Fate/EXTRA ava   作:後ろに敵が

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二日目

――これからどうするのか。

 

原作知識を持つ俺からすれば、もっとも脅威なのは昨日会ったアレではなく、敵のサーヴァント。――マスターはまだ、あれがサーヴァントだと思っているのだろう。……それは、いずれわかること故に何も言わないし、言ったところでなぜ知っているのかという話になる。それを、その追求から逃れる方法はあいにくと思いつかない。マスターをだましているようではあるが……

 

「――あれは、サイバーゴーストですね」

 

――いつの間にか、マスターとレオが話をしていた。……気配は感じていたが敵意がなかったからまったく気づかなかった。しかし、サイバーゴースト?

 

「さい……さっきの幻みたいなやつの事?」

 

ああ、さっきのか。

俺とマスターが廊下を歩いていると前から一人の、白衣を着た男が歩いてきたのだが……それの存在感が薄かった、目を凝らしてみないと見えないほどに。で、それの正体がそれってことか。

なんでも、この月に保存されているデータから生み出されたものらしく、別にできてもおかしくはないものらしい。『人類が誕生した奇跡に比べれば小さなこと』だと。……そんな規模の事と比べられてもな。ま、どちらも人間が生まれたという事だが、何もなかったところから生まれた人間よりも、設計図が用意されてできたサイバーゴーストの方がお手軽、いや手軽ではないのだろうが少なくとも簡単ではあるのだろう。……よくわからんけど。

 

「まあ、こちらに害はないですから無視しても構いまわないでしょう」

 

――最後にそういってレオは立ち去って行った。

 

「サイバーゴーストかあ……」

 

「……マスター、サイバーゴーストもいいがそれよりも先に」

 

「うん、敵の事、だよね」

 

――わかっているならそれでいいのだが。とりあえず情報を集めに歩き回るとしようか。

 

「そうだね……図書室とかにも行ってみよ――」

 

「――お姉ちゃん見っけ!」

 

――と、廊下で図書室に向けて足を踏み出したところで声がかけられた。……情報集めなのだからその対象が目の前に出てきたことは喜ぶべきことなのだろうけれど。

 

「今日も遊ぼ!今日は……かくれんぼがいいな!」

 

やはりそれは、遊びへのお誘い。最も、それは強制参加のようだけれど。かくれんぼ、子供らしい遊びではあるが……。

 

「じゃあ今から始めるよ!」

 

「ちょ、待って!」

 

マスターがそう声をかけるもすぐにありすの姿は消えていった。……ゲームの時から思っていたがこの瞬間移動は誰にでもできることなのだろうか?マスターができないのはなぜかは知らないけれど、すごくうらやましい。……瞬間移動は魔法の域に達しているはずなんだがやはり電脳というか霊子の世界は違うのだろうか?

 

「よし、すぐ見つけるよ!」

 

――もっとも、目の前でやる気を出しているマスターはそんなことはみじんも思っていないようだけれど。というかマスター、おにごっこといい随分とやる気を出すな。意外とこういうのが好きだったりするのだろうか?単純に記憶がない故にこういう遊びをした覚えがないからかもしれないけれど。ともかく、マスターは先ほどとは打って変わりやる気をだしありす探しを始めた。うん、ゲームでも思ってたけどさ。

 

――これでいいのか聖杯戦争。

 

たぶん、良くないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――案外、ありすはすぐに見つかった。

 

……おかしいな、昨日を考えればもっと面倒なところに隠れてると思ったんだけど。まさか普通に廊下に立っているとは思わなかった。……それもう隠れてないじゃん。たとえ隠れていたとしても大きくフリルの広がったドレスを着ているありすを見つけられないとは思えないけど……

 

「見つかっちゃった。ありすの負けだね」

 

負け、なんていう割には随分と口調は明るい。……遊びなんだから当然だろうというセイバーのつぶやきは無視で行く。なんにせよ、勝ったことには変わらない。

 

「だからね!お姉ちゃんのお願い事聞いてあげる!」

 

――願い事か。

まあ、あれだろう。負けた方がなんでもいう事ひとつ聞く、みたいな。少し後ろを、セイバーの方を見ていみるがセイバーは首を横にふるだけだった。――自分で考えろという事か。前から思ってたけどセイバーって時々私に任せるところがある。ただ単に面倒なだけなのか、私の成長を促しているのか。たぶん後者。もし前者だったら泣きたくなってくる。

 

さて、それは置いておくとして問題は内容。なんでもとは言っていないからどうなるかはわからないけれど駄目でもともと聞いてみる価値はある。

 

「――あのお友達をどかしてくれる?」

 

――セイバーが言っていたけれど、あの怪物のいた場所の先に暗号鍵(トリガー)があったらしい。セイバーが言っていることだからたぶん本当なんだと思う。しかし、となればあの怪物がいる限り私たちは暗号鍵(トリガー)をとることができなくなってしまう。故にこの頼みなんだけど……

 

「うーん、あそうだ!なら今度は宝探ししよう!」

 

「た、宝探し?」

 

何でいきなり宝探しなんて――

 

「ヴォ―パルの剣があればあの子もどいてくれるわ」

 

ヴォ―パルの剣……聞いたことないな。

 

「――それはアリーナにもない架空の剣、さあどうやって探し当てる?じゃあ、頑張ってねお姉ちゃん!」

 

「ち、ちょっと待ってってば!」

 

――私のそんな言葉もむなしくありすはアリーナに消えていった。

 

「――マスター、わかると思うがあの怪物を倒すことはできない」

 

「う、うん」

 

「ならば、そのヴォ―パルの剣とやらを探すしかないだろう」

 

「で、でも架空の剣って言ってたし……どうしよう?」

 

「そうだな、とりあえず――」

 

――誰かに聞いてみるのがいいんじゃないか?

 

 

 

 

 

 

 

――という事で一番最初に聞きに来たのは。

 

「――聞いたわよ?あの子と遊びまわってるんですってね」

 

――遠坂である。うん、話聞きに行こうといわれて真っ先にここに来るあたりマスターの凜への信頼度がうかがえる。さすがメインヒロイン……!マスターの信頼をこうもやすやすと!

 

「えへへ、楽しくってつい……」

 

楽しかったんかい。もしかして今回一番楽しんでいるのは俺でもありすでもなくマスターなのではないだろうか?そういえば遊びとか言いながらかなり本気でしたねあなた。

 

「……はあ、あなた見るとここが戦場だって忘れそうだわ……」

 

うん、それには同意する。というかマスター、今の別に褒めてないぞ?照れるところじゃない。――それにマスター、君はそんなことを話に来たわけじゃないだろう?

 

「あ、そうだったね。凜に聞きたいんだけどさ。ヴォ―パルの剣って知ってる?」

 

「ヴォ―パルの剣?確か理性のない怪物相手に有効な概念武装(ロジックカンサー)だったと思うけど……それがどうしたの?」

 

――ありすと宝探ししてるからそれが必要なんです。なんて、いえるはずもなく、マスターはその質問に対して沈黙するしかなかった。……俺がフォローに回ってみるか、サーヴァントの姿を見たところでクラスがわかるはずもないしな。

 

「で、それは役に立つのか?」

 

霊体化を解いて遠坂に尋ねる。普通に霊体化を解いたことに驚いたのがぎょっとしたような顔をする。……うん、俺にしても何してんだかって感じだけど。ここらで凜と顔合わせも悪くはないだろう。

 

「……あなたがサーヴァント?随分と普通に出てくるのね」

 

「なんだ?何か問題があるか?どうせ姿を見た程度で真名がわかるはずもない。武器ももっていないしな」

 

「ふーん、ごもっともね。……結構普通ね、こんなんでよく勝ち進んできたと思うわ」

 

声を小さくして聞こえていないと思っているのかもしれないが残念サーヴァントの聴覚をなめてもらっては困る。ぶっちゃけ結構聞こえてる。

 

「……ヴォ―パルの剣が役に立つかっていえばそんなことはないわよ。汎用性のないものが役に立つわけないでしょ」

 

――ごもっともっちゃごもっともか。

 

「そう、なんだ。ならなんで――」

 

「なんにせよ、ほしいなら……しいて言うなら錬金術(アルケミー)とか?そこらへんじゃないかしらね」

 

「よし、マスター。とりあえず行くぞ」

 

「行く?行くってどこに――あ、ありがとね凜!」

 

――さて、適当に手を振る凜を一瞥してから校舎の三階へと向かう。

 

「あれ、こっちって?」

 

――さて、行こうか。

 

 

 

 

 

 

「――はい。正確には私の師が錬金術師だというだけですが」

 

――本当に錬金術師がいた……!っていうかラニが錬金術師なんだ。

 

「あ、ならさ。ヴォ―パルの剣ってわかる?」

 

「ヴォ―パルの剣……聞いたことがありますね。概念武装でしたか」

 

「そうそう!それそれ」

 

「はい、素材。マラカイトなどがあれば錬成することも可能でしょう。ですが――」

 

――言われなくともその先はわかる。単純に私とラニは味方じゃないという事だ。いずれ対戦相手になるであろう相手を助ける理由はない。

 

「いえ、いいでしょう。あなたがマラカイトを持ってくれば作って差し上げましょう」

 

「いいの!?」

 

「はい、それに助ける理由はありますから。それは今更なことでしょう」

 

確かにそうだけど……

 

「とりあえずマスター。マカライトだったっけ?」

 

「マラカイトね。うん、とりあえず探しに行きましょうか!」

 

――ここから私たちのわらしべ長者の始まりだ。

 

「マカライト?あなたのサーヴァントはなにを言ってるの?マラカイトなら持ってるけど」

 

「そう!それほしいんだけどダメかな?」

 

「……そうねえ。無料でないならいいけど?ルビーとかなら交換してもいいわよ?」

 

――という事で私たちは購買へ。なんでも凜がハッキングで売られるようにしたとか。

 

「ルビーですか?五百万です!」

 

「高い!さすがに払えないですよ……」

 

「……なら、こういうのはどうです?交換条件です」

 

「こ、交換条件?」

 

「ええ、保健室の間桐さんのお弁当を持ってきてくれればいい、ですよ?」

 

「いいの!?桜の手作り弁当すごい……」

 

――ということで桜に無理を言って作ってもらい。

 

「おお!はいルビーです」

 

「ありがとうございます!」

 

――ルビーをもらい。

 

「まさか本当に持ってくるとはね……」

 

そういいながら凜はマラカイトを出した。

 

「ありがとうございました!」

 

「はいはい、こっちもありがと」

 

――そしてそのマラカイトを。

 

「はい、これだよね?」

 

ラニはこくりとうなずくと。

 

「触媒さえあれば作るのは簡単です。少々待っていてください」

 

――そういうとラニは両目を閉じると手に持った触媒であるマラカイトが光りはぜて消えた。そして――

 

「――これですね」

 

その手には一本の剣が握られていた――

 

 

 

 

 

 

 

 

――渦巻く魔力。

 

ラニに剣を作ってもらった後俺たちはアリーナに来ていた。そしてそこで感じたものは、再びの恐怖。英雄となった俺がまだあまり感じることのなかったものを、あれから感じる。いや、英雄となったからこそ魔力というものに敏感になっているのかもしれないけれど……あれの正体を『俺』が知っているはずなのにそれでも感じる圧倒的な威圧感。それはアリーナに入った段階で押しかかってくる重圧だが、そんなものはかけらに過ぎないとばかりにあれに近づけば近づくほどその重圧は大きく強くなる。

 

――と、あれにかなり近づいた瞬間。

 

「う……わっ!」

 

マスターの持つ剣が、ヴォ―パルの剣が光を発して、それと同時に鋭い魔力が発散する。それは、相手に。あれに向かっていきそして突き刺さる。

 

「■■■■■■■■■■ッ!」

 

あれはとたんに苦しみだし、それと同時に空間を支配していた威圧感は消えていった。

 

「す、ごい……!」

 

確かにそうだ。ただ、持っていただけで相手を弱らせる剣。そして今ならば――

 

「勝てる。行くぞマスター」

 

「う、うん!」

 

マスターのその声を合図に俺は前に飛び出した――

 

――敵には理性がなく、力も弱体化している。これに勝てないはずもない。

 

第三革命の長弓(ベイルディング)!」

 

――俺とこれの戦いは、終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日の成果

 

セイバー ……トリガーゲット、だな。

はくのん ……あれなんだったんだろう?




マラカイトでマカライト鉱石を思い出したのは私だけでしょうか?
なんて話は置いといて今回は結構カットしました。わらしべのあたりを。

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