ロキファミリアにコミュ障の少年が居るは間違っているだろうか? 作:モフモフ毛玉
ステータスが更新された後もムイの生活は大きくは変わらなかった。朝にはリヴェリアの講座を受け、その後に昼までアイズとベートの戦闘指南。そしてお昼を挟んでアイズと一緒にダンジョンへ行き。夜になったら戻って眠り、夜中にいつも通りオラリオの街へ繰り出す。
そしてそこから一週間が経ち、ムイは一人でダンジョンに潜りたいと申し出た。
勿論ロキを始めとする保護者組は猛反対した。
しかしアイズからの最近のダンジョンでの動きを説明され、更にフィンが『三層までなら一人で行ける実力はあるから大丈夫』の一言でとりあえずは納得し、ムイも無茶をしないとロキに約束した為、渋々ではあるが了承した。
そしてその日の夜。
リヴェリアからポーションを沢山貰い、アイズやベートがムイを捕まえて着ようとした防具を剥ぎ取ると、真新しい装備をスポッと着せられた。
そしていざダンジョンへ行かんと玄関に手をかけたムイは浮遊感を覚えた。何故と上を見ればロキがボロボロと涙を流していた。
「い"や"や"ぁ"!ムイたんが心配なんやぁぁぁ!」
「う〜…」
ムイはこねてるロキを見た後目線を動かせば、右の方にはそれを見て頭を抱えているリヴェリア、左を見ればあわあわと手を動かすアイズ。
助けられる人は居なかった。
その後何とかロキから抜け出してダンジョンへと走った。
後ろから『ムイたんまっ…アイタァ!?』という声がしたがムイは気にしない事にした。
ーーーー
そのままムイは1人、ダンジョンで黙々とモンスターを倒した。
最初の頃は苦戦したゴブリンも今では三体までなら一人で何とかなる。
コボルトもすばしっこいが1匹づつ仕留める事を心がければ大丈夫な相手だ。
そのままモンスターを倒して魔石を回収するのを繰り返し、カバンがそこそこな重さになった頃、ムイは自分が今どの辺りに居るのかという事を把握して居なかったのを思い出す。
周りを見れば冒険者が居らず、モンスターも居ない。嫌な静けさが広がっていた。
すると視界の少し先、ボロボロな外套を纏った少女がパンパンに膨れたカバンを肩にかけ、ふらふらとこちらへ歩いて来て居た。
少女には所々に傷があり、更に手には折れたナイフ、戦闘した後だという事がはっきりと分かる。
すると奥からドタドタと男が三人走って来ていた。
男達の1人が少女のカバンの紐をを掴むと、そのまま無造作に己の方へと引き込んだ。
少女はバランスが取れずに倒れ込む。
「へへ…こんなパンパンのカバンを持ってるのは獲物にしかならねぇんだぜ」
そう言って少女が持つカバンを取り上げ、中身を物色し始めた。
少女は折れたナイフを振おうとするも、もう1人の男に羽交い締めにされる。
「く…この…返して!」
「へへへ…ダンジョンに安全なんてのは…ねぇんだよ!」
そう言って少女を羽交い締めにしていた男が無造作に壁へ少女を投げる。
受け身が取れなかった少女はそのまま肺から空気が抜け、咳き込む。
「へぇ…状態の良い魔石にナイフにポーション、良い収穫だな…」
「しかもコイツ、結構可愛いじゃねぇか…」
「へへへ、やっちゃいますか?」
そう言う男達を、ムイは見ていた。
ズキリ…と頭が痛む。
思い出すのは■■■■■の記憶。
自分の■が笑いかける記憶
オラリオから流れて来た■■■が自分と■の住む村を■■する記憶。
嘲笑い、■を■して笑い、そして■した■■■。
自分の無力さを呪い、叫んだ自分が見たのは
一瞬にして■■った■と
それを呆然と見つめる自分に優しく語りかける神々しさすら感じる■■だった。
ーーーアレは何だろうか
ーーーアレは哀れな者だ
ーーー哀れな者には何をすれば良い?
『哀れな者には苦しみを与えなさい、その罪の重さを知らしめなさい』
懐かしい言葉を思い出す
…ムイの行動は決まった。
ゆっくりと、ゆっくりと顔を上げる。
「【哀れな者よ、苦しみを知るがいい】」
そう呟いたムイの言葉は
…モンスターの生まれる音の前に搔き消えた。