名無しの英雄~パラオ艦隊戦記~   作:レイキャシール

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青葉「二次創作界隈での、キャラ付けについて、一言お願いします!」

足柄「私って、そんなに老けて見えるの?」

扶桑「不幸だ不幸だ言っているのは、私じゃなくて山城の方なのに・・・・・・」

赤城「私が大食らい!? それに見合った成果は上げてますよ!!」


(※前書きはこんなのですが、今日はシリアス成分多め&ショッキングなシーン付きです。ご注意ください)


第五話:演習

☆★★☆

 

 

 徹心がパラオに着任してから、既に一ヶ月。

 時々軍令部から届く任務や遠征指令をこなす傍ら、泊地の施設も修繕の手が加えられ、さらに新しい仲間―名取が加入したことで拠点としても艦隊としても、それなりの体裁が整いつつあった。そんなある日のことだった。

 

「演習、ですか?」

「ええ、その通りですわ」

 

彼の元に、タウイタウイ泊地からの来客が会ったのは。

 その人物は、一言で言うなら、「女」だった。

 徹心と同じ、白い詰め襟の制服に身を包み、艶のある黒髪を腰の辺りまで伸ばした美女。細い眉と切れ長の瞳も、その美しさを際立たせている。事実、彼の傍らに立つ名取が一瞬見とれてしまうくらいには。

 

「しかしですね、風祭中佐。自分の艦隊はまだ戦力が十全では・・・・・・」

「では、お互い水雷戦隊で、というのはどうでしょうか? それなら、保有艦娘の差は関係ないでしょう」

「・・・・・・わかりました、その条件でしたら」

「了承して頂いて、感謝しますわ。では、手続きが終わり次第・・・・・・そうですね、二週間後にまた連絡しますわね」

 

 その後、二つ三つ事務的なやり取りを終え、風祭中佐は執務室を後にした。

 

 

――――――

 

 

「で、安請け合いしたわけ?」

 

 その日の夕方。食堂で偶々霞と神通と相席していた徹心がこのことを話すと、霞の顔が不機嫌な色に染まる。

 

「時期的に見ても、必要だと判断したまでだ。五月雨達にも了承はとってある」

「なら良いけどさ」

「なので、今日はその対策を練ろうと思っている。意見があれば、忌憚なくいってくれ」

「それにしても、風祭提督の艦隊ですか・・・・・・。懐かしいですね」

「神通は彼女のことを知っているのか?」

「はい。元々、タウイタウイにいましたから」

「ふむ・・・・・・神通は、なぜここに?」

「艦娘の収容が一杯一杯になった影響で、こちらに来ました。多分ですけど、杜宇子さん、ああ、風祭提督のことです。その人の擁する水雷戦隊には、今は別の子がいると思います。ただ、基本的なことは変わらないはずです」

「ふむ・・・・・・。となると、中核となるのは知り合いか?」

「私と同じ、軽巡洋艦の北上さんだと思います。ただ、風祭提督は気まぐれな人ですから」

「あまり当てには出来そうに無いか・・・・・・。わかった、このことはまた明日、改めて話し合おう」

「わかりました」

「了解よ」

 

 

★☆☆★

 

 

「演習、か・・・・・・」

 

 私、神通にとってはこの単語自体、懐かしい響き。

 私がここに転属することが決まったときの、杜宇子さんの申し訳なさそうな顔は、今でもはっきりと思い出せる。同時に、覚えていたくない思い出も・・・・・・。

 

 

――――――

 

 

「川内型軽巡洋艦、二番艦の神通です。あの、よろしくお願いします」

「うむ。儂のため、帝国の未来のために、その力を振るってくれ」

「はい。微力ながら、お手伝いさせていただきます」

 

 私がここに転属してきたのは、今から3年前。先々任の興田提督の代でした。この頃はまだ、戦艦型の艦娘もいる、比較的大規模な拠点だったことを覚えています。

 私自身は軽巡洋艦だったので、主力として出ることは少なかったですが、水雷戦隊の一員として相応に戦果を上げてきました。

 そして、配属から二年。その提督は無事、定年を迎えられ、新しい提督が着任される日が来ました。

 その日から、私達の日々は・・・・・・地獄に変わってしまいました。

 

「また失敗か。使えない連中だな」

「はい・・・・・・申し訳ありません」

「言い訳はいらん。次からは貴様は控えに回す。良いな?」

「・・・・・・了解しました」

 

 新任の御門提督はとても厳しく、いつも私達に辛く当たっています。出撃した先輩方も、多くは轟沈。辛うじて帰ってきた人も、ろくに修理と補給が出来ずに再出撃させられ、そのまま何人かは帰らぬ人。

 そして今日・・・・・・

 

「衣笠さんが・・・・・・?」

「はいっ・・・・・・私を庇って・・・・・・撃たれて・・・・・・えぐっ・・・・・・」

 

最後の重巡洋艦娘だった衣笠さんが、五月雨ちゃんの目の前で轟沈した。

 もうここに、彼女以上の艦娘はいない。比叡さんも瑞鶴さんも、愛宕さんも、私が来たときに着任していた人達は、ほとんどが死んでしまった。

 人から聞いた話ですが、艦娘達は死んでもどこか別の拠点でまた建造され、再び任務に戻るとのことです。だけど、『私達と過ごしたあの人達』は、殆どの場合戻ってこない。これだけは、逃れようのない事実です。

 そんなある日のことでした。私の心と体に、大きな傷を付けた事件が起きたのは・・・・・・。

 

 

――――――

 

 

 事の発端は、私が提督の執務室をお掃除していた時のことでした。

 

「・・・・・・?」

 

それは、目をこらさなければ見えないような、ほんの些細な違和感。

 本棚に収められた本と本の間に、封筒が挟まっているのを見つけたのは、その時でした。

 それを手に取る私。特に封がしている訳ではない、ごく普通の茶封筒。振ってみると何かが入っているようです。

 本来であれば、これはそのまま戻すべきでしょう。けど私は、好奇心に負けて中身を出して机の上に広げてしまいました。

 中に入っていたのは写真でした。それも、ただの写真では無く・・・・・・

 

「そんな・・・・・・こ、これって・・・・・・!」

 

 艦娘達の、あられもない姿の写真。男の人に組み伏せられて、されるがままにされている写真。共に写っている人はまさか・・・・・・

 

「提督・・・・・・?」

「見てしまったか、お前も」

「っ・・・・・・!?」

 

 不意に声が聞こえたので咄嗟に一枚懐に入れ、そちらを振り返ると、そこには御門提督が。

 

「提督・・・・・・この写真は、どういうことですか!?」

「どういうこと、とは・・・・・・?」

「とぼけないでください! どう見てもこれは・・・・・・」

「そうか・・・・・・お前、『疲れているな?』」

「えっ・・・・・・?」

 

 そう言いつつ、近づいてくる御門提督。逃げることもできたはずなのに、異常な威圧感のせいで動けませんでした。

 

「『ここの所出撃がかさんで、ろくに休めていないだろうからな』」

「で、ですが・・・・・・」

「『丁度良い、俺が解してやろう。じっとしていろ、手元が狂うと変に痛いからな』」

「や、やめっ・・・・・・いやっ!」

 

 手首を掴まれて、執務机に押し倒されて・・・・・・。そこから先は、覚えていません。

 私を介抱してくれた保住さんの話によれば、その場には誰もいなくなっていて、執務机の下に私の上着が落ちていたとのことです。ただ、あの時私がどうなっていたのかまでは、結局教えてくれませんでした。

 その日からほどなくして、御門提督はここの司令官の任を解かれたと聞いています。

 今の東郷提督が後任として着任してきたのは、それから三ヶ月後でした。最初と二度目の出撃には、私は参加していませんでしたが、響ちゃんの話では決して無能ではないとのことです。

 そして今日の昼頃に持ちかけられたと言う演習の話。私も、そろそろ動くべきでしょうか・・・・・・。

 

 

☆★★☆

 

 

 その日の夕方。次の演習に備えるべく、徹心は泊地に所属している艦娘全員を会議室に集まらせた。

 

「ではこれより、二週間後に控えた、対タウイタウイ泊地風祭艦隊水雷戦隊との演習対策会議を行う」

 

 そう言って、黒板に演習海域の見取り図と、主戦力として予想される艦娘の写真を貼り付けていく彼。その中には、神通の話していた北上のそれもあった。

 

「現段階で最も危険度が高いと思われるのは、軽巡型の北上だ。彼女の事は、自分よりも神通の方がよく知っている。では神通、頼む」

「はい。それと提督、その演習ですけど、私も行かせてください」

「一応聞くが、理由は?」

「今はまだ・・・・・・。ですが、必ず話します」

 

 普段よりもいっそう不安げな表情で話す神通。

 

「・・・・・・わかった。君の判断を尊重しよう」

「ありがとうございます。それでは、北上さんについて私の知っていることを説明させてもらいます」

 

了承を得られたことで、彼女は安堵の表情を浮かべる。そして資料を黒板に貼り付け、改めて説明を始めた。

 

「北上さんは、知っている人もいると思いますが、球磨型軽巡洋艦三番艦として記録されている艦娘で、私がタウイタウイにいた頃、よくコンビを組んで出撃していました。砲撃の精度はそれほど高くありませんが、雷撃戦では泊地内で一番の戦果を上げていたことから見ても、かなりのものです」

「となると、長期戦は不利ね。下手に夜戦に持ち込まれたらこっちの身が危ういわ」

「でも、軽巡をすぐに行動不能に出来るほどの艦娘となると、最低も重巡洋艦クラスでないと・・・・・・」

 

 その神通の説明を聞いて、霞が簡潔に注意点を板書してみせる。確かに、水雷戦隊は夜戦を最も得意としており、もし北上の能力が神通の説明した通りのものなら侮れない戦力となるだろう。

 しかし、五月雨の述べた不安要素も無視できない。現状で一番火力があるのは同じ軽巡のの中でも唯一、20.7サンチ連装砲を装備している多摩だけ。名取の14サンチ砲や神通の15.5サンチ三連装主砲では厳しいものがあるのも事実だ。

 

「さて、五月雨が先ほども言ってくれたが、短期決戦に持ち込むには強力な主砲を装備でき、かつそれを十全に運用できるだけの馬力のある艦娘が必要だ。保住主任も言っていたぞ、『反動がきつい所為で、多摩の艤装の整備は骨が折れる』と」

「・・・・・・面目ないにゃ・・・・・・」

「とにかく、無理はするなよ。ともあれ、それについては自分に考えがある。会議の始まる前に、工廠へ建造を依頼してきた」

「と言うことは・・・・・・」

「ああ。資材をいつもより多めに投入した上で、“中口径主砲の砲身”を触媒にしている。期待できるはずだ。では、それを見据えた作戦について・・・・・・」

「失礼します。司令官、建造が完了しましたよ」

「丁度良かった。今、その話をしていたところだ。では、皆で出迎えるとしよう」

 

 徹心が続けようとしたところで、建造完了の報を届けに夢穂が現れたので、工廠へと移動する徹心達。

 再び訪れた建造スペースには、既に起き上がった状態で件の艦娘が待ち構えていた。

 袖の膨らんだ紫紺の上着に、黒い短めのスカート。髪の毛はややクセのついた茶色のロングヘアーと比較的暗い色合いの中で、上着にあしらわれた白い丸襟、手足を覆う同色のタイツと長手袋が互いを引き立て合っている。

 スラリとした長身も、駆逐艦や軽巡型の艦娘とは明らかに違う風格を醸し出していた。

 

「あら、珍しい。お出迎えかしら?」

 

 そう言って、徹心へと歩み寄る彼女。上級の艦娘らしく、歩く姿も様になっている。

 

「妙高型重巡洋艦姉妹の三番目、足柄よ。砲雷撃戦が得意なの。フフッ・・・・・・よろしくね」

「丁度、必要だと思っていた所だからな。改めて、ようこそパラオ泊地へ。自分は東郷徹心、ここの司令官をしている」

「パラオ・・・・・・ああ、例の『寄せ集め』ね。でも安心して、私がここに来たからには、勝利に導いてみせるわ!」

 

『寄せ集め』。言い方は悪いが、これが現在のパラオ泊地の現状だ。

 これは、徹心が後から知り得たことだが、今パラオに所属している艦娘達は霞以外はほぼ全員が別の拠点から転属してきた者達ばかりだった。

 一例を挙げるなら、五月雨は元大湊警備府所属。長月と如月はラバウルから懲罰として配置転換されてきており、響は所属する艦隊が壊滅的な打撃を受け、巡り巡ってここへ来たと言う。

 

「『寄せ集め』って・・・・・・アンタねぇっ!」

「あら? 事実じゃないの。今や艦娘はどこも引っ張りだこ、規律違反犯す子なんて、そうそういないでしょう? で、苦肉の策でいらん子ばかりが集まった、と言ったところかしら?」

「このっ・・・・・・重巡だからって・・・・・・!!」

「よせ、霞」

「けどっ・・・・・・!!」

 

 喧嘩腰になる足柄と霞を制し、徹心は続ける。

 

「確かに、ここは寄せ集めかもしれない。だが、それも終わりだ。自分がこの泊地を、かつての頃に。精鋭部隊であった頃と同じ。否、それ以上の拠点にしてみせる」

「・・・・・・ふぅん。なるほど、ね。だったら、さっきの発言だけど改めさせてもらうわ・・・・・・。私も一緒に(・ ・ ・)、勝利へと導いてあげる!」

「ああ、頼りにしているぞ」

 

 そう言って、笑顔で答えた足柄。彼の目には、彼女のそれがとても頼もしく写っていた。

 タウイタウイ泊地艦隊との演習まで・・・・・・あと、十三日。

 




「じゃあ、始めましょうか」

「付いてこれる?」

「まあ、基本、雷撃だよねー」

「おっそーい!」

「油断しましたね・・・・・・」

第六話、「俊足対神速」。速さの女神は、だが為に微笑む。
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