Fate/EXTRA ava   作:後ろに敵が

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結局次の週になってしまい申し訳ありませんでした……
明日は明日できっちり二回戦の一日目を投稿いたしますので、よろしくお願いします!


epilogue+α

 ――戦いは決した。

 私の勝利、慎二の敗北という形で。

 その結果慎二は消滅――『死』を迎えた。

 

 ――受け入れた、はずだった。

 

 これは戦争で、命をかけた戦いで。

 勝ったほうが生き残り、負けたほうが死ぬ。

 それは当然のことだと。私はそれを受け入れたはずだ。

 

 ――でも、思ってしまうのだ、

 

 本当に慎二は死んでしまったのかと。

 間際の姿もみた。なのにどうも、疑問に思ってしまう。

 

 ――本当に、死んだのか?

 

 私が慎二と戦い勝利した。

 ただそれだけのことで慎二の、一人の命が永久に消え去るなんて……

 何の説明もないまま、何の価値もない死を迎えた。

 

「一回戦、終わったみたいね」

 

 そんな、迷いと葛藤を持ちながら校舎に戻った私を出迎えたのは、意外にも遠坂凜だった。

 いや、出迎えたというよりも、呆然と立ち尽くす私に、声をかけたというほうが正しい。

 

「シンジはアンタと戦うって言ってたから、負けて死んだのはシンジの方ね」

 

 私を睨みつけながら、遠坂はそんな事実確認をする。

 

「アジア屈指のゲームチャンプといっても、命のやり取りなんてやったことないなら当然か。遊び気分で参加したのが間違いってことね。で?どうだった?死に様とか、みっともなかったでしょ?」

 

 続けられたのは、慎二を、死者を冒涜するような言葉で、私は反射的に言い返そうとして――

 ――やめた。死者を冒涜するって、何を言っているんだ私は。

 そもそも、慎二が死んだのは、慎二を殺したのは――

 

「あら、ここが戦場ということぐらいは理解しているみたいね。敗者に肩入れするのは、どうかと思うけど」

 

 彼女の言葉が、眼差しが、ここが戦場であり、戦争をしているということを思い出させる。

 戦争で負ければ死ぬ。そんな、誰もが知る真実を、確認させられる。

 

 ――誰もが知る真実。誰もが理解している現実。

 

 それは、当然のことで、まるで、それを理解していない私や慎二が場違いであり、異常だといわれているようで。

 

「聖杯戦争で勝利した人間は、その聖杯で願いをかなえることができる。真に万能の願望器である故に、この場所にいる人間たちは戦ってる」

 

 ――願いを、叶えるために。

 そのためなら、命を賭して戦う覚悟もあるというのか?

 そのためなら、命を奪うことも厭わないと?

 ――命を奪われる、覚悟も持っているというのか?

 

「……その様子じゃ、記憶も戻ってないんでしょう?それはいい、目的がないのはいい。だけどね、覚悟だけは、持つべきよ」

 

 ――覚悟。

 

「そう、覚悟。戦って戦って戦い抜いて、そして人を殺し殺される覚悟。死ぬ覚悟や、殺す気概もないのなら、最初から戦わずに隅の方にいるべきだわ。覚悟もなく戦われるのは正直――」

 

 ――目障りなのよ。

 

 そんな、突き放すような言葉が、私の胸に刺さる。

 覚悟も気概もないのなら、そもそも戦うな。

 受け入れたと思った現実が、私に牙をむいてくる。

 

「現実逃避もいいけど、どんなことをしてたって二回戦はやってくるわ。覚悟も持たずに勝てるマスターなんて、もういないのよ」

 

 何もかもが、その通りだ。

 一回戦を勝ち抜いたマスターたちは、すべて強い意志を持っている。

 流されるままに戦っていた私とは、違う。そのままで、勝てるはずもない。

 

 ――自分には、勝つ理由が、勝ちたいと思うほどのものが存在しないのだから。

 

 そんなのは、殺す殺さない以前の話。

 目的も理由も覚悟も気概もない私に、それらすべてを持つ彼らの願いを、踏みにじる権利など――

 

「……アンタが覚悟を持つにせよ持たないにせよ、戦わなきゃいけないのは変わらない。せいぜい、あがくことね」

 

 そう言い残して去っていく遠坂の背中を私は、ただ見送ることしかできなかった――

 

 

 

 

 

 ――俺は、受け入れていなかったはずだ。

 

 ――現代社会を生きた俺に、人を殺すことなど出来はしないと、思っていたはずだ。

 

 ――直接、殺してないからだとでもいうのだろうか?それなら随分と、ふざけた話だ。

 

「私、は……」

 

 先ほどの、遠坂の言葉が聞いたのか、マスターは部屋に入っても落ち込んだままだった。

 

 ――何をしているサーヴァント。こういうときに、マスターを支えるのだって、俺たちの役割のはず――

 

 そんな風に思って、マスターに声をかけようとして、やめた。

 ――無理、なのだ。そんな慰めができるほどに、俺だって冷静じゃない。

 

『戦って戦って戦い抜いて、そして人を殺し殺される覚悟』

 

 ――それがないのなら戦うな。

 

 そういえば、ここに来る前に読んだ小説にも、そんなことが言われていたな――

 

「戦いたくないのなら、最初から戦わなければいいのに」

 

 ――小さくつぶやいた言葉が、俺の胸に突き刺さる。

 その通りだ、最初から殺す気概もないとわかっているのなら、そもそも戦うなという話だ。

 だけど、俺を、俺の心を締め付けるのは、慎二を殺した罪悪感なんてものじゃないのだ。

 

「なんで、なんで俺は、人を殺したというのに――」

 

 ――こんなにも、冷静なんだろう。

 

 慎二が目の前で死んだとき俺は、マスターのように罪悪感など感じなかった。

 ただただ少し、あんな死に様をした慎二に同情したぐらいのものだ。

 

 ――俺は、普通の人間だったはずだろう?

 

 殺される覚悟も、殺す気概も持っていないような、戦争に不釣り合いな人間のはずだ。

 俺もマスターと同じように、ただただ流されるままに戦って、流されるままに勝利をめざした。

 ただ、それだけだ。

 

 なのに俺は、慎二の死に感じるところなど何もない。

 まだ、ゲーム感覚でいるとでもいうのだろうか?ここが今俺が生きている場所だとまだ感じていないとでもいうのだろうか?

 

 実際のところ、これの答えなど、わかりきっているのだ。

 だけど、俺はそれに、目を向けることをしない。したくない。

 

 こんな風になっても、人を殺しても、正気を保っているのは、精神力の強さだと、そう思うことは悪いことだろうか?

 俺がこの数日間でつかむことができた、この世界で唯一の『俺』を示すものだと、思ってはいけないのだろうか?

 

 ――俺は、現実逃避をしているにすぎない。

 

 ――俺、『俺』が、正気を保っているわけではなく、狂っているのだと。

 

 ――それこそが俺の能力の、「狂化」の効果であるのだと。

 

 ――わかっていても受け入れられない。だってそれじゃあまるで――

 

 ――『俺』という精神が、おかしくなっているようじゃないか――

 

 

 

 

 

 セイバー ステータス

 

 筋力:D

 耐久:D

 敏捷:D

 魔力:D

 幸運:C

 宝具:C

 

 ・スキル

 

 対魔力 C

 

 説明省略

 

 騎乗 A

 

 説明省略

 

 狂化 E

 

 本来は理性と引き換えに力を得るスキルだが、ランクが低いため殺しても何も感じなくなる代わりに、筋力がわずかに上昇する程度にとどまっている。

 

 ・宝具

 

 第一革命の中剣(プロトゥーブ)

 

 長さ百五十センチほどのハンド・アンド・ハーフ・ソードである。真名開放で筋力ブースト

 

 第二革命の中槍(リヴォンツオーネ)

 

 長さ二メートルほどの素槍。真名開放で敏捷ブースト

 

 第六革命の短剣(レヴォリューツィア)

 

 刃渡り二十センチのダガー。持って念じるだけでランクE相当の気配遮断のスキルを得る




誤字脱字などありましたら報告お願いします。

セイバーの情報に関しては、一回戦終わるごとに、使った宝具の説明などをしていくつもりですので、そちらもお楽しみに!
では、二回戦もこうご期待!

……ぶっちゃけ勝てるか不安ですけどね!

2/24 宝具名の間違いを訂正しました
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