Fate/EXTRA ava   作:後ろに敵が

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この小説がついにランキングに乗りました!
みなさんの応援のおかげです。本当にありがとうございました!

……嬉しすぎて小躍りしてしまい、変な目で見られたのは内緒です。


三日目

 ――強かった。

 昨日、俺が相手のサーヴァントと戦い、思ったことはその一言に尽きる。

 正直俺の不安は、俺の精神が入ったことによる戦闘能力の低下だ。経験がなければ動けない。そういった事態が起こること。それさえなければ勝てると、そう思っていた。

 しかし、それは甘かった。

 たとえその不安が()()()()()からといっても、簡単に勝てるような相手ではなかったのだ。

 結果は、よくいって引き分けだ。

 いや、引き分けともいえない。あの戦いは――

 ――俺の、負けだ。

 

 もちろん、ただで負けたつもりもないし、結果だけ見れば、引き分けと言ってもいい。

 どちらも重傷は負わず、一進一退の攻防と、言えるかもしれない。

 マスター同士の戦いとしても、慎二は傍観を決め込むつもりだったのか、単純に、ついて来れてなかっただけかはわからないが戦闘に介入してくることはなかった。

 つまり、勝敗にマスターの実力はステータス以外に表れてはおらず、純粋に、サーヴァントの技術の差で結果が決まる。しかし、今回の戦いにおいては、俺と相手には決定的な違いが。

 結果ではなく、戦闘の過程の中にある。

 

 ――宝具の開放をしたかどうかだ。

 

 相手は、結局攻撃を一度しかしなかったし、防御に徹していた。それに、どう見たって小手調べだとしか思えない。そもそも、戦闘の途中で相手の槍に銃弾を命中させることができるのに、先手必勝と、いきなり撃ち込まなかったのが証拠と言ってもいい。彼女の性格からして、正義感とか騎士道とか、そんなものはなさそうだしな。

 それに比べ、俺は最初から全力のスピードで挑んだし、宝具の真名開放までした。

 それで、互角だった。

 当然、決闘日も俺は宝具の真名開放を惜しげもなく使うが、決闘日ともなれば、宝具を使ってくるのは自分だけではない。相手も、使ってくる。

 ――その時に、俺は勝てるのか?

 

(どうすかな……この状況)

 

 そんな不安を掲げながら、俺はふと、一つのことを思うのだった。

 ――槍の宝具の真名が初戦で暴かれるのはstaynightやzeroと同じなんだなぁ……、なんて。

 そんなことを考えながら、三日目の朝を迎えた。

 勝てるかはわからないけれど、どうやら俺にも、少しは余裕があるようだ。

 くだらないことを考える余裕と、こんなところで負けたくないなぁ、なんてのんきに考えられる余裕が――

 

 

 

 

 ――余裕がない。

 三日目を迎え、私を悩ませるのはその余裕のなさだ。

 昨日、私たちにとって、初めてのサーヴァント戦が行われた。(といっても、前哨戦がいいところだけど)

 セイバーと戦闘技術は、完璧という他ないぐらいのもので、戦いの中でも私が追いつけないほどの動きを見せた。確か、サーヴァントのステータスはマスターの技量によっては下がったりするらしいから、たぶん私のせいで能力は下がっていると思うのだが……

 しかし、私の悩みの種はそこではない。

 セイバー達が行う動きが「私が追いつけないほどの動き」だということ。

 マスターの役割はサーヴァントのサポートだというのに、あまりスピードで行われる戦闘に私はなにもできなかった。

 それに関しては慎二も同じだったが、これからも同じということはないと思う。

 だって、慎二は私よりも数段上のマスターなのだから。

 しかし、だからといって。

 

 ――それが諦める理由にはならない。

 

(うん、がんばらないと……)

 

 この場合、一番最初にするべきなのはなんだろうか?

 ――とりあえず、情報収集のために図書室にでも行ってみよっかな……

 

 図書室の場所はマイルームを出て、右に進めばつく。

 その場所がある理由は、ここでも変わらず、調べ物のためだ。

 私もそのつもりでいこうとしたのだが……

 

「あれは……間桐慎二か」

 

 セイバーのつぶやきを聞き、前を見てみると……

 図書室の前で、慎二が誰かと話していた。

 ……どうやら、女子のようだけど?

 

「アリーナはもう入ったのかい?予想と違ってプリミティブなアプローチだったね。神話世界の海、なんていうのがいいかな。さっき、アームストロングをサーヴァントにしてる奴もいたしねぇ」

 

 なかなかシャレてるよ。

 その言葉を受けた女生徒――遠坂凛のようだ――はそれに対し、ニコリと笑って。

 

「あら、その分じゃいいサーヴァントを引いたみたいね。アジア圏有数のクラッカー、マトウシンジ君」

 

「ああ、君にはなんだか煮え湯を飲まされたが今回はそうはいかないぜ?僕と彼女の艦隊はまさに無敵さ」

 

 ――艦隊?

 ということは、あのサーヴァントのクラスは――

 ……ずいぶんとアッサリ情報を話すんだなぁ、なんて、思ってるのは私だけじゃないらしく。

 

「サーヴァントの情報をしゃべっちゃうなんて、ずいぶんと余裕なのね、マトウ君?」

 

 遠坂凛も、慎二の自慢を優雅さすら感じる余裕で流した。

 そこで、自分の過失に気がついたのか慎二の顔がさっと赤くなる。

 

「う……そ、そうさ!まぁ、あまりに一方的だと面白くないから、ハンデってやつさ!」

 

 そんな風に、勇ましく喰いついたのはいいものの……

 

「で、でも大したハンデじゃない、かな?ほら、僕のブラフかもしれないし、参考にする価値はない、かもね?」

 

 ……それは自分でいったら終わりだと思うのは私だけだろうか?

 明らかに、これは本当のことです、と言ってるしか思えないんだけど……

 

「そうね。さっきの言葉からじゃ真名は想像の域をでない。けど――」

 

 当然のように、遠坂はあっさりと返す。

 ……想像の域をでないということは、いくつか例は上がるということか。

 それができる力があるからこその、あの余裕。ということだろうか?

 

「それでも、艦隊を操るクラスなら、もう絞られてるし。どうせ攻撃も艦なのでしょう?どんな攻撃をするにせよ、物理攻撃な気がするけど」

 

 やはり、格が違う。

 当然、慎二もマスターとしての腕は相当なもので、もしかしたらあの遠坂凛とも渡り合えるのかもしれないが、人心掌握というか、交渉や会話の上手さは遠坂凛が圧倒的に上だ。

 

「ま、今の私にできるのは、物理障壁を大量に用意しておくくらいかしら?」

 

 うっ、とうめき声を上げる慎二に、遠坂凛は得た情報をもとに、対策まで考え出した。

 それを聞いた慎二の顔がみるみる青くなっていく。

 サーヴァントとはいえ、情報が知れれば、対策はたてられる。

 

 そして、すべてのサーヴァントの個々の力が強力である以上。一方だけが対策を立ててしまった場合、勝敗は明らかなものとなる。

 

 ――これが情報が重要である、という理由か。

 

「あ、一つ忠告しておくけど、『無敵艦隊』はどうなのかしらね?」

 

 ――それはむしろ敵側のあだ名でしょう?

 まるで、すでに正体に行き着いているかの物言いだ。

 慎二も、今の言葉には少し戸惑ったようで……

 

「ふ、ふん……まぁいいさ。知識だけで実践できなかったら何も意味ないしね」

 

 ……やはり慎二は、こういう隠し事とかは苦手なのだろうか?

 それは、遠坂凛の推測は当たっています。と言っているようなものだと思う。

 実際、慎二はそう言い返すのが精いっぱいだったらしく、体を翻し、立ち去るようだ。

 ――と、たまたま去る方向がこっちだったようだ。別に隠れてはいなかったが、慎二は私がここにいたことにいま気付いたようだ。

 

「おまえ……!まさかずっとそこで見てたわけ!?」

 

 思わず、普通にうなずいてしまった。

 慎二は少しあわてたようだが、直ぐに立て直し。

 

「ま、まぁ、お前じゃ僕の無敵艦……いや、サーヴァントは止められない。僕の勝ちってのは揺るがないからね。まぁ、せいぜいがんばれば?」

 

 そんな捨て台詞のような言葉を残し、慎二は去って行った。

 ……ふむ、無敵艦隊、か。

 なんて、慎二の去って行った方を見ていると……

 

「やれやれ、緊張感に欠けたマスターが多いわね?」

 

 そんなことをつぶやきながら、遠坂凛も、慎二と同じ方向へ去って行った。

 ――あっちは、一階か。おそらく、アリーナに向かった、というところだろう。

 

「まぁ、遠坂凛の言うことは正しいと思うな」

 

 そのつぶやきを聞き、セイバーが口を出す。

 

「慎二に関しちゃ、まったく情報の重要性を理解していないみたいだしな。まぁあそこまで間抜けなやつはほかにいないと思うが……」

 

 ……確かにそうだろうけど、意外とセイバーも毒舌だな。

 

「ま、とりあえず学園でもアリーナと同じく、重要な情報を得られるってことさえ覚えとけば上々ってところかな」

 

 ――くれぐれも注意してくれよ?

 

 その注意を聞き、私はとりあえず当初の目的通り、図書室に行くことにしようか。

 ……そういえば、セイバーも慎二のことは呼び捨てなんだ、なんて、ふと思った。

 

 

 

 

 ――結局、図書館でもめぼしい情報は得られなかった。

 俺が見る限り、そんな感じだろう。

 慎二と遠坂の会話で出てきた『無敵艦隊』という言葉も、わかったのはスペインの艦隊だということぐらい。

 ……まぁ、遠坂が言っていた通り、本人が『無敵艦隊』を指揮していた人物ではなく『無敵艦隊』の敵側、つまりはスペインの敵にあたる国の人間なわけだが……

 正直、原作知識がないとさっぱりわからない。これを一発で見抜いた遠坂には正直脱帽だ。

 他にも、二丁拳銃の英雄ということで、ビリー・ザ・キッドや、カラミティ・ジェーンなどの名前が挙がるものの、これは原作知識がなくても違うとわかる。

 マスターもおそらく、そう思っているはずだ。

 

 さて、図書室での調べ物を終え、さて次に何をするかといえば……まぁ、簡単にいうとやることない。

 ゲームでも、この日は特にイベントはなく、おそらく前日に暗号鍵(トリガー)を取れなかったプレイヤーのための一日といったところなのだと思うのだけど……

 しっかり取得していた場合、この日はなにもない一日。

 二つ目を取ろうといっても、それをすることはできないのだ。

 アリーナは一回戦につき、二つの空間が存在し、一つの空間につき一つの暗号鍵(トリガー)が存在する。のだが、まだ、二つ目は開放されていないので、手に入れることはできないのだ。

 

 では、この日、ゲームではなにをしていたのか?それを考えてみようか。

 答えは、まぁそのままだ。

 経験値稼ぎ。

 簡単にいうとレベル上げだ。

 ゲーム内では当然レベルが上がればステータスは上昇するわけだし(この作品の場合上がるのはHPとMPのみだが)当然の行動。

 確かにそれもいいだろう。明確な数値化されていないとはいえ、経験を積むべきだというのは正しい。

 

 では、俺たちもアリーナへ行くのか?

 

 いや、その前に行かなければならない場所がある。

 これもまた、単純な話だろう。

 だってそれは――

 

 ――敵と戦うために、まず装備を整える。

 

 レベル上げ(繰り返す作業)がRPGの基礎だとするならば、装備を揃える(一度きりの作業)のもRPGの醍醐味だ。

 だからまぁ、まずはそこから、始めようか――

 

 

 

 ――まぁ、レベル上げもしないわけじゃあないんだけど、な?

 

 

 

 

 

 

 

 本日の成果

 

 セイバー 情報マトリクスゲットだぜ!

 はくのん コードキャストゲットだぜ!




……実はこのゲーム、こういう日が一回戦ごとに絶対にあるんですよね。
私としては、どうしたらいいのかすごく迷ってしまいます……

誤字脱字の報告をしてくださった方々、わざわざありがとうございます!
お手数ではありますが、これからも見つけたら報告をよろしくおねがいいたします。

では、次はまた来週ということで!
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