Fate/EXTRA ava   作:後ろに敵が

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ついに決戦前日!……なんでこうなった。


六日目

――決戦前日。

 

ライダーと慎二を倒したのがつい昨日のことのようだが、すでに俺たちは二回戦の決戦を目の前にしていた。

学校内も一回戦の時と同じ、いやそれ以上にピリピリとした空気に包まれている。それはたぶん、ここに今勝ち残り――生き残っている彼らは例外なく目の当たりにしたからだろう。これが戦争で、負ければ死んでしまうという現実を。

受け入れる受け入れない関係なく、知ってしまったからには当然生きるために戦い、そして聖杯を手に入れるために戦う。人間として当然の行動だ。俺たちも当然例外ではなく『死』という現実を受け止めた故に、勝って生き残るという意識が生まれ、今も聖杯戦争勝利に向けて努力しているところ――

 

――のはずだった。

 

「…………」

 

「…………」

 

――気まずいっ!何でマスター喋らない!?

 

現在図書室にて、昨日アーチャーのセリフに出てきた『シャーウッド』と『顔のない王』について調べに来たわけだが……

うん、とにかく気まずい。ここに来た理由が昨日のことにあるのなら、現在俺とマスターを包み込みこの空気の原因もまた昨日のことなのだ。うん、まぁ俺の感覚的に言えば簡単なことで、いわゆるところのクラスの女子に告白して振られたとしたら翌日からどんな顔して会えばいいんさ?的な状況だ。

別に振られてなんてないが、それでも気まずい。昨日の会話を簡単にまとめるならば――

 

――セイバー的五日目――

 

「私、セイバーのことがすき!」

 

「え、あ……えっと……」

 

「だって、セイバー優しいし、強いし、頼りになるし……!そんなセイバーのことが……だいすき!」

 

「え、あ……その……」

 

「……セイバーは、私のこと……すき?」

 

「うえ!?あっと……俺も……すき、だぜ……?」

 

「セイバー!」

 

――end

 

 

みたいな感じだった。なんかちょっと違う気がしないでもないけれど、それがなんにせよ気まずいことに変わりはない。

チラリ、とマスターの方を覗いてみるが、どうもすごく集中しているようでこちらに目もくれない。……まぁ敵に勝つためなわけだし仕方がないのかもしれないが……

 

なんて馬鹿みたいではあるものの心配するのは当然といえば当然だ。どんな理由であれマスターとサーヴァントの間に何かがあっていざというときの連携の不備につながるとまずいということもある。そこまで深刻に考える必要もないかもしれないが……念には念ということもあるしな。

 

それに、ぶっちゃけそれ以前に、勝てんのかと思ってしまう。

先日、俺は自身の甘さを自覚したわけで、それでも戦えてこれたのはこの体のスキルのおかげにほかならず、俺の実力なんぞ一片も表しちゃいない。なんというか手の内を隠しているようだが、しないのではなくできないのでは話にならない。全力で戦わないのではなく全力で戦えない、か。なんだか、無職の人間の言い訳じみた台詞だがそれでも事実なのだ、認めるしかないだろう。

 

なんにせよ、現状での全力で戦うのは当然として、今回はどう戦うのか。

前回は決戦の時、今まで使っていなかった宝具でとどめを刺したわけだが……まだ使っていない宝具は数個あるもののあのアーチャーに通用しそうなものとなると……一回戦も含め使った四つ(・・)の宝具全てフル活用しても勝てるかどうか。そもそも一回戦だってほぼ運というか相手の未熟さが勝因だ。二回戦の相手は間違っても未熟なんてことはない相手。どうなることかは俺にはさっぱりわからない。

 

――結局のところ今の俺にできることなんて勝つために「頑張る」ことぐらいなわけだが……根性論は嫌いではないが自分で持ち出すのはどうかと思ってしまう。

 

「ふむふむ、なるほど……」

 

――思ってしまうけれど、それを現実として実行するマスターを見ると俺もやはりそれをするしかないのだろうとも思う。

 

本を熟読し、できうる限りの知識を詰め込もうとするマスターは俺から見ても良いと思うのだが。それを思う理由が俺ならやってないなんて理由だから少し情けなくなったりもする。

そこら辺は、マスターのことを心から尊敬する。なんでも真剣にとり組むところとでも言ったところか。

 

閑話休題なんにせよ、俺たちができることなんてのは努力以外には存在しないのだ。

だからとりあえず、勝つために勝利のために、そして何よりマスターのために。

 

――関係修復から始めようか。

 

……どうすればいいのかはわからないけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――顔のない王とは。

 

――古代ケルトにおいて、春の到来の祝いであるベルティーン祭に現れるものであり、森の精霊や自然の化身とも呼ばれる。

 

――シャーウッドの森とは。

 

――イギリスのノッティンガム近くにある森。その深い森の中には今も教会や義賊が集ったというオークの大木が残り神秘的な空気を現代にとどめている。

 

決戦前日。私たちが図書室に来て得られた情報は上記した通りだ。

なんとなく、真名が見えてきたがそれはまだ断定しなくてもいいだろう。それをするのはこの後セイバーと話し合って、だ。

 

――話し合って。

 

うん、なんでこんなところを強調するかといえば……

 

「…………」

 

「…………」

 

――すごく気まずいよ!

 

気まずすぎてこの後話し合いなんてできるのだろうかと思ってしまうぐらい。

仕方ないといえば仕方ない。何せ私たちには昨日――

 

――白野的五日目――

 

「私、セイバーのことすぎだよ?」

 

「俺のことが……すき?」

 

「うん……セイバーは?」

 

「そんなの決まってるだろ?俺も……すきだぜ!」

 

「セイバー……!」

 

「マスター!」

 

――end

 

――みたいな感じ。なんか違和感がある気がするけど気のせいだよね!うん!

 

私としてもセイバーとしても愛の告白ではなく親愛を表したものであることはわかっているが……私的に理由を言うなら、母親に親愛の意味で好きだといった後ちょっと気まずいみたいな感じだろうか?母親なんていうのもあれだから兄といった方がいいかもしれないけれど。

まぁそこがなんにせよセイバーとの仲は修復しておかなければならないと思う。別に亀裂が入ったわけじゃないし、たぶん一方的にこちらが恥ずかしがっているだけだろうから少し話せば大丈夫なのだろうけど……

 

そんなことを思いながら、私はチラリとセイバーの方を覗き見る。

セイバーはこちらに目もくれず、どこか遠いところを睨んでいるようだ。――前から気になっていたけれど、セイバーは時々そうしてどこか遠いところを見ている。その視線の先に何があるか気にならないわけでもないが聞くのも失礼だよね。……やっぱり故郷とか生前のこととかなのだろうか?だとしたらそれを考えるのは自然なことなんだと思う。私も記憶が残っていたらそんなことを考えるだろうし、今の私だって予選の時の思い出を時折思い返したりする。クラスで馬鹿みたいに騒いでいた時のことを。……私の友達なんて、よく考えれば数人しかいないのだけど。

 

そういえば、生前といえば私はセイバーの生前のこととか全然しらないなぁ、なんてことを思った。

無理やり聞き出すものでもないし、気にしない方がいいのだろうけれど、それでも気になるものは気になる。一応、パートナーという存在なわけだしね。

時折図書館で、剣に槍、短剣と使う英雄がいないか調べるのだがどうも見つからない。というより、その三つは意外とポピュラー故に使う英雄が多すぎて特定できないというのもある。

結局セイバーの過去はわからないまま。まぁ、セイバーの過去なんて調べるぐらいなら自分の過去から見つけるべきな気がしないでもないけれど。

 

閑話休題。

本題はこの決戦についてだ。

一回戦で勝利できたのは運でしかないとセイバーは言っていたが、実際私もそう思う。相手の実力を含めて運がよかったのだと。

だが、今回はそうもいかないだろう。敵の実力もさることながら、そんな幸運が訪れるというのなら苦労はしないのだ。セイバーが言うには、「幸運のステータスが高ければあるかもしれない」といっていたけれど。……あ、でも「いや、ライダーの幸運であれだから……」とも言っていたから結局どちらなのかはわからないままだったけれど。

 

それで結局私たちが彼ら――ダンとアーチャーに勝つ方法は今のところ未定なのだ。だからこの後話し合いをしなくちゃいけない。

 

ああ、どうしよう。でもまぁあまり考えることでもないのかもしれない。

 

普通に話しかけて、それで終わりにしよう。うん!頑張れ私!

 

――それから私は「ふむふむ、なるほど」なんてわざとらしい言葉を言いながら本を本棚にしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――それからマイルームにて俺とマスターの話し合いが行われた。

 

――気まずくもあったけれど、笑いながら話し合ったのは、ここではあえて語るまい。

 

――作戦もきっちり立てて、準備は完璧。だから、俺からマスターに言えるアドバイスは一つ。

 

「――言ってくれればいいさ」

 

「……へ?」

 

「マスターは、勝ちたいんだろう?」

 

「え?も、もちろん勝ちたいけど……それがどうしたの?」

 

「ああ、ならそういってくれればいい。ただ一言『勝て』と、命じてくれればいい」

 

俺は、サーヴァントなのだから。

まるで、赤い外装の弓兵のようなセリフだが……それが、サーヴァントというものなのだから。

 

「――うん。じゃあ、お願いするね」

 

お願い、ね。マスターらしい、言い方だ。

 

「勝って」

 

――――

 

「絶対に、負けないでね、セイバー。絶対勝って。どんなに傷を負ってでも、負けることだけは、しないでね」

 

「――了解したよ。マスター」

 

――ああ、これだ。

 

この雰囲気だ。マスターと俺の静かな信頼。俺はこれが、すきなんだ。『俺』でも『私』でもなく、俺がすきなもの。

 

――さて、勝つとしようか。

 

――マスター、君は傷を負ってでも勝てといったがな。

 

 

――別に、圧勝してしまっても構わんのだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

本日の成果

 

セイバー 紅茶かっけー!

はくのん せいばーかっけー!




ここでアンケートのお知らせです!
このゲームは原作で二つのルートに分かれるのですがこれからどうするかをアンケート形式でとって決めよう!ということに!決して面倒なわけじゃありません。
1 凜ルート
2 ラニルート
3 オリジナルルート
の三つです。活動報告にて受け付けますので投票したい方はどうぞ!

期間は三回戦開始までとさせていただきますのでご了承ください。

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