ダンジョンに行かず本を読むのは間違っているだろうか   作:パッチェ

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はい、約5ヶ月音沙汰なしですいません。


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 レヨンにとってリヴェリア・リヨス・アールヴは何か?と聞かれると彼は大好きな存在であり、逆らえないと答える。あの捻くれた性格のレヨンが素直に言うことを聞くのだ。

 

 

 それは何故か。その話は今は置いておいていいのだ。要するにレヨンはリヴェリアが好きである。好きと言っても恋では無い。親愛である。それさえ頭に入れておけばいいのだ。

 

 

「すまんな荷物持ちとして連れ出して」

「…構わない。リアとならいい」

「ふふ、そうか」

 

 

 嬉しさのあまりリヴェリアは隣で本の上に乗っているレヨンの頭を撫でる。

 2人が歩くのは北西のメインストリート通称『冒険者通り』と呼ばれる、オラリオの中でも冒険者が往来が激しい所だ。現在は昼前でそこまでの冒険者はいないがショップの店員やダンジョンに行っていない冒険者達は、通り過ぎる2人の美に当てられ、視線は釘付けだ。

 

 

『おいおい、あれってロキファミリアの九魔姫じゃねぇーか!』『グヒヒ、やっぱ美人だな〜おい!』『んじゃ隣の奴は誰だ?あんな奴ロキファミリアに居たか?』『どーせ新人だよ。いいねぇ〜大手は。美人で可愛い奴がいっぱいでよ』『ほんとそれな。入れたら勝ち組だよな』『そりゃ〜天下のロキ様だからな』

 

 

 羨み、憧れ、妬み、邪な気持ちを抱く者など、とても気持ちのいいものではないが、2人は全くと気にしないで進んで行く。

 ただし、2人のちょっと離れた後方で両手いっぱいに荷物を持ち、暗い表情でついて行くこの男だけは反対の思いだった。

 

 

(…………そう思えるのは羨ましいッス)

 

 

 ラウル・ノールド

 種族はヒューマンの21歳。レベルは4とロキファミリアの二軍の核メンバーであり、まとめ役でもある。そんな彼は心底今の立ち位置を変わって欲しかった。

 

 

(あー………なんで自分もいるんッスかね?」

 

 

 数日前に紹介されたファミリアのメンバーであるレヨンに、ロキファミリア最高幹部であるリヴェリアの間に入る度胸と根性が彼には全く言っていいほど無かった。

 

 

「レヨン何か欲しい物はあるか?私が買ってやるぞ」

「…別にいい。リアと一緒にいるだけでいい」

「ふふふふふふ、そうかそうか」

 

(わぁ〜リヴェリアさんの表情がゆるゆるッス)

 

 

 無理だ。あれは入ったら殺される。決してそんな事はする人では無いが、もう1人が絶対に矛を突きつけてくると確信がラウルにはあった。超凡夫と言われ、スキルも魔法も無いが長年の冒険者勘が強く訴えているのだ。

 

 

「それではレヨン、ラウル。すまないがちょっと待っていてくれ。ここはエルフ専門店でな。その筋のものしか入れないのだ」

「ん、待ってる」

「へ?…あ、ちょっリヴェリアさ——」

 

 

 淡々と深く考え込み過ぎていたのか、気付けばリヴェリアの目的の店へと付いており、距離があった為か声は聞こえずリヴェリアは店の中に入って行く。

 冷静に周囲を見回すと先程までの活気があり、和気藹々としていた雰囲気は何処に消え去った!?と思うほど、暗くジメジメした裏路地にいた。不気味な風が流れ背筋が震える。

 

 

「あ、あの〜………レヨンさん?隣いいッすか?」

「……………」

 

 

 慎重に年下であるレヨンに対して言葉をかけるがスルー。聴こえるのはペラペラと本を捲る擦れた音だけ。

 

 

「は、はは……」

 

 

 掠れた笑いと共にドスッと音を立てて持っていた荷物を置いた。

 

 

「ん……ん?………お前だれ?」

「え?今存在を知ったんッすか!!?」

 

 

 まさか自分の声よりも物音の方が聞こえるという始末に、ホームから出て今まで自分を認知して無い事実に心が折れそうになる。

 

 

「…誰でもいいから静かにしてる。ボクは本読んでる」

「あ、はい。すいませんッす」

 

 

 素直に頭を下げて口を閉じる。彼はもうHPが一桁台になっている。何故ここまで不憫なのか考えたくも無いが、哀しさのあまり空を眺め始めた。

 

 

(あ〜空が青いっスねぇ〜。いい天気ッスー)

 

 

 

「おおっ!可愛い子いるじゃねーか!やっぱここは当たりだな」

「ヘヘッ、そうだな。しかも俺好みの幼女!」

 

 

(…………………)

 

 

 路地奥からガラの悪いスキンヘッドの体だけデカイ男とレヨンを見て舌舐めずりをする目つきの悪い獣人がこっちに向かってくる。

 どうやら不幸の神は彼の事が大好きらしい。天界から直接祝福(呪い)でもかけられているのだろう。そう思うしか無い。

 

 

 聞こえた話から推測するに、2人はこの店に来た女を狙っているのだろう。リヴェリアがエルフの店と言ったという事は美形の者は多いのだから。それにラウルの目から測って、この2人はレベル2程度。レベルが低いエルフの子であれば食われてしまいそうだ。

 

 

 

 しかしまぁ此方にはレベル5のティオナを倒したレヨンがい———

 

 

「へーい嬢ちゃん。俺たちとこの奥で楽しい楽しいお遊びしないかぁ〜?」

「ヒヒッ、とっぉ〜ても気持ちいい奴だよぉ〜」

「……ん、………はうっ!?」

 

 声をかけられ本から顔を上げると気持ち悪い顔が2つ目の前に並び、いきなりの事に座っていた本から落ちてしまう。

 

 

(…………あれ?)

 

 

 

 てっきり冷たい声で『触るな!』や『消えろ!』と言って追い掃うものとばかし思っていたが、その様子はさっぱりとしてなく、あたふたと()()()()()()()()()戸惑っているように見える。リヴェリアがいない今、もしレヨンに傷がついたとしたら………こ、殺される。

 

 

 

「────フッ!!!」

 

 

 

 瞬時にその幻覚(妄想)がみえたラウルは倒れこむかのように体を倒し、はげとロリコンの傍に一瞬で近づく。平凡だ、普通だ、何だかんだ言われても彼はレベル4。顔がきもいだけの冒険者であれば、ガレスにしごかれているラウルは意識を刈り取ることは容易なことであった。

 

 

 

「ゲフッ」「ガハッ」

 

 

 腹と頭に放った一撃は、不意打ち気味で反応することは不可能であり、ハゲと獣人の男達は地面に倒れ込み気絶する。残されたレヨンは呆然として無言のままだ。その様子に何かさせたのかと慌て騒ぎ立てる。

 

 

「うぇっ!?大丈夫っすか!!な、何もされてません?されてないといーなーというか、されてちゃ自分の命が消えるというか、何かあったら言って欲しいなぁ〜と。あ、ポーションあるっすよ!飲むっすか?とにかく———」

「喧しい!!!静かに待ってられんのか」

 

 

 怒涛の心配が中まで声が聞こえていたのかリヴェリアがドアを蹴り壊すようなバンッと音を立て店の中から出てきた。

 リヴェリアは地面に転がっている男達と置物のように動かないレヨンを見て、ため息を1つ吐いた。

 

 

「…何があった。話せラウル」

「ひぇ!?その、えーと…なんと言えばいいか実は『…名前教える』——そうこんな風に名前を聞かれて……んん?」

「…………お前の名前…教えて」

 

 

 先程まで無言だったレヨンの質問に、へ?と間抜けて声が漏れるラウル。いきなりの事にリヴェリアを一瞬忘れて反射的に「ら、ラウルっす。ラウル・ノールドっす」とレヨンに向かって答えた。

 

 

「そう…らうる…うむ、覚えた」

 

 

 二度三度繰り返しながら頷き、立ち上がったレヨンはリヴェリアに近づくとボフッと音を立て、少量の煙と共に片手には何とも薄気味悪い赤と黒が交互に線として浮かんでいる本があった。

 

 

「リア……後…お願い」

 

 

 その瞬間パラパラとページがめくれ真ん中あたりに差し掛かった時、レヨンは本に吸い込まれるように消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 パタっと地面に落ちた音が狭い裏路地に響き渡るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その帰り道。

 行きの時とは違い、リヴェリアのちょい後ろ、近すぎず遠すぎずの小さな声が届く程度の距離で付いていくラウルは先の出来事を話しながら、その卑劣さに傷を突く。

 

 

「リヴェリアさん、わざと離れたっすね。ずっと最初から見てたっすよね?」

「ふ、何とかとかさっぱりだが、面白い話だ。続きを話せ」

 

 

 憶測だが、と自分の考えを示した。

 

 

「あの二人、最近あの辺りを荒らしてた…だからどっかからの依頼かエルフが行くっという店なんでリヴェリアさんが自主的に排除する予定だった?とかっす」

「それならお前達を呼んだ意味何だ?あの程度なら別に私だけでもいいぞ」

「自分とレヨンさんを合わせるためっすかね。あれくらいなら怪我はしないでしょうし、レヨンさんに自分の良い印象付けをする気だった『半分正解だ』…半分っすか……」

「ああ、半分だ。まあ、良い線はいっている。赤点ギリギリだがな」

 

 

 と言いながらも満足気に足取りが軽くなるが、何故いつもこのくらいの推理力が出てこないのか不思議でたまらなかった。この不安定さがなければフィンは直ぐにでも引退できるのだが……まぁその話は置いておく。

 

 

「お前とレヨンを合わせたかったのはもちろんある。お前達には仲良くなっておいてもらわないと困るからな。予測通り丁度同族から話は聞いていたから、安心を得るためにも殺りに行こうとしていたのは本当だ。目論見として私が予定していた通りに終わったさ」

「それじゃあ残りの半分は何っすか?他に得られるものなんてあったっすか?」

「ふむ、ラウル」

 

 

 ピタリと歩みを止めた。

 道端で急に止まることに何事かとラウルは同じく足を止めた時、見てしまった。

 

 

 

 

 

 ———道化(ロキ)が欲望のままに動く時の目

 

 

 

 

 ゾクリと背筋に寒気が走る。その反動か持っていた手荷物は地面に落下していく。

 

 

「いいことを教えてやろう。レヨンは情緒が不安定になると1人で居られないんだ。要するに——」

 

 

 

 ———1人で寝られないんだ

 

 

 

 

「う……あぁ」

 

 

 再び寒気が襲ってくるがこれは絶対にさっきのとは違う。これは恐怖だ。フィンを狙うアマゾネスの如く、神が娯楽を見つけた時の狂気に感じ得てしまった。

 

 

「今日レヨンには外に出るための制約を付けておいた。おかしいと思わなかったか?あの子が()()()()()は」

「———ッ!!?」

 

 

 ハッとラウルは思い出す。レヨンは常に針を周囲に巡らせているような性格をしているのに、ベート風に言うなら雑魚相手にオドオドと戸惑っている様子を。

 要するにあれは———

 

 

「何もしなかったのではなく、何もできなかった、というわけっすか!!」

「ふふ、正解だ。あの子には外で魔本を使うな、と言っておいた。お前がいて正解だろ」

「…………」

 

 

 唖然として言葉が出なかった。まさか……まさかだ。あのロキファリミアの良心であるリヴェリアがこんな……こんな一緒に寝ると言ったよくぼ———。

 

 

「ラウル」

「ひゃい!!?」

 

 

 

 彼は忘れないだろう。

 ロキファミリアには美人が多い?それの一体何がいいのか。あやしく光る瞳に、整った顔のパーツ。妖艶さが際立ち、それが闇を纏っているように見えてくる。これが女の恐ろしさだと語ってくるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 —————冗談だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、1人の男は色んなことを学んだ。

 主神の秘蔵っ子は大切に守り通すと。そして仲良くしていこうと。本人は全く悪くないのだ。地雷さえ踏み抜かねば、降り注ぐ回復楽なんだから。そして女を選ぶときは勢いだけではダメだ……団長のようになってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから——初めては慎重に娼婦を抱こうと心に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【あとがき】


はい、夏だからね、ホラーだね。この小説はシリアスとちょっとした(かなりの)笑いで出来ております。
リヴェリアはレヨンのことになるとある意味で馬鹿になります。





後、遅れて申し訳ないです。
ちょっと想定外のこともあり忙しかったんや。頑張って2週間に1は投稿したいと今後は思ってる。
気に入ったり、続きが気になった方はまったりと待ってくれると嬉しいでぇ〜。


これで大体の絡みは終わったのでそろそろ原作入ります。

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