傭兵日記   作:サマシュ

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救出作戦、始まります。


任務は順調、不測は常々。

395日目 雨

 

作戦は成功。武器と装備その他諸々をトライデントから受け取ってさっさと逃げることが出来た。

後は嘘がどれだけ効力を発揮してくれるかのみである。

 

ということで今俺はグリフィンのとある場所にてブリーフィングをしている。今回はヘリアントスさんによるものだった。まぁ基本的に人形達に向けて話してたんですがね。

因みに救助対象の名前は『アルバート・スミス』。珍しいことにグリフィンで整備士をやってる男だそうだ。物好きかそれとも類い稀な技術を持ってるからなのやら……。

俺に対する作戦内容云々はブリーフィング後に伝えられた。どうやら人形達は陽動で、俺とポチが救難信号が最後に確認された場所に潜入、そして対象を発見したら救助という手筈だそうだ。

敵の戦力は相当だそうだ。まぁ何せ砲台があるもんな。戦略的位置としては相当重要な場所だろう。鉄血側もかなり強固な防衛拠点を築いていると聞く。

正面突破はどう考えても難しい。だから俺が必要だったわけだな。

人形達がどうにかこうにかやってる間にさっさと救助しちまえばいいんだな。

 

せいぜい見つからないように動かないとなぁこりゃ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

396日目 曇

 

作戦当日。エンジンの音が響く機内で日記を書いている。ふと通信端末を見れば見慣れた電話番号から大量の着信履歴。これはバレちまったなと……まぁ傷もそれなりに治ってるし作戦行動には何ら障害はない。

それにしても……途中でヘリアントスさんから連絡が入った。それはどうにも同じ戦域内でAR小隊が雪山で遭難したそうだ。流石に他の部隊を行かせるそうだが、可能であれば対象を回収させたあとに支援に向かってくれと言われた。

追加報酬を貰えるから一応頭の隅っこに置いておこう。

とはいえ俺の今までのハードラックさを考えるとあんまり期待は出来ない。また腹を抉られたり武器が壊されたりするのは御免だ。

 

ふと外を眺めてみたのだが、見えるのは雲ばかり。潜入にはもってこいだが旅行としちゃ幾分か物足りない。でっかい花火でも来ないかなんて思ったが縁起でもないので直ぐに考えるのをやめた。

ジュピターって対空も出来るとか聞いたからな。おぉ怖い。

 

……そろそろ降下の時間だ。気合い入れて頑張るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

396日目 続き

 

予定の地点より五キロほど離れて着地してしまった。幸い装備その他諸々は無事だが……俺の降りた場所はどうやら敵地ど真ん中だったようで、降りて直ぐに鉄血人形達が集まってきた。

ちょっと不味かったので義眼のジャミングを使い目を眩まして何とか逃げ延びたものの、追跡はまだ続いているだろう。全くついてないぜ。

取り敢えず少し予定着地点よりズレてしまったから少々遅れると司令部に連絡をしておいた。

 

安全を確保するためにポチを先行させてるが、今のところ脅威は発見されていない。

早くポチの残した印に沿って合流するとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

397日目 雪

 

対象を発見……アルバート・スミスという男は俺よりも年下の青年だった。彼曰く二十歳を過ぎたぐらいだとかなんとか。年相応におちゃらけた奴だが、自前の爆弾を作ってる辺り、かなり技術を持った野郎だ。あと一目で俺が義眼を付けてることを見抜いてきた。何者なんだ。

俺を一目見た瞬間『な、なぁ、救出に来てくれたことは嬉しいんだけど取り敢えずその義眼触らせてくれない?』ってさ。びっくりしたよ本当。しかもポチだって喋れるのが分かった瞬間レンチ片手に迫って来たし。

 

さっさとこの変人を連れて回収地点まで向かいたいのは山々なんだけれど、困ったことに敵の大群がやって来た。

今は呑気に日記なんぞ書いてないで防衛しろとか言われそうなんだがね、アルバートがどうやら何か策があるらしく、のんびりしててくれと言われたからこうやって書いてる。

 

……いや、うん。正確に言うと強制されてんだよ。何でだよ。

 

……凄く不安だ。

 

 

 

 

 







【ただの茶番】


≪この人怖いですご主人。ずっと私の体を嘗め回すように見てますキモいです≫

「まぁまぁそんな事言うなよポチちゃん。俺はただ君の中身を知りたいんだぐっふっふっふ……」

「うわ」





ドーモサマシュです。ジャベリンくんの救出作戦が始まりましたね……そしてもちろんあの鉄血JKやらなんやらが出て来ます。楽しみですね()

次回、整備士くんアーキテクトに目を付けられるの巻。お楽しみに!

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