傭兵日記   作:サマシュ

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取材ですぞ。でもジャベリンくん視点だからそこまで詳しくは出来ません()
それではどーぞ。


傭兵、取材だってよ。

206日目 曇

 

流石に社長が戦車蹴りあげてエンスト起こさせて止めるとか想像出来なかった。アンタ膂力がおかしいって、自然の摂理から逸脱してんだろ。少しは自重して欲しい。記者とかカメラマンが唖然としてたぞ。しかも社長はその後戦車牽引して倉庫まで持っていってたし……。

 

社長の化け物っぷりは置いておき、今日はうちの最強部隊『剣部隊』の取材だ。主に強襲任務や陽動、撤退時の殿を担当するこの部隊は会社が設立されるのと同時に創られた部隊である。正規軍時代、社長の部下だった奴らばかりで形成されてて、しかも社長自ら叩き上げた世代だ。だからみっちりと社長の持つ技術や戦術眼を受け継いでるぞ。正直に言ってアイツらは社長と同じく人間ではない。社長みたいに素手でE.L.I.Dを殴り殺せるようなのではないが、生命力がとんでもない。腹に風穴空けようが片腕片足が吹き飛ぼうが平気らしい。怖い。

勿論、射撃にしても体術にしても会社内じゃトップクラスだ。社長が会社運営をメインにしてからというものの、新人への体術や射撃の教育は剣部隊が担ってきた。俺も教育されたよ。クレイモア隊長直々に……元々俺が隊長候補だったからだけども、二度とやりたくない。

 

さて、今日はその剣部隊の戦闘訓練の様子が取材される。俺は暇だったから見に行ってみたんだが、凄かったよ。紅白戦で別れての近接戦闘の様は……太古の戦場を彷彿させるような壮絶さだった。

実戦形式の殴り合い、化け物揃いの剣部隊が普通であるはずもなく。相手を殴った時の音、爆発かよと思ってしまった。最後は隊長のクレイモアと副隊長の『ツヴァイヘンダー』、愛称『ツヴァイ』とのサシになってクレイモアが勝利した。

ふと周囲の記者を見てみると、皆その戦いに魅入ってメモを取ったり写真を撮るのを忘れていた。闘争の精神が呼び覚まされたのだろうか。まぁいい、次だ。

最後に取材が始まった。隊長のクレイモア……一応明記しておくが女性だ。男所帯だと思ったろ?残念、女性もいるんだよな。美人で強くてリーダーシップがある、字面じゃ完璧だな!

まあ剣の隊長勤めてる時点でお察

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと記憶が飛んでしまってた。何故だ。

このままツヴァイの取材内容とか書こうとしたけどどうにも思い出せないのでここで筆を置く。あ、一応言っておくけどクレイモアってヘリアントスさんと同じ臭いがするんだよね、不思議だよな。

 

もしかして生きお(ここから先は文字が掠れて読めない)

 

 

 

 

 

 

 

207日目 晴

 

スケジュール確認したら三週間位仕事が無いことが判明した。暇になったぞ。あと頭が痛い。

 

さて、今日は盾部隊だ。この部隊は護衛や基地防衛、警備、救護を専門としている。剣部隊の次に古い部隊で、ここの隊員の多くは他のPMCから引き抜かれた奴等ばっかりである。一応この会社唯一の衛生兵たちも所属しているので、武器庫の“治療箱”なんて言われてたり。

今回は護衛任務と警備任務の模擬訓練の様子を一般公開していた。盾部隊の仕事ぶりは四角四面真面目そのもので、堅実なところがある。でも今回の訓練では違った。何を思ったのかドラマみたいなことやってる。護衛役、護衛対象役、暴漢役に別れて迫真の演技でやっていた。君たちのそういうノリが良い所嫌いじゃないよ。

 

で、次は盾部隊の隊長『スクトゥム』と副隊長の『ライオットシールド』、愛称『ライオット』への取材だ。この二人の前職は旧中国で要人の警護をしていたらしく、そこで社長へスカウトされたらしい。俺は初めてそれを聞いた。あそこ崩壊液の汚染が酷かったはずなんだがグリーンゾーンなんてあったのか。……つくづく思うのだが、社長の行動範囲広すぎるだろうに。退役直後とか会社設立時の社長がどんなのだったか気になってきた。

 

話が逸れた、続きを書こう。彼らはこの仕事に対する意気込みだとかちょっとした過去話を話してた。……俺もこういうの聞かれるのだろうか?

 

まあどうせ地域清掃しながら聞かれるんだろうし適当に行こう。

 

 

 

 

 

 

 

208日目 雨

 

弓部隊、暗殺や諜報、潜入と偵察を専門とするこの部隊はある意味武器庫の要とも言える。脅威の事前排除、情報収集、セキュリティ整備、凡そこちらが有利に動くための材料を集めている。

その部隊の隊長『トリガー』と副隊長『スリンガー』はWWⅢ中やそれ以降、多くのPMCや国を恐れさせた工作員で今や伝説みたいな扱いをされている。この二人は正規軍時代は特殊部隊でバディを組んでいたが、退役後は離散、各地を点々としているうちにトリガーは社長にスカウト、スリンガーはトリガーに呼ばれて参入という形で今に至る。

今日はその弓部隊の取材なんだが、俺は別件でスリンガーと行動中だ。と言ってもスリンガーの暇潰しに付き合わされてるだけだが。こいつ仕事の一環と称して色んな所のサーバーに侵入してデータを盗み見してる。社長も苦言を呈しようかとしたら大体有益な情報を社長に進呈してるから怒るに怒れないらしい。なんか其処のところ世渡りが上手というかなんというか……他は真面目なやつなんだけどなぁ……でもそれぐらい出来なきゃ工作員なんてやってられんか。

 

スリンガーは案外保身に走る奴だ。俺が槍部隊の隊長になりたての頃、一度こいつと行動することがあったんだが、突然テロリストに襲撃された時に俺を囮にしていの一番に逃げた。その癖後で拷問されるところだった俺を助け、テロリストを嵌めて全滅させたりするし憎むに憎めない。

さて、スリンガーの紹介はさておき次はトリガーだ。スリンガーが諜報向きなら彼は暗殺向きと言える。この男、過去に警備が大量に居るなか一国の大統領を痕跡も無く暗殺したことがあるとのこと。書類上、その暗殺事件は迷宮入り、というか暗殺ではなく事故として扱われてるらしい。

 

社長、なんでアンタこんなに有能な社員ばっかり集めることが出来てるんだ。俺はそれが謎だよ。

 

そろそろ記者たちが取材にくるということで俺はスリンガーと別れた。別れ際にデータの入ったUSBを渡されたので時間があればまた見るとする。変なもの入ってなきゃいいんだが。




あとがき劇場 ~『各隊長の色々』~

剣部隊
Q.生き遅れですか?

クレイモア『ほう、貴様死にたいようだな?』

ツヴァイ『落ち着け』

クレイモア『離せツヴァイ!私だってチャンスはあるはずだ!!グリフィンの上級代行官にも春が来かけてるのだぞ!?』

ツヴァイ『ジャベリンは生憎だが脈無しっぽいぞ』

クレイモア『あのヘタレめ……!!』



盾部隊
Q.何故あんな劇を?

スクトゥム『隊員達との会議の結果ですよ。私達の仕事ぶりが分かりやすく伝わったでしょう?』

ライオット『あんなノリノリの隊員達が見たこと無かったよ』

スクトゥム『彼らも溜まってたんでしょうに。この前密造酒も作ってましたね』

ライオット『えっ?』



弓部隊
Q.前職は随分と有名だったらしいですね?

トリガー『まあな。お陰でここに入社しても時折変な奴に付きまとわれちまう』

スリンガー『お前この前グリフィンの戦術人形に付け狙われてなかったっけ?』

トリガー『んー、確かStGだったかな?というかベル、お前だって……おっと』

スリンガー『それは機密情報だぜトリガー?』





クレイモアの姉御は影の女王とかヘルシングのインテグラをご想像して頂ければ……。
掘り下げになったのかなこれは……まあいいや楽しいし。←

槍部隊は次回へ持ち越しです。スピアくんにちょっとした悲劇が……。そして新造部隊の紹介も入ります。

作品への感想及び評価は執筆の栄養です!どうぞ、どうぞお願いします!それではまた今度!

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