傭兵日記   作:サマシュ

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さて、ジャベリンくんが入院中だっていってもやっぱり他の日常は続くわけで……ということで最近描写してなかったジャベリンくんの畑の描写をば……それはともかくスケアクロウを愛でたい……分かるよね……分かって……。


番外編 案山子と時々その他と。前半

鉄血工造ハイエンドモデル、『スケアクロウ』の朝は早い。毎日午前5時にぱっちりと目が覚めて、きっちり15分で寝間着から着替え、15分丁度でエプロンを着けて朝食を作る。その間に彼女は頭の中で今日のスケジュールを立てていた。

 

(今日は確か……何時もの家畜の世話に野菜へ農薬散布、そして雑草の除去だったかしら)

 

スケアクロウはそう順序だてながら料理……変装をしてS10地区の居住区まで買いに行った合成肉と、高価ながらも何とか買えた卵を一緒に焼いた“ハムエッグ”に近いもの、そしてジャベリンが置いていった固形の某総合栄養食を彷彿とさせるレーションを皿へと盛り付けていく。

スケアクロウは彩りの無い食事だ、と思いながらエプロンを脱ぎ、そのまま最近増築した時に作った別の寝室へと向かう。

 

「ちゃんと起きてるといいのだけれど……」

 

ぎしぎしと、少しだけ軋む床板を踏みしめて歩く。これは直す必要があるかな、と呟きながら『Executioner』と書かれたネームプレートがぶら下がったドアの前に彼女はたどり着いた。

 

「処刑人、処刑人、朝食の用意が出来ましたよ」

 

スケアクロウはドアを三回ノックする。返事は返されない。スケアクロウはため息を付いて、もう一度ノックをする。

 

「処刑人、起きてますか?」

 

『うあー…』

 

返ってきたのは唸り声のみ。スケアクロウは再度ため息を付き、直接彼女を起こそうとしてドアを開けた。

 

「処刑人、夜更かしは駄目だとあれほと言ったのに何をして………………」

 

「うぇ…あっちぃ…」

 

「あら、おはようスケアクロウ」

 

スケアクロウは突然眼前に広がった光景に思わず固まってしまう。何せ汗だくの処刑人と昨日ここにやって来たばかりの『侵入者(イントゥルーダー)』が一緒のベッドで寝ていたからだ。未だ眠る処刑人はいかにも寝苦しそうに、侵入者は随分と満足げにしながらベッドの端に座っていた。

 

「…………おはようございます、侵入者。何故貴女が処刑人と一緒に寝ているのか全くもって理解不能ではありますが、朝食です。早く来て下さい」

 

「分かったわ。さぁ処刑人ちゃん、起きましょ?」

 

「うぁい……」

 

スケアクロウは背後で起こる秘め事のような光景を想像しながら、三度目のため息を吐いた。

 

(侵入者には何をやらせましょうか……)

 

彼女はそう思いながら、少し軋んだ音の鳴る廊下を歩くのだった。

 

 

 

 

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「「「いただきます」」」

 

所変わってダイニング。スケアクロウ、処刑人、侵入者の三名がそれぞれテーブルへと座り、各自好きなように食事を始めていた。静かな時間が過ぎていく中、ふと処刑人が食事の手を止めてスケアクロウを見る。

 

「そういえばスケアクロウ、今日は何をするんだ?」

 

「今日は何時も通り家畜の世話と草刈り、あとは農薬散布ですね」

 

「りょうかーい」

 

それを聞いた処刑人は早々に食事を食べ終えて、食器を流し台へと置いた後に飛び出すように外へと出ていった。残された侵入者とスケアクロウはまた静かに食べ始める。

 

「……それで、私は何をすればいいのかしら?」

 

「侵入者は取り敢えず服を見繕いましょうか」

 

「あら楽しみ。どんなものが着せられるのでしょうね?」

 

楽しそうに笑う侵入者。スケアクロウはそれを横目で見ながら朝食を食べ終えて、食器を片付けていく。侵入者も丁度食べ終えたようなのか、彼女も食器を片付けるために、スケアクロウの皿の上に置いていった。スケアクロウは思わず彼女を見る。

 

「……侵入者」

 

「だって、そっちの方が効率的ではなくて?」

 

「はぁ……分かりました」

 

が、侵入者はただ悠然とした顔で居るだけだったので、スケアクロウは直ぐに考えても無駄かと思った。そして渋々と流し台へと持っていく。

次にスケアクロウは侵入者に着いてくるように伝え、自分の寝室へと向かった。侵入者は「これから襲われるのね」と茶化していたが、彼女はそれを無視。

 

「あら、つれないのね」

 

くすくすと侵入者は笑う。スケアクロウは何となく頭痛を感じながらも自身のクローゼットを開き、使えそうな服を彼女へと渡しておいた。

 

「侵入者、一先ずそれに着替えてください。私は先に畑の方へ向かいます、ちゃんと来てくださいね?」

 

「はいはい」

 

侵入者の返事を聞き流してスケアクロウは部屋から出る。今度は台所へ行き、そして食器棚から水筒を取り出す。処刑人が忘れていった分と彼女と侵入者の飲み物を用意するためだ。

彼女は早急に水筒へメグ指揮官から貰った麦茶を入れる。

 

「あの指揮官には困ったものよね、何者かも分からないこっちに随分と手厚くしてくれるなんて……」

 

彼女はそうひとりごちる。

かくいうこの水筒だってメグ指揮官から貰ったものだ。何となく彼女はそれを見つめて笑みを溢す。

 

「さてと、処刑人にも水筒を渡さないと」

 

スケアクロウは外へ出る。さんさんと降りそそぐ太陽の光を眩しく思いながら麦わら帽子を被り、先ずは処刑人の居る家畜小屋まで向かう。

 

「処刑人、居ますか?」

 

「居るぞ~……おぉっ!?暴れるなって!!」

 

処刑人の声が奥で聞こえる。それと同時に鶏が数羽ほどこちらへ飛び出してきた。スケアクロウはそれを難なく避けて声のした方向へ向かう。そこには暴れる鶏を掴んでいる処刑人の姿があった。スケアクロウはちょっとだけ笑い、水筒を差し出した。

 

「今日は唐揚げをご所望ですか、処刑人?」

 

「おっ、サンキュ。いや、そうでもないんだよなぁ……ちょっと何となく捕まえてただけだよ」

 

「そうですか……最近気温が上がりつつあります。家畜たちにせよ貴女にせよしっかり涼んでおいてください」

 

「了解」

 

スケアクロウはそう言い残し、そのまま畑へと向かう。恐らく畑には侵入者が待っているだろう。スケアクロウは歩く。歩いている間に、侵入者に何をやらせようかと考えていく。

 

「一先ずは草刈りでもやらしておきますか……」

 

そうと決まればもう早い。スケアクロウは一度物置まで向かい、草刈り機を回収し、そして再度畑へと向かうのであった。





その頃のジャベリンくん。。。

「筋肉祭り怖い…」



なんかこう、スケアクロウって仕事ができて面倒見の良いおねーさんみたいな感じなんですよ……皆分かってくれないか……?分かって……。いつか彼女メインで書いてみたい。でも先行者の方か居た……嬉しい。

作品への感想及び評価は執筆の友です。どうぞ、よろしくお願いします!それでは!

7/5 ルビの振り忘れを修正、そして誤字報告ありがとうございます。

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