傭兵日記   作:サマシュ

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深層映写はUMP40を無心に掘るだけ(レベル足りないから完走できない男)


ハンター戦、終了。
彼に一つの疑問が出てきます。それではどーぞ。


傭兵、決着だってよ。

side AR-15

 

 

 

「……ここね」

 

 

SOPと別れてから一時間ほど、私は狩人が居る筈である指令部に到着した。時折警備の鉄血人形が歩いていたが、指揮系統が混乱していたのか奴らの動きが鈍く、破壊するまでも無く歩を進めることが出来た。

 

建物内を進んでいく。鉄血人形の無惨な姿を道中見かけたが一体何が起きたのだろう?

もしかしたら先行者でも居るのだろうか……そうだとしたら急がなければならない。

だがそれと同時に慎重に行くべきでもある。その先行者が敵という可能性も捨てきれない。そして狩人と結託して此方を襲ってくるかもしれない。電脳で予測結果を弾き出せば出すほど緊張感も増してくる。

だが、私は進む。私には片を着けるべくここに来たのだから。

 

 

「っ……銃声?」

 

 

ふと発砲音が聞こえてくる。その音は奥へ進むにつれて徐々に大きく、そして数も多くなってきた。さらには誰かの怒鳴り声も聞こえて来た。悲鳴も混じってる。

私は今すぐ走り出したい衝動を押さえながら早足で急いだ。

 

曲がり角を過ぎた先に半開きの扉が目に入る。発砲音や怒声、悲鳴はここから聞こえており、確実に誰かが居るのだろう。

自らの半身を構えて中へ入る。

そこでは勿論激しい戦闘が起き………………

 

 

 

 

 

「何処だジャベリンッッッッ!!!!!!!!!!!!!!」

 

「教えるかバーーッッッッカ!!!!!!!!!!!!!!」

 

「其処かァァ!!!!!!!!!!!!!!」

 

「ウオオッ!!??!はー!!!当たってねーぞオメーよっひょおおおお!!?」

 

「ちょこまかと……!!!」

 

 

 

 

 

「……何これ」

 

 

…………てはいるのだが随分と愉快な事になっていた。両手にハンドガンを構えた狩人が、何処からか聞こえるジャベリンという男の懐かしいあの声に反応しながらぐるぐると回っていた。

 

本当に、シュールだ。

 

ふと、狩人の真後ろにジャベリンが立っているのが見えた。彼が私に声をかける。

 

 

「あ!AR-15!!丁度良かった!!!」

 

「なっ!?ジャベリンなんで後ろに張り付いてるの!?」

 

「後ろかッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

私が驚きの声をあげた瞬間に、狩人が真後ろに銃を向けて撃った。ジャベリンはすんでのところで避ける。そして私に向かって彼は怒鳴ってきた。

 

 

「おまこのポンコツゥーっ!!!!何敵に俺の居場所教えてんだァ!!!!!!!」

 

「あっ」

 

 

えっと……ごめんなさいね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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side ジャベリン

 

 

 

大口叩いて狩人と戦闘を始めたものの、狩人は予想外に強かった。彼女は俺の僅かな声さえ聞き取って撃ってくる。なんだこの変態め、卑しいぞ!!

 

必死に避けていく内にいつの間にか彼女の真後ろに立つことになったのだがこれがいけない。

俺を探す狩人に合わせて俺も彼女の真後ろにぴったりとくっついていなければならなくなったんだ。

 

俺を探して怒鳴り散らす狩人と何も言わずにただ延々と彼女の後ろにくっつく俺、これを第三者が見たらそりゃあもうシュールでしかない。因みに何度か俺も叫んでるので見付かりかけてたりはする。

 

それはそうとこの現状、実はもう一人に見られてる訳である。

それが誰なのかは感の良い人間なら確実に分かるだろう。

 

 

「……なにこれ」

 

 

そう、AR-15だ。彼女、俺よりも遅く此処に到着をしたのだ。案外無事なようで何よりだ。

彼女は俺に声をかけたのだがそれが却って俺の居場所を狩人に知らせる事になってしまい、思わず彼女に罵声をあげてしまったのだが当のAR-15は何だか申し訳なさそうに「ごめんなさいね?」って言ってた。

 

そんな事言う暇があるなら早く助けて!!!!!!!!!!!

そろそろ意識が飛びそうなんだよ!!!

 

 

「あっ、援護するわ!!」

 

「っ!!AR-15ォ……!!」

 

 

俺の気持ちが伝わったのかAR-15が慌てて狩人へ攻撃を加えた。

狩人の意識がAR-15へ向いている隙に義眼の認識阻害を切って距離を取り狩人へ弾を撃ち込んでゆく。

それへ直ぐ反応した狩人は銃弾を避けながら俺とAR-15から離れた。熱された頭を冷やしながら暫しのにらみ合いが始まる。

 

 

「ふん……少々分が悪いな」

 

「絶対に嘘だろ狩人……」

 

 

狩人は刀を再度構えてこちらを見据える。その目は俺だけを見ており、あからさまにAR-15は眼中に無いということがひしひしと伝わった。

 

コイツの状況、上手く利用出来ないものか……。

俺は小声で隣のAR-15と手短に作戦会議をする。

 

 

「AR-15、今の狩人の状況、どう思う?」

 

「少し……余裕が無さそうに見えるわ」

 

「了解、それだけ分かれば十分だ」

 

 

俺の返答にAR-15は怪訝な顔をする。俺がやらんとしていることに今一想像がつかないようだ。尤も、あまり良い作戦とも言えないから仕方ないのだが。

 

 

「……何をするつもり?」

 

「囮。もしもアイツが体勢崩したら撃ちまくれ」

 

「はっ!?」

 

 

AR-15が驚く。まあ無理もない、俺もほぼ思いつきでやるような物だし。

ただ俺を止める暇なんてないぞ。目の前の狩人を見てみろ、もう飛び出そうとしてるからな?

 

 

「何をこそこそと話しているお前ら……まあいい、次で決めてやる」

 

「ほら来るぞAR-15!射撃開始だ!!」

 

「ちょっと、ああもう!了解!!」

 

 

飛び込んできた狩人に向かって引き金を目一杯引く。銃口から射出された多数の弾丸は狩人を撃ち殺さんと彼女へ殺到する。

それを狩人は少しだけ身を捻って回避し、またこちらへ走ってくる。

 

いやいやいや冗談じゃない、なんつー反射神経してるんだ狩人。

 

狩人はそのまま刀の切っ先を俺の腹部へ刺そうとするが、それは隣のAR-15の銃撃によって防がれた。

狩人はまた後方へ下がる。銃弾が掠りでもしたのか、彼女の額からたらりと血が流れていた。

彼女は苦悶の声を漏らす。

 

 

「くっ……」

 

「た、助かったぜAR-15」

 

「あまり馬鹿な事はしようとしないで欲しいものね、ジャベリン?」

 

「まだやってないからセーフだ」

 

 

AR-15が呆れたような眼でこちらを見てくる。俺はちょっと笑って誤魔化しながら、目の前の息を整えている狩人に視線を移した。

少しずつだが確実に彼女へダメージを与える事が出来ている。甘い見積りだがこのまま行けば十分に破壊できる可能性は出てきた。

 

だが、少し違和感を感じる。

狩人は焦るような素振りもなく、むしろ気分が高揚しているようにも見えたからだ。

 

 

「ふ、ふふ。ああ、やはり私を導いてくれるか」

 

「……AR-15」

 

「分かってる。何か隠し種がありそうね」

 

 

狩人はまた構えていたが、その構えは何処かで見たことがあるような……いや、この構えは……

 

 

「処刑人よ、お前は死して尚私を見守ってくれたのか……」

 

「今一度、私に力を」

 

 

……この構えは、衝撃波を放つときの処刑人と同じ構えじゃねぇか。不味いぞ!!

 

 

「避けろAR-15!!」

 

「っ!了解!!」

 

 

即座に俺たちが横に転がった瞬間、元居た場所に光波のような衝撃波が通った。通過した所を見ると、床が抉れており、丁度真後ろの壁は裂けたように左右へ分かれていた。

 

狩人のやつ、まさか処刑人のブレードを使ってるのか……?

 

 

「また来るわ!!」

 

「またぁ!?!?絶対止めろ!!!」

 

 

唖然としていた所にAR-15の警告が耳に入り、意識が狩人へ向く。彼女はまた衝撃波を撃ち出そうとしていたので、それを防ぐべく銃弾の嵐を食らわせた。

 

 

「ぐぅっ……嘗めるなァ!!!!!!!」

 

「おおっ!?」

 

「ジャベリン!!」

 

 

狩人が怯んで構えを解いた。が、彼女は直ぐ様復帰して刀を俺に向けて飛び込んでくる。

 

AR-15が叫ぶ。その間はスローモーションのように感じられた。

 

そのまま刺されるのは嫌じゃある。SCARで防ぐか?いや、確実に貫通する。じゃあ避けるべきか?でも出来ないだろう、間に合わない。ならば、俺が出来ることは一つだけだ、迎え撃ってやる。

 

一つの結論に至った俺が、腰の散弾銃へ手をかけるのに躊躇なぞあるはずは無かった。

 

響くような発砲音と共に狩人が仰け反る。その一瞬の隙を逃す俺とAR-15ではない。

 

 

「さよならだ、狩人」

 

 

彼女が最後に見た光景は、銃口を向ける俺たちだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………

 

 

 

 

「何とか破壊出来たな」

 

「そうね」

 

 

狩人が機能停止してから数分、基地を出て俺たちは帰っている。二人とも疲れが出ているのか、足取りは重い。

 

遠くから多数の銃声が聞こえてくる。まだ気を引き締めておく必要があるようだ。

 

 

「光学迷彩マント着るか?」

 

「必要ないわ。貴方が着てなさい」

 

「いや、暑い」

 

「バカなの?」

 

 

地味に傷付くなぁ……。

 

半目のAR-15を横目にマントを畳む。「結局着ないのね……」というセリフも聞こえてきたが黙っておく。俺は暑がりなんだ、出来るだけ涼しい状態で在りたい。

それにしても……狩人には結構悪いことをしたような気がする。最終的に俺は“今の”狩人を殺した訳だ。破壊される前の処刑人を知る彼女を破壊したのだ。

今後出会う可能性があってもそれは別人であって俺の知る狩人ということでは無いのだろう。

いや、だが俺も少々疑問に残る所がある。

小屋に住み着いたスケアクロウ達の事だ。彼女達だって一度破壊されてる、だけど俺の事は覚えている。何故なのかわからない。この真相を探るために鉄血の本拠地に向かったなんて事はしないが彼女たちに色々聞く必要が出てきた。

 

 

「ちょっと、ジャベリン」

 

「ん?ぐえっ」

 

 

俺が思考の海を漂っている時に、AR-15が俺へ声をかけてきた。意識が切り替わる。そして突然腹部に衝撃が走った。思わず潰れたような声が出た。倒れることは無かったが、痛い。

視線を下に向けると、そこには見慣れた頭があった。そいつはSOPのものであることに間違いはない。SOPは顔を上げてこちらを眩いばかりの笑みで見てきた。

 

 

「おかえりジャベリン、それにコルトも!!」

 

 

SOPはそう言う。

俺とAR-15は、ハモるように答えた。

 

 

「「ただいま」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みにこの後回収にやって来たお嬢に案の定AR-15は口説かれた。君本当に好色だな???M4もちゃんと止めてあげなさい。

 

そういえば、俺のSuper-Shorty狩人の所に忘れちまったんだけど……どうしよう。

 

 

 

 

 

 




「……酷いやられようだな」

「たかが狩人とはいえハイエンドモデルを殺した……」

「ふ、ジャベリン……か。一体どんな男なのか気になるな」

「このショットガンも暫く貰っておくとしようか」




誰だコイツ……。登場はもう少し後ですよ。

はてさて時計塔のみならず醜い獣まで混ざり始めた狩人ってなんだこれ()
混ぜすぎて最早訳のわからないことになりましたね、ごめんなさい。
次回はほのぼのです。また暫くは大人しくなります。

そして二話かそこら更新したらまたコラボ入っていきますよよよ。

さて作品への感想及び評価は作者の心の支えです。どうぞ、よろしくお願いいたします。それでは!!


5/17 タイトルと前書き書き忘れてたので追加。申し訳ない()

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