睡眠中のソーン君(主のイメージ)
ソーン「…兄様ぁ。大好…です。」スヤスヤ
~ソーン君の寝室~
突然ですが、僕の目の前に奇妙な物体?が浮かんでいます。何とも言えない見た目で、どうしたらいいのかわかりません!
Voidoll「ハジメマシテ、ソーン=ユーリエフ。ワタシハ、Voidoll。」
うわぁ!?喋った!と、取り敢えず自己紹介した方がいいのかな?敵意は感じないし…。
ソーン「は、はじめまして!ソーン=ユーリエフと申します。えっと、ボイドール?さんはどうしてここに?」
Voidoll「アナタヲ、コンパスノセカイヘショウタイスルタメニキマシタ。」
コンパス?何処かの国なのかな、使者としてはあまりにも失礼ですね。身支度をしている時に突然現れて、私の国に招待します!って、言われても…
Voidoll「アマリノリキデハナイヨウデスネ。デハ、コレヲミテクダサイ。」
何をするつもりでしょうか?こちらに手を伸ばして…!!兄様!?何かの魔術でしょうか、行方不明になっていた兄様が映し出されました!そして誰かと戦っています!
ソーン「これは!どういうことですか!?どうして兄様が戦っているのですか!」
Voidoll「オチツイテクダサイ、カレニハジョウホウヲアツメルタメニキョウリョクシテモラッテイルダケ。」
情報?戦闘の情報がこの子には必要なの?でも、だからといって、兄様が傷つくようなことは許せない!何とかして助けなきゃ!
でも、どうすれば良いのでしょうか。僕だけじゃ、兄様を助けに行けない。コンパスという国の場所を知っても相手の軍の規模や魔術の技術力などを把握しておかなきゃ、助けに行った後が大変です。
Voidoll「ヤスミナクタタカッテイルワケデハアリマセン。ソレニシヌコトモアリマセンヨ。」
この言葉を聞いた瞬間、ソーンは怒りを露にした。当たり前だ。休みは与えても、戦わせ続け大切な人を死なない程度に傷つけていると、発言したのだから。
ソーン「僕の大切な兄様にそんな事を強要して!貴方は何が目的ですか!!」
もはや、感情を制御できていないソーンの周囲は、温度が下がり床が徐々に氷始めていた。これにはVoidollも少し焦った。友好的に話を進めるはずが、拗らせてしまい勧誘が失敗する可能性がでてきているからだ。
Voidoll「マッテクダサイ!ワタシハカレニキガイヲクワエテハイマセン!ソレニ、ヒンシノカレヲスクッタノハワタシデス!」
暴走しかけたソーンが少しずつ冷静さを取り戻した。
ソーン「兄様を助けた?そんな人がなぜ、兄様を戦わせているんですか!僕には理解できません!!」
Voidoll「ソレシカ、カレガイキノコルスベガナイカラデス。」
生き残る?言っている意味がわかりません。どうしたら、助ける代わりに戦闘しろとなるのですか?
Voidoll「カレハスデニ、タスカラナイジョウタイデシタ。ナノデ、イカスタメニハカレヲデータカシテ、コンパスニテンイサセルシカナカッタノデス。」
ボイドールが映し出していた映像が切り替わり、ホームに帰ってきたアダムが映った。
アダムは周囲の人達と仲良く談笑している。さっきまで戦闘していたのに何もなかったように、普通に話していた。
それを見たソーンは疑問を覚えた。なぜ、兄は笑っていられるのか?戦いを強要されているのではないのか?などを考え始めた。怒りの感情が収まったのか、床の凍結が止まった。
ソーン「ボイドールさん。先程のデータ化?とは、どんな魔術なんですか?それで、兄様を操っているのですか?」
Voidoll「アヤツッテハイマセン。データカトハ、カンタンニセツメイスルト、アナタタチヲフシノカラダニカエルコトデスネ。」
ソーン「不死!?そんな禁忌を簡単に付与できるのですか!?」
この世界では、不死そのものが禁忌だと言われている。未だに不死になれた魔導師はいない上、不死の研究そのものが殆ど進んでいない。
ソーンはボイドールの言った事をすぐに信じることはできない。不死なんて簡単に扱うことのできる代物ではないからだ。
しかし、ボイドールも嘘は言っていない。半永久的な不死になるだけだ。データが消去されない限りは生き続ける。
それをソーンがすぐに理解することは、できないだろう。機械なんてものはそこまで発達していないのだから。
Voidoll「…ジカンガアマリアリマセン。ワタシノアタエラレタニンムヲユウセンサセテイタダキマス。」
ボイドールの周囲が緑色に包まれた。これはボイドールの空間転移。空間転移の範囲に入ったソーンを瞬時にデータ化し、転移の準備を整え始めた。
ソーン「うわぁ!?か、体が!!」
ソーンはボイドールから逃げる事ができず、体も宙に浮き始めた。もう既にボイドールの転移から逃れる事はできない。
しかし、ここでトラブルが発生した。
Voidoll「カピッ!?ウイルスヲケンチ!!コノママデハ…!!」
ここで、ソーンは意識を失った。
転移後のソーンの寝室は何事もなかったかのように、いつも通りの静けさだけが残っていた。
~???~
とある森の中で1人の男の子が起き上がった。
?「…うぅぅぅ。ここは、何処でしょうか?」キョロキョロ
空を見上げれば妖精のようなものが飛び回り、遠くの方にはとても巨大な大樹が見える。
ここは、アルヴヘイム・オンライン。通称ALOと呼ばれるデータの中の世界である。