名無しの英雄~パラオ艦隊戦記~   作:レイキャシール

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俺提督「武蔵出ないかな・・・」(6000、5000、7000、2000、20で大型チャレンジ

『8:00:00』

俺提督「おおおおおお落ち着け、素数を数えるんだ! 素数は1と自分でしか割れない孤独な数字、素数は俺に勇気をくれる・・・!」(高速建造ポチッとな


結果→大和。推して参ります!

前→「(´・ω・` )持ってなかったから良いんだけどさ・・・」

今→「余裕の戦果だ、火力が違いますよ。(´ω`*)イイネ」


(今回は後書きにお知らせがあります)


第十話:決意と誇りと

 

☆★★☆

 

 

「報告は以上です」

 

 西日が差し込む執務室の夕方。茜色の光が、執務机を隔てて自分の目の前に立つ彼女を照らし出している。

 例の出撃から数日後。件の新型、ル級に対して更に何度か攻撃を仕掛けてみたが結果は惨憺(さんたん)たるものだった。

 火力を重視して摩耶や鳥海を戦列に加えて見たが、結果は変わらず。大抵は近接戦闘に持ち込む前に大半が中、大破してしまうばかり。先ほどの出撃も、あわや犠牲者が出る一歩手前まで損害を受けてしまい、失敗している。

 今自分は、それを含めた諸々の報告を、旗艦に任じた神通から受けている所だ。

 

「提督、申し訳ありません。せっかくお預かりした艦隊を・・・・・・」

「そのことはもう良い。轟沈した者がいないだけでも、十分だ。整備と補給が終わったら、ゆっくり休んでくれ。下がって良いぞ」

「了解しました。では、失礼いたします」

 

 神通がその場を辞した後。自分は軍令部から送られてきた指令書に目を通す。

 内容は至極単純。『制海権の回復のため、ル級を撃破せよ』。水雷戦隊や巡洋艦隊では手に余るような相手だと言うのに、簡単に言ってくれる。だが、今のパラオ泊地は懲罰艦隊も同然の立ち位置にある以上、やらねばならない。

 

「しかし、どうしたものか・・・・・・」

 

 戦艦に対抗するには、同じ戦艦をぶつけるしか無い。少々大時代的だが、現状はそれが無難だろう。そう考えて、先ほどの出撃には扶桑も出したのだが・・・・・・あろう事か、真っ先に大破したのが彼女だったのだ。

 報告によると、扶桑は有視界距離で。それも、発砲体勢を見ていたにもかかわらず、避ける素振りすらしなかったために主砲塔に被弾、戦闘不能になったという。

 現在急ピッチで修理と治療を進めさせてはいるが、投入には慎重にならざるを得ないだろう。だが、悪いことばかりでも無い。

 過日の失敗を受けて、戦力拡張のために新たな艦娘の転属を軍令部に要求していたのだが、それがようやく通ったと言う。近い内に一人、母艦型の艦娘が送り込まれるとのことらしい。

 これ以外にも、現在新たに水偵以外の航空機運用が可能な艦娘の建造を進めているので、それらを上手く使えば何とかなりそうだ。

 

「とにかく今は、戦力を整えることが重要か・・・・・・」

 

ふと、書類を整理する手を止め、窓の外に目をやる。

 眼下の演習区画では、麾下の艦娘達が猛特訓を繰り広げているのが見て取れた。

一部の者達は怪我の治療もそこそこに、少しでも多くの事を吸収しようと必死になっている。

 

「部下を死地へ行かせると言うのは、辛いものですよ、殿村閣下・・・・・・。今なら、そのお気持ちが理解できるような気がします」

 

ふと、国内勤務だった頃の上官の顔が、頭をよぎる。

 剃り込みを入れた五分刈り頭に、がっしりとした体つき。玄武岩の様な風格を備えたあの人は今、どうしているのやら・・・・・・。

 

「司令官さん、鳥海です。失礼します」

 

 不意に、ノックの音がしたので振り返ると、鳥海が書類を片手に入室してきた。

 

「入渠ドックから、扶桑さんが目を覚ましたとの報告が入りました。それから、艤装の方もまもなく修理が完了するそうです」

「そうか・・・・・・。了解した、後で様子を見に行く」

「それから、長月から伝言が」

「伝言?」

「はい。『重要な話がある』、だそうですが、どうしますか?」

 

 そう言えば、長月だけは出撃の意志をまだ表明していなかったか。

 軍人気質な感じがしたから、すぐに従うようにはなるかと思っていたが・・・・・・。存外思慮深いところがあるのだろうか?

 

「わかった。とにかく話を聞こう」

「放送で呼び出しましょうか?」

「いや、いい。自分で探しに行く」

 

 取り敢えず、こういうのは上官が出向くのが礼儀と言うものだろう。書類も丁度整理が終わったところなので、あいつが居着いていそうな所へ行くとするか。

 

 

――――――

 

 

「ここにいたか」

 

 心当たりも含めて、日暮れ近くまで彼方此方探し回った結果、ようやく長月が見つかった。

 

「・・・・・・できることなら、来て欲しくなかったがな」

 

彼女がいたのは泊地の敷地内、官舎の裏手にある小さな小屋だった。

 木製だが、それなりにしっかりとした作りのそれの中は暗く、明かりは蝋燭と、天井から下げられたランタンの光のみ。

 その蝋燭が置かれているひな壇らしき台の上には、何やら位牌のようなものが乗せられていた。

 

「それで、ここは一体・・・・・・?」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 自分のふとした質問に対し、何も答えない長月。そして手に持っていたマッチで蝋燭に火を灯すと、彼女は静かに語り始めた。

 

「ここは謂わば、霊廟みたいなものだ。お前が来る前にいた、御門司令官(ドグサレ)に殺された艦娘達のためのな」

 

 長月の話を聞きながら、すぐそばに置かれていた位牌の一つを見やる。刻まれていた名は、『戦艦・比叡』。どうやら、元々ここに所属していた艦娘達の物の様だ。

 

「比叡も愛宕も衣笠も、瑞鶴も大鷹も、狭霧も天霧も水無月もみんな死んでしまった。いや、今はどこか他の拠点で働いているかもしれないが、少なくとも、私の知る『アイツら』はもうこの世のどこにもいない。みんなアイツが殺したんだ」

 

 他の蝋燭にも火を灯しながら、そう話す彼女の背中は、小刻みに震えて見えた。決して長い付き合いというわけでは無いが、その姿を見るのは、少なくとも自分は初めてだ。

 

「本音を言ってしまえば、お前の最初の作戦指揮には、私も参加しようと思っていた。なのにどうして、実際にはサボタージュ。『指揮官なんて皆同じ』、なんていう子供じみた意地を張ってな」

 

 そう言って長月は、自身の過去を自虐的に語り始めた。意外だったのは彼女はいわゆる『回収組』と呼ばれる艦娘だったことだ。

 この『回収組』と言うのは戦没した場所で発見、保護された艦娘達のことで、現在。特に、多くの艦娘達が轟沈しているレイテ戦役や、かつての大東亜戦争最大の激戦、その再現と言われた第二次鉄底海峡攻防戦を経た今では珍しい存在だ。

 艦艇だったころに座礁し、そのまま敵艦載機による攻撃を受けて大破、放棄された彼女はその最期の地であったコロンバンガラ島の暗礁地帯にて米国の調査船団に保護され、日本の軍籍に加わっている。

 その際、最寄りの拠点であったラバウル基地に当初は配属されたとのことだ。

 

「海の底で眠らずに済んだのは、私も含めてほんの一握り。そう聞いていたから、これから加わるであろう仲間達のためにも、模範として行動しようとあの時は思っていたし、今でもそれは変わっていない。だが、『アイツ』の・・・・・・ラバウルにいた頃の同僚の所為で、私が積み上げてきたそれは無駄になった! 懲罰転属という形でな!」

「『同僚』? 一体誰なんだ?」

 

 彼女が先ほど発した、『ラバウルにいた頃の同僚』と言う言葉。それが気になった自分はそれを尋ねてみたが、直後に信じられない言葉が返ってきた。

 

「あいつは司令官を誑し込んで、自分がやってきたことをほぼ全部私に押し付けて、自身は何食わぬ顔をして人事異動で北方へトンズラ! 人間だったらどんなによかったことか・・・・・・!」

 

『人間だったら』・・・・・・? まさか、艦娘が不正を行っていたというのか・・・・・・!? もし長月の言っていたことが事実なら、これは由々しき事態だ。

 だが、彼女の口ぶりを見るに論拠はあっても証拠はないと言ったところだろうか。『(ほぞ)を噛む』と言う比喩表現があるが、今の長月はまさにそう言う思いなのだろう。

 

「・・・・・・それで、今でも恨んでいるのか、その人物のことは?」

「恨んでいない、と言えば嘘になるが、いつまでも一つのことにこだわっているほど、私は幼稚ではないさ。それに、霞や神通も認めたんだ。新入りも増えてきたし、いい加減決めないとな」

 

 そう言って自分に振り向く長月。

 

「改めて名乗らせてもらうよ。・・・・・・オホン。長月だ。駆逐艦と侮るなよ? 役に立つはずだ」

 

 そしてその幼い見た目に似合わず不敵に、力強く、その名を名乗り上げた。こちらこそ、今後ともよろしく頼む。頼りにしているぞ。 

 

 

――――――

 

 

 長月と別れた自分は、その足で入渠棟へと向かい、扶桑と面会していた。

 保住主任曰く、破損したのは艤装のみで本体にはそれほど傷が付いておらず、予想よりも早く復帰できそうとのことらしい。

 

「さて、と。詰問するような形になるが、一応聞いておく。報告によると避ける素振りすら見せなかったと言うが、本当か?」

「・・・・・・」

 

 そして今。自分はベッドにいる扶桑に、先の戦闘で取った行動について、問いかけている。しかし、それに対して彼女は何も答えなかった。

 ふむ・・・・・・。こういう駆け引きは苦手なのだが、苦手なりに一つカマをかけてみるか・・・・・・。

 

「・・・・・・では、質問を変えよう。被弾しすぎると、戦艦型の艦娘であっても轟沈は免れない。それは判っているはずだな? ならばなぜ、回避しなかった? いや、『ワザと(・・・)』被弾した?」

「・・・・・・っ!?」

 

 扶桑の表情が、途端に変化する。それこそ、例えるなら何年も暖めてきた構想を瞬時に看破されたがごとく。なるほど、図星という訳か・・・・・・。

 

「扶桑。お前の過去に何があり、そして何を理由として今回の行動に出たかは、あえて問わない。だが、この世のどこにも、部下の死を聞いて喜ぶ上司は存在しない。そのことを覚えておくことだ」

「て、提督大変ですっ!!」

 

 一通り話すことも話したので、病室から立ち去ろうとした、まさにその時だった。ドアを蹴破らんばかりの勢いで、五月雨が血相を変えて飛び込んできたのだ。

 

「どうした、騒々しい。艦娘にとって、ここは病院と同じだと教わらなかったのか」

「ごめんなさい・・・。で、でも緊急事態なんです!!」

 

 叱責は後でもできる。そう考えた自分は、とるもとりあえず内容を聞くことにした。

 

「南部仏印の製油所が、深海棲艦に襲われていると連絡が入ったんです!!」

 




どうも皆様、作者のレイキャシールです。今回は重要なお知らせが一つ。

当作品、『艦隊これくしょん~パラオより愛を込めて~』はこの更新よりタイトルを『名無しの英雄~パラオ艦隊戦記~』と改めさせていただきました。
内容などの変更は無いので、これからも応援よろしくお願いします。

感想、評価は何時でも万全の体制でお待ちしています。
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