ダンジョンに行かず本を読むのは間違っているだろうか 作:パッチェ
オリジナル章も作っていきながら頑張るぞい。
『『———ッッ!!!』』
各方面から響き渡る怒号のような咆哮が轟きながら熱気が充満していた。
「盾ェ、構えェッ———!!」
号令とともに耳を塞ぎたくたるような数多の衝突音が爆発するがごとく鳴り響く。怪物達の進撃を止めんばかりと足腰に力を入れて踏ん張る。しかしその突撃は踵が地に埋まるほどの威力があった。
「前衛、密集陣形を崩すな!後衛組は攻撃を続行!」
人間がドアーフがエルフが獣人が小人が、腕を上げ駆けて飛び回り放ち全身全霊で戦場で過ごしている。無論———モンスター達も同じだ。
尚、幼き少年は。
「……………すぅ…すぅ」
本に身を任せ力を抜き横になりながら穏やかな表情で寝息を立てていた。
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地下迷宮50階層モンスターが生まれない安全階層の野営地。
金属を打つ音と共にたわいのない会話を楽しむ事が出来る気の落ち着きがあった。天幕を建てる者、伝言を言い渡しに行く者、食事を作る者など誰かしら何か作業をしている。
「君たちさぁ………」
一方で一際大きな幕屋の中では、正座中のあまりにも独断で先行し命令違反をした少女と、本上で正座中のあまりにも何もせず命令違反をした少年は怒られていた。
「何故呼び出されたか分かるよね?アイズ、レヨン」
「………うん」
ここにはロキ・ファミリアの中核を担う首脳陣である、ガレス、リヴェリア、フィンの3人が2人の対面に座っている。
「まずアイズ、君が強いは重々承知だ。だからこそ君は組織の幹部であり、内容の是非を問わず君の行動には下の者に影響を及ぼす。それを覚えてもらわないと困る」
「…………」
「窮屈かい?今の立場は」
———窮屈だ、何て思っていても言える訳が無い。
「ここはダンジョンだ。想定外のことも
それを見抜かれたのかファンは続ける。
言われ続けるアイズに見兼ねたのかガレスとリヴェリアは助け舟を出す。
「まぁ、そう言ってやるな。アイズも前衛の負担を軽くしようと、あえて群れに突っ込んでいったのだろう。実際崩れかけてなからの」
「それを言うなら、詠唱に手間取った私の落ち度でもある」
「リヴェリア…ガレス」
「はぁ…アイズの顔を見ているとティオナ辺りに絞られてるようだから、これ以上は言う気はないよ。ただ———」
そう言うとフィンの視線は本を読んでいるレヨンの方を向いた。それに続くようにリヴェリアとガレスも続く。
その視線に気づいたのかレヨンは一つ溜息を吐きながら本をパタンと閉じると顔を上げ堂々と。
「……ん、何か?ボク何もしてない」
「それが問題なのだ……」
珍しくレヨンにリヴェリアのツッコミが飛んでいく。
「レヨン、君は何故戦わないんだい?」
「…何故ボクが戦う?」
質問を質問で返すな!と言いたくなるがレヨンからしたら真っ当な理由があるのだ。
「フィン言った。『遠征について来い』と。だから付いてくるだけ」
「ん…ま、まぁ筋は通っておるのか?」
意外にもちゃんとした意見にフィンはあの時言った言葉に関して後悔する。確かに意味としては間違っていないが、冒険者としてはどうかと頭を捻る考え方だ。
「それずるいッ!強さの秘密見せてくれるって———」
「…別に見せるとか約束してないし」
むぅ〜とお互いに額を合わせ威嚇行為にフィン達はデジャヴを感じながらもこれでは話が進まないため一度止める。
「いい加減にせんか!アイズ、お前が年上なのだから少しは余裕を持て」
「ウゥ……で、でもレヨンが———」
「はいはい、その話はあと」
二回手を叩きフィンは自分に意識を向けさせる。
「それでレヨン。アイズの事は抜きにして力は出さない気かい?」
「………ん…なんで?」
言葉尻を強めに言い、レヨンの真意を確かめる。ここの答えは大事な所なのだ。ファミリアの団長として、戦場にて部隊を纏める長として。
「僕はリーダーだ。参謀だ。戦力を知っている義務がある。その使い方もね。だからレヨン———どうする?」
その質問に対し、レヨンは目を瞑り正座を崩して本の上に立った。そのままゆっくりと目を開き胸を張っていった。
「———ボクは寝ていた方がいい」
「なッ!?……リヴェリア?」
ここまで言われても変わらない返答にふざけているのかと怒り込み上げ、怒りが口から飛び出そうになったアイズをリヴェリアが手で制止する。それに戸惑いながらも黙ると、空気が変わっていることにアイズは気づいた。
「レヨン……それは本気で言っているのかい?」
「…うむ…
トントンと胸を親指で叩く姿にフィンは目を細め、こちらは親指を噛みながら思考し始める。
数秒間の沈黙があった後、顔の前で指を組んだフィンは許した。
「分かった。ただし部隊への———ファミリアへの危険が及ぶ危機のときは全力は出してもらうよ。それでいいなら…そのままでいい」
「…ん…任された」
「よし、これで君たちに言う事は終わった。解散していいよ」
そう告げられると、アイズはぺこりと頭を下げて幕屋から出て行く。レヨンも本に座り直し、その場から消えるように居なくなる。
残った3人は重苦しい重圧を取り除け、深く椅子に身を預けた。そして徐にリヴェリアは口を開く。
「フィン、ガレスもう一度作戦を見直すぞ」
「ああ、その方が良さそうだね…気が滅入るなぁ〜」
「全くじゃ、盛大な爆弾を落として行きよってあやつめ……」
フィンの親指と言う名の勘は良く当たる。それ以上にレヨンの
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食事も終わりひとときの安らぎが新たなる始まりとなる。
見張り以外のレベルが高い上位冒険者が小さな輪を作り、視線を団長であるフィンに向ける。
「それじゃあ今後のことを確認しよう。遠征の目的は未到達階層の開拓、これは変わらない。けど、今回は、59階層を目指す前に
「冒険者依頼…確か、ディアンケヒト・ファミリアからのものですか?」
「ああ。内容は51階層、『カドモスの泉』から要求量の泉水を採取すること」
「うぇー!?めんどくさぁ…」
「ったく、面倒な依頼をよこしやがって…」
ティオネの確認に頷くフィン。しかし、依頼内容のめんどくささにティオナやベートは悪態をついた。
めんどくささと言うのはカドモスの泉から泉水を採取する前にあるであろう
「51階層には少数精鋭のパーティーを二組、送り込む。戦闘はなるべく抑え速やかに泉水を確保後、この拠点に帰還」
その後何点かの質問に答え終わるとフィンはパーティーの選抜に入る。
「まず一班はアイズ、ティオナ、ティオネ、リヴェリアの代わりにレフィーヤ」
「ええ!?わ、私ですかッ!?」
「レフィーヤお前はいずれ私の跡を継ぐのだ。代わりに入れ。私はキャンプの防衛にまわる。
「次ニ班は僕、ガレス、べート、ラウル———」
「へぁ!?じ、自分もっすか!?」
「———を予定してたけど、嫌な予感がするからレヨンと共に防衛だ」
一度上げられ、下がったと思ったら、更に急上昇してしまいラウルは行った方が良いんじゃないかと思いながらも、もう変える事は出来ないので渋々素直に残る。
「それでは各自休息を入れ英気を養ってくれ」
解散の声と共に作り終えたテントに各自戻って行く。
「それじゃあ任せたよリヴェリア」
「ああ。団員達は預かる」
色々問題がありそうなパーティーが出来上がりながらも、結局数時間後仮眠を終えた面々がリヴェリアに防衛を任せ、51階層を目指し出発したのであった。
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二組のパーティが出発してからある程度時間が経った。現在は複数のパーティを作り、交代で見回りを行なっている。ただしリヴェリア、レヨン、ラウルは抜かして。
何故ならこの3人が拠点の最高戦力なのだ。下手に疲労があると全滅の二文字が浮かんできてしまう。
だからこそリヴェリアも魔法を打てるマインドの回復を急いでいたが、事態は急変した。
———ビイィィィィィィィィィ
けたたましく緊急のサイレンが岩石で囲まれた空間に響き渡った。モンスターの襲撃である。
「見回り班!状況、損害の情報!数の推定を報告!!!」
幕屋で仮眠を取っていたリヴェリアは飛び上がるように起き上がり、幕屋から出ると大声で叫び伝達する。
1人の団員が全力疾走でリヴェリアに近づき現状を報告する。その情報は信じられないものだった。
「副団長!ラウルさんがやられました!!!」
「何だとッ!!?」
「敵は51階層から登ってきており、芋虫の様な身体で最低でも体長4Mはあます。更に体液に強力な腐食を確認しました」
「数は!!数はどれくらいだ!!?」
その質問に団員は言い淀み、僅かに沈黙が続いてしまう。その時間が生死分けてしまうのを知っているリヴェリアは怒鳴りつける様に催促する。それにビビりながら言い放った数はリヴェリアを一瞬の絶望に突き落とす。
「さ、最低でも100は下らないか…と」
「ば、馬鹿な……」
大急ぎで50階層から51階層の出入り口を見に行くと、団員達が盾や木などで壁を作る姿の後ろにモンスターの進軍が迫っていた。
———まさに崩壊の危機であった。
次回、ラウル覚醒!?(大嘘)
あ、ちょっとアンケートがあって番外で書いた掲示板系たまに書いたら読むかどうか答えてくれるとありがたいです。沢山の協力おなしゃす!
書けたら投稿しまーす。