ダンジョンに行かず本を読むのは間違っているだろうか 作:パッチェ
話は変わるけど、令和の仮面ライダー始まったね。それで思ったけど皆平成の仮面ライダー誰が好き?ちなみに作者は圧倒的にオーズ。
遠征に行っていたロキ・ファミリアの面々はダンジョンでミノタウロスの集団逃走という驚愕の後始末を完了し、約2週間振りの日の光を浴びながら、オラリオの街を歩いていた。
「やっと帰ってきたぁ……」
そう漏らしたのはティオナ。
都市北部、北目抜き通りから外れた街路沿い。周囲一帯の建物と比べ群を抜いて高い、ロキ・ファミリアの本拠【黄昏の館】が見えてきた。
「あー、疲れたぁー、お肉たくさん頬張りたーい」
「私は早くシャワーを浴びたいわね」
「あはは……」
アマゾネス姉妹の言葉にレフィーヤは苦笑しかない。
三十人規模の一団がそれぞれの物資を抱え、あるいは引きずり正門の前に到着する。
すると、正門前にいる男女二名の団員、門番が彼等に対して敬礼を送った。フィンから『開けてくれ』と言われ、門番は当たり前に開門した。フィンを先頭にアイズ達はぞろぞろと敷地内に足を踏み入れた。
「———おっかえりぃいいいいいいいいい!」
待ち構えていたのか、男性陣には目もくれず女性陣に飛びつく、ファミリアの主神ロキ。しかし大抵の者は予想できていたのかひょいと躱し、最後尾にいたレフィーヤがとばっちりを受け、押し倒される。
「ロキ、今回の遠征での犠牲者は無しだ。到達階層も増やせなかったけどね。詳細は追って報告させてもらうよ」
「んんっ〜……了解や。おかえりぃフィン」
「ああ、ただいまロキ」
「さっっって——と!」
エルフの少女を堪能し終えたロキは顔を上げ、レフィーヤを離した。そしてメインディッシュは何処にいるのかとキョロキョロと辺りを見回す。その行動にリヴェリアは冷たく教えてあげる。
「レヨンならもう部屋だ。残念だったなロキぃ〜」
「な、なんやて工藤ッ!?」
「誰だそいつは?」
「ね、ネタが通じひん……神の間なら面白くなるんやけどなぁ」
ギャアギャアと騒ぎ、笑い合う姿に、皆が『ああ、帰ってきた』と思い、作業を進めていくのであった。
その後、身体の汚れ、疲れを落とすために入浴したり、久しぶりに食卓で食事を取っていた。遠征後ということもあって騒ぎ散らす者は居なかったが、楽しく賑やかな食事であった。そこにレヨンの姿は無かった。
そしてある程度、全員が食べ終わったあと、ロキの『ステイタス更新したい子おったら、うちの部屋まで来てなぁー。今日は先着十人までやで!』と気まぐれな神らしい姿で、無計画な連絡だが誰も文句は無くいつものことだ、とサッパリしている。それに大体の団員が更新より、疲労をとりたく部屋に戻っていく。
そのロキの部屋では。
「やっぱり1番乗りはアイズたんか。みんな遠慮しとるんかなー」
「そう…なんでしょうか」
「それは自分で確かめー。コミュニケーションや。ほな服脱ぎぃ」
そう言われアイズは服を脱ぎ背中をロキの方へと向ける。いつものように人差し指の中心部に針を刺し、赤い血をプックラと浮かび上がらせ、アイズの背中、首の根もと辺りにその血の付いた人差し指を触れさせる。次には慣れた手つきで指を動かし始め、あたかもサインを描くように血の軌跡を背中に滑らせ錠を解除した。
その後、ロキの手によって抽出した経験値を元に、神聖文字が刻まれ、ステイタスが更新されていく。その中で一瞬ロキはピタリと固まるが直ぐにアイズの背に錠を施しステイタスを羽根ペンで羊皮紙に概要を記していく。
「ほい」
ロキから羊皮紙を受け取り、アイズは視線を走らせるがその内容は思っていたものより低過ぎた。どれも一桁しか上がっていない。Lv5に到達して既に三年。
(もう…ここが頭打ち)
これ以上の成長が見えないなら、次の
「アイズ……ちょい気になったことがあんねん」
横顔を見守っていたロキはゆっくりと口を開いた。
「つんのめりながら走りまくってたら、いつか必ずコケる。いつも言っとるな。これからも何度も言おう。だから、忘れんようにな」
「…………」
「まぁ、それはいつものやつ。アイズ、ステイタスが上下した形跡があったんやけど何した?」
問い詰めるように語尾を強める。ロキは怒っているわけではないが、余りにも上下した数値が高すぎて、そういう薬を使ったのでないかと確認しているのだ。中には強い中毒性があるものや、狂気を含むものもある。親として真実を知らなければならない。
「え、えーと…レヨンの本が原因だと思う」
「レヨンたんの本やと?」
「う、うん。新種のモンスターを倒すときに」
あの時の状況を詳しく話すとロキは強張っていた表情が崩れ、うんうんと何度か頷きながら微笑んだ。
「そうか…レヨンがなぁ。良いことや」
「その……ロキはレヨンのこと知ってるの?」
「んー?どゆことや?」
「……ロキやリヴェリアはやけにレヨンに甘いというか、なんていうか」
なんと聞けばいいかアイズは言い淀む。それにロキもある程度、察してう〜んと頭を掻きながら、どう言うか考える。
「せやな、詳しいことはうちじゃ言えへん…あ、知らないって意味でな。そこはリヴェリアに聞き。レヨンの事なら一番詳しいで。ただうちが知っているの事なら」
一度口を閉じたロキに、ごくりとアイズは喉を鳴らした。
「アイズたんと真逆やな」
「???」
「なんや意味わからんって顔やな。噛み砕いて説明するなら、アイズは強さを追い求め前に突き進むタイプやろ。周囲を置いていく速さで、止まることを知らず、気づけば周りを置いていく。ちゃうか?」
「うん……」
間違っていない。やり過ぎて周囲から止められるタイプだ。それくらいは自覚している。
「それに比べてレヨンは使いどころを見失っとる。力のな。そして自分の存在意義が不安定になってるんや。
「…………」
「な、真逆やろ」
「そ、それは……」
アイズは顔を俯く。
「でもな、似てはいるんよアイズたんとレヨンたん」
「え?ロキは逆って」
「それは行いの話や、似てるのは本質。こっからよぉーーくみてたら分かるんよ。一言でいうなら———居場所に戸惑っとる」
「———ッ!?」
びくっ体を震わせる姿に、ロキはニヤリといやらしい笑みを浮かべた。
「ま、自分の場合、ティオナ辺りにこってりやられてそうやけど。そんなとこやな。こっから先は自分で考えるとええ。それかイッツコミュニケーションや!」
「うん……ありがとロキ」
「クク、お疲れ様やでアイズたん。ゆっくり休みぃ」
ステイタス更新や話も終わり、アイズはベットから降りて自分の部屋に戻ろうとした時『ああ、そうやった』とロキに止められ振り向くと、そこには主神としてというより———人の顔があった。
「どうかあの子と仲ようしてやって。意外と…でもないか、寂しがりやからあの子」
「うん。私も少し気になる…から」
そう答えるとロキは満足そうに微笑むのであった。
………
真っ白い世界にどこを見回しても存在し、永遠と途切れることのない本棚。ここはレヨンの世界。通称"無限本棚”と言われるスキルにもなっている場所である。そんな中心にレヨンは存在していた。
「———くちゃん」
「かわいいくしゃみだね。なぜ精神世界でくしゃみかは不思議だけど…誰かが噂してるのかな」
そして異様に目立つ黒い机に銀の鍵と大量の本が置かれており、机に向かって大きなマシュマロのようなソファーに座るレヨンに絡みつくように引っ付いている女。その容姿は整っており、紫髪ロングの髪を肩と太もも辺りの高さで結んでいる。そして黒の着物を着て、瞳は血のように赤く、人を愛していて馬鹿にしているような目つき。身長は少しアイズより小さく、発育は同じ程度と言ったところか。
「本ばかり読んでないで僕の相手もしてくれないかい。最近来てくれなくて寂しいじゃないかぁ」
「……ボクは寂しくないし」
「またまた〜一人で寝れない時もあるのにかい」
「うっさい!…それ関係ないもん…それにお前には関係ない話」
「あはは…確かに今の僕には出来ない事だしね………あのクソ道化のせいだと思うとイラついてきたなぁ」
レヨンから離れ、その場で一回転すると手にはロキの様な顔が描かれたグラスがあり、ふん!と握力だけで粉砕する。そして直ぐにバラバラに砕け散った破片を自ら掃除している。
「……………」
「まさかの無視かい!?僕がツッコミどころ満載のことをしているのに!?」
マジうるせー、とレヨンは顔に出さないが内心めんどくさがっていた。本来なら自室で静かに本を読みたかったのだが、その世界にいると普通に時間が進んでしまうので、やむなく時が自由なこの世界にいる。その選択をしたことに若干の後悔はあったりする。
「むぅ〜……それなら僕にも考えがあるよ」
パチンと指を鳴らした直後、机とレヨンが座っていたソファーは消え去り、僅かに体が浮く。その隙間に侵入するかのようダブルベットが下に出現する。そしてそのままレヨンはベットに落ちた。
「あぅ!?」
「ふふふ、僕もぴょーん」
また女もレヨンの隣へと倒れこむかのように寝ころぶ。そしてレヨンの手にある本を素早く奪い去り放り投げた。その本は意志を持つかのごとく本棚に入っていく。
「……おい、何する」
不機嫌な声音。
それはそうだろう。ここに本を読むために来たのに、眠ることができない精神世界で、何故ベットに寝転ばなければいけないのか。レヨンからすれば、ただの妨害を受けているだけである。
「まぁまぁ、落ち着きなよ僕のレヨン。こうやって2人で抱きしめ合うのも良いじゃないか」
そう言って女は正面にいるレヨンを胸元へと引き寄せる。しかしレヨンは何もしないので、側から見れば人型の抱き枕に抱きつく女の姿である。
「…………苦しい」
「おっとすまない。こうして愛を感じられるのが嬉しくてね」
「…お前に…愛は出してない」
「照れているんだね。僕にはわかるとも」
レヨンはこいつ鋼のメンタル過ぎないか、とうんざりしながらも
「ふふふ、昔はこうやって、よく愛を確かめ合ってたね」
「…そんな記憶…カケラもない」
「そうかい……そんなに
「うむ……時は過ぎていく」
「それはその通りだ。昔、僕達が愛し合っていた過去があれば、こうして愛している今がある」
時の進みは残酷だね、と笑いかける。その笑みを正面から受けたレヨンは視線を逸らすかのように胸に顔をうずめる。そんな愛しい姿に女はよしよしと頭を撫でてあげた。
「今は楽しいかいレヨン。あのファミリアにいるのは。あの女の元にいるのは」
意地悪な魔女みたいな質問をする女の声色はとても優しい。レヨンを想っての言葉でしかなかった。
「……めんどい事も多い…けど、昔より…まし」
「おっふ!?耳がいたい返事だね」
「…ただ———」
「ただ?」
「——騒がしいのも…悪くは…ない」
胸から顔を上げ、下から見つけてきたレヨンの表情は女からすれば、自分では一生見ることのなかったであろう喜びの表情。その愛らしく美しく可憐さが、そっと頬に触れる手の平から割れやすい硝子を感じ取る。
「ああ、君はやはり可愛いよ」
完成されたもの故に、弱く脆く壊れやすい。ただ、そうしたのは自分である。そう願ったのは過去の自分である。もし、過去に戻ったら今見せてられている表情に出来るのか…、そう考えると首を横に振ってしまう。忌ま忌ましいがこれだけはあの女の成果と言ってもいい。この事だけは認めよう。
「レヨン。僕はどんなことがあろうとも君を愛してるし、愛そう。それが…それだけが僕の存在意義だからね。だから
「…………でも」
「怖いのかい?」
首を縦に振り肯定する。
「まぁ、分からなくもないさ。
それはあの日。珍しくレヨンが金髪金眼に助言をした言葉。
「
「…………うん」
弱々しく力のない返事だが、確実に変わってきているのだろう。それはレヨンだけではなく女自身にも言えることだ。
(あぁ……我ながら甘くなったものだ。昔なら絶対に思わないし、言わないセリフばっか言って恥ずかしいね。全くこれだからこの世界は面白いよ)
長く、意識を落とすまで、そっとゆっくりとじっくり
「おやすみレヨン。いい
次の日、レヨンが目を覚ましたのは自室のベットの上であった。
そろそろ過去編も書いていきたい。
あくまでイメージだけど、女の容姿イメージは安心院なじみかな。容姿だけね。あとは全然違うよ。