Fate/EXTRA ava   作:後ろに敵が

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……ついに来ました三回戦!
ちなみにアンケートの結果は3番オリジナルルートになりました!みなさん投票ありがとうございました!

二回戦の時投稿は12時になると言ったな、あれは嘘だ。結局八時投稿。


三回戦
一日目


 参戦人数 32人

 

 聖杯戦争三回戦

 ――開幕――

 

 

 

 

 

 ――二回戦が終わり、三回戦前にあるイベントも終わり、ついに三回戦が幕を開けた。正直、俺にとってここが一番の正念場になるのではないだろうか?自分で言うのも情けないけれど俺自身精神力においてはかなり劣っていると思っている。豆腐メンタルと呼んでもいいぐらいだ。そのままでも味噌汁でもあげても大丈夫なんて随分と便利なメンタルもあったもんである。……なんて冗談はともかく、ここが正念場であるのは事実なわけで……

 

「そんな風に、緊張する必要なんてない気もするが……」

 

 実際のところ、俺たちにとって正念場ではない戦いなんてないんだ。すべてがすべて格上の英雄でありマスターのこの戦争においては俺たちはいつ負けたっておかしくはない。――さらに、この三回戦はこの後の展開に大きく関係することになる。それはそうだろう、ここで決まるのだ。ゲームで言うところの凜ルートかラニルートかが。ゲームの時なんてのは適当に選んで決めた。俺は最初に凜ルートを進め二週目にラニルートを進めた。――こんなことが現実でできるはずもない。主人公は、どういう気持ちで片方を切り捨て片方をすくったのか。一人をすくうために一人を殺す。等価交換でありながら、いや等価交換だからこそ、この世界で最も難しい質問だ。そしてそれは、これから俺たちが決めることだ。――俺に、今の俺に言わせるのなら、そもそも介入するなと言いたいところだ。二人が戦いどちらが勝つような展開に――あれは、どういう状況だったか。そこはどうであれ、凜が死ぬにしろラニが死ぬにしろはたまた両方死ぬとしても俺は介入するべきではないと思う。――現在の俺は、そう考えるようになった。

 

「えっと……私の対戦相手は――」

 

 掲示板の方に歩いていくマスターを見て、もう一度思い直す。――ああ、そうだ。俺のやることは凜を守ることでもラニを救う事でもない。マスターを守り救うことだ。――ならば、こんなこと考えるまでもない。それに二人のどちらかを助けるにしろそれは俺が決めることではなくマスターが決めることだ。俺が決めたところでそれは何にもならない。それは、命の天秤はマスターが掛けるべきことだ。それが、その結果マスターがどんな思いになろうとも――

 

「あった……今回の、相手は――」

 

 閑話休題。とりあえず考えるべきは目の前の敵だ。マスターが見つめる掲示板に書かれていたのはマスターの名前、そして――

 

 マスター:ありす

 決戦場:三の月想海

 

「……こんどの遊びあいてはお姉ちゃん?」

 

 ――いつの間にやらマスターの後ろに立っていたのは(気づいては、いたが)十歳に満たないぐらいの少女。それが今回の対戦相手、ありすだ。

 二回戦から比べれば随分と若い対戦相手、いや幼いというべきか。――今までの二人とはまったく似ていないマスター。個性豊かなことで何よりだ。

 

「ふふ、あたしねお姉ちゃんのこと知ってるよ?なんとなくだけどお友達になれそうだな、って思ってたの。……だからお姉ちゃんがいっちゃったときはさびしかった。だけどね……ここに来る途中であたし(ありす)あたし(アリス)に出会ったの」

 

 ――二回戦の時の威圧感とは違う、こちらを飲み込もうとする雰囲気。凄みはないし、むしろ真逆の、はかなげな少女のはずなのに――その言葉には、この場を飲み込む何かがあった。

 

あたし(アリス)あたし(ありす)のお友達、あたし(ありす)あたし(アリス)のお友達。だからね、お姉ちゃんはもういいの。だって、あたし(アリス)あたし(ありす)もそれでまんぞく、二人いればそれでいいの」

 

 マスターが、後ろに一歩足を下げる。――恐怖だ。根本的に存在する人間の感情。怖いところなど何もない。いや、何もないからこその恐怖だ。怖いところなんて何もない、怖くないところも何もない、何もないのではなくそれを知らないというべきなのだろう。つまりその感じた恐怖は意味が分からないことを聞かされた時の、未知なるものへの恐怖。――慎二の感情は理解できた。ダンの思いは受け入れられた。両方とも知っているものだからだ。傲慢と後悔。だれもが持つ故の理解。――それが、この少女相手にはできない。

 

「でも、次の遊びあいてはお姉ちゃんだから、しょうがないから遊んであげる。すぐには消えないでね?すぐ消えるとあたし(ありす)はかなしいしあたし(アリス)はつまんないから」

 

 そういって、少女は、ありすは立ち去る。

 

「マスター、注意しろ。あれも一応二回戦を勝ち上がっているのだからな」

 

「う、うん……そうだね、残ってるってことはもしかしたらダン以上の強敵かもしれないし……」

 

 ――マスターの悩みは理解できる。しかし、それは勘違いだと知るべきだ。

 マスターは、思ったはずだ。自分よりも弱い、か弱い相手に本気で戦えるのかと。だから、それは考え直すべきなのだ。――彼女もまた、今まで同様、俺たちの数段上の相手なのだと。

 

 ――勝つためには、そう考えなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――私は、悩んでいた。

 これまでとは違う戦い。対戦相手がこれまでとは全く違うタイプの人間だ。殺す殺されるの話以前の、戦う戦わないの問題だ。セイバーは、それは致命傷となる悩みだと言いそうだけれど……なんて、悩んだところで何にもならないことはこれまでのことでわかっている。一回戦も二回戦も私たちは勝ってきたのだ。少しぐらいは自信を持ってもいいだろう。――だけど、悩み相談ぐらいしておくべきかもしれない。という事で……

 

「……ふうん、少しはマシになってきたんじゃない?」

 

 ――私たちは、遠坂凜のいる屋上に来ていた。

 

「そう……かな?」

 

「ええそこそこにはね。でも、なら私たちは完全に敵同士。まぐれだろうと勝ってきたのは事実なんだから」

 

 ……なんて話しかけてくる凜を時々不思議に思う。今だって口調は随分楽しげだし、敵同士であろうとも憎しみはないのだろうか……それとも敵同士だからこそなのか。普通の女の子ではないことは確かな気がする。

 

「ところで、さっきのがあなたの対戦相手でしょう?随分と厄介なのばかり引くのね……」

 

「う……凜と当たるよりはマシだよ……」

 

「随分と嫌われたものね、まあ当たったら私としてはラッキーね。あなたじゃ私にはかなわないし」

 

 こちらを勝ち誇るように見てくる凜。……確かにその通り、私じゃ凜にはかなわないけど別に嫌ってるわけじゃないよ?むしろ私は凜の事好きなんだけど……

 

「うぐっ、あんたはね……一応、挑発なんだけどね?あなた私より弱いって言われて悔しくないの?」

 

 そんなことを言ってから、自分の後ろを睨む凜。……凜のサーヴァントが余計なことでも言ったのだろうか?

 

「別に悔しくないよ?」

 

「……それはどうなのよ?その執念もまた勝利につながるものだと思うけどね?ま、負けるつもりならこっちはさらに楽に……」

 

「――負ける気はないよ?」

 

「……そらそうでしょうけどね」

 

「だって、私は確かに凜より弱いけどさ――」

 

 ――私のサーヴァントが凜のサーヴァントより弱いなんてことはないからね。

 

 私はそういって、にこりと笑う。

 

「……っ!あなたも言うようになったわね……!戦うときは覚悟しなさい!格上のマスターと戦うことがどういうことか教えてあげるわ!」

 

 凜は急に肩を震わせたかと思ったらそんなセリフを言いながら階段の方へ歩いて行った。

 ……私、なにかわるいこと言った?

 

「……セイバー」

 

「……こちらに振られても困る。というか今の素か……挑発したのかと思ったが」

 

「挑発?そんなのしてないと思うんだけど……」

 

 うーん、と悩む私。セイバーは隣であきれたような顔をしている。――うん、いつも通りの私たちだ。これでいい、これならできる。だけど、さっきの凜に、最後の凜の言葉に一言返してあげたかったから――

 

「凜!」

 

 扉があかないのか、ガチャガチャとドアノブを回そうとする凜に話しかける。ビクリ、と肩を震わせこちらを見る凜に――

 

「――こっちも、格下のマスターに負けるってのがどういうことか教えてあげる!」

 

 ――再び笑って言い切る。

 

 ――これに対する凜の反応は伏せておくけれど……いう事があるとするならば、屋上の入り口ドアが何者かの蹴りで壊されたことぐらいだろう。

 

 ……凜は、怒らせないようにしようと思いました。まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――お姉ちゃん遊ぼ!おにごっこしたいな!」

 

 ――マスターの天然に頭を抱える俺と気楽に、なんか朝よりきらきらしたマスター(……なんか遠坂でストレス解消したみたいだな)と階段を下りたところで対戦相手のありすに話しかけられた。倒すべき相手から向けられた無邪気な笑顔にマスターは少し戸惑っているようだが……たぶん、策略かなにかかと疑っているのだろう。その気持ちは戦闘、戦争においては大切なことだがこの少女相手には無駄なことだろう。そもそも、悪意も敵意もないのだから。

 

「いいでしょ?」

 

 そういう風に問いかけてくるありすに対し、マスターは反射なのかすぐに首を縦に振る。

 

「やったー!お姉ちゃんなら遊んでくれると思ってたんだ!だって()()()()()()()()()()!」

 

 ――アリーナで待ってるね!

 そういって駆け出すありすを見送り――

 

「……これ、強制イベントらしいな」

 

「……そうみたいだね」

 

 ――俺たちはうなだれながらアリーナに向かった。

 

 ――そういえば、勝手に始まったけどこちらが鬼という事なのだろう。なんにせよ、鬼ごっこという遊びにしろ情報を得るチャンスであることは確かだ。

 

「うん、そうだね……」

 

「ああ、アリーナは広い。そう簡単に遠くにはいけないだろう。おそらく近くにいるはずだ」

 

「うん、意外と乗り気だねセイバー」

 

 ……確かに乗り気なことは確かなのだが、マスターに言われるとな。ほら見ろ丁寧に発見用の遠見の水晶玉と強化スパイクをもってきてらっしゃる。やる気満々じゃないですかー。……俺が担ぐとでも思っているのか妙に距離が離されているが気にしないことにする。うん、気にしない。

 少し遠い場所にありすを発見したとたんに――

 

「move_speed、view_map!」

 

 ――マスターがコードキャストを発動させた。その効果で一気に加速、ありすを捕まえるために走り出す。……予想以上に早くてびっくりだ。走っているマスターに近づこうとする雑魚を弓で撃ち落としながら走る。後ろをキープした方がやりやすいからなのだが、なんだかここから見ていると何か見てはいけないものが見えそうな気がする。――うん、言わないでおくべきか。いや、注意ぐらいはしておこう。あとで。

 

「――いた!」

 

 白いフリルの姿をみて確信したマスターが走り一気にありすとの距離を詰める。そして捕まえるためにその場からありすに向かって――飛びついた。

 

「マスター!?」

 

 しかしそれで捕まえることができずそのままマスターは地面に落ちる。思わず叫んでしまった。

 

「大丈夫かマスター」

 

 にしても随分と本気でいったな。てっきりタッチとかかと思ったんだけど……どんだけやる気あるんだよ。俺はマスターに手を差し伸べ――

 

「よし!」

 

 ――その手を取らずマスターは立ち上がった。

 

「いくよセイバー!この勝負、負けられない!」

 

「えー、なにこの展開予想外なんだけどー」

 

 ――結局、そのあともマスターはありすに向かって走っては飛びつきかわされ逃げられ続けた。どちらのマスターも随分頑張るなと感心したのが俺だけ、そんなに飛びついてよくスカートめくりあがらないなと思ったのも俺だけ。

 

「ふっふっふ、追い詰めたね……ここまでだよ……!」

 

 息を荒くしありすを見つめにやりと笑うマスター。……完全にバカです、本当にありがとうございました!マスターは今俺が送るこの冷たい目線に気づいていないのだろうか?うん、気づかない方が身のためか。

 

「うん!あたしすっごい楽しかった!ありがとうねお姉ちゃん!」

 

「そう、だね。それはよかった!」

 

 ……子供かアンタは。

 

「……お姉ちゃん、あたしのお話聞いてくれる?」

 

 子供のようなマスターをみて何を思ったのか、ありすはそういった。少し、気分を暗くして、とてもさっきまで楽しいといっていた子供が出す雰囲気じゃない。――ああ、そうか。これは。

 

 

 

 

――なんだろう?私がアリーナアリスを追い詰めたところで、アリスの表情が変わった。

 

あたし(ありす)ね、実は昔違う国にいたの。そこにね、戦車とか飛行機とか鉄のかぶとと鉄のてっぽう黒いしかくの国がやってきたんだ」

 

 そう、話しているありすを見ていると、そのありすからすっと何かが表れた。あれは――ありす?なんでありすが二人も――?

 ありすの言葉を引き継いで、現れたもう一人のありすが話し出す。

 

「空はまっか、おうちはまっくろになってて、気づいたら真っ白なへやにいたの。まいにちまいにち変わらない部屋。おともだちもママもパパもいない」

 

 ――それはおそらく、私の持たないこの月に来る前の記憶。

 

「あたしはころんでもけがしても、おぎょうぎ良く我慢できるの」

 

「いたいっていうとパパが怒るもの。でもね、がまんできないぐらいいたいコトがあって」

 

「気が付いたらここにいたの」

 

「でもいいんだよ。だってここはすごく楽しいもの。いろんな人があたしにやさしくしてくれる」

 

ありす(あたし)の言う通り、ここなら力いっぱい遊べるわ」

 

「でも遊んだら壊れちゃうかもしれないね。くびとかおててがとれちゃうかも。そしたらたいへんだわ、ママに怒られちゃう」

 

「壊れちゃったらなおせばいいよ、ママからもらった針と糸で」

 

「そうだね、壊れたらなおせばいいね、ママみたいに上手じゃないけど縫えばきっとくっつくわ」

 

「くっつければだいじょうぶだもんね」

 

「そうだよね!ママに怒られることもないもんね!」

 

「じゃあ、ちからいっぱい遊びましょ?このお姉ちゃんはやっと会えた仲間だもん」

 

 ――狂気。

 二人交互に話すその喋り方から感じられるものは、その一言ですべてが説明できる。――おかしい。今までの相手とは、今まであった人間とは一線の介した何かが二人のありすにはあった。

 

「さあ――あの子をよぶとしましょうか」

 

「うん!それがいいよ!」

 

 そういって、ありすはその小さな手を上に振り上げた。その瞬間――

 

 ――アリーナが、揺れた。

 

 床が壁が空が鳴動し震える。圧倒的な力、規格外の力の唐突な出現にアリーナそのものが震えていた。震えているのは、アリーナだけではなく、そこに存在する私もだが――

 

 ――警告。

 

 ぞくり、と寒気が走ると同時に全身の感覚が警告を鳴らす。

 それの対象は、ありすの合図とともに現れた化け物。真っ赤な体、人型を保ってはいるものの、その顔や肉体から人類的なものを感じることはできない。そして何より目立つのはその背中に生えた赤い羽根。飛べるかどうかは怪しいところだが、それの存在がさらにそれの異物感を増幅させる。

 

 ――ダメだ、あれは……あれは触れてはいけない類の物だ……!

 

「すごいでしょ?この子、あたし(ありす)のおともだちなんだよ?」

 

「ねえお姉ちゃん。この子とも遊んであげて?」

 

 ダメだ、ダメだダメだダメだダメだダメだ――!

 私がここで選択すべきことは一つだけ――逃げだ。

 

 あれを相手にするなど、冗談にしても最悪だ。あれを、あんなものを相手にして無事で済むはずがない――

 

「マスター、俺が担いで一気に走る。文句は言うなよ」

 

「わかってる……!いいよ、やって!」

 

 セイバーが私の体を抱え、一気に走ってありすから、あの化け物から離れる。そんな中最後に聞こえたのは――

 

「あれー、行っちゃうの?つまんないなぁ……この子はここにいるから、また遊んであげてねー!」

 

 そんな無邪気なありすの声だった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本日の成果

 

 セイバー ……あいつ怖いな。確か暗号鍵(トリガー)は……

 はくのん ……あれ、クラスは何かな?




……ありすの喋り方結構めんどくさいです。

誤字脱字報告感想よろしくお願いします!

視点がごちゃごちゃしていたところを直しました。
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