Fate/EXTRA ava   作:後ろに敵が

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――覚悟とは。


三回戦後+a

岸波白野は主人公である。

 

Fate/EXTRAにおける主役であり、中心人物。本編で言うところの衛宮士郎にあたる立ち位置にいる彼または彼女(ここでは彼女)は衛宮士郎と同じく、人に優しい人間だ。他者を気遣い、他者を信じ、他者を助けることが出来る人間だ。そして、圧倒的不利を覆すことが出来る人間だ。

 

――しかしここで、同じく聖杯戦争に参加している主役ではあるものの、そこには当然のごとく違いが有りそれは大きく深い谷のように二人の性質を分ける。それは、状況的違いもあったのかもしれないが。

 

月の聖杯戦争において、相手を殺さないということは不可能だ。どんなに気遣って戦ったところで、勝てば相手は死ぬ。冬木ではありえない絶対死の理論。――主人公が当然のようにぶち当たる、壁だ。

 

「――私は、正しかったのかな?」

 

――マスターは、つぶやく。私は、間違っていたのかと。

一回戦二回戦ではなかったこれは、三回戦での戦いがどれほど悲しく辛く重くマスターの心にのしかかり、精神を潰そうとしているのかを物語っている。――人殺しを一番後悔するのが、既に死んでいる幽霊相手であることは、皮肉でしかない。

 

「私は、ありすを殺して。勝ち残った。――だけど、私に残ったものって――」

 

――何かあるの?

 

そう、マスターは一人つぶやく。

疑問形、ではあるもののそれは人に向けた問いではなかったようだ。自分に向けた、問い。それはどういう意味を持ち、どういう意図で発せられたかはわからないけれど――

 

「――そりゃ、一つしかないだろ」

 

――俺には、それに答える意思と理由がある。

 

「――一つ、ね。うん、わかってるよ。セイバーが言いたいのってさ、『命』が残ってるってことでしょ?」

 

――俺は、それに一つ頷く。

マスターだって、やはり分かっていないわけじゃない。マスターは持っていたはずだ。生き残ってやるという覚悟と気概を。生き残り存在しこの世界に這いつくばってでも居続けるという意思を。すがりつきしがみつき無様に生き続ける『これから』を、マスターは選んだんだ。だから、マスターだってわかってる。だけど――

 

「――だけど、受け入れられないよ……後悔……ばっかり、で……」

 

――ああ、わからない。

 

俺には、マスターにかけるべき言葉がわからない。

こんな状態のマスターに、俺がかけて、覚悟を見出させる言葉なんてのは、俺には思いつかない。だけど――

 

「――その結果はうけとめろ」

 

「――え?」

 

「迷いも悔いも消す必要などない。だが、結果を拒むことだけはしてはいけない。それが覚悟ってものだ――」

 

――マスターが、思い出し心の中心に据え置くべき言葉を教えることは出来る。

 

「それって、その言葉って……」

 

「ああ、そうだ。マスターが倒した、あの老兵のものだ」

 

――ダン・ブラックモア

 

二回戦で、マスターが倒した敵。

その彼が、負けた側の人間が、残した言葉。

 

「――受け入れろよ、マスター。どんなに悲しくてもどんな悲劇であろうとも、目をそらすことだけは、しちゃいけない」

 

「そ、れは……」

 

「死からは、背けちゃいけない。それはとても、怖いものだ。だけどさ……」

 

――ありすは、それを悔やんでいたか?

 

俺は一度、いや二度死んでいる『俺』が死んで『私』も死んで。この体はこの精神は俺を構成するすべては二度の『死』という概念の上に、『死』を土台として存在している。だから、言える。死の恐怖と、それを直面したにも関わらず誇りたかくあったダンとそれを静かに受け入れたありすの高潔さを。

 

「――あがけ、マスター。屍は、超えなくちゃいけない。この戦争において言うならば、屍は超えるために存在する」

 

――ああ、あがけ。あの最後まで生にしがみつこうとした間桐慎二のように。最後まで、生にとりつかれたまま――

 

「――生き、続ける」

 

――俺は知っている。全てを知っている。

 

これからのことも、マスターのことも、マスターが戦う敵のことも。だけど――

 

――俺は、マスターを励ます言葉が思い浮かばなかった。だから、自分が弱かったから。

 

――決意を秘めた目をしたマスターが、とても眩しく見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――

おまけ

 

三回戦で出た新しいセイバーの宝具

 

第七革命の無手(ヴァランクウォース)

 

通常一つずつしか使えないセイバーの宝具の中で、唯一他の宝具と併用することが出来る宝具。

真名開放することで併用している宝具の効果をあげることができる。

 

第三革命の長弓(ベイルディング)

 

2mほどある長弓。持っているだけで鷹目の能力を得ることができる。真名開放をすることで強力な一撃を放つことができる。能力上昇はない。

 




……実はもう一つぐらい話を入れるつもりだったのですがこの話の後入れるのはどうなのかと思い断念。
……みなさんもご存知のとおり次からオリジナルとなります。なのに『すべて知ってる』とか言っちゃうセイバーさん。

あと、Twitter再開。始めたばっかだしリアルに友達いないしで放置しているためフォローしている人多分ゼロですが……Follower/Zeroってやつです。詳しいことは活動報告の方で!

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