、未だ椅子に座って呆然としている桃華に向かって一言だけ投げかける。

 

「来ないのかい?」

 

「……あ、い、いきます!待ってください。」

 

こんな感じでめでたく2人目の勧誘に成功した私は教室を出るのとともに自分の頭の左側面を軽く叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

【Change】

 

 

 

 

 

 

 

「…………(フッ)…………ん、ん?もう、お姉ちゃん…………出てくる時は一言声かけてくれればいいのに……。あ、うん?え?銀さん……が?うん、わかった。

 

私は頭に響いてくる姉の声に小さく頷きながら廊下の階段を降りかけて足を止めた。

それからゆっくりと自分の後ろを振り返る。

 

「今は……現美さんで合ってますか?」

 

「はい。……あの、さっきはパニックになってしまって、すみません。」

 

「謝る必要はありませんよ。こちらこそいきなり声をかけたりして申し訳ありません。」

 

「そ、そんな…………私こそ迷惑……かけちゃって。」

 

「いえいえ、私こそ。でもまぁ、お姉さん……からあなたの事情は聞きました。と言っても深くは詮索するなと釘を刺されただけですが。」

 

一段一段階段を降りながらため息をつく銀さん。

 

「でも、こうしてあなたのこと少しでもわかって良かったです。これから何かあればなんでも相談に乗りますわ。これでも相談事は得意なんです!」

 

そう言いながら階段を踊り場まで降り切ったところで銀さんが私の手をガシッと掴んできた。

一瞬にして目が回りそうになるのを何とか堪えてどうにか笑顔を作る。

 

「……そ、その、よろしくお願いします。」

 

「あ、すみません私ったらまた。」

 

「だ、大丈夫です。後ろからいきなりとかでなければ……。」

 

「そうですか。」

 

そんなやり取りをしながら私達は1階の渡り廊下へ。

 

「あ、あの、銀さんのポジションは……。」

 

「ん?私ですか?私はMFです。と言ってもどちらかと言えばディフェンス寄りになりますが、攻撃にも参加は出来ますよ。」

 

「MF……大事。」

 

「しっかりとボールを前へ繋いでみせますので任せてください。」

 

そう言って銀さんは自分の胸をぽんと叩きながら微笑んだ。

私はなんとなくこのはちゃんとはまた違った安心感がある人だなぁ、なんて考えながら渡り廊下への扉を開いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカウト3人目

 

 

FW「蒼空 友過」編 (現実と幻想の境目の住人様より)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう。なにやら面白そうなことやってるな。」

 

「ひゃっ!!?」

 

不意にどこからともなく飛んできた声にA棟からB棟を繋ぐ渡り廊下のど真ん中で私は思わずビクリと体をふるわせてしまった。

 

「誰ですか!」

 

そう体を萎縮させる私を庇うようにさっきまで後ろをついてきていた銀さん…………桃華さんが前に出た。

 

視線の先には渡り廊下を抜けた先の校舎で大きく開かれた窓の窓枠に肘をつきながらニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる赤眼の少女が缶コーヒーを片手にこちらを見つめていた。

 

「おいおい、そんな怖い顔するなよ。ビビらせたことは謝る。」

 

少女はそのニヤニヤを崩さないまま小さく鼻で笑うと持っていた缶コーヒーをこちらに向かって軽く投げてきた。

 

なんとか震えも止まってきた私は硬直が解けて自由を取り戻した手でその缶を直撃ギリギリのところで受け止める。

…………まだ未開封。

 

「買ったはいいけど、やっぱり自分で入れたヤツ以外は飲む気になれないからやるよ。お近付きの印、ってな。」

 

「あ、ありがと……ございます。」

 

「あなたは確か…………。」

 

「D組の蒼空 友過だ。君たちB組の2つ隣のクラスだな。ま、そんなことはどうでもいい。(るい)から聞いたよ。サッカー部員集めてるんだって?」

 

その一言で貰った缶コーヒーのプルタブを爪でカリカリやっていた私は我に返る。

 

「る、涙ちゃん……から?サッカーに興味がある、の?」

 

「まぁな。ことによっては入ってもいい。」

 

「ほ、ホント…………「ただし!」

 

また1人新しい部員が増えると胸を撫で下ろそうとしたのも束の間、私が喋り終わらないうちにスっとただでさえ鋭いアイラインをさらに細くさせながら蒼空さんがそれを遮った。

 

そして、いきなりどこからともなくサッカーボールを取り出すとこちらに向かって思い切りシュートしたきた。

そのボールは校舎の窓を抜けたところで急激に曲がり、渡り廊下の風通しを良くするために開かれた窓からピンポイントに私の方へ…………。

 

「現美さん!」

 

「ひゃあっ!!」

 

とっさの出来事に私はボールを受け止めるよりも避けることを優先してしまった。両手で頭を抑えながら勢いよく屈んだおかげで直撃だけは避けたが、後頭部すれすれをボールが通り過ぎていく。

 

「蒼空さん!何するんですか!…………さすがに怒りますよ?」

 

普段は温厚な桃華さんですら語調が少し荒くなってきていた。

 

「ははは、言っただろう?()()()()()()()ってな。確かに私はサッカーが好きなんだ。まぁ、それはいい。でもな、やるからには勝ちに行きたい。…………でだ、涙をサッカー部に引き入れた御陵現美。その実力、是非ともこの目で見てみたくてね。十分だと判断すればそれでいい。しかし、劣っていると判断した場合………………。」

 

「…………わか、りました。」

 

「……ほう。

 

そんな相変わらずなにか含ませているようなニヤニヤを浮かべる蒼空さんに向かって、なんとか震えが収まった体で真正面から向かい合った。

 

「勝負…………で、勝ったら入ってくれるんです、よね? 」

 

「あぁ、約束しよう。」

 

「わかりました。グラウンド、に、行きましょう。」

 

「現美さん。」

 

「桃華さん……、心配してくれて、ありがとうございます。でも……私も、やっぱりサッカー、好きだから。みんなと一緒にサッカーするの……楽しみ、だから。頑張るよ。」

 

「…………わかりました。頑張ってください。」

 

「はい♪」

 

私は心配そうに見つめる桃華さんに向かって精一杯の笑顔を返すと、薄ら笑いを崩さない蒼空さんに続いてグラウンドに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラウンド。【三人称視点】

 

 

 

 

 

 

「…………で、こうなってるわけ。」

 

「大丈夫でしょうか。」

 

「さぁ。現美(あの娘)が私の期待通りなら問題ない。」

 

ちょっとした用事のおかげで予定の時間よりも若干遅れ気味にグラウンドへやってきた村雨 涙は先客の銀 桃華に事の顛末について説明を受け、ようやく状況を理解する。

 

グラウンドで練習しようと言い出した御陵 現美は今やセンターサークル付近で同じクラスの蒼空 友過と向かい合っていた。

 

なんでも友過が現美に対してチームに入ることを条件に勝負を持ちかけたらしい。

それを受ける形となった現美も現美で珍しくいつもの彼女よりかは若干キリッとして見える。

 

「決着の条件はどうする?」

 

「…………三本勝負、とかどう、かな?先に2点入れたら……勝ち。」

 

「異議はない。なら早速始めようか。」

 

「……(コクン)」

 

かくしてチームの加入を掛けた1対1の真剣勝負が幕を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

〜1本目〜

 

 

 

 

 

センターラインに並んだ現美と友過。

ボールは友過ボールからスタート。

 

軽く前へ蹴り出すのと同時に友過が一気にドリブルを開始する。

それを追いかける形になった現美もどうにか彼女に追いつき、そのまま追い抜くと友過の前に立ち塞がるように陣取った。

 

そのままボールを奪うためにプレッシング。

 

…………しかし、どれだけプレッシングしてもなかなかボールが奪えない。

 

思った以上に友過のテクニック値が高いのだ。

まるで足にボールが吸い付いてでもいるかのようなボールキープに加え、時折交ぜてくるフェイントのタイミングも絶妙で正直着いていくのでやっとの状況だった。

 

それでもなんとか抜かせまいと必死に食らいついていく。

 

「へぇ、引きこもりだったって聞いていたが、意外とやるじゃないか。」

 

「はぁ……はぁ……。」

 

「でも、手を抜く気は無いからな。」

 

「……っ!?」

 

友過は左右にフェイントを掛けていた右足の踵の部分で軽くボールを1mくらい後方に浮かせ、宙返りをしながら空中でボールを足に収めた。

そして、着地とともに両手を胸の前で組む。

友過の背後に純白の翼が出現し、辺り一面に真っ白な羽をばらまいた。

 

「こ、これ……。」

 

あまりの出来事に自分と友過の距離を詰めようとしていた現美の足が止まる。

 

それを見ながら祈るように両手を組んでいた友過が背後の翼をはためかせてその両手を大きく左右に広げた。

同時に彼女のちょうど真上あたり……だろうか、眩いほどの光の収束と共に()()()が投影される。

 

10程の球体とそれぞれが直線によって繋がれたそれは圧倒的な存在感を醸し出しながらそこに鎮座していた。

 

「……これって。まさか…………」

 

その樹に見とれて完全に足の止まった現美の真横を翼を羽ばたかせながら抜き去って行く友過。

そして、抜き去る寸前。

空中に鎮座する巨大な樹から目をそらせないでいる現美の耳元で囁くようにその技の名前を口にした。

 

「セフィロト。」

 

「っ!?」

 

その一言で、放心状態だった現美は一瞬にして我に返り後方を振り返るがその時には既に友過は翼を粒子に変えてゴール前でシュート体勢に入っているところだった。

 

現美の咄嗟の切り返しも間に合わず、ボールは無常にもゴールネットを大きく揺らした。

 

 

 

 

 

「これでリーチ。次を決めれば君の負けだな。」

 

「はぁ…………はぁ……」

 

「出し惜しみは無しだ。」

 

 

 

 

 

そう言いながら友過は膝に手をついて息を整える現美の横を通り過ぎながら軽く言葉をなげかけてスタート地点のセンターサークルに向かっていった。

 

現美もやっと落ち着いてきた呼吸の中、最後に大きく深呼吸をして友過の後を追った。

 

 

 

 

 

 

〜2本目〜

 

 

 

 

「Go!!」

 

2本目から涙に頼んでスタートの合図を掛けてもらい、その声と同時に両者が一斉にセンターラインから飛び出した。

 

ドリブルをする友過よりも少しスピードを上げた現美がゴール前で反転し、友過と正面から向かい合う。

 

しかし、今度は先程のように競り合いが起こることは無く、友過が早々に勝負を決めに来た。

 

「ふ、悪く思わないでくれよ。これで抜いて終わりだ!セフィロト!!」

 

再び胸の前で両手を組むモーションと同時に純白の翼が出現し、その上空に巨大なセフィロトの樹が現れた。

 

「っ…………ま、また。」

 

再び視線をセフィロトの樹に奪われて体が硬直する。

 

その隙に友過は現美の横を鼻で笑いながら通り過ぎて行った。

 

「もらった!!」

 

そして、現美の硬直が解けるのよりほんの僅かに早く、友過がシュート体勢に入る。

 

「…………。」

 

その瞬間。

 

異変は起きた。

 

「?……風?」

 

今しがた友過がゴールに蹴り込もうとしたまさにその時。

 

ボールを中心に小さくつむじ風が舞い始め、次第に強く大きく成長していく。

そして、

 

「それ以上は……進ませません!プリズムリーフ!!!」

 

「なにっ!?」

 

友過の背後から聞こえた現美の声に同調するようにつむじはその回転を強めながらボールを虹色に煌めく若葉に乗せて上空高くに巻き上げた。

 

その落ちてきたボールをふわりと右足の甲に収めると、素早く切り返してボールを取られたことで一瞬の硬直状態となった友過の真横を通すように今度は現美がゴールネットを揺らした。

 

「…………よし。」

 

「………………やるじゃないか。」

 

「蒼空さん……も。」

 

「友過でいい。」

 

「え?」

 

「苗字で呼ばれるのはあまり好きじゃないんだ。」

 

「じゃあ、友過ちゃん。」

 

「…………『ちゃん』は勘弁してくれ。」

 

「ふふ、わかっ……た。友過ちゃん。」

 

「はぁ…………。まぁ、好きに呼んでくれればいいか。ただ、これでイーブンだ。次でラスト。文句は無いな。」

 

「うん。」

 

お互いに軽く頷きあい、両者はセンターサークルに向かった。

 

 

 

 

「(悪いな御陵現美。今のであることに気づてしまった。次は確実に…………。)」

 

 

 

 

 

 

 

〜3本目〜

 

 

 

 

「Go!!!」

 

再び響く涙の合図とともに両者がセンターサークルを飛び出す。

 

戦況は変わらずドリブルをする友過にその前方ペナルティエリア内で友過に向かい合う現美。

 

いつものオドオドとして自信なさげにしている現美とは対象的にフィールド上では積極的に競り合いに持ち込み、友過にプレッシャーをかけていた。

 

右に左に正確にボールをキープしていく友過はその途中、激しいぶつかり合いによって軽く後ろに零れたボールにいち早く反応してボールを拾い直すのと同時に、足を乗せて一つ息をついた。

 

「ふぅ。なるほど。確かに引きこもりとは思えない動きだ。それは認める。」

 

「はぁ……はぁ……。」

 

「しかし、だからといって負けてやる訳にも行かない。勝負は勝負。」

 

「分かってる、よ。」

 

「ならいい。それじゃあ、これで最後だ。止められるなら止めてみろ!」

 

そう言うと、友過はセンターサークルとペナルティエリアのちょうど中間地点あたりで足元のボールを右足を使って軽く胸のあたりまで浮かせ、反対の左手を真横に大きくモーションを起こすと紫とも黒とも取れる暗雲がボールとフィールドを包み込み、背後に4本の剣の幻影を出現させた。

 

「え!?」

 

思わず現美が驚愕の声を漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれは、まさか!!」

 

「そのまさか、だな。」

 

思わずフィールドの外で声を上げる桃華とそれを見ても特に動じる様子を見せない涙。

 

「現美さんはDFですよね?そんなの、止められるわけ……。」

 

「黙って見てて。」

 

「でも、」

 

「でもじゃない。あなたは知らなかったようだから教えておくけど…………。」

 

「なんですか?」

 

「現美はジュニアチームにはいっていた人間ならそれこそ知らない人は恐らくはほとんど居ない程の有名人なの。」

 

その一言で桃華が涙の方を振り返る。

 

「そんな彼女はそのプレースタイルからとある噂が一緒に付いていた。」

 

「噂?」

 

「ペナルティエリアの守護門番(ガーディアン)。」

 

「…………守護門番(ガーディアン)、ですか。」

 

「そう……………つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ってね。」

 

「……ということは」

 

「……そういう事。現美にとっては……()()()()()()()()()()()()なのよ。プレースタイルまで変わっていなければ、だけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いきなりの出来事に驚愕する現美を気にする様子もなく友過は必殺シュートのモーションに入っていく。

 

「行くぞ!!!」

 

そんな力強い掛け声とともに今よりもさらに高く浮かせたボールを自身も空中に翔び、背後に出現させた4本の剣を纏わせた両足で連撃を加えていく。

 

右足で右下から左上にかけて蹴りあげ、次いで左足に切り替えて右下に向けて蹴り下ろし、くるりと回転を加えて左足に纏わせた剣で左下から右上にかけてというふうに3回ほどの蹴りを連続で行いエネルギーを極限にまで高めたボールを最後4本目の剣を纏わせた右足で思い切りゴールに向かって蹴り込んだ。

 

「エクリプティカ!!!!!」

 

4本の剣撃によって威力が格段に上昇したシュートは纏った闇冥を激しく切り裂きながら金色の軌跡を残して直線的に突き進む。

 

「このシュートが決まれば終わりだ!」

 

その言葉に後押しされるようにスピードが一段階加速されて現美に迫る。

 

「(さぁ、どうする御陵。)」

 

ゴール前で立ち尽くす現美を見つめながら友過は小さく口角を上げた。

 

「(君は言ったな。勝利条件は()()()()だと。つまり、どんな形であろうと点を入れればいい。フフ、条件の選択を見誤ったな!私の勝ちだ!)」

 

その視線の先では現美が力なく頭を前に傾けていた。

それだけの仕草。

本来ならば警戒するだけ無駄な状況なのにも関わらず、何故か彼女を前にすると感じる違和感を拭いきれない。

どうしてだろうか…………。

 

普通と違う仕草と言えば………………()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………(フッ)………………クククク♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いきなり今までの彼女からは想像もできないような歪んだ表情を見せたかと思うと、その背後に白夜の逆光が眩いほどの閃光をばらまいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バシッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後…………勝負は一瞬でついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……な…………なんだ、と……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今のシュートによってゴールネットが大きく波打った。

 

ただ、現美の背後のネットではなく()()()()()()()()()()()()が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまりの出来事に愕然としてその場に固まる友過。

 

 

 

 

「今…………なにをした?」

 

 

 

「クククク……なにって、見た通りさ。君のシュートを蹴り返しただけ。そういうわけで得点は2対1、勝負はこちらの勝ちだよね?それじゃあ、また次回♪ごきげんよう♪……………(フッ)…」

 

 

 

それだけ言うと目の前の少女はまるで人が変わったかのようにつり上がった瞳のまま口角を僅かに上げると、今度は自分の頭の左側面を軽く叩いた。

 

 

 

再び頭が力なくだらりと前に垂れ、しばしの沈黙の後現美がまさに夢から勢いよく目覚めた時のように頭を上げた。

 

「…………(スッ)…………はっ、勝負は……あ。」

 

「…………おい。」

 

「へ?」

 

「おい!今、なにをしたんだ!蹴り返したって…………そんなの納得出来るかよ!!」

 

「あ、へ?ちょ……ま、待って………落ち着い、て…ひゃっ!」

 

「これが落ち着いて…………っ!」

 

「落ち着きなさい友過。」

 

そんな涙の一言でようやく自分のしていることを理解した友過がパッと両手を現美の肩から離してついでに視線も申し訳なさそうに宙を泳がせた。

 

「……きゅ〜……。」

 

いきなり肩を掴まれたことに加え、グラグラと少し強めに体を揺すられたおかげで若干ふわふわ状態になった頭を軽く振って感覚を振り払う。

 

「現美さん、大丈夫ですか?」

 

「あ、桃華さん。なんとか、大丈夫……です。」

 

「そうですか。よかった。」

 

ほっと胸を撫で下ろす桃華に向かって小さく微笑み、現美と友過の間に割って入っていた涙の隣に…………まではいかず涙の背中に僅かに隠れるようにしながら友過に向かい合った。

 

…………相変わらず視線は定まらず宙をふよふよと漂ってはいるが。

 

「あ、あの…………。」

 

「…………。」

 

「その…………。」

 

「わかってるさ。納得いかない部分はあるが、負けは負け。素直に認める。約束通りサッカー部にも入るよ。…………少なくとも退屈はしなさそうだし。 これから世話になるな、よろしく頼む。」

 

その視線にため息をついた友過は未だにモヤモヤする感覚を残しながら後ろ頭を軽く掻いた。

 

「……うん。よろしく、友過ちゃん。」

 

「だから『ちゃん』は………………まぁ、いいか。」

 

 

 

 

Bチームのメンバー。

これで現美を含めて4人になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……友過ちゃんは、やっぱり、FW?」

 

「ん?あぁ、見た通りのFWだ。が、得意分野はどちらかと言うとドリブル突破やフェイントといったテクニック寄りのプレーだな。」

 

「でもすごく、心強いと、思う。」

 

「そうね。これで一応キーパー以外のポジションは最低1人ずつってところみたい。欲しい人数はあと何人?」

 

「あと…………2人、かな。確か各チーム6人って、このはちゃんが、言ってた。」

 

「6人対6人ってことですか。しかし、この先もし大会に出場するとしたら登録できる人数は最大でも16人だと言いますし、最低限試合ができる人数としては妥当といえば妥当ですね。ただ、12人体制となると控えがいなくなりますけど大丈夫なんでしょうか。」

 

「う〜ん…………。このはちゃんがそこまで考えているか、不安…………だけど。」

 

「まぁ…………大丈夫だと思いますが。心配ではありますね。」

 

「いいじゃんか。行き当たりばったりってのもなかなかいいもんだぜ?ま、ともあれだ。晴れて私もサッカー部の一員だ。良かったらコーヒーでも入れようか?」

 

 

 

…………

 

 

 

こんな調子でスカウト2日目は過ぎていった。

 

 

残り2人。




…………2日目、ちょっと長くなりすぎましたね←(笑)

まぁ、現美とこのはじゃ性格もだいぶ違うのでスカウトの仕方も全然異なっていますけど、しょうがないと言えばしょうがないですね←



さて、現美ルート2人目は銀 桃華ちゃん(妄想のKioku様より)です。

設定を細かく書いて頂いたおかげでかなりイメージしやすかった娘ですね。
「話しやすい雰囲気」の娘がチームに居るって言うのは現美にとっても相当気持ち的に楽だと思うのでそんな感じの立ち位置で頑張ってもらいます←
あとは、このはがいない中で現美のメンタルが乱れた時のストッパー、チーム全体の相談役兼苦労人時々お財布←(笑)みたいな感じで書ければいいなと思ってますw
それから、必殺技いいですよね〜♪
あ、そうそう。
この物語の中ではオリジナル技、原作やゲーム内の技でシュートチェイン出来ない技でも私が出来そうと判断したら遠慮なくやります←(笑)
して欲しくないものは技の説明欄もしくはコメントに「このシュートにはシュートチェイン出来ない」と書いておいてくれると嬉しいです←(我儘ですんません!)



3人目は蒼空 友過ちゃん(現実と幻想の境目の住人様より)です。

このキャラは「捻くれ者で皮肉屋」ということなので、私の中でのイメージは原作の不動なんですけど合ってるかな……。
「喋り方が男っぽい、同性に告白されたことがある」の設定はのちのち挟みます。
立ち位置としてはメインストライカー陣の一角をになってもらいます。そもそも、このははストライカーとして単体での決定力はあまりないのである程度の力を持ったストライカーは嬉しいです。

それから、必殺技カッコイイ←(笑)
今回は2種類だけピックアップしましたが、結構演出に力を入れてみましたけど実際のイメージとあっているかと言われると不安はありますね〜。
でも、カッコイイのでOK←(笑)

特に「エクリプティカ」は書いてて楽しかったです←
一応、「剣の幻影」ということでベース属性は闇でその闇の中を切り裂いて架かる金色の軌跡はオランダ語で黄道を表すことからイメージ。




さて、この回の見所ですが

桃華ちゃん編では、やはり不安定な精神状態をしている現美をこのは以外に守ることの出来る存在という立ち位置の確立ですかね。
そして友過ちゃん編では当然サッカーバトルです!ただただ熱いバトルをしてもらいました!


そんな感じでまた次回♪


キャラはまだまだ募集しているので、よろしくお願いしま〜す←
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