ジャベリンくん改めてゴーストくんは、初めての暗殺任務をやります。初めての暗殺任務、何も起きないということはなく……?
それではどーぞ。
139日目 雨
俺が『ゴースト』としての任務は今回で初めてだ。(ちなみにスペクターという名前は廃止した。俺があまり好きじゃないんだ)
俺が『ゴースト』として活動している間は、ロシア製の武器で統一することにした。そして素顔を知られない為にもたまたま部屋にあったドクロがプリントされたバラクラバに多機能ゴーグルを着けて行動する。これまんまゲームキャラクターみたいになったけどどうしよう。まあ『フォーゲル』にとやかく言われなきゃ何も問題はない。
現在はポチと共にとあるビルの屋上でSV-98を構えて待ち構えていた。ポチは観測手兼周辺警備だ。言葉を交わえることが出来るのはやはり便利だ。
暗殺対象は人権団体過激派の幹部だ。フォーゲルからの情報曰く、彼を乗せた車がいまスコープ越しに見ている道路を走るらしい。俺はその車のタイヤを撃ち抜いて、事故に見せ掛けて殺すようにしろと伝えられている。
そろそろ対象がやってくる時間だ。筆をここで置く。
140日目 晴
任務は達成。対象は事故死扱いだ。
ただ、そのあとのことが宜しくない。俺は今追われている。
何に追われてるかって?
はは、言わなきゃダメ?仕方ないなぁ………………
スケアクロウだよ糞がァ!!!!!!!!!!!何でてめーが居るんだ!!!!!!!あぁ何か吐き気してきたトラウマこの野郎ォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
現在は義眼をフルで機能させて物陰でこれを書いている。この状態になって分かったのがこの姿を消せる機能、俺の半径2m以内に居る味方は俺と同じく姿を消すことが出来るらしい。だからポチも感知されずに無事なのだ。こればかりはペルシカリアに感謝しなければ。
とはいえ俺はハイエンドモデルと鬼ごっこしてるわけで、しかもそのハイエンドモデルことスケアクロウさんは何だか宙を浮いている小型ユニットがなんか映画でよくあるような可視化されたレーザーで俺を探してるしその数が10機ほど有るわけで、いやヤバいヤバい。
そしてそのユニットを操作しているスケアクロウさんですが、「ふふ、ジャベリン……余程私と遊びたいのね……いいでしょう、存分にやって差し上げますわ……」って怪しげな笑みを浮かべてたし……絶え間なく来る吐き気を我慢しながら過ごすのは本当に辛いものだった。
彼女の足音が遠くなってからまた動き始める。二度とこんなことやりたくない。
俺は安心したためか、もう思い切り吐いた。嬉しゲロだよ畜生。胃の中を空っぽにした後はここから逃げる為にさっさと走り出した。
またスケアクロウに見つかったけどな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
141日目 曇
何とか逃げ延びた。どうにもスケアクロウ自体には攻撃手段がなく、空中を浮遊している小型ユニットが攻撃を行っているらしいんだが、そのユニットも捜索特化になっていたので助かったのだ。足を撃たれてたら確実に(男として)死んでた気がする。
今は合流したフォーゲルと何とかスケアクロウを拘束して尋問中だ。何故こんなところに居るのか、またどういう理由で俺を付け狙ったのか、そういうのを聞いた。ポチを嘘発見器として使いながらな。
だがそんな準備とは裏腹に、彼女は結構素直に答えてくれる。曰く勝手に基地から抜け出しただけ、曰く単純に俺とOHANASHIをしたかっただけと……どちらにせよ録な事でもない。というかそんな事して大丈夫なのかコイツ……遠隔操作で自爆とかされない?
そんな考えを巡らせていたら、スケアクロウが呟くように「それと私、また貴方とチェスでもしたかっただけですもの……」と言った。……なんだそれ。
少し馬鹿らしくなったのでフォーゲルの制止を無視して彼女の拘束を解いた。そしてたまたま見つけたトランプを取り出して何枚か彼女に渡す。ババ抜きだ。フォーゲルとポチも参加させた。呆然とするスケアクロウを無視してどんどんババ抜きを進めていった。彼女が正気に戻ったときにはもうフォーゲルとポチはあがってて、俺と彼女の真剣勝負となっていた。
彼女も渋々ながらそれを受けてたち、マスク越しながら笑っているのが分かった。
結果は俺がビリッかす。なーんかついてない。そう思いながら頭を掻いていたら、スケアクロウが笑い始めた。
……本当に、なんで鉄血は人類に牙を向けたのだろうか?
また何度かトランプで遊んだ後は彼女を帰した。ただし、次に戦場で出会ったら問答無用で撃つということを伝えておいたがな。それを聞いた彼女は静かに微笑むだけだった。そして、強く風が吹いたあと、そこには誰も居なかった。
可笑しく奇妙な任務からの帰り、フォーゲルから色々とお小言をもらう。正直許してほしい。誰が好き好んで交戦意思のない奴を殺さなきゃならんのだ。戦場で無情に成りきれない者はすぐに死ぬとは言うが、情けは人の為ならずと言うだろ。
俺は生温い人間で良いんだよ。
……ほかの奴等もこんなのであってほしいなぁ。
鉄血勢力圏の何処かにて。。。
代理人「スケアクロウ」
案山子「おや代理人じゃないですか、どうしました?」
代理人「貴女、彼と接触したわね?」
案山子「そうですが……何か問題が?」
代理人「少し貴女の記憶を見せてもらいたいのですが……」
案山子「嫌だと言ったら?」
代理人「……ふふっ」
(じりじりとカバディのようなものを始めた二人)
処刑人(何やってんだアイツら……?)
スケアクロウが登場。そして予想外に可愛らしい子になりました。何故だ。彼女はなんかこう、策士っぽくしたかったのに……まあええか!!
次回はジャベリンくん、D08地区へ向かいます。何でかって?それは次回までお楽しみに!
さあこの作品への評価及び感想は執筆の励みとなりますので、どんどんお願いします!それでは!!
なんとはなしのキャラクター紹介
《スリンガー》
弓部隊副隊長を務める35歳の男。元々は様々な国で工作員として渡り歩いていたので、とある界隈では伝説のような扱いをされている。そのため情報戦に強い。武器庫に入社した理由はたまたま弓部隊隊長の《トリガー》が彼を勧誘したため。
性格は真面目そのもの。ただ駆け引きが上手く、相手に美味い話をちらつかせながらこちらが最大限に有利になるように持っていくぐらいの腕を持つ。
好きなものはコーヒー。紅茶を毛嫌いしているから時たまスピアやジャベリンと取っ組み合いになる。既婚者で子持ち。