……私は今、ものすごく困っています。
「どうやって開けるんだろう?」
思わずぼそりと呟いて電車の前に立つ。
本当にどうやって開けるのだろうか?
電車の車両の方にワンマン電車ですと書かれたその電車に乗り換えで乗ろうと思ったのだけど、いつもなら勝手に開くはずの電車のドアが開かない。
私何か悪いことしたのだろうか?
「あの、この電車に乗りたいん?」
っと思っていると、男の子の声が後ろから聞こえる。
慌ててそちらを向くと、私と同年代くらいと思われる男の子が三人でこちらに歩いてくるところだった。
ここは、困っている身なので素直に
「そうなんです……」
と言って、男の子が言うことを聞こうとしていると、そんな男の子のことを後ろからからかう言葉が飛ぶ。
「お、ナンパか?」
「やっぱりモテる男は違うねー。」
「うっせ」
それを、笑いながら適当に返した男の子はこちらに笑顔を向けてから
「それじゃ、えっと説明するけど。この扉の横にあるボタンあるんだけど、それを押してもらったら扉が開いたり閉じたりするから。」
そう言われて、そちらを見ると……
あったことは知っていたその付属品みたいなボタンを押すことで扉が開いた。
こ、こうやらないと開かないんだ……覚えておかないと。
頭の隅の方に覚えておくことにして、慌てて中に入って今度は中にあるボタンでドアを閉めた。
「どこ座るよ?」
「あっこでいいんじゃね?」
「お、祥真はナンパに成功したんだから、彼女の隣にちゃんと座ってやれよな。」
「あ、いや、そんなこと言われても彼女が困るだけだよ。」
私の方をチラリと見ながら苦笑いをしつつそう言いながら困っている姿はなんだか可愛く思えた。
そして思わず私も笑ってしまう。
かといってこういうことに巻き込まれるのは苦手なので
「あの、ありがとうございました。えっと、祥真さん。」
頭を下げて荷物が少し入ったバッグを少しだけ担ぎ直して、先に席につく。
一度落ち着いたところでバッグの中から水筒を取り出してお茶を少し飲んでおく。
スマホをポケットから取り出したところで何か嫌な感じがする。
「おい、あの子可愛くね?」
それは後から手馴れたように入ってきたチャラチャラ?した青年から、どうやらこちらの方を見て話しているようだった。思わず私はそれを感じてそのチャラチャラした人の方をムッとした表情で見てしまう。
しまったと思った時には遅くてこちらに気づいていたそのチャラチャラした青年が向かってくる。だめだ……と思った時にはもうそれは起きていた。
さっき助けてくれた祥真さんがその男の前にたって
「うっす、仁さん」
と気軽に挨拶をして、その仁って人も祥真さんに気づいたみたいで
「おう、祥真じゃんか、元気にしてっか?」
そんな風に気軽に話しをしている。
その後少し話しをしていた二人だったけど、後から入ってきた二人組の男と一緒に別の席に座りに行った。
どうやらなんとかなったみたいなのでよかった。まだこれから行く街にすらついていないのに揉め事なんかを起こすのは嫌だもん。
でもやっぱりさっきのって祥真さんがまた助けてくれたのだろうか?
「あの……わ、えっと……」
そんなことを考えていたせいか、思わず席に座ろうとしていた祥真さんを呼び止めて、そして口ごもる。
何やってるんだろう、私……でも何か話さないといけないし、でも初対面の人に何を話せばいいのかもわかんないし、それより、私なんで呼び止めっちゃったんだろう?
無限ループに入りそうな思考を自分の中で感じとりながら、でも何を話せば全くわからないのでオロオロと視線を彷徨わせていると、祥真さんの方から
「うーん、隣座っていいかな?」
そう言われて驚きながらもコクンコクンと焦って何度も頷く。
「じゃ、お邪魔して」
横に座る祥真さんを見ながら、私の心臓は飛び出しそうなくらいバクバクと音を鳴らしています。すごく緊張……
でも本当に何を話したらいいんだろう?
どんな話題の方がいいのかな。私のことを話しても大丈夫なのかな?
うーん、本当にわかんない。
悶々とそんなことを悩んでいるあいだに祥真さんがこちらに話しかけてくれる。
「あー、さっきはごめんな。なんかうちんとこの先輩が無礼な感じでさ。あとよかったらさ、名前教えてくれるか?さっきのことでちゃんとお礼したいしさ。」
そしてそんなことを言われて、戸惑う。
「あの、先ほどのことはあんまり気にしてないです。その祥真さんが助けて下さいましたし、それと私の名前は大山鈴音といいますです。」
だけど、なんとか慌ててそれだけを言いそちらを見ないように目線を前に向けながら、今度はこちらから話して見ることにする。
「あの、それで祥真さんは年齢っていくつくらいなんでしょうか?」
「あ、俺か、俺は一応今年で一六歳の今年から高一だけど、えっと大山さんは?」
「私も同じで今年で高一です。えっとちなみ高校はどこに行かれるんですか?」
「俺は青南高校に決まってるけど、大山さんは?」
「私も同じ高校だよ。」
「へー、それじゃ、高校で出会った時はよろしく。」
「ううん、私こそ、よろしく。」
笑顔で話しながらも、でもまだ頭の中はまだこんがらがってばっかりだった。
初対面の人にこんなに軽く話しをされたのは私には初めてだったし、そもそも男の子と一体一で話しをするのはお父さんでもしたことはないから新鮮過ぎてなんだか違う私みたいだった。
「あ、そういえばさ、大山さんって地元の人じゃないよね?さっきも電車のことわかっていなかったみたいだったし……どこ出身の人?」
「えっと、私は一応東京からえっと親が海外に転勤になったのでそれで私は日本にいたかったから、伯母さん夫婦のところにお世話になることになってこっちに今日引越しなんだ。」
「へー、東京からかー……いいな。俺も行ってみたいよ。」
「もし、行くことになったら一緒に行こうよ。」
ここまで言って思う。これはデートにもしかして誘っているみたいになってる。
だって一緒に行こうよ……なんて使ったのがすごく久しぶりだったし、でも自然にでちゃった言葉だったからどうしよう、ここから変にまくし立てると意識して言ってしまったことになるかもだから、もう、何やってるのかな私。
「おう」
だけど、祥真さんが嬉しそうに頷いてくれてすごくホッとした。