戦国†恋姫 if 井伊討鬼絵巻 作:通りすがりのガンダムユーザー
少し長めです。
「剣丞さんのところで学ぶ……とは?」
「言葉通りだ。すでに嚆矢は様々なものを身につけている。今後、剣丞には隊をつけようと思ってな。その補佐と剣丞の元で今よりも多くのものを学がよい」
「……わかりました」
「しかし、鴻矢だけでは不安ではあるな……」
「僕はまだまだ学ぶ身ですので……」
そこでひよ子さんが織田殿に報告に来た。
「殿ぉー!たった今、佐久間様の部隊が墨俣よりご帰還されましたー!」
「デアルカ。……おい猿!」
「は、はひっ!」
「貴様もそろそろ武士として名乗りをあげても良い頃合いであろう。剣丞の下に付き、功をあげよ」
「えっ!?」
「小人頭を免じ、今日よりは武士となれ!」
「あ、ありがとうございます!」
「鴻矢と共に剣丞隊第一号、第二号として励むが良い。まずは剣丞を介抱せい。目覚め次第、三人で城に来い。沙汰を与える」
なにかトントン拍子で話が進む……まあ、良いのですが。
「これにて剣丞の検分を終える!皆は評定の間に場を移し、墨俣より報せを聞け」
「「「御意!」」」
※※※
あの後、僕は剣丞さんを担ぎ上げ
織田殿の屋敷の一室に運ぶ。そこはすでに布団が敷かれていたので剣丞さんを寝かした。
「鴻矢様は……」
「呼び捨てでいいですよ。今日から同僚ですし、敬語もなくて構いません」
「えと……鴻矢くんは剣丞さまの下につくことに反感とかないの?」
ひよ子さんは僕にそう問いかけた。
「僕は学ぶためにここにいるので……それに織田殿には僕には見えてないものを見えるために剣丞さんのところにつけさしたと思います。ま、どこにいても励むことに変わりはありませんけどね」
僕はそう言いながら剣丞さんが眠る布団の横に座る。
刀を横に置き、いつ目覚めてもいいように待つ。
「ほら、ひよ子さんも座って。剣丞さんが起きるのを待つとしませんか?」
「私も呼び捨てでいいよ。丁寧な言葉も使わなくてもいいよ」
「いえ、僕のコレは癖なので。多分、相手が親の仇とかでもこの口調は変わりませんよ。……でも、まあ……今からひよさんと呼ばせてもらいます」
※※※
said 剣丞
「う、んん……」
唐突に目が覚める。パチッと目を開けると、そこは比較的に見慣れた久遠の屋敷の天井があった。
「うう、まだ身体のあちこちが痛ぇよ……」
そう毒づきながら体を起こす。
「ええと……どうなったんだっけ?」
「剣丞さんは麦穂さんのあとに壬月さんと対峙し、壬月さんのお家流を防御したもののお家流で起こされた爆風で吹き飛ばされ気を失い、現在に至ります」
「わっ!?び、びっくりした……」
俺のつぶやきに対してひとつの声がそう答える。
声の方を見ると二人の少女が布団の横に座っていた。
一人はさっき手合わせをした鴻矢さん……だっけ?
「先ほどぶりです、剣丞さん。改めて自己紹介です。僕は井伊万千代鴻矢直政、鴻矢とお呼びください。織田殿の提案により貴方様の下につくことになりました。以後、よろしくお願いします。それでこちらの方は……」
「木下藤吉郎ひよ子秀吉と言います!お殿様より剣丞さまのお世話を命じられました!今後ともよろしくお願いします!」
「あ、えーっと……よろしく?」
木下藤吉郎って豊臣秀吉の昔の名前じゃなかったか?
猿と呼ばれ、織田家中で頭角を現し、最後には天下をとった戦国随一の出世人……
それに井伊直政といえば、徳川三傑に数えられる武将で後々には徳川家中の中では当主一門を除いて一番広い領地を与えられたとか。
その二人の武将が、この女の子たち……ってにんしきであってるんだろうか?
「それで、ええと……鴻矢さんと木下さんだっけ?」
「はい。けれど、呼び捨てで構いません。剣丞さんは僕たちの主になりますので」
「私もひよと呼び捨てになさってください!」
「その主ってのも良く分からないんだけど、ええと……お世話っていうのもどういうこと?」
「それは……」
「すみません、実はまだお殿様より何も聞いてなくて……」
「聞いてない?」
「ええ、織田殿は僕には剣丞さんの元で学べとしか……」
「私の方は、ただ剣丞さまのお世話をしろ、としか言われてませんね……」
「ふむ……」
「あ、でもでも!お掃除は得意です!料理はあまりとくいじゃないけど!だから剣丞さまの家事のお世話は、料理以外はできますよ!」
「おっ、それはちょっと嬉しいかも」
「僕は……家事は得意ではありませんが、剣丞さんの身辺警護ならできるかと。僕の強さは剣丞さんはすでに知ってますよね?」
「たしかに……頼もしい限りだね」
言いながら久遠の意図を推測する。
多分、久遠が気をつかって、この世界のことが分からない俺につけてくれた、文字通りの世話人ということかな?
……でも、嚆矢には何を学ばせる気なんだろ
「了解したよ。右も左も分からない若輩者で、迷惑を掛けるかもしれないけど……頼りにしてます」
そう言いながら俺は二人に対して頭を下げた。
「………はい?」
「ひゃあ!?」
そんな俺に対して嚆矢はあっけに取られたような声を出し、ひよは驚きの声をあげた。
「そ、そんな滅相も無い!頭なんて下げないでくださいよぉぉぉ!」
「……流石にこの程度のことで頭を下げられてはどう反応していいものか……天人だからですか?」
二人は口々に自分の意見を言った。
ひよはおそれおおいと言わんばかりに声を上げ、嚆矢は呆れたように右手で自分の目元を覆った。
「あら、やっと起きたの?」
そこで帰蝶が部屋に入ってきた。
「やっとね。…あ、お茶持って来てくれたんだ。ありがとう」
帰蝶がスッと差し出してくれたお茶をすする。
「はぁ〜……生き返る」
「壬月に負けたのに、呑気なものね」
「あ、やっぱ俺の負け扱い?鴻矢から聞いたけど……壬月さんに吹っ飛ばされたあとは?」
「家臣一同で検討した結果、結菜さまとしては残念ながら、剣丞さんの立場ば認めるという形で決着がつきました」
「へぇ…なら俺は晴れて織田家に居候できることになったわけか」
「私にとっては本当に残念ながらね……でも働かざる者食うべからず。衣食住が保証されている以上、それ相応に働いてもらいますからね」
「うん。それはちゃんとやるよ」
俺もただで特権を享受しようなんて考えちゃいない。
やれることはなんだってやるつもりだ。
「じゃあひよのことはお願いするわ。木下藤吉郎、通称はひよ子。親しい者の間では、ひよって呼ばれているわ。言うまでもないけど鴻矢くんのことも。井伊万千代直政。通称は鴻矢。織田家の客将で自らの希望で殆どの人から鴻矢と呼ばれているわね。あと、彼、女性みたいな見た目だけど男性だから」
え?鴻矢って男なの?いや、でも井伊直政ってそう言えば小柄で童顔だったみたいだからありえる……のか?
「いや、流石にわかるでしょう。結菜さま。一度刃を交えましたし……」
「え?ほんとに男なの?」
「えぇ……」
said out
※※※
今、僕は剣丞さんの少し後ろをひよさんと並んで歩いている。
「まさか剣丞さんにまで女と思われていたなんて……」
「あはは……でも、しょうがないんじゃないかな。ほら、鴻矢くんって綺麗だし」
「元服した男性に対して綺麗ってどうなんですか……」
そんな会話をしていると剣丞さんが後ろを振り返りこういった。
「…あのさ、どうしてそんなに後ろを歩いてるの?」
「はい。剣丞さまはお殿様の旦那様ですし、私なんかが並んでしまうと、剣丞さまのご身分に障りますし……」
「身分に障るってどういうこと?」
「高貴な身分の方が下々と近しく接するのは、身の穢れとなりますから……」
「ちなみに、僕は一応護衛ですので剣丞さんの後ろについてるだけですので気になさらず」
「高貴って誰が?それに鴻矢は誰を護衛してるの?」
………いや、あの、その。
「……いや、ご冗談を。剣丞さんをですよ」
「でも、俺なんて、平々凡々としたタダの人だよ?」
「田楽狭間に降り立ち織田に勝利をもたらした天人、もしくは弥勒菩薩の生まれ変わりだとか、阿弥陀さまの再臨だとか、仏の化身だとか言われたい放題なの知ってますか?」
「知ってるけど、それ、全部嘘だよ。ただの噂。俺は新田剣丞っていう一人の人間でしかない。ひよたちと同じにね。だからそんな風に気を遣って欲しくないんだけど……ダメかな?」
「で、でも……恐れ多いですよぉ……」
「まあ、そうですよね。でも、それと護衛をするしないは話が別なので」
「鴻矢くん!?」
「いや、だって本当に天人だとか仏の化身なら壬月さんに簡単に吹き飛ばされて気を失うなんてことないでしょう」
僕は僕なりの考えをひよさんに伝える。仏の化身が修羅ならまだしも人間相手に遅れをとるとは考えにくい。それに気絶するのもです。
「そうそう。それに仏の化身なら鴻矢にも遅れを取ったりしないってば。だから気にしないでくれ。そもそも人として生まれて、身分の違いとかあるはずないんだから」
「で、でもぉ〜……」
「それにさ。俺には分からないことだらけなのに、ひよと鴻矢がその調子じゃ、頼れないじゃん」
「頼り、ですか?」
「うんうん。俺、すっげー二人のこと、頼りにしてる。だからさ、身分とかじゃなくて、そうだなぁ……仲間とか友人として接してくれると嬉しいかな?」
「さすがにそれは……いえ、ありがたいことではあるのですが、剣丞さんを天人云々を抜きにしても織田殿の旦那様ということは変わりないですし、僕達にとってはお頭であるわけですし……」
「そうです。だから……あの、お頭として、お側近くに仕えてお慕いさせて頂くというのじゃダメですか?」
「そんな風に言ってくれてめちゃくちゃ嬉しいよ。……じゃあこれから、ゆっくり仲良くなっていこう?」
それでいいんですかね。
「はい!あの私、精一杯頑張りますね、お頭!」
まあ、ひよさんはこう言ってますし……
「ふむ……それでは親しみを込めて兄上とお呼びしましょうか?」
「うん、いいね……って、なんで兄上?」
「僕の父上は僕が2歳の頃にお亡くなりになられたので一人っ子なんですよ。ですので、弟とか兄とかそういう兄弟関係というのに少し憧れてまして……ダメでしょうか?」
「それが鴻矢なりの付き合い方ならそれでいいよ」
「では、今後ともよろしくお願いします、兄上。僕も僕なりに頑張りますので!」
この小説における井伊直政の見た目
身長160cm(同じ身長のキャラはダンガンロンパの苗木くんや文ストでチビとか言われる中也、俺妹の黒猫やコードギアスのカレンとナナリー、らっきょの式さんとかが該当します)
かなり整った顔つきで男性から見ても綺麗とまで言われる。髪は白く、目は青い。
髪型はリリなののシュテルのような感じなのを想像してください。
というものです。ちなみに、史実の直政はそっちの気がない徳川家康を目覚めかけさせたり、同僚に夜這いされる程度には見た目がよかったそうな。