傭兵日記   作:サマシュ

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さあさあ昨日の喧騒を抜けたジャベリンくん。そこはかとなく疲れた彼へ仕事の話が舞い込んでくる!
さてその仕事の内容とは?そして着いてくる人形たちとは?
それではどうぞー。
















傭兵、任務準備だってよ。

89日目 雨

 

先に起きていた416に叩き起こされて自分がここにいる理由とG11が俺の服を着ている理由を話させられた。

俺が416に説明をしているうちに、記憶が呼び覚まされたのか顔が真っ赤に染まって俺を殴った。理不尽だ。暫く彼女はトイレから出てこなかった。

G11はずっと寝ており、全く起きない。どうせ無理矢理起こしても無駄なので416に叩き起こされた拍子にベッドから投げ出されたオスカーをG11の傍らに置いた。オスカーはすぐにG11の上に乗って寝始める。可愛い。可愛過ぎて浄化される。守ってあげなきゃ……。

 

俺はポストに投函された新聞と社内報を取り出して、テーブルへ放り、朝御飯を用意する。内容は買いだめしてたカット済みの野菜とトースト、スクランブルエッグに紅茶だ。ちなみに全部高かった。まぁ俺以外に客人がいるから仕方ない。トイレに籠る416を呼び、眠るG11を起こして紅茶を飲みながら社内報を読む。どうやら臨時で追加された内容もあるようで、この前の物より厚かった。見開きには俺が懇意にしてる農園のクライアント……ここ、グリフィン支援し始めたのか。

そのままゴシップコーナーを見ていて、ふと目に入った記事を読み口に含んでいた紅茶を噴いてしまった。その内容は「騒然!グリフィン社員ご用達喫茶店の看板人形に恋人!?」だった。

昨日写真撮ってたやつだなこの野郎。もう少し読み進めると「さらに驚き!!あの看板人形の恋人はプレイボーイ!?」という見出しと共に俺がM16、416、M4、代理人と居る写真も撮ってやがった。

グリフィンはどれだけゴシップに飢えてるんだか。というかペルシカリアからの着信が数十件あったのはそのせいだったのだろう。誤解だとメールで送っておいた。

ふとまた携帯から着信音がする。誰かと見ればヘリアントスさん。出てみれば、仕事の話らしい。

 

えぇ……この状態で出社するの嫌なんだけど。そう思いながら仕事の準備をした。

 

 

 

 

 

 

……………………………………

 

 

「よく来てくれた」

 

「それで、仕事ってのはなんですか?」

 

 

いつもの社長室といつもの俺のセリフ……いつものなのか?とにかく俺は仕事の内容を聞くためにクルーガー社長の居る部屋に来ていた。途中、グリフィン社員や戦術人形たちの視線やひそひそ話が色々と痛かったが何とかここに来た。心なしかクルーガー社長の隣にいるヘリアントスさんも結構痛い目線を俺に向けてくる。誤解なんだヘリアントスさん、俺は一途な人間なんだ。

 

 

「君に依頼する任務は他でもない、護衛任務だ」

 

「護衛任務?」

 

 

心のなかで言い訳をしている間にクルーガー社長が話を進める。護衛任務なんて久し振りだ。確か最後は盾部隊の一人と旅客機でVIPの護衛だったか。あの時はテロリストが潜伏しててそいつらの対応に追われて大変だったな。しかし、誰を護衛するのやら。

 

 

「社内報は見ただろう?最近グリフィンに食材を卸し始めた農園、あそこからの依頼だ」

 

「えっ!?」

 

 

クルーガー社長の言葉に思わず声が出る。怪訝に思ったクルーガー社長が何か言おうとしたが問題ないと手で伝えた。

しかし、彼処の護衛って何するんだ……。そう考えているとクルーガー社長が話を再開し始めた。

 

 

「あの農園には一人娘が居てな、その一人娘宛に脅迫の手紙が連日届いているらしく、不安に思った農園主が暫くの間護衛を頼みたいということで、依頼が来たんだ」

 

「はぁ……なるほど」

 

 

あーーーーなるほどねぇなるほどなるほど……うんうん、嫌だなぁ。あの農園からは連日お手伝いの催促とか(脅迫状みたいなもの)が届いてるからwin-winだよ、俺が行く必要ねぇよ。

 

 

「それと、依頼主は君が来ることをご所望だ」

 

 

あーーーーーーまっっっっったく計算ずくめだなぁ彼処はよぉ!!!

盛大にため息を吐きたいのを我慢しながら他に誰が来るのかを聞くことにした。

 

 

「それで……誰か一緒にくるんでしょう?」

 

「話が早くて助かる。今は諸任務でここには居ないが、名前だけは教えておこう」

 

 

せめてまともな奴がいいよなぁ……いや、別に今まで出会った戦術人形が頭のイカれた奴らという訳ではないんだけど……最近疲れてるのかな。いや、この前は一応休めたし大丈夫なはず。

 

 

UMP45とUMP9だ

 

 

俺は膝から崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

もう……海外に高飛びしていいよね……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

90日目 晴

 

俺は今任務のために準備をしている。416とG11はまだ仕事が入ってきてないのか俺の部屋に昨日から居座っている。いや構わないけども。

なんというか、憂鬱だ。何せチームを組むのがあのUMP姉妹だ。俺の動向を逐一把握しているであろう45、まだマシとはいえ俺を突然家族認定してきた9。クセが強すぎる。とはいえ一応俺の運はそれなりに有ったようで、もう一人か二人ほど戦術人形が来るらしい。こいつらはまともであってほしいんだが。

そうやって悶々と考えていても始まらなかったので装備の確認をしていく。

今回はできる限り必要最低限の装備しか持っていかない。どうせ向こうの農園で武器なんて馬鹿みたいにあるからな。

 

武器を並べて悩んでいると、416が興味を持ったのか俺の隣にやって来た。ふと思い立って彼女に必要最低限の威力で、もしもの時にはすぐ即応できる装備を揃えるとしたらどうすると聞いてみたところ、彼女が選んだのはMP7、G17、フラッシュバンとなった。弾の互換性が無いのはまぁ目を瞑っておこう。彼女に礼を言ってこの装備と+αで任務に赴くことにした。

 

明日はきっといい日になるんだ、そう強く願うことで憂鬱をぶっ飛ばそう。

 

 




ジャベリンくんはそろそろ泣いていい。書いている私が言うのもなんですがね。
そして、UMP姉妹の他にやってくる戦術人形とは一体……?そしてジャベリンが今回の仕事を嫌がる理由とは……乞うご期待!!


やっと本編に突入するための下準備に取り掛かれました。次からは私生活が確実に忙しくなるため、三日に一回の更新ペースで行きます。もしかしたら連日投稿もしますが期待はなさらずに……四月に入るまでには本編行きたかったんですけどねぇ……まあ、それはともかく、皆様こんな私の拙作を応援していただき、心の底から感謝しております。私がこうやって続けて行けたのは皆様のお陰とも言えましょう。まだまだ本編にも達していないこの作品ですが、どうぞ今後ともご期待ください。
それではまた三日後に!!

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