傭兵日記   作:サマシュ

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強大な力には強大な暴力が有効だ。そうだろう、ジャベリン?

____剣部隊隊長語録より














傭兵、視線を感じたってよ。

224日目 曇

 

最高に気分が悪い。常に頭を揺らされているような気持ち悪さだ。

俺が何をした、何をしたってんだ。何が悲しくてあの蟻共に追い掛けられなきゃならん。本当に最悪だ、トンプソン達やポチともはぐれてしまった。オスプレイに乗り込もうとした瞬間に突然現れたあのE.L.I.Dの大群に襲われたんだ。お陰で俺だけ彼女達と分断されて死に物狂いで逃げる羽目になっちまった。

想像してほしい、あの人間の身体に複眼と六本の脚がついている化け物が大群で追いかけてくる場面を。パニックホラーだ。何とか逃げ切れたのは良かったんだが完全に迷子になってしまった。通信機や弾薬の半分はロスト、場所も分からずただ歩き回るしかないような状態。仲間の安否も確認できないし、これから襲われないように常に気を張っておかなければならなくなっちまった。

 

あぁ最悪だ。昔に戻ってしまった気分だクソッタレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

225日目 雨

 

電子手帳を持ってきていた事を思い出したのでこいつを使うことにする。紙だと書くのに時間が掛かるんだ。

こいつは結構便利なもので、俺の視線を感知して入力が出来るのは便利だろう。

 

どうやら俺が今居るところはあの蟻E.L.I.Dのコロニーの近くであるらしい。蟻の数が多く、しかも死臭がしていた。……人間の死体があったんだ。装備から見て正規軍の奴らのようだ。近くに手帳が落ちていた為、蟻が居なくなった事を見計らって回収、そして中身を確認した。

 

手帳には以下のことが書かれていた。

 

 

N月=日 晴

 

アントマンどもに追い詰められてしまった。アイツらはどうにも知能があるらしい。俺達が逃げる道を羽持ちに予測させてそこから数にモノを言わせて回り込んでくるんだ。俺達はまんまとそれに嵌められて場所もわからない建物の中に居る。

もう限界だ、マカロフはアイツらにバラされちまったしショーンは気が触れて脳天をぶち抜いてしまった。今まともなのは俺とステファンとリュドーだけだ。弾も無いし通信機もぶっ壊れちまって使えねぇ。

 

あぁ、アイツらがバリケードを破ってくる。もうおしまいだ。やめてくれ、おれをみるな、とめろ、あのめをかくしてくれ。たぶんあれはがらくたのしろのなかにあるんだ、たのむだれか

 

 

 

ここから先は血で汚れて読めなかった。一先ずは危険なものがあのコロニーの中にあるようだ。……クソッタレ、もし今逃げることが出来る状況なら今すぐにでも逃げたいがそれは無理だ。

 

 

 

俺も視線を感じてる。俺がやるしかないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

226日目 晴

俺は決して気が狂った訳ではない、訳ではないんだが……端から見れば狂人だろう。

 

蟻共……アントマンだな、そいつらのコロニーに侵入した。内部は赤土のようなもので出来ており、何故か微妙に明るい。そして蟻の巣だからなのか、やはり色々な部屋に分かれており、それぞれ卵や蛹があるようだ。

一応色々覗いてみたのだが、あまり直視出来るものじゃ無かった。奴ら、人間や人形に卵を産みつけてやがる。

可哀想だとか、そういう感情もあるが、コイツらを繁殖させないためにも卵は潰しておいた。本当に時間が掛かっちまったよ。

 

あぁクソ、またアントマンが来やがった。また隠れるとしよう。

 

あの視線をまだ感じる。そしてその上少女の叫び声も…………少女の叫び声?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

227日目 わからない

 

戦術人形を保護した。カウボーイハットに金髪の少女だ。確かコルトSAAだったか?D08でも同じようなのと出会ったことがある。

彼女は重度のパニック状態だった。服装がボロボロでその……股がな。想像に難くない。E.L.I.Dは時折生きた人間を生殖目的で襲う奴もいるらしい。それは戦術人形だろうと対象になる。彼女は運悪くこうなってしまったようだ。しかも何度もやられてる可能性がある。

取り敢えず彼女を落ち着かせておいた。抱き締めてやったり撫でてやったり。まさかここで子守りの任務のときの経験が役立つとは思わなかった。彼女はちゃんと落ち着いたのかそのままスリープ状態へ。

移動しようと思ったら彼女が服の裾を掴んでいた。

 

 

……危険だが彼女を連れていこう。守ってやらなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

228日目 わからない

 

巣の奥へ行くに連れて兵隊蟻の数も増えてきた。そしてコイツら、どうにも騒がしくなっている。何かがここを攻撃し始めたのだろう。これは好都合だった。SAAを背負い、俺はさらに奥へ向かう。視線は強くなるばかりで頭がおかしくなりそうだが何とか耐える。終わらせてやる、レールガンに弾を込めながら俺は決意した。

背中のSAAはこれでもかと俺にしがみついていた。絶対離すなよ、離してくれたらお前を守れるかわからない。

 

あぁ最早間近で見られているような気分だ。どうやら親玉が近いらしい、恐ろしいものだ全く。

 

ただ、どうにも意識が遠退いていく。何故だ、わからない……起きろよ、俺……絶対におき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

229日目 晴

 

覚悟決めたのに気絶してしまうとかカッコ悪いな俺????

結局たまたまやって来た剣部隊に助けられたんだけど……ええ……頑張り損じゃねーかクソッタレ。











弱き者を守るとき、一番守るべきは己の身体である。

____盾部隊標語集より






トラウマ持ちSAAちゃんが追加されました。もともと予定には無かったんだけどなぁ……まあえっか!!
というか結局助けられましたジャベリンくん。こういうところで悪運が強いのよ彼は。
次回、トンプソンと飲みます。

作品への感想及び評価は心の栄養です。どうぞ、よろしくお願いいたします!それではまた今度!!
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