保育園編、続きです。どうぞ。
317日目 晴
今日も俺は警備任……務なのかな?
何故かポチと共に園児達に混じって、俺は保育士の自律人形……ええい面倒だ、AA-12だAA-12! 彼女の担当する組で園児達と歌うことになった。どうしてこうなったのか、俺は分からない。
彼女の弾くピアノが奏でる音楽と一緒に歌うのはとある民謡。日本の昔話によく出てくる怪物、“鬼”に関する民謡だった。
にしても鬼か……懐かしいもんだ。俺が武器庫に入ってから間もないころに、よく先輩の隊員にそういう系統の話を聞かされた。気色は違うけどな。
「戦いに意味を見いだし始めたら人間は鬼になる」とか「戦いに快楽を求めると鬼に堕ちてしまう」とか……とにかく戒めの話が多かった。
過去にそんな奴が出てきたのかはてんで謎じゃある。あんまり首を突っ込む気も起きないけどな。
それはいいとして、AA-12のピアノ演奏が終われば、今度はお昼御飯が始まった。俺はそそくさと外に出て適当な場所で飯を食おうとしていたのだが、AA-12と園児に引き留められて一緒に食べることになった。
この時、警備任務があるのに……と言いかけたらAA-12に口を人差し指で塞がれて、
「変な輩は園長が大体どうにかするから、安心しなよ」
とか言われた。園長、アンタ何者なんだよ。というか人形達が全幅の信頼を寄せる園長が居るってのに、この保育園に脅迫状送った奴は命知らずかそれとも人権団体過激派なのか……それが分かれば苦労はしないか。
そうやって脅迫状の犯人を推理しつつ、園児達の寝かしつけを手伝って、また俺は任務へ赴いていった。今日も園児達が全員帰るまで見回りはしたのだが、爆薬やら潜んでる奴やらそういうのを発見するような事態は無かった。こりゃあ一週間で帰れるな全く。
318日目 曇
何の問題も起きなかった今日の帰り道、トンプソンと出会った。SAAも連れていた辺り、どうやら休日のようだ。早速抱きついてきたSAAを撫でつつ近況報告をすることなり、近くのカフェで一服することになった。
紅茶を飲みながらトンプソン色々聞いたところ、ここ最近はSAAのメンタルも安定し始めてるらしい。ちゃんと銃も撃てるようになったとか。まだ怖いらしいが。
勿論これは物凄く喜ばしいことであるのでしっかり祝ってやった。SAAに好きなものを選ばせてやった。一番高いもの選ばれた。別に構わなかったけども…………思えば、俺は基本後輩に奢る時はよく一番高いものを頼まれる。何でなんだろうな、本当に。誰かが俺に浪費するように仕向けている……? そんな馬鹿な。
そんな変な茶番劇を頭の中でやりつつ今度はこっちの事を色々話した。保育園の警備任務の事を話したら有り得なさそうな顔をされたのだが、これでも俺は子守りは得意な方だ。SAAの懐き具合を見てみろ。一目瞭然だ。
それをトンプソンに言ったら呆れられたのだが何が悪かったのだろう。そしてポチもなんで嫉妬をしているんだろうか、それが理解出来なかった。お前SAAによく可愛がられてるだろうに……。
そうやって弾んだ会話も終わり、トンプソン達と別れ下宿先に帰った。下宿先じゃ大家さんが庭掃除をしており、俺とポチも手伝った。ポチはこういう時も活躍してくれるとても良いダイナゲートだ。ゴミ収集ならコイツに任せるのも良い。大家さんも舌を巻いていた。
掃除が終わった後、大家さんが手伝いのお礼に作り置きしていたらしい漬物を貰った。“奈良漬け”というものらしい。何とも言えない匂いだった。
大家さんへお礼を伝えて、部屋に帰れば、それと同時にスピアからメールがやって来た。その内容なんだが……アイツ、この前言ってた戦術人形達に見つかったらしい。ほぼ諦めてるような文章だったが、最後の最後でとんでもない呪詛が入っていた辺り、まだ大丈夫だと思う。
いや、何だかんだ言ってな、スターゲイザーパイは好きっちゃ好きなんだぜ? 武器庫の日本人組がたまに目玉焼きに垂らしてる醤油っていうものがあれに合うもんでな。流石にそのままは無理だ。うなぎゼリー?知らん。あれは人の食うもんじゃねぇだろ。
にしても、スピアの奴は大変だよなぁ……あんな厄介なのは俺でも御免だ。
待てよ……? スピアに付きまとってる戦術人形二人組って正規軍出身だよな……大丈夫か?
…………まぁいいか、寝よう。アイツなら何とかしてくれるさ。
319日目 雨
カッパを着て警備任務。俺の後ろをこれまた可愛らしいカッパを着た園児が着いてきてた。休み時間と俺の巡回が重なったらしい。
ばちゃりばちゃりと俺とポチが歩き、ぴちゃりぴちゃりと園児達が着いてくる。端から見ればそれは随分と微笑ましい光景なのだろうが、俺としては大人しく屋内に居て欲しいものなのだが。やっぱり暇なのだろうか? 何気にM590やらKSGも着いてきている。写真も撮っていた。広報に使うそうだ。
イメージアップは大事だよな。でもなんで銃引っ提げた野郎とダイナゲートが子供達と歩いている写真を撮ろうと思ったのだろう。それを聞こうとしたが、結局聞けず終いであった。残念だ。
任務が終われば、今度は下宿先で静かな時間を過ごした。雨音を聞きながら紅茶を飲み、そして食事を済ます。
スピアからヘルプのメールが数百件来てるが、俺は知らない。
一応諜報部にも伝えておくが。
320日目 曇
何てこった! 保育園が人類人権団体過激派数人に襲われちまった!! まあ普通に撃退出来たけどな!! 序でに捕縛も出来た。
どうやらコイツら、脅迫状の犯人の可能性がある。という事で、治安部隊に身柄を引き渡して何が目的なのかを聞き出して貰った。今はその連絡待ちである。
待っている間、園児達は一応この保育園の自律人形達による強固な守りの下、保護させておいた。
…………コアを抜かれてるのにショットガン使いこなせてる自律人形達に関してはこの際突っ込むのは無しにしよう。多分突っ込んだら俺がブタ箱か、あの世行きだ。
とりあえず園長と今後について話した。彼曰く、俺の警備任務の期間を延長させるらしい。どうにも、治安部隊がその過激派の拠点を摘発するまでここに居て欲しいそうだ。
一週間で帰れそうだったんだけどなぁ……まぁ追加で報酬が入るし文句は言えない。金が貰えりゃ働くのが傭兵だからな。料金分はしっかり働かないと。
さぁ明日も頑張るぞ。
スピア「たすけて」メルメル
ジャベリン「無理」メルメル
スピア「お前に面倒事がやってくるようにおまじないでもしてやるか……」メルメル
ジャベリン「は?」メルメル
さて、次回からとあるキャラが登場します。どれだけ引っ掻き回してくれるのでしょうかねぇ……。
この作品への感想及び評価は心の支えです。どうぞ、よろしくお願いいたします!!また今度!!