ダンジョンに行かず本を読むのは間違っているだろうか 作:パッチェ
今回は原作より大げさに書いてます。
アンケートの結果です。
(64) 超読みたい
(23) 読みたい
(47) 普通
(11) あまり読みたくない
(29) 全くいらん
総数174票もあり、ちょっと驚いています。30票くらいと思っていたので、こんなに投票してくださり感謝しかないです。たまにアンケート取るので今後もご協力お願いします。結果として超読みたいがダントツで多かったのでたまにですがスレ系書こうと思います。
レヨンの予感が当たることは分かっていた。だからこそ本来なら行かせるつもりであったレヨンとラウルを待機させた。
しかし———しかしだ!ここは
「盾部隊前へ防御陣形!!」
屈強な肉体を持つ亜人達が盾を構え巨大芋虫の突撃を防ぎにかかる。芋虫型の新種のモンスターは51階層の入り口より隊列をなして拠点に攻め込んできている。その数は考えるだけでも恐怖が襲ってくる。せめての救いは前からしかこないと言うところだろう。
一方でロキ・ファミリアの面々は完全に攻撃を手放し、防御だけに徹底しているが圧倒的な数とある問題がリヴェリアを悩ませていた。
(くっ…いかん、完全に押されている。これがただの突進だけならどうにか時間稼ぎができるだろう。だがあの———腐蝕液。すぐに盾や武器がダメになってしまう……)
武器の供給が間に合わない。そして数に対する火力が圧倒的に足りな過ぎる。出来る事は時間を稼ぐことだけ。それもいつまで持つか、逆に長く持つ未来が見えてこない。
(まだかレヨン…ッ!何をしている……ッ?)
そう、この場にレヨンはまだいない。何をして居ないのかはリヴェリア自信、真相は分からないが、逃げた訳ではないことだけは分かる。あの子は絶対に逃げないのは知っているから。だからこそ居ない現状に僅かな苛立ちと焦りが出てきていた。
「リヴェリア様盾が溶けましたッ!!?」「3人負傷!前線の維持が———!」「武器が足りません!!リヴェリア様ッ!」「か、回復薬も———リヴェリアさん!」「リヴェリア様!!」「リヴェ———」
(これは……やむを得な———)
団員全体に混乱が蔓延し、指揮もクソもあったもんではない。この惨状にリヴェリアも犠牲を出し、命をかける覚悟の指揮を執る瞬間であった。
————パシンッ!!
その手を合わせる音と共にダンダンと地面から魔力で出来た長方形の透明な壁が、盾部隊の前に出現する。その壁に当たった芋虫達は、触れた瞬間に吹っ飛ばされ空中で爆散した。
「これは……レヨンの障壁か」
「うむ…遅れた。すまぬリア」
声が聞こえた方……リヴェリアは上空を見上げるとぷかぷかと本を——魔本を5冊周囲に浮かせるレヨンがいつも通り本の上にいた。
「遅いぞレヨン。こないとお前の取り分が無くなるところだったぞ」
「…ん…なら帰っていい?」
「ダメに決まってるだろうが馬鹿者!」
ふふ、と2人で笑い、くだらない冗談を言えるくらいには余裕が生まれる。実際、リヴェリアはレヨンが来るまで何人死ぬか、そこまでを考えていた。それを未だに犠牲無しで終わっているのはリヴェリアの才と運でもある。予測的にあと数分は掛かると考えていたが、いい意味で期待を裏切ってくれた。
レヨンが来れば勝てる!その自身と確信がリヴェリアにはある。何故なら、こと殲滅においてレヨンに優る冒険者をリヴェリアは知らない。元々レヨンは一対一より、一対多の戦闘の方が得意なのだ。
「レヨン———やれるな?」
「もちのろん。リア、知ってる…でしょ」
無論よく知っているし体験もした。あれは二度と喰らいたくないと震えるくらい信用がある。もはや心配はなにも無かった。
「全団員に告ぐ、さがれ!!私より前に出るな!巻き添えを食らうぞ」
力強く、また透き通った響き渡る声は団員の耳に入り、全員が後方へ下がっていく。前に残ったのはレヨンのみ。ここからはレヨンの一人舞台である。
♦︎♦︎♦︎♦︎
「…ん…気持ち悪い」
見下ろし、敵の姿を確認したレヨンは虫が得意ではない。むしろ嫌いだ。大っ嫌いだ。酒を飲みうざい絡みとセクハラをするロキくらい嫌いだ。その為、手加減など考えず殺す事しか頭にはなかった。
「魔本…【物理反射】」
パチンと指を鳴らす。それが合図。五冊あるうちの一つが光、ドドドドッと一直線、芋虫の隊列の両翼に魔力の壁が出現した。しかし芋虫達は気にも止めず、前に前にと進む事しかしてこない。前にも反射の壁はあるせいで爆散するが、それすらも関係ないと言わんばかりに突っ込んでくる。では、何故レヨンはその壁を出現させたのか?そんなのは———簡単である。
「魔本…【
————ビリッ!!!
新たに手元に来た魔本をレヨンは開き、1ページ破った。その1枚はレヨンの側にある魔本の一つに吸い込まれるように溶けた。更に1枚、また1枚とレヨンは破き続け、いつしか4冊の魔本は禍々しい魔力を帯びてきた。
「…40%こんなもん…か」
【
それが【貯め溜め】だ。これはためる事しか出来ない性質を持つ。一度頁に、収納すると任意では出せなくなり、破れば頁から爆散しながら出てくるというゴミ過ぎる魔本だとレヨンは最初は思ったくらいだ。しかしそれは魔穿放との相性が良過ぎた。
そして今、その2冊は片方が魔力を与え、もう一つが放つ準備が着々と整っていく。
「お前らの…ために…今…書いてきた。お陰で疲れ…た」
『『——————ギッ!?!?』』
モンスター達は感じ取ってしまう。先程まで気にも止めてなかったものが我々の生命を奪い尽くす破壊兵器に変わっていっていることに。生きている本能が逃げ出そうとする。しかし横に出来た障壁が一切の漏れを許さない。後ろに行こうともしても同族がい過ぎて動く事さえも出来やしない。レヨンは他の人の逃げ道を作らないタイプなのだ。
「………くらえ」
———
『『——————!!』』
4冊の魔本から光線として放たれた砲撃は声を上げさせる間も無く、モンスターは灰と化した。原型をとどめているモノは1匹としておらず、灰すらも消え去ったか、魔石として地に落ちているだけである。地面は焼け焦げ、一部溶け出している。
「…やっぱ…急に書くと……火力ない」
急速に書き上げたせいか、耐久力がなくボロボロと崩れ去っていく。それを横目に、歓喜の声を上げるファミリアの面々の、もといリヴェリアへ褒められに本のスピードを速めるのであった。
♦︎♦︎♦︎♦︎
51階層から全速力で戻ってきた二組のパーティーは魔砲により焼かれ、一面焼け野原となった現場に、フィン達は一瞬全滅したかと心配があった。が、リヴェリアに抱きつきヨシヨシとされるレヨンを見て、全てが終わった後だと悟った。
「いらない心配だったかな?」
「いや、流石に危なかった。レヨンがいなければ全滅もあり得たくらいだ」
「すごいじゃん!レヨン」
「…ふふ…褒めるがよい」
リヴェリアから離れドヤァ〜と胸を張るレヨンをティオナが撫で、触るな!と手を叩かれる。『り、理不尽すぎる』という姿に皆が笑い、ひとまず終わった雰囲気であった。それじゃあとフィンが言葉を吐こうとした直後。
『———!!』
音が届いた。木がへし折れる、破壊音が遠方から響いてくる。誰もがその方角に目を向け、武器を構え臨戦態勢をとる。
木々のバキバキという悲鳴は未だ鳴り止まず、身構えるアイズ達に静寂と緊張感が纏わりつく。
長く待っている気がする。いや、もしかしたら数秒の事かも知れない。ゆっくりと顔を天に向けるように現れたアイツは巨体で巨大あった。
「な、何あれ……」
「……あれも下の階層から来たっていうの?」
「迷路を壊しながら進めば………なんとか?」
「馬鹿言わないでよ…」
半ば呆けたようなアマゾネス姉妹の会話が、静まり返った場に通る。およそ6〜8Mか。先程まで戦っていた芋虫より一回りは大きい。
「人型?」
芋虫を彷彿とさせる下半身ではあるが、後頭部からは何本も垂れ下がる管のような器官。色彩が及ぶ顔面は鼻も目も口もないが、どこか女性を連想させてしまう。しかしその女性的な要素は全て醜悪でドス黒い。
「あんな…デカイの倒したら…」
———腐蝕液が撒かれる
怪我を治し、合流していたラウルの言葉に、最悪の未来がいとも容易く想像できてしまう。
「おいおい、どうすんだよ!」
「魔石を狙うにもの…」
苦々しそうに言葉を吐き捨てたベートに、ガレスは被っていた兜をクイッ持ち上げその姿を眺める。
「………」
おもむろにモンスターは動いた。
ゆっくりと4枚ある羽に見える扇平状の腕をふわっと広げ、舞う七色の粒子群
『『————ッ!!?』』
これはヤバイ!?と一線級の勘が雄叫びを上げ、反射的にその場から離れた。
その間をおかず粒子は小さな無数の爆弾として連鎖的な爆発を起こす。
「きゃあああああああああっ!?」
反応に遅れたレフィーヤの甲高い悲鳴が響き渡り、凄まじい熱気が頬を叩く。大気中にばら撒かれる極小の粒子、一粒一粒が爆弾という凶悪な代物である。
焼けた匂いが漂いながらも、アイズ達は態勢を立て直す。
「総員、撤退だ」
「ハアッ!?」
フィンが告げたものにベートの怒りがこもった反応に、ここにいるレヨン以外の冒険者達の疑問が詰め込まれている。しかしフィンはそれを無視して女体型のモンスターを見据えながら言葉を続けた。
「速やかにキャンプを放棄、最低限の物資を持ってこの場から離脱する」
「おい、フィン!?逃げんのかよ!!」
「あのモンスターほっとくの!?」
ベートとティオナが異議あり!と噛み付く。許さないのだ、第一冒険者としての矜持が、何より迷宮都市最大派閥としての誇りと責任がある、とモンスターを野放しにすることを許さない。
もし、今後ここに他の冒険者が来たら…、もし、上の階層に上がって行ったら…、そのもしが犠牲者を出す可能性を秘めている。
「僕も大いに不本意だ。でもあのモンスターを最低限の被害で始末するにはこれしかない。———アイズ、あのモンスターを討て」
フィンは表情を消して、金髪金眼の少女と目を合わせる。更に彼は『一人でやるんだ』と添えた。
それに対して、ふざけるな!と。待ってください!!と止めが入ろうとする。他の団員からも反対だ!と声が上がるが、彼は有無を言わせず断言した。
「二度と言わせるな。急げ」
声音が、冷静な暴君のごとき威圧に誰もが怯んだ。そして複雑な思いを含んだまま無言で皆去っていく。
共に戦いたいと言ってくれたエルフの少女を払いのけ、涙を浮かべながら走り去っていく後ろ姿に、強過ぎるアイズは罪悪感を覚えるが、彼女は
「すまない、アイズ」
「ううん」
謝罪をする姿に、先程までの威圧は無く、それこそ彼女一人に任せる事が半日前に責務の持論と今の指示が乖離し、彼自身責任を感じている。こうして
「…中途半端に…謝るなら…命令すんなよばーか」
「なぁっ!?まだ居たのかいレヨン!?」
「……居たら悪いか」
養豚場の豚を見るような目でフィンをチラ見した後、レヨンはアイズの近くに行き、手元にいつもの魔本より小さい手帳サイズの魔本を3冊取り出す。そしてそのままアイズに、50キロくらいのスピードで胸もとに
「ヘッ!!??」
放たれた本はアイズの胸を突き破……ることは無く、当たった感触も痛みもない。逆に先程まで疲れていた身体が嘘のような、まるで大好きなジャガ丸君をたらふく食べていいと言われた時のような活力が湧いてくる。
「な、何…これ。力が湧いてくる…」
「怪力の魔本…俊敏の魔本……疲労を回復する…魔本、お前に与えた」
アイズはそんな事をしたレヨンに驚愕の目を向けることしか出来ない。
「時間がないから……ちょっとだけ…———お前の強さと覚悟見せてみろ」
そう言い放ち、レヨンは他の団員達が向かった方向に本を進めた。一方で残された二人はポカーンとなりながらも、彼が何を言いたかったのかすぐに理解し、アイズは武器を構え、フィンは肩をすくめながら走り去っていく。捻くれ者は難儀なものだ、と思いながら。
それから数分、避難完了の信号が打ち上がった時、レヨン達はモンスターの攻撃から十分な距離を離した上でアイズの戦闘の行方を見守っていた。
「やっぱり…あいつ…強い」
薙ぎ払い、爆破し、毒を吐くモンスター相手に単身で剣と風だけで避け、払い、斬り刻む光景にレヨンは素直な感想を落とす。
「当たり前だ。あの子は…アイズは強さを求める信念と強さを得られる才能を持つ者。そして私達が育てたんだぞ。
「…ん、間違ってはない」
隣に来たリヴェリアの自慢をレヨンは否定も無く受け入れた。風を纏い、戦士のように飛び回る姿を見定めるかのごとくレヨンは見つめている。
「どうだ、あの子はお前の目にかかったか?」
「…………ふつう。だけど——」
「だけど?」
「——ロキは嘘ついてなかった」
「そうか。それならいいんだ」
それが分ったならそれ以上は無粋。その事には黙っておこう。だってロキとレヨンの物語なのだから。静かにそっと見守っておこう。今は遥か遠くを目指すあの子を見ていよう。それが保護者として一人の冒険者として———次世代を担う者達を見ている事が私の役割だから。
『リル・ラファーガ』
「よくやったアイズ」
こんなに素晴らしい体験をしているのだ、読者は心踊らせながら読んでいようじゃないか。英雄への可能性がある愛しい家族達の活躍を。
【あとがき】
実はスレに読んだ人だけが分かる小さい伏線があったりする。
レヨンが遅くなった本当の理由
(サイレンがなってる)
「zzz……」
(リヴェリアの声が響く)
「うーん何や?ファっ!?敵やんけ!?すぐ行かな!ん?ああ!?魔本の在庫が無いわ……おっしゃ、今から書こう」
「あああああああっ!?間違えたわ!書き直しや!」
こんな感じだったかもしれない()
[魔本紹介]
【
かつて失敗作を改良し出来た魔本。失敗作の時は何かを魔本に収めてば飛び出してくるという何に使うか分からない魔本であったが、貯め溜めの誕生で、放つ点に全振りし、書き直したところ通常のビームを放つ魔本より200倍の威力を出すという改良に成功。今ではお気に入りというくらい使っている。しかし、その威力が高すぎる事と放つまでに時間がかかることが弱点で一対一では使えず、殲滅においてのみ最強クラスの魔本となった。
【
出来た当初、魔穿放よりゴミと言われた魔本。収納した物が何故か出て来ず、頁を破り出てきたかと思えば、その瞬間、爆散するという過去に不壊属性の武器すら爆散した。もはや壊れない概念を爆散する概念に変えれる、ある意味凄かった魔本。今では魔穿放の為に、1ページ魔力B程度ためれる魔本として改良し、使用している。収納できるのは生命がないものというデメリットはまだ存在している。
続きが気になる方はお気に入りを、そして高評価が付くと嬉しいです。では次回で。