修羅場?ギャグになっちまったよ。
この先、キャラ崩壊に気を付けろ。
それではどうぞー
閑静な住宅街、そこに鎮座する大きなマンション。このマンションは多くの富裕層が住んでおり、入居者が少ないものの、管理人が全身全霊を持って綺麗な状態に保っている。そんなマンションの一室で、異様な光景が発生していた。
「ジャベリン……詳しく」
「詳しく……話せ……!」
「今……私は冷静さを欠こうとしている」
現在俺は死にかけている。目の前に居る女性、いやM16A1と呼ばれる戦術人形は、電子ロックのかかったドアを力業で破り、突然俺の目の前に現れた。殺気がこれでもかと飛ばされているせいで、ポチとオスカーが隠れた。彼女が怒る理由が分からない。とはいえこのまま爆発されると非常に危険であるため、理由を聞く。
「え、M16」
「あ"ぁ"??」
「ヒエッ……な、何で怒ってるんだ、理由を話してくれ」
「何だと……お前、理由を話せと言ったか?」
あ、地雷踏んだ。心の中でお経を唱える。室内がどんどん冷えてくる。殺気が更に強くなっていき、M16はわなわなと震えだした。
そろそろ爆発するぞ!!伏せろ!!意味無いか!!グッバイ俺の人生!!!俺は目を閉じた。
「ジャベリン……お前ってやつはSOPに手を出しておいて何を言ってるんだ!!!?!?」
「……は?」
沈黙が室内を支配する。オスカーとポチが、なんだただの痴話喧嘩か……とのそのそ出てきた。
M16が続けて言う。
「惚けるなジャベリン!!SOPから聞いたぞ、昨日お前と……お前と……!!!」
「待てM16、お前と俺との情報の齟齬が生じてないか?」
「うるさいっ!!あんな純粋な妹を汚して……!!!覚悟しろジャベリン!!」
「おまっ!!?銃下ろせ馬鹿!!!」
「M16姉さん、待ってください!!」
M16が室内で銃を構えてきてかくやというときに、天使の声が聞こえた。M4A1だ。た、助かった。大股でM16へ近付いていく。だがよく見ると何処か様子がおかしい……まさか。
「ここは射殺するのではなくしっかりと責任を取ってもらうべきです!!!」
「M4、だけど」
「だけどじゃありません!!」
お 前 も か M 4 。
彼女の瞳はぐるぐると渦を巻いており、とても正気とは思えない。なんで電脳バグらせてるI.O.P仕事しろ!!!ただM16が狼狽えて銃を下ろしてくれたのは僥倖なんだがどちらにせよ状況は変わってない。マトモなのは俺だけか!!?そしていつの間にやら出入口からこちらを見つめている戸惑いぎみのAR-15の姿もある。頼む、助けてくれ……!!!目線でそう彼女へ伝える。
「えっと……御愁傷様?」
天は我を見放した!!!
このポンコツゥ!!!!しっかりしろってんだ!!!!!
一人空へ祈りを乞う姿勢になる。M4とM16は未だ話し合っているがそろそろ纏まりそうな雰囲気がある。頼むからそのままずっと話し合っててくれ。だが運命はそれを許さないのか二人が俺に向き直る。
「その、だな……ジャベリン」
「姉さん」
「うっ……分かってるよ」
最早今の俺は死刑宣告間近の罪人だ。俺の味方は一人も居ない。ポチでさえ我関せずで口笛でも吹いているかのようにそっぽを向いている。そこも可愛いよポチィ!!!後で犬のステッカー全身に貼ってやるからな待っとけよバーカバーカ!!!!!!!!!しかもメインカメラにも「いぬ」って書いてやる!!!!!
M16が決心をしたのか無駄に良い顔で話を切り出す。
「ええとな、SOPは純粋で可愛らしい娘だ、そんな娘を汚してしまったお前には多大な恨みがある。だがそれとこれは話が別なんだ。ジャベリン、一つ約束してほしい、あの娘は孤独を嫌がる。だから、いつ如何なる時も離れないでやってくれ。もしもSOPを寂しい思いにさせるような時は覚悟しておけ??とはいえ何もない状態からお前たちをほっぽりだすつもりは毛頭無いんだ。私たち姉妹にはありったけのお金はある。お前たちが上手く生きていけるようにいくらでも支援してやる。お前が傭兵稼業を止めて喫茶店やBARを始めるなら初期投資してやるし店に入り浸ってやることだってできる。ましてやそのまま傭兵稼業を続けるなら私たちはお前に着いていこう。SOPを悲しませないためにもお前を絶対守る。グリフィンや武器庫の相手だって任せてくれ、なあに私は交渉のカードは念のために幾らでも作ってあるし仮に追われる身になったって身分を隠してでもお前たちを守ることが出来るんだ。このM16に任せてくれ。勿論M4やコルトだって反対するわけないさ。あぁ後、もしもSOPが私たちを加えてお前と情事をやりたいんだったら幾らでも相手をしてやる。戦術人形ってのは拡張性が高いんだ。絶対にお前も気持ちよくなるさ。安心してくれさっき秘匿無線で話し合ったからな同意はちゃんと得ている。それとな、どんなときだってお前が食事をしていようと用を足していようとSOPと情事を営んでいようと四六時中24時間365日ずっと見守ってお前たちを外敵に触れさせないからな。だからな、だからな、絶対に約束を守ってくれSOPを護り通すってことをそうでなきゃお前をミンチにして野良犬の餌にしてそれを食べた野良犬を片っ端からまたミンチにしたって満足しないくらいお前を憎んで憎んで憎み尽くすからな本当に本当に頼むよジャベリン絶対にまもっ」
「少し落ち着こうな????」
クルーガーァァァ!!!!M16が壊れたー!!!!!彼女と序でにM4も直してくれ!!!!!!無理だったら有ること無いことばら蒔いてお前の胃腸と毛根ぶっ潰すからなー!!!!!!
ええいここに居る奴らは皆壊れてやがる!!!マトモなやつはおらんのか!!!AR-15ォ!!!!
「その、あの、SOPをよろしく……頼むわね、お義兄さん?」
だから違うってェェェェ!!!!!!俺は!!!昨日!!!!SOPと!!!!散歩しただけだ!!!!!!
「「「……えっ?」」」
「えっ?」
何故か空気が凍る。M16は一抹の希望に縋るような目で俺を見て、M4は正気に戻ったような目に戻り、AR-15が信じられないものを見るように口を覆ってる。M16が俺に倒れこみ、俺を見上げるようにして口を開く。
「ジャベリン……ジャベリン……それは……それは本当なのか……?」
「いや、本当だって。SOPから何を聞いたんだ」
「SOPは……お前のは大きかったって……激しく動いてもちゃんとそれに反応してくれたって……」
「えぇ……」
それは誰でも勘違いするような……というかM4立ったまま気絶してるけどこれ大丈夫か……?
「そんな……こんな仕打ちあるのか……?」
「いや、だから落ち着けM16。お前らしくないぞ」
「そうか、そうだよな。お前に限ってそんなことするはずn」
「もー、皆いきなり何処か行ったかと思ったら何でジャベリンの所行ってるのさー?ずるいじゃん!」
M16が安堵したその矢先、この問題の渦中の人物であるSOPMOD-Ⅱが俺の部屋にひょっこり現れた。これは不味い。M16がフリーズしてる。
あっ!!AR-15お前なんで近付く!?やめろ!!!今の君の電脳はポンコツになってるんだぞ!!
「ねぇSOP」
「んー?どうしたのコルト」
「貴方、ジャベリンと昨日どんなことしたの?」
「えっ?」
あーあ……M16がまたとんでもない顔になってるぞ……安堵と絶望が同居してる顔。落ち着けー落ち着けよM16ー?
「どんなことって……まぁ、ジャベリンに抱かれたり?」
「フグッ!!」
間違いでもないけど言い方ァ!!!アッM16がヤバい!!
「ジャベリンの信じられないくらい硬かったよ?何時までも触っていたいぐらい!」
「うぐぁっガハァッッ!!!!!」
それ胸板な!!!間違っても誤解を招くものじゃない!!ひいっ!!M16が血を吐いた!?
「それにー後ろから抱きしめたよ!!おっきくてかっこよかった!!」
「そ、SOPグフッ」
「あとねー、しっかり抱き締められながらこのマンションまで行って遊んじゃったんだ!」
「」
ぷしゅうと、M16からショートする音が聞こえる。白目剥いてる……これ本格的に不味いな。クルーガー社長よりペルシカリアだ。俺は急いで連絡する。
それを尻目にふむふむと、AR-15が頷いて俺たちに向き直った。
「どうやらジャベリンは特に何もしていないようね……ってあれっ?どうしてM16は煙なんて吐いてるのかしら?M4も起きなさいよ」
AR-15、お前がMVPだ。
「ごめんなさい……」
揺れる車内でAR-15が謝る。気にする必要は全くないと目で伝える。察した彼女はそれでも居心地悪そうに下に目線を向けた。SOPはどこ吹く風か、外の景色をずっと見ている。今現在ペルシカリアの研究所まで迎えに来てくれた車で向かっている。何せ二人の人形がバグってる。M16は「ウソダ……ウソダ……」とぶつぶつ言ってるしM4は「私……何やってんだろ……本当、何やってんだろ……」と虚な目で空中に何かを描いてる。正直怖い。おいM4ドナドナを歌い始めるんじゃない。SOPどうにかして……。
「んー、無理!」
そっかぁ……。君の笑顔には惚れ惚れするよ……。
というかAR-15、何時まで凹んでいるつもりなんだ。何だかんだ言って悪くないんだぞお前。
「確かにそうですが……」
ならもう気にするんじゃない。ちょっとだけ失敗をしたがそれで重大な大ポカに繋がった訳じゃないんだから。そんなに気にするならSOP、やってしまいなさい。
「りょうかーい!ほーらコルト笑って笑って!!」
「ちょっSOP!」
ぐにぐにとSOPがAR-15の頬っぺたを摘まむ。AR-15は口では嫌がっているものの、満更でもなさそうだ。
車が研究所……というよりI.O.P本社か?そこに到着して、車から降りると、ペルシカリアが何人か連れて待っていた。さっそくM16、M4を運ばせる。ペルシカリアに何が起きたのか部屋に案内された後で詳細を話した所、大爆笑された。
「きっ、君が……ブフッ……そんな勘違いされるなんて……ンフッフ……あぁ、おかしい!!」
うるさいぞ。こちとらドア破壊されてなおかつ身に覚えのない罪を着せられたんだからたまったもんじゃない。本当なら紅茶でも飲んでのんびりするつもりだったんだがな。
「グフヘッ……んっん、それについては謝罪するわ。M16は妹のことになったら暴走しちゃうからね。それよりもM4が釣られるなんて予想外なのよ」
「はん?そうなのか?」
「そそ、結構真面目で彼女たちのブレーキ役だったし」
そういえば……そうだったな。
彼女と会うのは二度目なんだが、最初出会った時はだいたい事態の収束を図ろうとする人形だった。何があったんだろう。
「ま、そこは修理がてら解析でもしてみるから、安心して。コーヒー飲む?」
「あー、ありがブフッ!!!不味っ!」
「やっぱりか……後で拭いてね」
泥水コーヒー渡された。とりあえず近くにあったティッシュで床を拭く。というかペルシカリアにはちゃんとしたドリッパーや豆を押し付けたはずなんだがどうしたのだろうか?
「君から貰ったドリッパー?他の研究員にあげたわよ。そもそも一からコーヒー淹れるの面倒なのよね」
もしかしなくてもズボラだな君?研究に熱心なのはいい研究者の証拠だがそれで日常生活が疎かになるのは不味いだろうに。
最低限度の生活は送ってる?うっそだぁ……。
「そういえば、俺はどうすればいい?」
「んー?ここに泊まれば?ソファー使いなよ」
「そう来たかー……じゃあお言葉に甘えるよ」
急な展開だが仕方あるまい。適当に枕になりそうなものを見繕って接待用ソファに横になる。ペルシカリアは特に文句は言わず、ブランケットを俺にかけて、部屋を出ると共に電気を消してくれた。暫くしてポケットから携帯を取り出し、ポチにドアをある程度修復するように指示を出す。これで懸念はなくなった。あとはM16達の回復を待つのみとなった。今日は色々有りすぎて疲れたのだ。目を閉じて寝ることに集中する。だんだんと意識が遠退いていく。
あいつら元に戻っているといいんだがな。
全てのAR小隊ファンの皆様申し訳ありませんでした。
最初は発砲しようとしたM16をM4やコルトが必死に止めてSOPの発言で更に激化する所をなんとか抑えてジャベリンくんが許してもらうように色々計らってお花見に行かせる手筈だったんですがフルーツグラノーラを食べながら構想を練っていたところ怪文書という三文字が頭のなかをぐるぐると回ってそれを急激に書きたくなりこの展開に至った次第でございます。最後に言わせていただきますと、ポンコツ可愛いなコルト、無自覚小悪魔なSOPは最高だと思います。M16とM4には悪いのですがこれを書きたいがためにバグっていただきました。ちなみに怪文書の中に結構な爆弾発言混ぜました(悪魔の顔)
あ、もしかしたらまた別の戦術人形でやるかもしれないのでよろしくお願いします(ダイマ)
それでは、感想及び評価は執筆の励みですのでどんどんお願いします!!それではー!!!