Fate/EXTRA ava   作:後ろに敵が

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二日目

――四回戦、二日目。

 

私たちは二日目を迎えた。

結局、一日目は相手の名前を把握したぐらいで終わった。――あの、アリーナで見たソレについてはよくわからなかったけれど……あれがラニのサーヴァントだとするならばそれほど強くはなさそうなのだが。といっても、三回戦のアリスだって見た目は強くはなさそうだったし……結局、サーヴァント相手に見た目なんて宛にはならないということなんだろう。うん。

 

それに、今はもう四回戦だ。すなわちここに残っているのは三回戦まで突破してきた。三人のマスターと三人のサーヴァントを倒し殺した強者しかいない。――最も、私がその強者の中にいるとは思わないけれど。なんにせよここにいるのは強者のみ。それにラニが優秀なマスターであるというのは、なんとなくわかっている。

ここまでで手助けしてもらったから、少し贔屓目で見ているのかもしれないけれど、そんなことはないと思う。

 

――遠坂凛。レオナルド・ハーウェイ。

 

この二人と並ぶ人間で、マスターであると私は思っている。

 

――だからこそ昨日見たものが不思議でならないのだけれど……

 

「――マスター」

 

――と、自身の部屋で考え込んでいるとセイバーの声が聞こえた。

早くアリーナにでも行くべきだ、とかそういう類の話だろうか?確かにそろそろ行かないと――

 

「――いや、そうじゃなくてな。マスターがなにか悩んでるようだったから気になっただけだ。――最も、その悩みが何に向かっているかどうかぐらいわかるのだが……」

 

――まあ、そうだろう。

こんな状況で、今回の対戦相手のこと以外に悩むことなんてのはない。この悩みは、対戦相手が変わるたびに感じるものではあるし、こういう感覚にも少しは慣れたものの、だからと言って簡単に答えが出るわけでもない。結局、私は何もわからないわけだ。

 

「――でも、なんか違うんだよなあ?」

 

「……ふむ、違うっていうと何が?」

 

「え?えっと……昨日アリーナで見かけた……ほら!あの人形みたいなやつ……」

 

「ソレ、か」

 

「あ、うん。……っていうか呼び方はそれで行くんだ?」

 

「ああ、三回戦のがアレ今回のはソレ。わかりやすくていいだろう。で、違うって、具体的に何が?」

 

「――具体的、って言われても言いずらいんだけどさ……なんて言うか、今までと違うというか、サーヴァントらしくないというか……」

 

……なんというべきだろうか?またタイプの違うやつだと考えれば、それは別段おかしいことではないのかもしれない。これは、驚くべきことなのかもしれないけれど、私はまだサーヴァントらしいサーヴァント、つまり英雄らしい英雄を一度も見ていない。強靭な肉体を持っている英雄はいないし、正面から正々堂々戦う英雄もいないし、それで言ったらセイバーが一番らしいといえるかもしれないけれど……

 

と、話がそれてしまった。

 

「――それがなんなのか、どういうことなのかわからないけれど。あれはどうにも――」

 

「どうにも?」

 

「――生きてるって気がしない」

 

――英雄は一度死んでいる。

これは英霊として召喚されている以上、間違えのない事実。とはいえ、一度死んでいようとも今は生きている。

とても蘇生と呼べるような代物ではないけれど……彼らは確実に、この月を生きている。だけどあれは、そんな感じがしない。

 

「――人間性の欠如とでも言ったところか。英霊だって人間なんだ、人間らしい感情がある。しかしあれにはそれを感じることができなかった……というところか」

 

無感情、か。

 

「それぐらいの理由ではあるが、あれが英雄でないという理由には十分になりうる。クラスがなんであれな。最も感情がなさそうなのはアサシンだが……あんなに簡単に発見できるやつがアサシンのはずもないだろう」

 

「――アサシンが一番感情がない?でもバーサーカーとかは?」

 

「バーサーカー、ね。むしろバーサーカーは無感情とは真逆の存在だよ。あれは感情にかけるストッパーが、すなわち理性が全くない。感情を抑える理性がないんだ、だからあれは感情を発散することしかしない。ましてや知性すら失っているんだ。当然といえば当然だな」

 

――ああ、なるほど。

てっきりバーサーカーは無感情に戦うだけかと思っていた。殺人マシーンのように。理性がないのだから、そうならないとは言い切れないしセイバーなどよりはなりそうなものではあるがその異名がふさわしいのはやはりアサシンか。

 

「なんにせよ、相手は本気だってことだろ。今までとは違い決戦まで姿を見せないつもりなのかもな」

 

「た、確かに姿を見せず戦わなければ情報が漏れることはないけれど――」

 

――それじゃ私たちの情報もしれないんじゃ?

 

「それはごもっともな疑問だかな。それを解決するためのあの人形なのだろう。サーヴァントの姿を見せず相手と戦い情報を集める。――あの人形は戦闘用というよりは情報収集用ということだ。最も、だからといって戦闘を行うことができないとは言えないけどな」

 

「――なら、私たちが今やるべきことは」

 

「――ああ、俺たちが今やるべきことは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――あの人形を叩き潰して相手のサーヴァントを引きずり出す。

 

俺たちがたどり着いた結論はこれである。

暴論ではあるし実力行使以外の何物でもないが故に単純シンプルであり効果的だ。単純明快で素晴らしい。――最も、これは相手があれを何体も用意できないであろうという理屈の上で成り立っている。それにあれと戦うことで俺たちの情報が知られるというリスクも背負っている。しかし、そこは俺の知識でカバー。あの人形からでも情報が得られるということは知っているし、情報を得るまでもなく相手の真名ステータス宝具は知っている。

 

――それに、俺の情報は少しは与えておいたほうがいいかもしれない。剣で戦うという固定概念でも植え付けておけば決戦で有利に運ぶし。さらにいえば俺は革命七手(セブン アヴァ)の七手の内あと二つ残している。まさに『私はまだ二つ宝具を残しています』状態だ。……なのに余裕で勝てる気がしないあたりが俺らしいところなのかもしれないけれど。

 

「――見つけた」

 

マスターがコードキャストを使い相手の場所を探る。原作ではこんなことイベント内ではしなかったよな。結構便利なんだけどね、遠見の水晶。

なんにせよとりあえず相手を見つけたのだ。俺とマスターはその見つけたという場所に向かう。途中途中雑魚をなぎ払いながらだが、その時に中剣を使うのも忘れない。――これで決戦日まで中剣だけで行ければいいんだけど……中剣で戦っておいて長弓で不意打ちのコンボは結構いいと思う。――それに、今回は俺のスキルも。

 

「いた」

 

と、言いながらマスターが指を差す。その先には先日見たソレが悠々とそれを飛んでいる。むしろ、浮いているというか浮遊という言葉のほうが似合いそうな速度でゆっくりと。――あれ、暗号鍵(トリガー)の回収とかもできそうで便利だよな。俺もあんなん使いたい。――と、思ったところで何も始まらない。

 

「よし、行くか」

 

マスターにそう合図しソレに近づいていく。――と、ソレの動きが止まった。

どうやってかは知らんがこちらを探知しているらしい。視覚か聴覚か、それとも魔力でも感じたのか。なんにせよソレはこちらを敵だと認識下らしく、臨戦態勢を整える。

 

――どういうものなのかを理解することは難しいが、それの臨戦態勢はわかりやすい。なにせ、武器を取り出した。

 

「――さて、それと俺の中剣どっちが上か……試してみようじゃねえか!」

 

――戦闘を、始める。

 

相手は人形。開始前の会話はなし。問答無用で斬りかかる。

 

――上から下への袈裟斬り。

 

「らっ!」

 

相手はこちらからの攻撃にほぼ体を動かさず腕だけで対処する。それは、足がない故に足で踏ん張ることをしないが故の腕のみの動き。

武器を持った方の腕を上げ、きっちりその武器の腹で受け止める。――人形であったとしても戦闘ができないわけではない。当然といえば当然だし、サーヴァントと戦闘を行うことを想定されているのだろうからそこそこの筋力もある。だが――

 

第一革命の中剣(プロトゥーブ)

 

――宝具の真名を、開放した。

 

能力はお馴染みの筋力増強。

つばぜり合いなんてものをしている途中に使えば当然一気に力は強くなり――

 

「らっ!」

 

――相手の武器を弾くことができる。

 

普段から、戦闘開始時速攻で使うのもありだが近接戦闘をするならばこういう場面で使ったほうが効果的である。一気に相手の力が強くなるのだ、当然ペースは崩され一瞬隙ができる。

 

――はずだ。

 

最も、それは相手がそれに同様した場合のみ。ソレは、作られた物故に力が強くなってからの対応が早かった。

 

「チッ」

 

ソレは俺の振り下ろした中剣を上手く右に受け流す。――そう簡単には行かないか。もっとも、こちらもそれで行けるとは思っていないし――

 

「――やっぱ、しょうがないか」

 

 

 

――ストン。

 

 

 

軽く、そんな音がした。そんな軽く何かが落ちたような音がした。

 

「さて、別にこれは突きにしか使えないということはないのだけれど……」

 

――俺の左手にはこれまたお馴染み、素槍が一本握られていた。

 

スイッチ。一瞬で中剣を消し武器を切り替える。多くの武器を持つが故の技。そして、それが切り裂いたのは。

 

「――とりあえず、腕一本」

 

――それの、左腕。武器を持つ方の腕とは逆側の腕を素槍の先についている刃が引き裂き、落とした。

 

 

「――さて、まだやるか?」

 

槍を構え、相手に向ける。

 

――と、相手の姿が徐々に消えていった。まあ、前哨戦としては妥当なところだし、情報収集を目的としていた相手からすれば十分だろう。――早くも宝具二つ使っちゃったし。なんか、宝具一つで行ければいいなあ、とか言ってたやついましたよね。うん。

 

「――ふう」

 

 

とりあえず、この日の戦闘はこれで終わった。

――最初から有利に進み、ここまできっちりこちらに被害なく勝てたのは初めてのことかもしれないが……

 

――もちろんこれは前哨戦。相手は英雄すら出していない。

 

さて、ここからが本番だ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日の成果

 

セイバー きっちり腕一本

はくのん ひっそり鍵一本




なんと!セイバーの絵をさっそく描いていただきました!
さっそくここに貼る……予定だったのですがここの挿絵システムを私が把握していなかったため来週になってしまいそうです……raganaさん申し訳ありません……
来週には許可が出ていると思いますのでそれまで……

ようやくオリジナルに慣れてきた……?
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