名無しの英雄~パラオ艦隊戦記~   作:レイキャシール

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艦これアニメ。賛否両論こそありましたが、概ね良かったです。

特に最後の熱い展開は、嫌いじゃ無いです。

それと、今回は『ド』が付くほどのシリアスさんが大暴れしてます。

それでは、どうぞ。


第二章・第九話:沖ノ島、血に染めて・前編

 

 

 人類共通の、不倶戴天の敵、深海棲艦。

 彼らが坊の岬沖に突如現れ、呉の海で日本にその存在を知らしめてから、既に何年もの月日が経過していた。

 今でこそ、方々の前線拠点に艦娘を配置できるほどにまで潤ってはいるものの、かつては外海に出るのも困難であったと言う。

 その外海―沖ノ島の近辺にて。一隻の漁船が駆逐艦娘を伴って操業していた。

 

「お、大量大量、っと!」

「親方、すごいですね!」

「ああ。こうして漁が安心して出来るのも、海軍の人たちの、お陰ぜよ」

 

 丸太のように太い腕を動かし、漁師の老人は網を引き上げる。中に入っていたのは、今では珍しくなりつつある新鮮な魚介類ばかりだ。

 彼の言うとおり、艦娘と各国の海軍の努力により、こうして漁船が沖に出ることも可能となったのである。流石に護衛無しとは行かないが、それでも旧式の駆逐艦娘が一人付く程度。当初と比べれば、だいぶ気楽だった。

 

「じゃ、漁師の特権、やるか?」

「やりましょう! 波風ちゃんも、こっちへ来て休憩しよう!」

「はっ、はい!」

 

 弟子の若者に手招きされ、漁船へと乗り込む空色の髪の艦娘―波風。睦月型よりも古い、峯風型の一人である彼女の任務は、こうして沖に出る漁船や連絡船の護衛だった。

 決して花形とは言えないが、護るべき人々との距離が近いこの仕事を、彼女は気に入っていた。

 

「やはり捕れたての(びんび)は、刺身(なま)に限るぜよ」

「ホントだ、美味しい・・・・・・!」

「はっはっは、だろう?」

 

 老漁師が捌いた魚を一口食べて、感嘆とした声を出す波風。

 見渡す限り真っ青な、何も無い海の上。三人の談笑が響く中でその様子を上空からうかがう影が一つ。その影は、翼を翻すと、元来た道を辿って飛び去っていった。

 そして、一隻の漁船と一人の艦娘が行方不明になったことが、沖縄宜野湾警備府を経由して佐世保鎮守府に伝えられるのは、それからしばらく経った後であった・・・・・・。

 

 

――――――

 

 

「今すぐにでも、大規模な艦隊を送り込むべきだ!!」

 

 日本のどこかにある、海軍軍令部。その中にある会議室に、一人の参謀の声が響き渡る。議題は言わずもがな、沖ノ島の一件だ。

 

「しかしこれは、まったくもって予想外でしたな。あんな近くに、奴らの根城を作られるとは・・・・・・」

「全くもって。予想が付かん以上、しらみつぶしにして行くしか、あるまいて?」

 

 報せられた一報を受け、佐世保鎮守府では駆逐隊二個を調査へ向かわせたのだが、その駆逐隊も過半数が轟沈。残りも無傷では帰ってこれずと言う大きな被害を被っていた。

 

「まあ、何にせよ、です」

 

 席の一つに座っていた、一人の男がそう言ってその場を遮った。

 年かさは、三十路半ばと言った所だろうか。黒髪を武芸者の様に一本に結わえているが、身だしなみに無頓着というわけでも無く、綺麗に手入れされているようにも見える。

 

「村田少将、貴官も何か言いたいことがあるのかね?」

「ええ、芝富参謀長閣下。発言のご許可を願います」

「・・・・・・良いだろう、言ってみろ」

 

 そう言って彼―村田少将は、椅子から立ち上がって自分の考えを述べ始める。

 

「少なくとも言えることは、敵は駆逐隊程度では太刀打ち出来ない規模と見てしかるべきでしょう。ですが結局は数ばかりの烏合の衆、恐るるに足りません」

 

大仰な身振りを交えながら、更に彼は続ける。

 

「生き残りの証言に寄れば、艦載機による波状攻撃を受けたと言います。私の計算が正しければ、三個艦隊。護衛艦三隻も付ければ、十分かと」

「しかし、そうするとなると相応の精鋭を差し向ける必要があるぞ」

 

 そう言って、村田少将に対し、芝富参謀長の隣に座る将官が意見する。手入れの行き届いたカイゼルひげが目を引くが、同時に頭頂部はやや寂しいことになっている。だがそれが逆に、その者の威厳を示す手助けになっていた。

 

「紅禄中将は、何かお考えでも?」

 

村田少将の問いかけに、紅禄中将は極めて理性的な判断を交えて答える。

 

「以前、第四十四戦隊が戦艦ル級と遭遇したときのように、今回も新種の深海棲艦が現れる可能性も充分にあり得る。レイテ戦役で雷巡チ級や重巡リ級、空母ヌ級が現れた時と同様に、奴らも常に進化しているのだ」

 

 彼のこの発言に、議場はどよめく。今でこそ現在の戦線を構築、維持出来るほどにまで連合艦隊は再建は進んではいる。

 しかし現実には、個々の提督の力量によって、戦果の軽重や寡多に差が出ているのが現状だ。下手を打てば、投入した艦隊が壊滅し、その分の戦力がごっそりと抜け落ちる危険性も孕んでいるのである。

 

「となると、海外の連中では厳しい物があるだろうな・・・・・・」

「―沖ノ島となると、第十艦隊か、第十二艦隊でしょうか・・・・・・―」

「だが、万一彼らが負ければ―」

「各拠点から艦娘を選抜してみては?」

「いや、時間が掛かりすぎる。物理的にも現実的ではなかろう」

 

 それが呼び水となって、今度は議論の声が飛び交い始める議場。種々の意見が交わされていく中で意見がまとまったらしく、秘書を務めている女性士官が芝富参謀長にその結果を伝える。

 そして彼は、重々しい低音の口調でそれを発表した。

 

「佐世保から、第十八戦隊と第二十戦隊。宿毛湾から第十七戦隊を向かわせよう。二桁艦隊には及ばないが、彼らほどの艦隊なら出来るだろう」

「宿毛湾の第十七戦隊と言うことは・・・・・・『殿村戦闘艦隊』か。これは頼もしい限りだ!」

「他にも、第十八戦隊の米沢少将は攻勢に定評があるし、第二十戦隊の丸川大佐は航空戦に造詣が深い。完璧な布陣だな!」

「では、詳細な擦り合わせは各戦隊に任せ、一度司令官を招喚してから正式に通達するとしよう。では、解散」

 

 会議が終わり、将校達は議場を後にする。作戦の規模や目的によっては、この後御前会議に掛けられるのだが、今回はそれほどの物では無いらしく、そのまま艦隊へと伝えられることになっている。

 

「くっくっくっく・・・・・・!」

 

 人気が無くなり、がらんどうとなった議場にて一人。村田少将はほくそ笑んでいた。その手には、偵察機によって撮られたと思われる一枚の写真が。

 写っているのは、ヌ級の体の様にも見える。だが、そこに手足は無く、代わりに『人間がくっついていた』。

 

「せいぜい足掻きなさい。この戦いの先も知らずに・・・・・・! くっくっくっく・・・・・・!」

 

 

――――――――

 

 

 宿毛湾泊地。四国の西端、高知県の宿毛湾に設けられたこの拠点は、『鎮守府に最も近い泊地』と言われている。

 地理的に見ても、佐世保と呉の中間地点にあり、そこから鳴門海峡経由で日本海へと抜ければ舞鶴へ。そのまま黒潮に乗って東へ向かえば、横須賀へと直行出来るため、特別に重要度の高い泊地であると言えた。

 その宿毛湾泊地の港湾施設に停泊している、護衛艦『蘭銅(らんどう)』の機動甲板にて。一人の士官が紫煙をくゆらせていた。

 体の線は太く、そこから来るがっしりとした体つきと玄武岩のような風格とが相まって、独特の重厚さが現れている。

 

「あら、やっぱりここにいらっしゃったんですのね」

 

その彼に近づく、一人の艦娘が。

 まず、襟元から覗くオレンジ色のスカーフと、日の光を反射して輝く黄褐色の髪。そして、灰色の双眸が目を引く。身にまとっている戦闘装束が、焦げ茶色の上着に黄土色のスカーフと全体的に暗い色合いの中で、それらとの対比が丁度良い塩梅(あんばい)となって、まるで西洋人形の様な美しさが感じられる風貌だ。

 

「おお、熊野か。どうした、何かあったのか?」

「軍令部から提督にお手紙ですわ。例の、沖ノ島での一件ですの」

 

 そう言って彼女―最上型重巡四番艦の熊野は、手に持っていた書類を士官に手渡した。彼はそれを受け取ると、早速ページをめくりながら中身に目を通す。

 

「聞いた話では、新種の深海棲艦が現れたと言う未確認情報もあるらしいですし、上も慎重になっているんでしょうね」

「やれやれ、パラオ経由で迂回して行けとは、随分と面倒なことを言いやがる」

「そう言っている割には、存外嬉しそうですわね。提督?」

 

 そう言って、彼の顔をのぞき込んでくる熊野。当の本人は、厳格そうな顔を思わずほころばせていた。

 

「お前と鈴谷が来る前、有能だが生意気で可愛げの無い部下がいてな。そいつが今の、パラオの司令官様だそうだ」

 

 

☆★★☆

 

 

「服装・・・・・・良し。掃除・・・・・・良し。後は・・・・・・」

 

 みなさん、おはようございます。初霜です。今日は朝から、提督はとてもお忙しそうにしています。

 私達の指揮を執るようになってからこの方、一カ所に留まり続けることはそう多くはありませんでしたが、今回はいつにも増して動き回っている。と言うより、ソワソワしていると表現するべきでしょうか・・・・・・? とにかく、いつもと様子が違っていました。

 

「失礼します。提督、お見えになりました」

「ああ、お通ししろ」

「判りました。どうぞ、お入りください」

 

 入室してきた扶桑さんに促され、三人の軍人が執務室へと入ってくる。真ん中の少将さんが、この中での中心人物なのでしょうか? まるで、岩を切り出したようなごつごつとした風体の人です。

 

「遠路、お疲れ様です。パラオ泊地司令官兼、第四十四戦隊司令官の東郷徹心です」

「第十八戦隊の米沢だ。よろしく頼む」

「第二十戦隊、指揮官の丸川です。よろしく」

 

 顎ひげを生やしている方―米沢少将と、眼鏡を掛けている方―丸川大佐が自己紹介をされる中で、一人。さっきのごつごつとした方がニヤニヤしながら提督と握手を求めてきました。

 

「久しぶりだな、東郷。随分偉くなったようじゃ無いか」

「殿村閣下も、お元気そうで何よりです」

「提督、ご存じなのですか?」

「ああ。昔の上官だ」

 

 聞くところによると、その方―殿村少将は、提督がここへ転属するよりも前、国内で艦隊の作戦参謀として勤務されていたころに、その艦隊の指揮官をされていたそうです。

 

「まあ、不運にも戦闘中に蘭銅が被弾しちまってよ。それで俺が怪我の手当をしてもらっている間に、臨時で指揮を預けたわけだ。そしたらこいつ、俺よりも的確でえげつない指揮を執ってやがる。あの時、俺は確信したな。こいつは将来、連合艦隊を背負って立つと」

「あれは当然のことをしただけです。殿村閣下が自分を『信頼』なさってくれたので、それに答えたまでで・・・・・・」

 

 そのことを含めた昔話を、殿村少将は嬉々としてお話され、提督は時折赤面していました。

 着任されたから今日まで、仏頂面ばかり見てきましたけど、ああいう表情も出来るんですね。ちょっと、意外です。

 

「それよりも閣下、そろそろ本題に入った方がよろしいのでは? 我々も、物見遊山でここへ来たのではありませんし」

「そうだな。東郷、沖ノ島の一件は聞いているか?」

「ええ。調査に向かわせた駆逐隊が大きな被害を受けた、と言う話しでしたか」

「それだけ聞いていれば話は早いです。ここからは、僕が説明しましょう」

 

 丸川大佐はそう言って、眼鏡のずれを直しながら説明を始めました。

 所々に、聞き慣れない単語もありましたが、それ以上に『未確認の深海棲艦がいるかもしれない』と言う話しに入ると、提督のお顔は途端に引き締まった物に変化していました。

 

「現状としては、このパラオを経由し、迂回するように沖ノ島へと仕掛けます。今回の寄港は、その中間休憩というものです」

「判りました。こちらからも、できる限りの事をいたしましょう」

「それには及ばんよ。本来なら、貴艦隊の所属は第二艦隊だ。気持ちだけ受け取らせてもらう」

 

 そう言って、米沢少将は提督のお気遣いを固辞されました。寡黙なお方ですが、意外と、悪い人では無いのかもしれませんね。

 その後は簡単な整備や補給関連のお話を経て、提督方の会議は終了となりました。

皆さんが発たれるのは、明日の朝になることも。

 だけどこの時は、まだ私も、提督も知りませんでした。この会談が、今生の別れになるだなんて・・・・・・。

 

 

☆★★☆

 

 

 殿村閣下ら、沖ノ島攻撃艦隊がパラオへと寄港したその日の夜。ささやかではあるが、泊地の食堂はちょっとした宴会場の様相を示しつつあった。

 艦娘達も艦娘達で、中には友人や姉妹艦と語らう者や、初対面にも関わらず直ぐに意気投合している者もいる。酒という物の力は、計り知れないものだな。

 

「隣、良いか?」

 

 ふと横を見ると、そこには清酒の一升瓶を小脇に抱えた殿村閣下の姿が。

 顔は紅潮しており、いつもの厳格な表情も完全に弛緩してしまっている。すっかり出来上がっている様だ。

 

「こう言う時に輪からフラーッと離れて、傍観しているのは相変わらずだな」

「すいません。あまり呑めないものでして・・・・・・」

「いや何、気にすんな。下戸に無理に呑ませるほど、俺は鬼じゃ無い」

「・・・・・・感謝します」

「で、だ・・・・・・」

 

 そう言って彼は、湯飲みに入れられた酒を流し込んで自分に問うて来た。

 

「誰が好みなんだ? ん?」

「・・・・・・ッホォッ!?」

 

 閣下のこの質問の意味がわかった途端。驚きのあまり、飲んでいたお茶を思わず噴き出した上にむせかえってしまう。

 いっ、今のはどういう意図があって・・・・・・!?

 

「いや、何。艦娘は綺麗どころが多いからな。仏の扶桑は絵に描いたような美人だし、足柄嬢はモダンで先進的。あの神通ってのもなかなかどうして、尽くしてくれそうじゃないか。それともあれか? 五月雨の嬢ちゃんか?」

「そっ、そんな事は考えておりませんっ!」

 

 第一、彼女達に対して劣情を抱いてしまっては、指揮に支障が出る恐れがあるし、何より・・・・・・

 

「誰か一人を特別扱いすることは、できませんから」

「・・・・・・そうだな。良くも悪くも、お前さんはそう言う男だったな」

「性分ですので」

「まあ良い。それよりも東郷、お前に紹介しておこうか。実は新しい艦娘を預けられてな」

「新しい艦娘を?」

 

 珍しい事もあるものだ。殿村閣下が指揮する第十七戦隊は、少数精鋭で知られている。

 航空戦艦の伊勢と、軽空母龍鳳を筆頭に、軽巡洋艦川内率いる水雷戦隊を加えた布陣をさらに厚くさせるおつもりなのだろうか・・・・・・?

 

「筑摩は知ってるか? 利根型の」

「ええ。有能な艦娘でしたが、彼女と何か関係があるのですか?」

「この前、近海に現れた深海棲艦(れんちゅう)を追っ払った手柄で、横須賀へ栄転して行ったよ。それと入れ替わりに二人、送られて来たわけだ」

「なるほど。二桁艦隊ほどではないにしても、精強な部隊から艦娘を引き抜いた以上、そうしなければ筋が通らないと、上は考えた訳ですね」

「まあ、悪く言えばそうなるな。おーい、熊野ー! 鈴谷ー! ちょっと来てくれー!!」

 

 そう言って閣下が手招きすると、中央付近から二人の艦娘が歩いてきた。

 一人は、千草色の髪を肩まで伸ばしており、ぱっちりとした目鼻立ちと相まって、若々しい容姿になっている。

 もう一人は、黄褐色の髪を後頭部で一纏めにしているが、長さは一人目と比べて長そうに見える。

 服装は二人とも、焦げ茶色の上着に黄土色のスカート、オレンジ色のスカーフというお揃いの物だった。

 

「何、提督~?」

「一体何用ですの? この熊野を猫のように呼び立てるだなんて?」

 

 黄褐色の髪の艦娘が熊野と名乗ったので、恐らくは千草色の方は鈴谷だろう。となると、この二人が例の艦娘なのか。

 

「以前話した事もあると思うが、こいつが東郷徹心。お前達が来る前に所属していた、有能で小生意気で可愛げの無い作戦参謀だった奴だ」

「へぇ、この人がね・・・・・・。鈴谷だよ、よろしくね!」

「ごきげんよう、熊野ですわ」

「東郷徹心だ。よろしく頼む。それよりも閣下、自分の事をどう説明していたのですか?」

「事実じゃねぇか。江田島を主席で出てきたって聞いて、どんな奴かと思ったら、とんでもない跳ねっ返りだったからな。そのくせ数字は良いから質が悪い」

「はぁ・・・・・・」

 

 駄目だ、どうもこの人には勝てない。加えて今は酒の席。酔いの勢いもあって、普段以上に、戦況はこちらの不利だ。こう言うときは・・・・・・

 

「少し、外の風に当たってきます」

「おう。海に落ちるなよ?」

 

逃げるに限る。

 

 

☆★★☆

 

 

「やれやれ、行っちまったか・・・・・・」

 

 俺―殿村丈一郎にとって、アイツ―東郷徹心は最初から普通じゃなかった。

 あの時は、江田島を出てからまだ三年足らずの若造だと思っていたことを抜きにしてもだ。実際に蓋を開けてみればそれは間違いだと気付かされた。

 豊富な知識と柔軟な思考。そして何より、時には意表も突いてくる思いきりの良さ。どれを取っても、同い年の他の新米とは全く違っていた。

 あの時の戦闘で、俺の艦隊も終わりかと思っていたが、アイツは奇跡的に犠牲者を出さなかっただけでなく、深海棲艦共に大損害を与えて追い払ったことが、その証左だ。

 

「提督。東郷中佐は、一体どんな人でしたの?」

「あっ、それ鈴谷も気になる気になる~!」

「ったく、しょうが無いな。俺が話していた事は、アイツには内緒で頼むぜ?」

 

 それ以外にも、俺は熊野と鈴谷に、知っている限りの事を話した。反応は二者二様だったが、二人ともまるで子供の様に聞き入っていた。

 

「鈴谷、熊野」

「何々?」

「何ですの?」

 

 この二人もそうだが、伊勢も龍鳳も。川内も駆逐隊の連中も。もしもの時は、戦果なんてどうでも良い。その時は・・・・・・

 

「東郷徹心を頼れ。アイツなら、何とかしてくれる」

「もぅ何さ、急に? まるで一生会えなくなるような事言っちゃってさ」

「鈴谷! 縁起でも無いことを言わないで!」

「はっはっは! 心配するな! いざとなったら、髑髏(しゃれこうべ)になってでも戻って来てやんよ!!」

「のっ、呪わないでくださいます!?」

「熊野は恐がりだな~」

 

 『生き残って欲しい』。それが、指揮官としての率直な気持ちだ。だからこそ、この作戦は気合いを入れて行かないとな・・・・・・!

 

 

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