イナズマイレブン!新たなる守護者   作:ハチミツりんご

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遅れてすみませんでした・・・色々忙しかったので遅れてしまいました・・・


あ、明日か明後日くらいにまた新しく募集を始めますので、参加していただければ幸いです。


加わる仲間!森崎の思い

 

 

 

 

「ーーーとゆーわけなんです!!田中先生、サッカー部の顧問やって頂けませんか!!」

 

「顧問?えぇ、いいわよ!!みんなの助けになれるなら、先生も嬉しいわ!」

 

「せんせぇ!!」

 

 

感激のあまり田中先生に抱きつこうとしたら、後ろから首元を掴まれてグェッと間の抜けた声を漏らす。

後ろを見ると、灰飛が呆れた表情で俺の制服を掴んでおり、その隣でペンギンも苦笑しながら肩を竦めていた。何故だ、先生に親愛の感情を表そうとしただけなのに。解せぬ。

 

 

「全く君は・・・すみません先生。顧問の件、ありがとうございます」

 

「いえいえ、いいのよ塵山君。それに、生徒から顧問を頼まれるなんて、いかにも先生っぽいじゃない〜!!」

 

 

ニコニコと、心底嬉しそうにそういう田中先生。ほんとに生徒から頼られてるのが嬉しいんだろう。いい人だなぁ。

 

 

「・・・それで、創部にはあと二人必要だけど、当てはあるの?」

 

「あぁ、はい。A組に幼なじみがいるんですけど、そいつに聞いてみようかな、と。小学校では陸上やってたけど、サッカーやってみたいって言ってましたし。先生の方で、心当たりとかありませんか?」

 

「そうねぇ・・・あ、そういえば!今日は引越しの都合で来てない子に、東京でサッカーやってた人がいたわね・・・。私の方から声をかけておきましょうか?」

 

「ホントですか!?お願いします!俺達も、ほかのクラスを中心に誘ってみます!」

 

「私も、その子だけじゃなくて、他学年にも聞いてみるわね。さぁ、みんなで頑張りましょう!目指せ、部員9人よ!」

 

 

グッ、と握りこぶしを作りながら、田中先生はそう言った。

 

・・・9人?

 

 

「・・・先生、なんで9人?」

 

「あ、あら?サッカーって9人でやるやつじゃなかったかしら?こう、棒でボールをかきーんっ!って・・・」

 

「・・・先生、それ野球だよ?」

 

 

ペンギンがそう指摘すると、あら〜?と首を傾げて笑う田中先生。

 

 

た、頼んどいてなんだけど、大丈夫かな・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たのもぉ!!!紅葉はいるかぁ!!」

 

「道場破りか何かですか貴方は!?あぁもう・・・」

 

「この短い時間でも分かるね、堅固のアホさ加減」

 

 

 

ダァン!!と教室の引き戸を勢いよく開けて叫ぶ森崎と、その後ろで頭を抱えてため息をつく塵山。人鳥はその隣でケラケラと愉快そうに笑っている。

 

 

 

「うぉっ!?・・・って、森崎くん!?入学早々何やってるのさ・・・」

 

 

突然やってきた森崎に気が付き、呆れたように近づいてきたのは、中性的な容姿をした赤髪のウルフカットの少年。体つきはかなり細身だが、運動をしていない細さではなく、無駄なものを削ぎ落とした細さだ。

 

 

彼が、先程森崎の言っていた幼なじみの【秋風 紅葉(あきかぜ こうよう)】。小学校時代は陸上部に所属していたスピードスターで、森崎の良き相談役である。

 

 

「よーう、紅葉!この間ぶり!」

 

「はいはい、この間ぶりだね。・・・で?いきなり他クラスに突撃してくるなんて、何があったの?友達出来そうにないとか?」

 

「お前は俺をなんだと思ってんだ!?」

 

「え、問題児?」

 

「あぁうん、問題児ですね」

「問題児以外の何物でもないね!」

 

「おぉい!?てか灰飛ォ!ペンギィン!お前らは今日会ったばっかりだろ!?」

 

 

それくらい分かりやすいんだよ〜、と笑う人鳥。あんまりだァ!と森崎は叫ぶが、考えてみて欲しい。入学式が終わったその日に部活を作ろうと言い出し、クラスメイト2人を引き連れて職員室に突撃し、その勢いのまま他クラスに殴り込む彼は充分変人である。

 

 

「・・・あれ、森崎君、彼らは?」

 

 

そんな馬鹿なやり取りをしている時に、秋風が塵山と人鳥に気がつく。2人は小学校で見かけたことは無いため、自分とは違う学校出身だろうと秋風は予想しており、そんな2人と森崎が一緒に居るのが疑問なのだろう。

 

 

「あぁ、初めまして。えっと・・・秋風君?」

 

「紅葉で良いよ。そういう君は?」

 

「ありがとうございます。僕は塵山灰飛。堅固とは同じクラスなんですよ」

 

「僕は人鳥帝。ペンギンって呼んでよ!僕も2人と同じクラスで、サッカー部に誘われたんだ」

 

「サッカー部って・・・あっ!もしかして森崎君、新しくサッカー部作るつもりなの!?なーんでサッカー部の無い神楽中に来たのかと思ったら・・・」

 

 

塵山、人鳥との挨拶を終えた秋風は、呆れた様な顔で森崎を見る。普段は適当なこの男、やる気を出したら無駄に行動力があるのを秋風は知っていたが、まさか一から部活を作るとは思っても見なかった。

 

 

「あ、はは・・・ま、まぁ良いじゃねぇか!!それより、紅葉!お前も俺たちとサッカーやらないか!?」

 

「いいよ?」

 

「いやお前が陸上部に入ろうと思ってるのは分かって・・・え?いいの?」

 

「うん。元々兄さんがやってたからサッカーには興味あったし、そもそも神楽には陸上部無いし」

 

 

何部に入るか悩んでたしちょうど良かったよ〜、と笑う秋風。そんな幼なじみの言葉にしばらくポカンとした森崎だが、笑顔で秋風の肩を掴む。

 

 

「マジかよ!?サンキュー紅葉!!なぁ、ついでに他にもいないか、サッカー部に入ってくれそうな人!!あと一人なんだ!」

 

「うーん・・・陸上部のメンバーは殆ど入る部活決めてたしなぁ・・・」

 

 

 

心当たりは無い、という秋風。塵山と人鳥にもそんな心当たりは無く、あと一人なんだけどなぁ、と森崎が呟いたその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッハハハハハァ!!!話は聞かせてもらったぞ、そこの4人組!!」

 

 

突如鳴り響いた、耳をつんざく様な大声。咄嗟に耳を塞いで鼓膜を保護した4人は、声のした方を振り向く。

 

 

そこに立っていたのは、ガタイのいい大柄な男子生徒。男子の中では少し高い程度の身長な上に鍛えている森崎と比べても、一回り以上の大きさだ。髪型は、男子には珍しいポニーテール。黒と緑の混ざった、珍しい髪色だ。

 

そんな体つきと髪型、更に整った容姿から人目を引くであろう彼は、歯を剥き出しにして笑うと森崎の肩をがっしりと掴む。

 

 

 

「お前さん!!サッカー部を作るんだろう!?」

 

「おぉ!?お、おう」

 

「儂もチームに加えてくれ!!こう見えても、3年前からストライカーとしての修行を積んでいる!力になれると思うぞ!」

 

「マジで!?もしかしてどっかのリトル所属だったとか!?」

 

「独学だ!!!」

 

 

自信満々にそう言った男に、4人は思わずズッコケる。・・・が、ここにいる4人のうち、人鳥と秋風は未経験者、森崎と塵山もほぼ独学なので、彼の事を言えないのが実情である。

 

 

「ま、まぁチームに加わってくれるのは素直に嬉しいぜ!俺は森崎堅固!堅固って呼んでくれよ!」

 

「おうさ!儂は【刃金(はがね) 斬九郎(ざんくろう)】!!気軽にザックと呼んでくれ!!」

 

 

ザックと名乗った男は、ニカッと笑う。一人称といい、どこか変わっているが、悪い奴ではなさそうだ。そんな彼に向けて、人鳥が人懐っこい表情を浮かべながら挨拶をする。

 

 

「よろしくザック!僕、人鳥!ペンギンって呼んで!」

 

「おう!よろしくな、ペンギン!」

 

「これまた変わった人が来ましたね・・・僕は塵山灰飛。灰飛でいいですよ」

 

「よろしく頼む!!紅葉もよろしくな!!」

 

「うん。よろしく、ザック君」

 

 

 

人鳥に続いて塵山、秋風も刃金と言葉を交わす。そんな時に、おっとそうだ、と刃金が森崎の方を向いて一つ質問をする。

 

 

「なぁ堅固よ、お前さんはどこまで行くのを目標にしてるんだ?」

 

「・・・目標?」

 

「おうさ!儂の目標はな、『世界一の必殺シューター』になる事だ。豪炎寺さんのシュートを見た時、そりゃぁもう鳥肌がたったもんさ。

 

そんで、同時に思ったのさ。儂はあの人みたいになりたい・・・いや、超えたいってな!!その為だったらどんだけでも努力するつもりだ!!

 

・・・堅固、お前は何処までを目標にしている?1回戦突破か?全国大会に出ることか?それとも、楽しめればそれでいいのか?参考までに聞かせちゃくれないか?」

 

 

 

笑顔でそう問うてくる刃金。一見ただ聞いているだけに見えるが、森崎は気がついた。先程までの和やかな雰囲気とはうって変わり、目が笑っていない。刃金は心の底から本気で問いただそうとしている、という事に。

 

 

 

「ーーー俺はーーー」

 

 

 

森崎に対し、嘘は許さないとばかりに目を細める刃金。そんな二人の間に漂う剣呑な雰囲気に、塵山達3人の表情も訝しげで緊張を帯びたものへと移り変わっていく。

 

 

そして、ゆっくりと、森崎は口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・俺は、円堂さんに憧れてる。去年のフットボールフロンティアの世宇子中との戦いや、帝国学園との決勝戦は、ほんとに凄かった。それを見て、俺はサッカーをやりたくなったんだ。

 

 

だからさ、俺は見てみたいんだ!憧れの円堂さんが見た景色を!!だからこそ、俺はサッカー部を作って、フットボールフロンティアで優勝して、そんでもって世界に行く!!今年にある、第3回FFIの日本代表に選ばれて、世界一の頂きに立つこと!それが、俺の目標だ!!」

 

 

 

世界一。森崎は確かに言った。

 

 

世界一。それも、今年の世界大会で、だ。

 

 

サッカーを始めて1年、しかも独学の素人が、1から部活動を作り上げ、世界の中でも高いレベルを誇るここ日本の頂点に、そして世界のてっぺんに立とうと言っているのだ。

 

 

 

それを聞いた刃金、塵山、人鳥、秋風の4人はしばらくポカンとした顔を浮かべていたが、まず刃金が喜色に満ちた顔で森崎の肩を叩いた。

 

 

 

「そうか!世界一!!しかも今年にか!!!儂の想像を遥かに超えてるな、お前さんは!!!気に入ったぜ堅固!!儂はお前についていく!!お前の為に、相手ゴールをぶち破って点とってきてやるぜ!!」

 

 

ガッハッハと笑いながら上機嫌に話す刃金に、呆れ顔の塵山が声を掛ける。

 

 

「全く・・・ほんとに分かってるんですか?新設のサッカー部が全国どころか世界に行くなんて、正直現実的ではないですよ?」

 

「そうだよね、やっぱり何かで一番になるって大変な事だもんね」

 

「なんだ灰飛に紅葉!お前らは反対なのか?」

 

 

 

刃金の問いに、2人は反対している訳では無い、と反論する。2人も森崎の語る夢を悪いとは思っていないし、むしろそれだけの夢を語れる森崎の事を面白いと感じている。

 

ーーーが、塵山と秋風は、森崎や刃金よりも現実が見えている。彼らの方が、今の日本のレベルの高さを正しく認識出来ているのだ。

 

 

 

「確かに2人が憧れている円堂さんと豪炎寺さんが所属した雷門中は、2年前に無名の弱小から一気に成り上がり、フットボールフロンティアで優勝し、エイリア学園の野望を阻止し、フットボールフロンティアインターナショナル初代王者に輝きました。

 

ーーーですが、今の日本は当時とは違う。イナズマジャパンの影響でサッカー部が激増、それに伴い優秀な選手が増え、日本全体のレベルは飛躍的に向上しています。そんな状態の日本で、殆ど初心者の新設サッカー部が優勝するなんて・・・正直、不可能に近いですよ?」

 

 

 

塵山の言葉は正しい。現在の日本は、円堂守率いる雷門中が初めて優勝した2年前とは比べものにならない程強くなっている。円堂や豪炎寺を筆頭にした、【イナズマ世代】とも呼ばれる現高校一年が卒業した後であっても、それは変わらない。

 

 

 

【心優しき巨人】こと『壁山塀吾郎』や【目覚めし虎】こと『宇都宮虎丸』を有し、あの円堂守からキャプテンマークを引き継いだ『栗松鉄平』が率いる、優勝候補筆頭《雷門中》

 

 

去年の雪辱を晴らす為、そしてもう一度頂に立つため。王座奪還に燃える主将『成神健也』率いる強豪《帝国学園》

 

 

かつての汚名を返上し、今一度蒼空へ羽ばたく為。【天空の支配者】ことアフロディから受け継いだ世宇子魂を胸に翔ける、【神の頭脳を持つ男】『明天名智』率いる《世宇子中》

 

 

森崎達の通う神楽中と同じ福岡県で、勝ち抜く為には必ず障害として立ち塞がるであろう壁。円堂守をも超える、世代最強GK『立向居勇気』率いる《陽花戸中》

 

 

【戦術の皇帝】『野坂悠馬』、【静かなる守護者】『西蔭政也』の二大巨頭率いる新鋭の強豪《王帝月ノ宮中》

 

 

兄の想いを受け継いだ【熊殺しのアツヤ】こと『吹雪アツヤ』、更には【白恋のプラチナスノー】『白兎屋なえ』を筆頭にした、全国最速のスピードサッカーが持ち味の《白恋中》

 

 

 

今挙げた中学以外にも、戦国伊賀島、尾刈斗、大海原、木戸川清修、漫遊寺、千羽山、永世学園、野生、御影専農、美濃道山・・・全国に名が聞こえる学校は多数ある。これらを打ち破らなければ、頂点に立てないのだ。ましてや世界など、その遥か上を行くだろう。

 

 

「僕達まだ一年生だし、狙うのは今年じゃなくて来年とか、再来年でもいいとは思うけど・・・」

 

 

秋風から最もな意見が飛ぶ。ここにいる5人は未だ一年生、彼らはあと3回、フットボールフロンティアに挑むことが出来るのだ。当然今よりも、一年後、二年後の方が実力も上がっているだろうし、何より【立向居勇気】や【壁山塀吾郎】、【宇都宮虎丸】といった強豪選手がいなくなっている。

当然彼らに匹敵しうる才能の持ち主は現れるだろうが、少なくとも今年彼らと当たるよりかはマシだろう。

 

 

 

「あー・・・そりゃ確かにそうだけどさ。ここで来年があるから今年はいいや、なんて逃げてたら絶対に円堂さんに追いつけないと思うんだ。だから、俺は今年挑戦したい。雷門中や帝国学園と戦って、世界を見てみたいんだ」

 

 

 

だが、それでも森崎の心は揺らがない。

 

 

そんな森崎の考えを聞いた刃金は、塵山達に笑顔で話し掛ける。

 

 

 

「ま、いいじゃねぇか!でっかい目標の方が達成しがいもあるってもんだ!!どうせ見るなら、夢はでっかく見ようぜ!!堅固の言う通り、世界を目指そうや!!」

 

「・・・まぁ確かに、どうせ見るなら大きな夢の方がいいですよね。どこまでやれるかは分かりませんが、やってみましょっか」

 

「森崎君って、一度決めたら曲げないしなぁ・・・でも、僕もやるからには全力を尽くすよ!!人鳥君は?」

 

 

塵山と秋風も、やるなら本気で、と森崎の考えに同意。そんな中で、先程から1人黙っている人鳥に秋風が言葉を投げる。

 

 

 

「ん?僕?んー・・・正直あんまり実感無いし、サッカー詳しくないからよく分かんないけど・・・みんなが本気でやるなら、僕も本気でやるよ?ペンギン技極めてみたいしね!!」

 

 

 

この中で最もサッカーと関わりの無い人鳥も、森崎の思いに同意。晴れてここにいる5人、神楽中サッカー部初期メンバーは全員が森崎と共に日本一、更には世界一を目指すこととなった。

 

 

 

「よっしゃ!!放課後に創部届出しに行こうぜ!!目指すは日本一!!そして世界一だー!!!」

 

 

「「「「おーー!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日本一・・・ね。あの素人共は何も理解していない・・・それがどれだけ過酷な茨の道であるかを・・・」

 

 

そんな彼らを、離れた場所から眺める者が一人。その人物は壁に体を預けながら腕を組み、赤と青のオッドアイを妖しく光らせる。

 

 

 

「それを理解する・・・もしくはそれを目指すだけの覚悟を示さなければ・・・力を貸すわけにはいかないな・・・この、【漆黒のストライカー】の力を、な・・・」

 

 

 

ふっ・・・と息を吐き、その場を後にするその人物。森崎達の苦難はまだまだ続きそう・・・?

 

 

 

 

 

 


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