傭兵日記   作:サマシュ

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ジャベリンは考えた、日記を勝手に見るのはおかしいと、社長は後で殴るとして、他の奴は厳重注意をしておこうと。

それではどーぞ。








傭兵、意志表明だってよ。

203日目 雨

 

冷静に考えて何で皆勝手に人の日記を読んでるんだろうか。確かに誰かの秘密を垣間見るのはとても面白いとは俺も思う。だがね、やはりやり過ぎればそれはもう嫌がらせの部類に入るんだ。もう怒ったからな。一先ず今書いてる日記帳は封印しよう。名残惜しい限りだが如何せんこれ以上勝手に見られるとやってられん。俺の精神が危うい。頑張ったぞ俺。今度は持ち運びやすいものでなおかつ見つかりにくいものを選ぼう。兵站部へ直行だ。

 

兵站部の一人に電子手帳をおすすめされた。有難い。腕に巻いて使うものなのだが、これは持ち運びも便利だし何より秘匿性が高い。入力は手動か視線でキーボード入力が出来る優れものだった。これならリアルタイムで日記を書け……るわけでもないか。戦場で悠長に書いてられんな。

 

……うーん、俺は元々この日記を名も知らない誰かに見せる為に態々紙媒体でやってたからなぁ……。

とか何とか考えてたらそれを見抜かれたのか懐に丁度よく入るような大きさの手帳もおすすめされた。いやそれ買うならあの日記帳使うわ。え?この電子手帳と同期させて書くことが出来る?なんだその変な機能。買うわ。

 

 

 

 

 

 

 

204日目 晴

 

色々思い直して普通に紙媒体でやろうと思う。始めに決めたことを曲げてしまうってのも味気ないからな。但し、プライバシー保護の為にこの日記は誰も知らない所に隠しておくか、肌身離さず持ち歩く事にする。あの電子手帳と付属の紙の手帳は今の日記帳を書き終えてから使うとしよう。

 

それじゃあ今日の事を書いていこう。俺は社長に呼ばれた。何事かと思ったけどハイエンドモデルの事についてだと言われて納得した。そりゃ戦意は無いにせよ人類に敵対してる奴ら匿ってる訳だし社長も思うところがあるのだろう、いや実際に色々言われたがな。

何故ハイエンドモデルを匿ってるのか、そして奴らに戦意は無いのか、S10地区の基地への脅威は無いのか、万が一に責任はとれるのか、なんて聞かれた。

……どちらかといえば問題はない。簡単な事だよ、俺に注意を引かせとけばいいだけだ。スケアクロウにしても処刑人にしても出所不明の「ジャベリンのもとへ行け」なんて言われてるんだ。信憑性はともかく大人しく従ってる辺り大丈夫だろう。

それを社長に伝えたら、何かを察したのか「そうか」とだけ言って後は何も言わなかった。

 

この問題はこうして解決となったので、俺はとりあえず後ろを向いて黄昏れ始めた社長にドロップキックを食らわせた。

 

馬鹿め!!俺が電子ロックを壊して日記を勝手に見られたことに対してもう怒ってないと思うてか!!

ま、後でステゴロ対決になって手痛くやられたけどな!!あれで手加減とか常識はずれだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

205日目 晴

 

俺が社長への意志表明をしたその翌日、会社へ記者やらなんやらと沢山やってきた。有名雑詩から小さなゴシップ詩に民間テレビ局まで来てたが武器庫ってそんなに有名か?それとも単純に偶然なだけなのか。それと取材期間が大幅に増えた。今日を合わせて五日ぐらいは取材をやるらしい。

それに合わせてスケジュールが作られた。

一日目は武器庫の施設や部隊のバックアップを行う一般職員への取材。

二日目は武器庫の最強集団、剣部隊の様子と隊長、副隊長への取材。

三日目は武器庫の防壁、盾部隊の作戦立案の様子やら警備の様子、そして隊長と副隊長への取材。

四日目は武器庫の要、弓部隊の諜報部の作業風景……狙撃兵組は結構黒いところがあるので見せられない。で、隊長と副隊長への取材。

最後の五日目は武器庫の何でも屋、槍部隊の業務風景だ。一応は地域清掃と地域警備をかねてやることにしてる。一応庶民的(?)なところもあるんだぞ、って伝えたいらしい。それで最後に俺とスピアへの取材だ。

それにしても武器庫の戦闘員ってのは案外持ちつ持たれつの関係なような気がする。互いに手の届かない痒いところを掻いてくれるような感じかな?

 

それはともかく、一日目の一般職員たちなんだが、これは特に言及することはない。だってガンスミス達のこととか整備士二人組のこととか、あとは最近出来た食堂で働いてるおばちゃんたちとかそれぐらいしかないからな。

でも施設に関しては結構書いていく。うちの主要な施設は三棟あるぞ。

まずは演習場、あそこは武器庫の敷地の三分の一を占めており、様々なことが出来る。座学なり模擬戦闘訓練なり、VRを使った仮想空間での訓練なり……とりあえず広い。昔民間に解放して武器庫も総出で運動会やったよ。その位広い。

次に社員達が仕事をする第一号館、ここは兵站部とか諜報部、整備士組やガンスミス達が主に利用してる。時折任務報告の書類作成の為に部隊の奴らがここを利用してるがそれぐらいだな。

で、第二号館だがここは社宅だ。独身組とか家族連れでここに住んでるやつとかがいる。因みに第二号館の真横には食堂がある。基本合成食品の塊ばっかりだが美味いぞ。あと安いから財布にも優しい。

 

 

ところで、記者達がそぞろと歩く中で整備士のやつらが敷地内で戦車乗り回してるところに遭遇したんだがどうしよう。というか確実に社長怒るぞ……。

ちょっとカメラ向けてる奴らにも注意をしておこう。

 





武器庫の施設について。。。

PMC『武器庫(armoury)』には社員をバックアップするための施設が存在する。まずは主に戦闘員が利用している演習場、そこではキルハウスや射撃場、ジムにプール、VR訓練場などの設備がある。会社の敷地内の三分の一を占めており、かなり広い。
次に第一号館、ここでは一般職員や技術職の面々の仕事場があり、車両のメンテナンスや戦闘員の武器の整備や任務結果の報告のための書類作成などの事務作業が行われてる。
最後に第二号館。ここは社員の為の社宅であり、娯楽施設もある。最近、食堂が隣接された。近々戦術人形で構成される新造部隊も結成されるので増設予定。



掘り下げが長くなりそうな予感……。
まあこの後も色々書きたいし問題はないかな←

次回も引き続き武器庫について掘り下げていきます。それでは!

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