ロキファミリアにコミュ障の少年が居るは間違っているだろうか? 作:モフモフ毛玉
ムイが泣き、ロキが暴れた夜から経った翌日。
「なー、ムイたん。誰に泣かされたんや?怖がらんとウチに言うてみ?」
ロキが優しくムイに問う。
「酒場…でね」
「うん、酒場で何があったんや?」
ロキは酒場と言われて『豊穣の女主人』を思い浮かべる。ムイが酒場として行きそうな場所はそこしかない。
「亡霊だ、とか、言われて、ジッと見られて」
「うんうん」
「それで…耐え切れなくて、店員さんに頭を下げて、帰って」
「うん」
「それで…酒場の人達が僕の事で笑いながらお酒飲んでた」
「うん、よく話してくれたな。偉いで」
ロキはムイの頭を優しく撫でる。
「それじゃあウチはやる事あるからな、今日はゆっくり休みな」
「うん」
ロキはムイの部屋から出ると
「よし、『豊穣の女主人』に行ってウチの可愛いムイたんを笑ったヤツ全員のファミリアに
ロキの目はマジだった。
「アイズ、止めてくれ」
頭に手を当てながらリヴェリアはアイズにそう言う。
「ん、分かった」
そのまま他のファミリアにカチコミに行きそうになっていたロキはアイズによって止められた。
「なんでや!ムイたんを笑い者にされるとかウチ許さんで!」
「ああ、私だって許さない。だから今日のムイの外出について行こうと思うんだ」
「リヴェリア…私も行く」
「なら任せとくわ。……ムイたん泣かせたやつは倒してええで?責任はウチが取る」
『ムイたん泣かしたやつマジ許さん』と据わった目でリヴェリアとアイズを見るロキ
「やらないから安心してくれ」
「大丈夫、ムイを笑ったヤツは全員倒すから」
ふんすと気合入れてそう言うアイズにリヴェリアは
「せめて威圧程度に済ませてくれよ…」
と苦笑いでアイズに言った。
「分かってる」
その日の夜、ムイは目を覚ますと黒いローブを身に纏うとドアを開けて周りの確認をしようとして
「ムイ、今日は私たちも一緒に行くからな」
「安心してね」
扉を開けたらリヴェリアとアイズが居た。
「……うぇ?」
ムイはフリーズした。
「……」
「ムイ、大丈夫だからな」
「…ん、安心して」
いつもは一人で夜のオラリオに出ているが、今日はリヴェリアとアイズという有名人がいるのもあってかなんだなんだと周りが見てくる
「……ぅ」
ムイは小さな体を精一杯縮ませてなんとか見てくる人々の目線に入らないようにしようとするが
「どうした?寒いのか?」
リヴェリアが寒さで縮ませていると解釈して自分の上着を掛けようとする。
リヴェリアとアイズに気に掛けられながらムイはやっと『豊穣の女主人』に着いた。
「あ、いらっしゃいませにゃー!3名様かにゃー?」
先日の店員の猫人がムイ達に近づく
「あぁ」
「うん」
ムイの代わりに答える二人
そして店員の声を聞きなんだと振り返る冒険者達
(け、【剣姫】!?)
(【
ムイを見てニヤリと笑った冒険者達は両脇にアイズとリヴェリアが居るとわかるや否やサッとムイから目線を外して食事や酒を飲む。
「それじゃあ三名様ご案内にゃー!」
そうして中へと案内する店員。
「さ、行くぞ。ムイ」
「……うん」
店員はムイの事を気遣ってか先程の冒険者達から見えない場所に案内してくれた。
「さてと、ムイ。何を食べたい?」
「えっ、と」
ムイはメニューを見ながら悩んでいた。どれもこれも美味しそうであるが、自分の財布の中身はそれほどある訳ではない
「じゃあ、これ」
ムイは比較的安い料理を指差す
「あぁ、お金を気にしているのか?大丈夫だ。今日は私が払っておくからな。好きなものを食べていいぞ?」
リヴェリアはそう言ってムイを優しい目で見る
「あり、がとう」
ムイは感謝を述べつつ頭を下げる
「……!アイズ、今、今ムイがありがとう、と…!」
「…うん、可愛い」
その後気を良くしたリヴェリアとアイズは景気良く注文し、ズラリと並ぶ料理を見て戦慄する事になるのだが……それはまた別の話だ。
「……♪」
お腹いっぱい食べたムイは嬉しそうにしていた。ムイの周りにはその小さな体のどこに入るのかと言うぐらいの皿の山が連なっており、給仕をする店員もギョッとした目で見ていた。
「喜んでくれて嬉しいよ」
「うん、私も嬉しい」
そんなムイを撫でるリヴェリアとアイズ。
「……」
すると眠くなったのかウトウトし始めたムイ
「眠くなったんだな。よし、帰るか」
「…ん」
アイズはウトウトと船を漕ぎ始めたムイを背負う。
「お会計はこちらですにゃ!」
ズラッと並ぶゼロの数。
「ムイが楽しんでくれたなら安いモノだな」
そしてそんな額をポンと払うリヴェリア
「またのご来店をお待ちしておりますにゃー!」
店員の嬉しそうな声を聞きながらリヴェリアとアイズ、そしてアイズに背負われたムイはホームへと帰った。
なお、ムニャムニャと自室で眠るムイを見て頬を緩ませている