傭兵日記   作:サマシュ

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ジャベリンくん、君の修羅場はただの前座に過ぎないのだ……。









傭兵、退院への道が近づくってよ。

256日目 晴

 

毎回毎回思うのだが、俺ってまさかしなくてもトラブルに巻き込まれやすい? だとすればこの大昔の冷戦さながらの状態に頷けるぞ。

 

状況を説明するとすれば、俺の病室にはより一層笑みを深めて座るリフィトーフェン、表情には出てないけど確実に臨戦体勢であろう45、9、416、11。変装しててよく見なきゃ気付かれない外見のスケアクロウ、処刑人、侵入者……こいつら見た目が何処かの女子会に来た女性集団みたいだったが何処でそんな服手に入れたのか謎な所である。

 

そしてこんな闇鍋状態のところに状況を把握出来てない我らが槍部隊隊員トライデント。彼の両手には俺の暇潰し用に持ってきた漫画が入った紙袋、あと俺が好きな果物が沢山入った紙袋も持っていた。

 

謎の沈黙の最中、トライデントは静かに俺に寄ってきて、何事かと俺に聞いてきたのだが、正直どうしてこうなったのか全くわからない。

最初にリフィトーフェンがこの病室にやって来て俺の義眼とポチのメンテナンスをしていたところに突然45達がやって来て(しかも大きなメロンを持ってきてた)、リフィトーフェンと鉢合わせをしたもんだから一触即発の状態になった。さらにコンボでトライデントがスケアクロウ達と世間話をしながら登場という。誰が望んだんだこの状況。

 

……誰も望んでないな。リフィトーフェンは嬉しそうだったけど。だってアイツ45達を見て「ほう、いつぞやの存在しない小隊(404小隊)じゃないか」とかスケアクロウ達を見て「あのプログラムは上手くいっているようだな」とか言ってたし……本当、このマッド研究者め……。というか404小隊って何だよもう。45達何時の間にそんなもの作ってたの?お兄さん知らないよそんな格好いい部隊。

 

話を戻そう。兎に角、色々大変なことになった。45、9、416はリフィトーフェン睨み付けてるし、G11は普通に俺の所来てメロン切り分けてるし俺の前だからなのか知らないけどブレないね君。メロンはとても美味しかった。

それでハイエンド組だが、状況を察したのかトライデントと一緒に漫画を静かに読んで我関せずだった。助けろよ。特にトライデントお前が一番の良心なんだぞ隊長を助けてくれよ処刑人の時みたいにさ!!

そんな助けを求める俺の視線に気がついたのかトライデントは俺をチラ見して、読んでいた漫画を閉じた。

そして睨みあっている奴等に対して、「一先ず、果物でも食べましょう」と提案した。これのお陰で何とか場が収まりそうになったのかと思いきやそうではない。

 

リフィトーフェンが「そうだな。こんな下らない事をしてしまえばジャベリンの身体に悪いからな。君たちも自重したまえよ、404」と煽り気味に言ったのを皮切りに、今度は45が「あら、そうやって私達だけが悪いように仕立てあげるのね。こうなってしまったのは貴方のせいでもあるでしょう?マッドな研究者様?」と返す。

 

売り言葉に買い言葉だ。トライデントは予想外の展開にまた漫画を読み始めた。逃げるなよ。頼みのハイエンド組は沈黙、G11はポチとお話し中。途中、オイゲンさんがやって来たが状況を察して直ぐに逃げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうお前ら帰れ!!!!帰ってください!!!!お願いします!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

257日目 晴

 

何とかリフィトーフェンと404小隊……だったか?そいつらとトライデントは帰らせた。ハイエンド組を残らせたのは一つ理由がある。というのも、ちょっと畑の状況が気になるし何より侵入者について色々と確認を取りたかったのだ。

というのも侵入者、こいつは俺が入院する羽目になった原因である。今も俺に危害を加えるつもりなのか、そうでないのか気になっているのだ。まぁ、のこのこと俺の畑に来てる時点で白であることは変わりようもないのだが……実際その通りだったし。スケアクロウ曰くポンコツになったらしい。何でだよ。

 

それは置いておき、今度は畑だ。ここいら最近畑に行けてない。ちゃんと作物は育ってるのかは気になる。

スケアクロウが言うにはそれなりに、処刑人が言うには家畜は鶏や羊を追加出来たらしい。何処から手に入れたの……?

でもちゃんと上手く行ってるようで何よりだ。一応はコイツらに任せておいてもいいか……俺まだ1ヶ月近くは動けないからな。

 

取り敢えずの状況は聞くことが出来た。唯一不安なのはコイツらの素性がバレてないかどうかじゃある。お嬢の基地にはバレて欲しくない。だが結構密接に関わってるだろうからそれは難しい注文ではある。とはいえどもやはり見つかってしまえば、お嬢の基地が立場的に危うくなる可能性が高い。上層部の許可無しに敵、しかもハイエンドモデルを鹵獲してるのだ。これで反逆を疑われない訳がないんだ。

 

スケアクロウ達が帰る際、その事をちゃんと伝えておく。彼女らは笑って聞き入れてくれたが……どちらにせよ信じるしかないだろう。

 

……そろそろ寝よう。これ以上起きていたら夜勤の看護師さんに怒られるからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

258日目 晴

 

さて、果物の処理をどうしようか。リフィトーフェンやらスケアクロウたちやらトライデントやら、色んな奴等から果物を貰ったわけで……軽く1ヶ月分はある。なんでこんなに持ってきたんですかね……まあ美味しいからいいんだけどさ。兎に角量が多い。看護師さんたちにもあげたりしたものの、減らないのは何故なんだ。うーむ。

 

俺がそうやって悩んでいたら、社長がやって来た。真面目にお見舞いへやって来たらしい。やる時はやるんだな社長……。

社長は果物を食べながら俺の退院後について色々と話してくれた。一応は通常通り、グリフィンと行動したり一人で任務をしたりと……退院後は相変わらず忙しくなりそうだ。

 

ふと、その時俺は違和感を覚えた。社長はどうにも、俺が退院して直ぐに動けることを前提としているように見受けられる。俺が恐る恐るその疑問をぶつけてみたら、社長はさも当然の如く、

 

「当たり前だ。傷が治り次第1ヶ月全部隊ブートキャンプだぞ。心配するな、ちゃんと医師は付いている」

 

と宣った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拝啓、槍部隊一同。

 

どうやら隊長さんは地獄の片道切符を持ってしまったようです。

 








ジャベリン は リハビリ を はじめる こと に なった !


ここから少し時間がキンクリします。次回はジャベリンくんのブートキャンプ!!さぁどうなるのか!?

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