一日目
参戦人数 16人
聖杯戦争四回戦
――開幕――
――三回戦が、終わった。
結局、どんなことを思うとどんなことを感じても私たちがありすに勝利したことは揺らがないし変わらない。――ゆえに、それは受け入れ前に進まなくてはならない。そういう、ものだ。
はてさて、何はともあれ三回戦が終了しすなわち四回戦が始まるわけだが、どうにもセイバーの様子がおかしい気がする。今までとはどこか、雰囲気が違う。いつも、負けるかも知れないという緊張感はあったわけだし、今もまだ見ぬ敵を考えているというのなら、少しピリピリしているのもわかる。――でも、今までセイバーはそんなことはなかった。
余裕、とでもいったところか。セイバーは戦う前から意外と余裕のある雰囲気をしていた。敵の正体以前に、誰が敵かわからない状況だとしてもセイバーには余裕があった。――実際、セイバーから本当に余裕が消えたのは二回戦の時ぐらいのものだろう。といっても、それだって決戦の時にはいつもの余裕を取り戻していたけど……
なんにせよ、いつもならある余裕がないというのはどういうことなのだろう?この四回戦に何かあるのだろうか?
セイバー、と確認のため呼びかけようとしたところで携帯端末から単調な機械音が鳴った。……まあいいか、とりあえずはそれの確認だ。聖杯戦争関連の連絡があったわけだし。
『対戦相手が決定しました』
――ああ、なるほど。この連絡か。
「セイバー、対戦相手が決まったみたい」
「ああ……了解した」
……?なんだかそれを聞いてセイバーの雰囲気がさらに暗くなったんだけど?うーん、考えたところで分かりそうにはないけれど、考えないわけにもいかないし。いっそ本人に確認するのが一番早いかな……?と、確認するのは後でいっか。とりあえずは今回の、四回戦の対戦相手の確認からだ。といっても、知ってる人がなるわけじゃないからそこまで緊張はないけれど……あれ?セイバーのこれって緊張なのかな?あ、もしかして人数が減ってきたしそろそろレオとかに当たるんじゃないかという緊張かな?そう考えれば先程までのもここから先は実力者しかいないという事実故の余裕のなさなのかも知れない。
「いつもどおり掲示板、だよね」
――私はマイルームを出て、掲示板へ向かう。こうして掲示板と向かい合うのも四度目だ。――今回の敵は、一体どんな敵なのだろうか?
間桐慎二のような存在か、ダン・ブラックモアのような兵士か、ありすのようなイレギュラーなのか――
「えっと、今回の対戦相手は」
私は正面から掲示板と向かい合い、そこに書かれている名前を読む。一つは私の名前、いつもどおりの岸波白野の文字。そして、問題はそこの隣に書かれた名前で――
「――ああ、そう来るか」
――それを見てセイバーが一つ、呟いた。
マスター:ラニ=Ⅷ
決戦場:四の月想海
――そう、来るか。
俺とマスターが見つめる掲示板に書かれていたのはマスターの名前と、その名前。
原作とのズレ。結局それが生んだ結果は、こういうものだったらしい。
最も、原作には登場していないキャラが登場することも予想していた俺からすれば、少し安堵の気持ちもあるわけだが――
――そもそも、こんなことを思うのがなぜか説明しておくべきだろう。
本来なら、この世界が原作通りに動く世界であったのなら、三回戦の終了後また一つイベントがあったはずなのだ。それこそが三回戦の最初に俺が言っていた遠坂とラニ、どちらを救うかというイベント。
そのイベントは、遠坂とラニが三回戦で戦い、最終手段としてラニが決戦場ごと遠坂を吹き飛ばそうとしている場面を、マスターは見ることになる。そしてマスターはその場で、どちらを助けるかを決め令呪を使い助けに行く、そういう話。
そのイベントが、まるまるなくなっていた。
遠坂とラニが戦い、ラニがかったのか。そもそも戦わなかったのかは分からないが……なんにせよ原作とズレができていたのは確かだ。ゆえに、この四回戦において誰が対戦相手になるかわからなかったのだが……
「――あなたが対戦相手、ですか」
――ふと、考え事をしていた俺に声が掛かる。正確には、マスターに向けたものだろうが。
振り向いてみれば、そこには四回戦におけるマスターの対戦相手であるラニが立っていた。――みんなマスターの後ろに立つの好きだな、と思うが口には出さない。
「――ラニ」
搾り出すように発したマスターのその声は、迷いの含まれた声だった。
「はい、今回あなたの対戦相手となりました。ですから、今までのような支援はできませんがどうぞ改めて」
――恐怖か。
マスターは、ラニを見て少し足を引いた。
最も、三回戦で見せたありすに対するそれと比べれば、大したことはないようだが……
「それでは」
そう一言残してラニは去っていった。
……一回戦とも二回戦とも、ましてや三回戦とも違う。いや、ある意味では同じなのかもしれないけれど……誰が相手にせよ、俺とマスターよりは格上のわけだし。
だとしても、同じ格上だとしても相手が原作キャラでよかった。原作キャラであるのなら、当然情報だってある。それに、いずれ戦わなくてはならないと思っていた敵だ。対策が十分とは言えないし、今から勝てる見込みなんてのはないけれど……
――今までと同じだ。今までと同じように戦い、そして。
――今までと同じように、勝つだけだ。
――と、私たちの対戦相手はラニとなった。
先日まで、手助けをしてもらっていた存在だけど、これを想定していないわけじゃない。いずれは戦うことになると思っていた。――ラニが実力者だということは知っていたし、私が勝ち残れば必然起こりうることだと思っていた。予想ができているのなら驚きはない。だけど――
――どうも、しっくりこない。
しっくりくるとか来ないとかじゃないとは思うのだけれど……なんだろう、何か違和感を感じる。今までの戦いとは違うものを感じる。それは、ラニという存在の特別さを示しているものなのかもしれないけれど。なんにしても、ここで負けるわけにも――
「――あまり呆けるなよ、マスター」
――と、そんな私が今いるのはアリーナの中だ。
流石に、そこまでの考え事をここでしているのはまずいか。多分、集中しすぎてぼーっとしていたのだろう、セイバーからも注意が入った。ごもっともだけど、セイバーも時々何か考えながら戦ってる時があると思うんだけど……これは言わないほうがいいのかな?まあ、考え事しながらでもセイバーが負けたり傷ついたりしているところを見たことがないんだけど……
「今回も、結局不利な戦いに変わりはないわけだし」
「そう……だね」
「ああ。不利な戦いなことは変わらなくとも、それの危険度は変わる。今までも危険ではあったが、今回もそれと同等のものなのか、それとも……」
――今まで以上か。
なんとなく、セイバーも感じてはいたんだろう、あのラニの強さを。
今も余裕そうに中剣を携えながら余裕そうに歩いているセイバーだけど、そこらへんはやはり英雄なりの勘があるのだろう。なんか、英雄は直感とかも凄そうだ。
「――って、あれ?」
――セイバー、と声をかけようとしたところで私はソレを見つけた。
「……なにあれ?」
――ソレは、私たちの視線の先。私たちの歩くアリーナの道が通じている部屋の中央に、平然と立って――いや、浮いていた。白い曲線の無機質な体に、鋭く尖った腕。足と呼べるものはないソレは、まるで予選の時の人形のように無生命。まるで、機械のような。それこそ、先ほどのたとえにあった人形のような。あの、三回戦の化物とは違う、場違い感。
「――あれは」
――?セイバーは何か知っているのだろうか?それともまた英雄の勘だろうか?なんにせよ、私以上に分かっていそうなのは確かだ。
「ど、どうするセイバー?」
「……そうだな、とりあえず退くぞ。とりあえず、な」
退く、か。確かに正体不明のものといきなり戦うのはこの戦争においてはいい策とは思えないし……
「うん、三回戦のアレみたいに強かったら困るしね」
と、アレを意識して言うと、セイバーも嫌そうな顔をする。……セイバーもあれはトラウマになっているのだろうか?私もあれは、あの恐怖はトラウマと呼べるぐらいのものに――
私たちは、アリーナから一旦出る。
――どう、なるのかな。今回は。
私は、この戦争の状況に慣れてきた自分が、少し嫌になった――
本日の成果
セイバー 結局強敵か……
はくのん ラニか……
――オリジナル辛い。結論はこれでしたね。
今までとは全然……
ところで!私の読者の方に絵をかける人はいませんかね?いたら活動報告の方へどうぞ……
正直私の中でもセイバーの見た目が安定していないものでして、描いて頂けるなら描いて頂きたいなーという気持ち。……それに小説は絵師で売上決まりますしね!そこはやっぱり大事です。
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