地上最強の生物のラクーン観光記   作:ケプラー星人

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とある研究員の日記

 

 1998 2.14

 

 確かに最初は戸惑いもあったが私はここに配属されて正解だったようだ。NESTに居た時はウィリアムス・バーキンという類い稀なる研究者の助手に抜擢された喜びの裏で多大なプレッシャーもあったのは事実だ。あの忌々しいリサ・トレヴァーから生まれたウイルスを元に発展を遂げたGウイルス。あの神のウイルスとも言える最強のウイルスを助手とは言え作り上げる重圧程辛いものはなかった。しかしここもここで重要な最新研究を行っている様だ。明日は説明会だ、早く寝ねば。

 

 1998 2.15

 

 しかしながらアンブレラも罪深い企業である。いや、企業と言っていいかも疑問符が付くが。まさかB.O.Wを、しかもB.O.Wの中でもその並外れた力で制御が困難な部類であろうタイラントをあそこまで制御可能だとは知らなかった。Ne-aとか言った所謂寄生ウイルスをタイラントの体内に入れ知性を復活させる。散々Gウイルスを研究した私が言えた義理ではないが考えた人間は中々の悪趣味だ。私が今日見たのは三体だけだったがどれも醜悪極まりない姿をしていた。タイラントをベースしているので巨体かつ怪力だ。各部屋に一匹づつ、アンブレラが秘密裏に開発した特殊アクリルガラスで密封された部屋に隔離されていた。驚いた事に奴らは簡単な単語位ならば言葉を発する事が出来る。部屋には子供用の単語集が置いてある。自我がなく暴れるしか能がないB.O.Wに一石を投じたと言ってもいいだろう。しかしこれだと自我が生まれたりしないだろうか? 

 

 1998 2.17

 

 Ne-aを投与されたタイラントの件だがやはり何匹か自我が目覚め、逃亡を図った事件があったらしい。この事はアンブレラ本社でも問題になった様で早急に対策が必要との事だ。しかし対策と言ってもNe-aを改良し好戦的かつ命令を厳守する様にするしかないように思える。私は好奇心から寄生されたタイラントと会話を試みる事にした。飼育室や研究所は本社の突き上げもあってか空気がピリピリしている。おいそれと会話が出来る状況ではないが着任して間もない事もあってかタイラント達の記録係を任された幸運を生かして接触を試みる。記録係は基本一人で、タイラント達の行動を記録する。監視カメラもあるが、侵入の心配のない研究所深部だからか一台しかない。これなら死角を使い接触出来る。私はカメラに映らない一番左端の飼育室にいるno.6に話掛けた。意外にもno.6は「こんにちは」という挨拶に反応を示した。しかも会釈付きでだ。abcもhまで言える。これは生物兵器の歴史の転換期と言っても過言ではない。

 

 1998 2.20

 

 no.6の成長速度は素晴らしい。製造されて二ヶ月らしいが私と居たこの数日だけでも学習進化は目覚ましい。 私の妻と子の写真を見せたら可愛いと拙いながらも言ってきた。寄生タイラントの見た目はお世辞にも愛着の湧くものではないが、 段々親近感が湧かないでもない。しかしながら私にもアンブレラ研究者としての残酷性があるようでとあるアイディアが閃いた。明日、上に許可を取りに行く。

 

 1998 2.21

 

 私の提案は却下された。石頭どもめ。あそこまでにB.O.Wに自我に目覚めさせる寄生ウイルス及び寄生タイラントにGウイルスを投入したらどうなるかを見たくないのか。勿論、厳密にはGウイルスではない。真の意味でのGウイルスはバーキン博士が開発中であと数ヶ月もあれば完成させるだろう。 私が投入しようとしたのはあの忌々しいリサ・トレヴァーから取れたウイルスを多少改変したものだ。 バーキン博士から正式に許可を得て持ち出したものだ。無限に進化するという「神」の性質を寄生体が制御出来たらどんな事態になるか。しかし不安要素もある。Gウイルスが寄生体まで取り込んでしまう可能性は多分にある。実際Tウイルスは取り込んでしまうのだ。あと一つ、あともう一つ「ファクター」があれば私の目論見は成立する。 Gウイルスと寄生体を仲介、若しくは上手く融和させる何かがあれば……

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