さて、今回はお嬢メインでコラボ回です。
コラボ先はと言いますと、ソルジャーODST様作『G&K補給基地の日常』URL:https://syosetu.org/novel/185352/
です。二話構成を予定しております。
このお話では余りコラボ先は登場しませんが悪しからず……次回が長くなりそうですね。
それではどーぞ!
「うーむ……うーむ……」
「どうかなされましたか、お嬢様?」
S10地区を管轄するとある基地の執務室にて、この基地の指揮官『メグ・コーマック』は悩んでいた。何時もなら即決で物事を進める彼女は、珍しく判断を先延ばしにして居る。
そんな何時もの彼女とは違う様子に心配となったのか、今日の副官を務めている戦術人形、『G36』、またの名を『ローゼ』が彼女へ声をかけた。
それに気がついたメグは、正に困ったという顔でローゼへ体を向ける。
「あ、ロゼ。実はさ、新しく輸送路とか開拓してみようと思ってさ」
「輸送路の開拓……といいますと?」
「ええと……」
メグは自身の言わんとしていることをローゼへ話す。
最近、この基地の近くにある畑、今はジャベリンという男が管理している畑へ勝手に私財を投じたせいで、基地で扱う資源が買えなくなったことをどうにかしたいからということ、そして他の基地と関係を持ちたいということ。さらにこの二つを同時一緒にまとめてやりたいということ。
これを聞いたローゼはため息混じりにメグを見る。
「お嬢様……一つ聞きたいのですがなぜ無計画にもジャベリン様の畑へ勝手にそのようなことを為されたのですか?」
「え、いや……ちょっとね、実家の空気が恋しくなっちゃったというか……なんというか、えへへ」
「はぁ……」
ため息を一つ。本当に手のかかるご主人様だこと、とローゼは思いながら、とある人形へ秘匿無線を飛ばす。
数回のコールの後に、その人形は反応する。
『こちらマカロフ。どうかしたのロゼ?』
「少しお伺いしたいことが」
反応した人形は、ハンドガンの戦術人形『マカロフ』だった。
ローゼとマカロフはメグがこの基地に着任してからの仲であり、時折こうやってメグ関連で相談をしたり、時たま食堂で共に食事をするぐらいには仲が良い。
そんな彼女に連絡をするのは当然、目の前で悩んでいるメグの為である。
「お嬢様が輸送経路の開拓と、他基地と関係を持ちたいと言っておりまして、貴女にも少しご意見が欲しいのですが」
『んー、なるほどねぇ……S09基地の所じゃ駄目なの?あそこ確かスチェッキンっていう戦術人形が移動屋台とかそういうのやってるらしいし手っ取り早いと思うけど』
「いえ、どうにもS09地区のみではなく他の地区の基地と関係を持ちたいようでして」
『はぁ……なるほどね、じゃあ十五分頂戴、丁度良さそうなの探してみるから』
「助かります」
良いのよ、という言葉と共に通信が切れる。ローゼは未だ悩んでいるメグを尻目に紅茶を淹れる準備を始めた。
「うーん……ユノちゃんのところでも良いんだけど、というか寧ろウェルカムなんだけど……やっぱり他の基地……出来るなら補給基地が良いんだよねえ」
「余り根を詰めないようにしてくださいませ。そろそろ休憩時間ですよ」
コトリと、ローゼはメグの目の前に淹れたての紅茶を置く。湯気の立つ紅茶からのよい香りが鼻孔を擽り、メグの疲労を癒してくれる。メグはその紅茶を飲み、一息ついた。
「ん……ふう、ありがとロゼ」
「メイドの務めですから」
メグの謝辞に微笑みで返すローゼ。
彼女は副官用の椅子へ座り、メグの纏めた書類を整理を始めた。書類の中にはこの前の狩人討伐作戦時の報告書もある。
蛇足ながらそれに記されている内容はと言うと、
{作戦は概ね成功、対象のハイエンドモデル『狩人』はAR小隊の『AR-15』とG&K社と業務提携中のPMC『武器庫』の『槍部隊』隊長『ジャベリン』両名によって撃破された模様。個人的所感としては人間であるジャベリンを余り前線へ出すべきではないと考えている。上記のような事が何度も起きてしまえば彼の負担は大きいだろう。精々はぐれ人形の救出と偵察任務に行かせるぐらいで良いはずだ。}
などと記されている。
それはさておき、彼女が書類を整理していると秘匿無線から通信が来る。どうやらマカロフが見つけてくれたようだ。ローゼは早速通信を繋げた。
「こちらローゼ、見つかりましたか?」
『丁度良いのがヒットしたわ。グリフィン本社とこの基地の中間辺りにある『HUB』っていう補給基地なんだけど、結構規模が大きいみたい。データをそっちへ送るわね』
「ありがとうございます、お礼はまた今度」
『貴女の作るケーキ、お願いね』
「承りました。ローゼ、アウト」
マカロフとの通信が切れ、同時にローゼの通信端末へデータが送られてくる。それに目を通して、また書類へ目を通していたメグへ声を掛けた。
「お嬢様、よい場所が見つかりました」
「んぁ、本当?どこ?」
ローゼの報告を受けたメグは机から身を乗り出す。その目はずいぶんと喜色に富んだ目であった。ローゼは何処からともなく大きな地図を出して、指で指し示しながら説明を始めた。
「私達の基地とグリフィン本社の丁度真ん中辺り、そこに規模の大きな補給基地があります。そこは『HUB』と呼ばれておりどうやら相当な規模のようです。交渉次第ではこの基地の資源の半数は補えるでしょう」
「おお……凄いところだね。連絡先は?」
「控えております」
「よっしロゼ万年無税」
「勿体ないお言葉です」
そうと決まればもう早い。メグは急遽その補給基地へと連絡を入れてアポイントメントを取る。
ローゼはその様子を見ながらまだ確認していない書類へ目を通し始めた。
「ジャベリンも呼ぼっかな」
……あの男も大変である。
ジャベ「……何か嫌な予感する」
スコ「どったのジャベリン?」
ジャベ「いや、まあな」
スコ「?」
メグ「ジャベリーーーーン!!!お金出すから付き合ってぇーーーーー!!!!」
ジャベ「……ほらな」
スコ「え、ジャベリンって指揮官と付き合ってるの?」
ジャベ「何を誤解したんだスコーピオン!?」
焔薙様作 『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!』より、少しだけユノちゃんとスチェッキンをお借り致しました。この場をもって、謝罪と感謝を申し上げます。