ジャベリンくんはS10地区へ……。
371日目 曇
武器庫のジープ結構快適だな。
キャロルちゃんをS09地区付近に降ろした後にS10地区へ向かった。案外別れはあっけなかったもので、彼女は軽く感謝の意を伝えた程度だった。無事に到着すればいいんだが。
あぁそうそう、道中でとある戦術人形を拾った。名前は『M200』……まぁその、ちょっとある意味俺とスピアに因縁がある人形の個体だった。詳しく語ろうにも、内容があまりにもふざけてるので何と形容したものか。
ひとまず言えることは、ストーカー気質のM200にスピアとポチ共々追いかけられていたら物凄く平和な異世界へと迷い混んでしまったということだけだ。信じなくてもいい。俺もあまり信じられない。
さて肝心のM200は俺達の事を覚えてない。というのも、あからさまに致命的なバグが起きていたので一度初期化されて修理をされたらしい。願わくばまた目覚めないことを願う。執念は怖いぞ。
……それでまぁ、M200案件でまた厄介事があるんだ。何で俺がM200を拾ったのかと言うとな、彼女を輸送していたキャラバンが人類人権団体の小規模集団に壊滅一歩手前のところをギリギリで救出したのである。生存者は……M200のみだ。一応I.O.Pへ連絡をしたところ、そのまま彼女をS10地区の基地へ送ってくれと言われてしまった。何か杜撰じゃねぇかお前ら……ついでだから問題ないけど。
それは兎も角、さっきM200は初期化されていると言ったな?
俺、間違えて起動しちゃったんだよね。彼女を。
戦術人形ってさ、確か起動前に誰が指揮官か、ご主人かを設定するらしいんだけどその過程を吹っ飛ばしたらどうなると思う?
正解は目の前の人間がご主人様になるってわけ。
……どうしよう。
372日目 晴
とりあえずお嬢に連絡してM200のことを相談した。
爆笑された。彼女の気持ちは分かるから怒る気にもなれなかった。
お嬢曰く、M200の状態は基地でまた調整は可能であるから問題ないそうだ。だからそのままこっちに来ても大丈夫みたいだ。
とりあえず急いで向かおう。
ポチとM200が謎の火花を散らしてるからな!!!知らねぇよ誰が俺の従者として相応しいかとか!!!
俺にとっちゃポチの方が大切だけどさ……でも迂闊に言うと危ない。ここは適当に流しておこう。うん。俺は学習したからな。
だから変な笑いをするんじゃあない!ポチ!!電気ショックだ!!!
373日目 雨時々曇
少々盗賊との小競り合いがあったものの、何とかS10地区へ到着。M200を基地の人形へ預けて応接室でコーマック指揮官…お嬢を待った。
5分程して彼女とその副官G36…『ローゼ』がやって来た。久し振りに会う彼女たちは、戦場に揉まれたのか若干顔付きが逞しくなっている。
適当な雑談を交え、お茶会を何時やるのかと話を振ったら明日やると教えてくれた。
じゃあ仕方ない……ということで俺は宿舎の一室を借りて日記を書いている。夜風が何だか気持ちが良かった。
それに今日は満月だ。ちょっとぐらい酒を拝借しても文句は言われないはずだ。
ということで食料庫にやって来た。M16に捕まった。酒盛りに付き合うことになってしまった。
いや、軽く飲む程度かなーって思ってたんだけどさ、向こうが凄い勢いで飲ませてくるのよ。やれ久々なんだから飲もうぜだの満月が綺麗なんだしいいだろだの。全くアイツらしいんだが、明日に響く事を考えて欲しかった。お陰で視界が揺れてる。
あの飲兵衛は現在この部屋の窓辺で飲んでるんだが……俺そろそろ寝たい。
まぁいいか。ポチは先にスリープ入ってるし俺も寝よ。
二日酔いにはならないで欲しいもんだ。
374日目 晴
何かお茶会のお客様にめっちゃ見覚えある褐色の女の子居るんだけど。
詳しく言ったら鉄血工造で見た子なんだけど。えっ?
ついでに他のハイエンド達も居るんですが……。
M200はちゃんと調整されました。多分、きっと。メイビー。
しかし今回のお茶会は随分と(ジャベリンくんの心境が)大変なことになりそうな予感……なんとかなるやろ!!
次回もお楽しみに!それではまた今度!