やっと決着入ります。それではどーぞ。
…………
「指揮官!!無事ですか!?」
「ぶ、無事みたい……だね?」
「良かった!!!」
爆発に巻き込まれたかと思ったが、私は助かったようだ。目の前のフェンフちゃんが持つフォースフィールドで守ってくれたようだ。周囲を見てもこれといって損害がない。フェンフちゃん凄い……あっ。
「鉄血の軍勢は!!?!」
「どうやら殲滅されたようです」
私が慌てて状況確認をしたら、ロゼが私に教えてくれた。何とか危機は脱したようだ。なら話は早い、早く戦場で孤立しているであろうあの二人と一匹を助けなければ。
私はすぐに指示を出す。
「皆、戦闘明けで悪いけどまだ仕事が残ってるよ!!損傷が少ない人形たちでジャベリンたちを捜索しないとね!!」
早くあの馬鹿野郎を助けるんだ。絶対に。
≪……何でいつの間に鉄血人形居なくなったんだろ≫
ジャベリン達が戦っている最中、囮として動いていたポチは一人(一機?)ぽつんと歩いていた。ポチはできる限りジャベリン達から鉄血人形を引き離そうと、必死に走り回っていたが為に人形達が何処かに行ってしまったことに気がつけなかったようだ。
≪一生の不覚……さてどうしましょ≫
ポチは一先ず近くに何かの信号が無いか探してみる。無かったらさっさとジャベリンの元へ帰ろうと決めて。
≪200m先に……二人か三人居ますね≫
どうやら目の前に見える建造物の中に誰かが居るようだ。
ポチは早速その建物へ向かうが、その途中で突然反応が幾つか減り、一つだけとなった。ポチは少し怪訝に思いながら、警戒を強めて中へ入っていく。
少し進めば鉄血人形の残骸が転がっていたりと随分と恐ろしい様相であった。ポチは何も出ないことを祈りながら進んでいく。
≪お邪魔しますよ……?≫
ポチはたまたま扉が開いていた部屋へと入ってみる。というより、その部屋から信号が出ていたから入っただけではある。
ポチは部屋の中をを見渡す。鉄血人形の残骸があるだけで特にこれといったものも無かった。ポチは安堵をして奥へと進む。
≪何でこんなに散らかってるんですかね本当。整理整頓は大事なのに……≫
「そりゃ悪かったな」
≪!??!≫
突然、ポチはがっしりと何者かに掴み上げられる。背中の機銃を使おうにも相手が真後ろに居るためそれは不可能であった。
≪ちょっ!!?誰ですか!?誰!!?≫
「おー、このダイナゲート喋るんだな……ん?」
ポチがじたばたと抵抗していると、その掴み上げてきた人物は何かに気が付いたのかまたポチを降ろした。ポチはすぐに後ろを振り向き機銃を構える……が、ポチはすぐにそれを下ろした。
何故なら、ポチのアイカメラの中には、ポチにとって、とても見覚えのある人が映ったからだ。
≪……M16?≫
「やっぱりか……久しぶりだな、ポチ」
その人物とは、未だ見つからなかった戦術人形、AR小隊隊員『M16A1』であった。
≪久しぶり……何ですかね? 最後に会ったのは3ヶ月か4ヶ月だったような≫
「人はそれを久しぶりっていうんだぞ。ジャベリンはどうしたんだ?」
≪あっ!!≫
ポチはM16の問を聞き、ジャベリン達の状況を思い出す。ポチは彼女に状況を説明をした。M16は少し眉をひそめたものの、元の表情に戻り、部屋の外へ出ていった。ポチは慌てて着いていく。
「あいつも変な事に巻き込まれてるな……」
≪それは仕方がないというかなんというか……≫
「女難ここに極めれり、だな。仕方ない……仕事は大体終えたし、ポチ、案内してくれ」
≪了解です≫
ポチとM16は走り出す。途中、思い出したかのようにM16がポチが喋ることの出来る理由を聞いてきたが、ポチは曖昧に答えておいた。口は災いの元である。
「M16、見つけたわよ!!!」
「………………」
「居ないじゃない!!?」
__________________________________________________
「アッハハハハハハ!!!!!」
「あの大根役者片腕吹き飛んでるのに笑ってやがるぞ!!!」
「処刑人より質わりーなオォイ!!!」
「トライデントと一緒に戦った奴かぁ!?全くモテモテだねジャベリンは!!」
「うっせぇ!!!てめぇもモテてるだろスピアァ!!」
未だ銃弾の嵐が襲い掛かってきている中、岩影に隠れてやり過ごしている。戦闘を始めたときに侵入者の腕を吹き飛ばしたのはいいものの、急に何があったのか、彼女は高笑いを始めて弾幕をより濃くしてきやがった。覗き込もうにも頭を出す度に弾が飛んでくる。
あぁクソッ!!ヘルメット飛んでいきやがった!!
「楽しいものねジャベリン、スピア!!追い詰められた悪役の必死の抗戦に驚き戦きそして苦戦する!!まるで昔の映画みたいね!!!!アッハハハハハハ!!!!」
侵入者は笑い続け、ガトリングを撃ち続けてる。よくオーバーヒートしないよなぁ……。
「狂人め!!!スピア、グレネードは!?」
「
「なんでそんな骨董品有るんだよ!?使えるのか!!?」
「ガンスミスと整備士の趣味だ!!そぉれ!!!」
スピアが侵入者にグレネードを投げる。少しして大きな爆発が起きた。一応銃撃が止まったものの、全く安心できない。
俺とスピアはゆっくりと向こうを見てみる。
「まだ土煙が酷いな…スピア、火薬多すぎたんじゃあないか?」
「多分ね。あの整備士たちの事だ、威力も高くしたいからって詰め込んだ可能性もある」
ありえんでもない。まあ今回はそれに助けられている面もあるだろうがな。
……そろそろ晴れてきた。
「……スピア、何か見えるか?」
「俺の目が可笑しくなかったら誰も居ないことが分かる」
「最悪だなクソッタレ」
俺たちは目を凝らす。
最悪なことに土煙が晴れた先には誰も居なかった。思わず悪態をつきながら侵入者がどこに行ったのか探す。左右を見渡しても誰も居ない。ため息を吐きたくなるがここはグッと我慢。デジャブだ、このシチュエーション何処かで遭遇したことあるぞ。
「ジャベリン!上だ!!」
スピアが叫ぶ。
ざりっ……と音が聞こえた。俺は咄嗟にレールガンを上に向け標準を定める。その先には所々人口皮膚が剥げて機械部分が剥き出しになっている侵入者がいた。まだこいつ笑ってやがる…が、これで終わりだ。
俺はレールガンのトリガーを引く。銃口から射出された鉄芯は真っ直ぐと侵入者の腹部へと突き進み_____________________
当たらなかった。
「は!!?」
「ざーんねん、ハズレ」
侵入者は着地する、そして同時に俺とスピアを別方向へと蹴り飛ばした。ボディアーマーを通じてとてつもない衝撃に襲われる。俺は肺の中の空気を全て出され、地面へと転がった。
辛うじて顔を侵入者へ向けると、彼女が呆れながらこちらへ歩いてきていた。
「油断大敵、っていう言葉があったわね。私が電子戦に強いこと、忘れちゃったの?」
「ケホッ……お前、義眼にハッキングして虚像作りやがったな……」
「ご名答。本当に悔しそうな顔をして……良い顔ね、私の悪戯が成功したようで嬉しいわ」
侵入者は心底嬉しそうな顔で笑う。
頼むからこんな悪戯じゃなくて誕生日パーティーでのサプライズ程度にして欲しい……ふざけてる場合じゃないか。鎮痛剤の効果が切れてきた、痛い。
侵入者が俺の近くまでやって来た。……レールガンは5m先に落ちてる、ガバメントは直ぐに抜けない、SCARは尚更だ。あと意外に血を失いすぎたらしい、視界がぼやけてる。
彼女はしゃがみこみ、俺を見つめた。
「……何だよ」
「本当、随分と顔が変わったものね。あの時はもう少し柔和な顔をしてたわ」
侵入者は突然そんな事を言う。というか柔和な顔って何だよ、俺は昔から変わってないぞ。
「嘘ね、何かに怯えるような顔をしてる。余裕が無いわ。どうせ代理人に片目引っこ抜かれたからだろうけど」
「……」
私、人間観察は得意なのよ?とか彼女は言う。
図星だけどこいつなんでこんなに余裕そうなんだ? …だが好都合だ。45ACP弾を食らわせてやる。
「あら、駄目よ」
まあ侵入者に腕捕まれて失敗したんですけどね。
「悪い人ね、なにもしてないのに銃を向けるなんて……」
「それ俺の土手っ腹に風穴空けたやつが言うか?」
「それもそうね。ところでジャベリン」
「あん?」
「このシチュエーション、なかなか面白いと思わない?」
また始まった。思い切り殴ってやりたいが動けない。
「ピンチになった主人公は悪役に押さえ付けられ完全に形成を逆転されてしまった。主人公はどうにかしたいのだけれど体を押さえ付けられてなにも出来ない。そして悪役は主人公に今までの恨みをぶつけるように主人公へと酷いことをする」
「……つまり?」
俺の問いに侵入者は微笑むだけだった。
「そういうことです」
「え"う"っ"!?」
ぐちゃり。
突然激痛が俺を襲う。
あぁクソッタレ!こいつ、俺の傷口に手を突っ込みやがった!!
「ギッ……おま、ぐっ……」
「あら、あまり叫ばないのね。まだ鎮痛剤が切れてないのかしら?」
「はっ……そんなもんとっくに切れてるよ馬鹿が……お前のが甘っちょろいだけだよ……!!」
「そう……まあそういう反応のほうが面白いから良いのだけれど」
侵入者はそう言いながら傷口をかき混ぜている。彼女が手を動かす度に俺の全身が痛覚に支配されていく。思わず叫びたくなるが、ぐっと耐えて俺はただ侵入者を睨み付けるだけしか出来なかった。
「さあ貴方は何処まで耐えてくれるのかしら?どうやったら泣き叫んでくれるのかしら?」
「ぐっ……お前が…そんなことやってる限りやるわけねぇよ…」
「そう」
「ヴゥ!?」
ずぽりと、侵入者が傷口から手を抜く。痛みはまだ続いており、多分だが血も結構流れてる……こんなに血を流しながら死なない自分に驚きながらも体を動かそうとするが、それも出来ない。意識だけがはっきりしてるようだ。
「だとしたら……スピアをどうにかしてやりましょうかね」
にたり。侵入者は笑う。そしてスピアが飛ばされた方向へと歩いていった。
スピア、なぜお前は起きない。頼むから起きてくれ、ピンチだぞ、おい。
「目の前で大切な仲間が殺される、絶望の最高潮というものですね。滾ります」
「おい……やめろ、侵入者」
「おや、こんなにも面白い事が出来るのに止めるとお思いで?」
そんなこと分かってる。
俺は彼女を止めるために何とか這いずって行くが、そんなことで追い付く筈もなく、どんどん引き離されて行く。侵入者が立ち止まる、どうやらそこにスピアが居るらしい。俺はガバメントを構えて撃とうとしたが、標準が定まってくれない。
侵入者がこちらを振り向いた。
「あぁ、良い顔。私がこれからやろうとすることにどんな表情を見せてくれるのかしら?」
「クソッ!!」
ガバメントの引き金を引く。だが弾は何処かへ飛んでいき、侵入者へ当たることも無かった。
侵入者はますます口角を上げる。
「ああ本当に楽しみで楽しみで仕方ない!!ジャベリン、私は宣言します!!貴方のご友人であろうスピアを今!!目の前で!!無垢な子供が蟻を引き千切るように殺して差し上げましょう!!!最高のショーですよ!!!あはっ!あっはははははは!!!!」
侵入者は腕を振り上げた。そしてそれをスピアへ振り下ろそうとする。俺はただそれを傍観するしか出来ない。
俺は思わず目を閉じてしまう。
「…………?」
「……はぁ、まさか邪魔が入ってしまうとは」
俺は目を開く。目の前の侵入者はさっきまでの歓喜に満ちた表情とはうって変わって心底つまらなそうな顔をしている。
よく見てみれば、彼女の腕がだらんと垂れ下がっていた。
「まあ、主人公のピンチに颯爽と駆けつけてくる存在が居るというのも悪くありませんね」
彼女は笑った。瞬間、何処からか銃声が聞こえ、彼女の頭が貫かれて倒れた。
…………機能停止してるな。
「今の気分はどんなだ、ジャベリン?」
後ろから懐かしい声がする。俺は笑ってその質問に答えた。
「最高で最悪な気分だよ、M16」
俺は案外運が良かったらしい。未だに行方不明だったAR小隊の『M16A1』と合流出来たのだから。
「だろうな。立てるか?」
「何とか。取り敢えずそれよりもスピアを起こしてくれ」
「ああ」
M16がスピアの元へ向かう。俺はそれを眺めていると、とんでもない衝撃が俺を襲った。
≪ご主人ー!!!!!生きてますかァーー!!!!!??!≫
ポチも無事だったようだ。今すぐ抱き締めてやりたいが激痛が走ってるためなにも出来ない。
「ポ、ポチ!!やめろ!!俺今風穴空いてんだぞ!!?」
≪生きてるゥーッ!!ご主人生きてるヨォ!!!!≫
「ちょっ!!おまっ………………」
≪アレッ!?ご主人!!??ご主人ーー!!!!!??!≫
と、取り敢えず、生きてて何より……だ、ガクッ…………。
「ポチ、やりすぎだ」
≪ごめんなさいスピア……≫
「はっはっは、許してやれってスピア。ポチも嬉しかったんだからさ」
「それもそうだがな……」
あの後、スピアと私で気絶したジャベリンに一応の応急処置を行った。彼の傷は酷いもので、治るのに大分時間が掛かるだろう。それにしてもよくこの傷で生きていたものだ。何か裏でもあるのだろうか? まあ考えても仕方がない。
「さて……スピア、こいつを運ぼう」
「ん、そうだね。担架使う?」
「そりゃ使った方がいいけども……あるのか?」
「作れば良いのさ」
スピアはそう言ってバッグから大きな布と折り畳んであった鉄棒を取り出して、器用に担架を作っていく。
そしてそれを完成させると私にジャベリンの足を持つように指示を出してきた。
「よーし、行くぞ。せーのっ!」
ジャベリンを担架に乗せる。そして私たちは担架を持ち上げた。
私はスピアに何処へ行けばいいのか聞いたところ、グリフィンの前線指揮所があるので、そこに向かうと言われた。
私たちは歩き始める。ポチがレーダーを展開しながら警戒してくれた。
≪む、正面1km先に味方反応アリ≫
「了解。見えるか?」
≪…………どうやらM4達のようです≫
おっと、どうやら助けが来ていたらしい。それにしてもM4か……怒られる未来しか見えないな。どうしようか。
「……まあいいか」
「どうしたM16?」
「いや、何でもないさ。早く合流しよう、ジャベリンも危ないしな」
また私たちは歩いていく。一先ず私は任務を終えた後のジャック・ダニエルをどれくらい飲もうか、ただそれだけを考えていた。
ここから雑談タイム
誠に申し訳ない……まさかここまで詰まるとは思わなんだ。言い訳として私生活が急に忙しくなったのと、文章が書けなくなったのがあります()
次回は多分いつも通りになるのでご安心を。
この作品への感想及び評価は心の支えです!どうぞ宜しくお願いします!それでは!!