ロキファミリアにコミュ障の少年が居るは間違っているだろうか?   作:モフモフ毛玉

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過ちには償いを

 

翌日、ムイはロキに説教部屋へと呼ばれた。

 

「…ムイたん、分かっとるやろ」

 

そう問われたムイはふと昨日の事を思い出す。

 

男達が嗤って少女を取り囲んだ所から記憶はプツリと途切れていた。

次に思い出したのは血塗れの地面とボロボロの男、そしてこちらを化け物を見るような目で見ていた少女だった。

 

「…昨日の事なら…よく…覚えてない…」

 

するとロキは少し頭に手を当てて溜息を吐き、少し質問を変える事にした。

 

「なぁムイたん、この呪詛(カース)に覚えはあるか?」

 

そう言ってステータスの写しをムイに見せる。

 

ムイは首を横に振り、マジマジと呪詛(カース)の項目を見ていた。

 

そして暫く見た後にポツリと呟いた

 

「…神父様の…教え…」

 

その言葉にロキはピクと眉を上げた。

 

ロキはその神父の事を聞こうと口を開く

 

「なぁ…ムイたん。その神父様ってのは誰なんや?」

 

するとムイはキョトンとした顔でこう返した

 

「神父様は、神父様だよ…?」

 

ロキは寒気を覚えた、勿論ムイが怖いと思った訳ではない。寒気を覚えたのは、その目だ。

 

ムイの目が、ムイの琥珀色の目が一瞬だけ紅くなった(・・・・・)のだ。

 

ロキ自身、ムイについてはまだ知らない事の方が多い。

 

そもそもムイが自分の意思でロキ・ファミリアに入団した訳ではない。

ムイはロキ・ファミリアに保護された(・・・・・)のだ。

 

神父の情報をムイから得られる事はないとロキは理解しつつ、頭の中に危険人物としてマークした。

 

「実はな、その呪詛(カース)でとは言っとらんけど、被害を受けたって言うとるファミリアがあるんよ。後で一緒に謝りに行こうな…」

 

「…うん」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

その頃、オラリオの入り口にて

 

「…教え通りオラリオに来ているとは…やはりあの子は良い子ですね……行く道中がとても心配になりましたが、良い神に拾わて本当に良かった」

 

何故か誰も居ない入り口に男が立って居た。

 

ふふ、と男は笑う。

その姿は少し変わっていた。着ている物は下半身は神官服のようなもの、上半身は神父服のようなものでチグハグだ。ただ共通点としては蒼い線が所々にあるという事のみ。髪は銀のようにも見える白、目は蒼く陽射しを受けて少し細めていた。

 

男は手に白い宝石が嵌められた本を持ちつつ、オラリオに足を踏み入れた。

 

「しかし…ここに来るのも久しぶりですが…はてさて…この広いオラリオであの子と『彼女』に会えるでしょうか…」

 

男はそう言って、辺りを見渡しつつゆっくりと歩き始めた。

 

…男の歩いた道に、薄く氷が張って居たのを知る者は誰も居らず、人々が行き交う頃には無くなっていた。

 


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