傭兵日記   作:サマシュ

92 / 131
140000UA有難うございます。のんびりゆるりと、傭兵日記をどうぞ宜しくお願いしますね。

さて今回はブートキャンプ中間です。ジャベリンくんは着実に体力を回復させていきますぞ。補足として一つ。一応このブートキャンプにはポチは参加しておりませぬ。自宅でオスカーの世話をしております。

今回は5000字ほど、そしてギャグ回みたいなものです。


傭兵、療養だってよ。そのに

288日目 晴

 

結構体力とか戻ってきた気がする。あと原理は分からないが筋肉もしっかりついてきた。普通こういうのって2,3ヵ月は掛かるもんだと思うんだがやっぱり食べ物の中に何か入ってるだろ。

 

思えば俺が入社したての頃だって不思議なぐらい筋肉がモリモリついてったし何なんだろうな。何となく気になって木に寄っ掛かりながら葉巻吹かしてた社長に聞いたんだが、社長曰く、「お前、そりゃあれだ。人間誰しも健康的な生活をしながら牛乳飲んだり筋トレしてたらつくもんだ。俺はそれで筋肉がついた」 らしい。脳内にハテナマークが沢山出てきた。

 

やっぱ常軌を逸してるよこのおっさん……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

289日目 晴

 

トンプソンと会った。あいつは相変わらずよろしくやってるようで、SAAとの関係も良好だ。というかSAAがトンプソンにべったりしている。でも俺にもべったりされて他の隊員達から物凄く生暖かい目で見られちまったがな。

 

因みに今日は射撃訓練である。武器庫から支給された銃器を使っての的当て、そしてクレー射撃を軽くだな。これらに関しては流石人形と言うべきか、皆難なくこなしていた。指揮官達はまちまち。まぁ人間だしな。動く的の大半をボルトアクションライフルで撃ち落とす弓部隊の奴等みたいじゃないもんな。いや本当につくづく思うんだがうちの会社は正直いってイロモノだと思う。業務の殆どを人間で補って、そしてその人間達のレベルがとてつもなく高い。最近耳に入った噂じゃ「武器庫に入社するときは何かしら秀でた能力を持っておくか、女難の相を持っていなければならない」とか言われてるし。最後何なんだよ本当。

 

因みに俺は感が鈍ってたのでまずまずの結果だった。

それと判明したことがある。SAAについてだ。この子、どうにもまだトラウマを払拭仕切れてないのか、自身の武器を持つときの手がひどく震え、そして動悸も出てきていた。これは不味い、と俺が彼女へ声をかけながら肩に手を置いてやったらだいぶマシになったから良かったものの、これはまだこの子のリハビリが必要そうだ。

この件に関してはトンプソンに投げるしかない。許せ。

 

ただ俺もどうにかしないといけないってのはよく理解してる。なのでまた今度この子と色々やっていくしかないだろう。

 

 

そういえば明日は武器庫ボディビル大会らしいが、何が起きるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

_________________________________

 

_____________________________

 

_____________________

 

_____________

 

______

 

__

 

 

 

 

 

 

 

 

「23番ー!!筋肉切れてるよー!!」

 

「25番!!カーフくそでけぇなオォイ!!お前のふくらはぎは太腿かぁー!?!」

 

「19番ナイスカットォ!!!」

 

「皆仕上がってるよ!仕上がってるよォォォォ!!!」

 

訳のわからない掛け声が聞こえる特設会場。俺はSAAといつの間にか居たG11と共に立ち見席で武器庫主催のボディビル大会を傍観していた。会場の気温が上がってるのか熱気がとてつもない。なんだろうな、筋肉すげぇわ。

G11は余り興味無さげにしているが、SAAは案外見入ってる。

 

「凄い眺めだね、ジャベリン」

 

「……そうだな11。まさかここまで濃いってのは予想外だよ」

 

「ジャベリン……トンプソンは?」

 

「アイツなんか予定があるからって何処か行っちゃったよ、SAA」

 

そうなんだ…とコーラを飲みながら上半身裸の筋肉モリモリマッチョマンどもを見ているSAA。この子意外に好きなのかな筋肉。

いやそれにしても筋肉が凄い。確かこのボディビル大会は強さの部としなやかさの部に分かれていたが……今は強さの部だな。俺としては戦闘狂の集まりの剣部隊がぶっちぎりかと思ったらそうでもないんだわ。

 

「21番ー!!お前は盾部隊の誇りだぁ!!背中に鬼神が宿ってやがるぜェェェェ!!!!」

 

「18ばーん!!!お前そこまで絞るには眠れない夜もあっただろ!!!」

 

……な?盾部隊とか弓部隊も負けてないんだよ。中には余り動く必要もない諜報部からも出てる。どんだけ筋肉鍛えるの好きだったんだ……

 

んん?…………トライデントいるじゃねぇか!!!

 

「30番!!!!二頭がいいぞ!!チョモランマァァ!!!!」

 

「ひっ!」

 

「ジャベリン?」

 

……ハッ!?俺は何を……ってSAA怯えさせちまった。ごめんなー驚かせちまって、よーしよしよし。

俺はSAAを優しく抱き締めながら撫でてやる。G11は本当に驚いたような顔で俺を見ていた。

 

「うぅ……」

 

「ジャベリン、本当に何かあったの?」

 

いや、これはだな…ちょっとうちの部下が居たからさ……は、はは。だって見てみろよ、30番の筋肉やべぇって。肩にちっちゃい重機乗せてる疑惑あるから。な?

 

「ふぅん……?」

 

言い訳っぽく聞こえたのか胡乱な目で見てくるG11。その視線は俺に効くのでやめて欲しい。

ただ直ぐにG11はその視線を切ってくれたので助かったが……あたしも筋肉つければいいのかな?って呟いたので全力でそれをやる必要は一つもないと伝えておいた。

 

お、今度は全員揃って両腕を曲げて上半身を強調するようなポーズ、モストマキュラーだったか……そんなポーズをやってる。しかもじわじわとステージ際まで近づいていってる。

 

「巨乳ーっ!!!!」

 

「大胸筋が歩いてるゥ!!!!」

 

「マッチョのインベーダーゲームかよォ!!!」

 

「マッチョの満員電車だな!!!いいぞ!!17番なんだそのセパレーション多過ぎて数えられねぇよ!!!」

 

 

 

 

 

「グスッ……ジャベリンはこれ参加しないの?」

 

「SAA、病み上がりに無理を言わすんじゃない」

 

なんとか落ち着いたSAAに爆弾発言染みたことを言われてしまう。いや筋肉元に戻ってもやらないけどさ。なんかこう、なんだろうなぁ……俺の身体って脂肪と筋肉が程よくついてるからそんな見映えがあるというわけでもないんだよ……。

 

「え、でもジャベリンって細マッチョってやつだし、しなやかさの部に出てもいいんじゃない?」

 

……11、余計なこと言わないの。SAAが凄い期待した目で見てくるじゃん。な、SAA。俺は自分の肉体を見せたくて身体鍛えてる訳じゃないからね?

 

「じゃ、じゃあジャベリン、後で見せてよ!!触りたい!」

 

「!?」

 

ヤバイぞ、SAAが何かに目覚めた。G11が何かを察した顔してやがる……逃げるんじゃないぞ!

 

「あ、いや。あたしは悪くないからさ…?」

 

そんなこと言って許されるわけないだろ!G11、お前が説得してくれ!

 

「う、うぅ、仕方ないなぁ……」

 

ヨシッ。

G11が目を煌めかせているSAAへ近付く。幾ばくか躊躇する素振りを見せたが、そこはG11。やる時はやってくれるのだ。

 

「ねぇ、SAA」

 

「何、11さん?」

 

「まぶしっ……じゃなくて、別にジャベリンの筋肉とか見なくたって今目の前に筋肉の塊があるんだしそれを見たら?」

 

「え……」

 

SAAが考え始める。いいぞ、そのまま何とかしていけよ……?

 

「でもさ」

 

そう俺が願いながらSAAか元に戻ることを祈る。

ところがぎっちょんそんな上手く行く筈もなく、SAAはさも当然のごとくG11の提案に答えた。

 

 

「憧れの人とか、気になる人の知らない姿を見たらドキッとしないの?」

 

「する」

 

「11!?!??!」

 

 

SAAェ!!!お前なんでそんな真理を突いてきてそうな事を平然とっ……!? 子供故の感性か!? その感性がその答えを導いたのか!!??

 

「ジャベリン、あたしには無理だったよ」

 

「諦めたらそこで試合終了だぞ!?」

 

「ねぇ~ジャベリンいいでしょ~見せてよ~」

 

「SAA、元気になってくれるのはいいんだが君はそんなキャラクターじゃなかった筈だ。大人しくママの所へ戻りなさい……」

 

こんな予想外の展開に俺は思わず嘆きたくなってしまう。

というか頭を抱えた。そしてそれと同時に次の部、しなやかさの部へと移る旨を伝えるアナウンスが聞こえてくる。

 

そぞろそぞろと筋肉達磨達がステージから抜けていき、今度は武器庫の女性陣やグリフィンの人形たち、後は細マッチョの野郎どもがぞろぞろと。

因みに武器庫の女性陣だがクレイモアは勿論居る。……あんた強さの部だろ。

 

「アレ、416が居る」

 

「あっ、トンプソンも」

 

「はい??」

 

なんて邪推をしていたらG11達がそんな事を言った。それを聞いて俺はステージの方を見た瞬間、思わず目を疑った。

確かにトンプソンと416が居る。ついでに鎚部隊のLWMMGとウェルロッドも居た。この二人は心なしか頬を赤く染めているように見えた。

俺が驚きつつその光景を見ていると、ポージングが始まる。

 

 

 

「ーーーーーーーーーー………」

 

 

 

その光景は、一つの絵画のようだった。観衆はただ息を呑みじっと見つめるだけで掛け声も何もない。静寂に包まれている。

ステージに居る各々はキメ顔をしていたりと様々だが……なんだこの、見入ってるぞ皆。

 

トンプソンと416は己の肉体をこれでもかと見せるような感じである。ウェルロッドとLWMMGは恥ずかしそうであるものの、それでも人形の矜持があるのか堂々とポーズしていた。

武器庫女性陣のクレイモア、イージス、アイギス、その他諸々も負けてないし何なら男たちもだ。

 

ごくり。

 

誰かの固唾を飲み込む音が聞こえた。それほどまでに皆見ている。強さの部とは打って代わって雰囲気が違う。SAAやG11もそうだ。なんだこれ……。

 

『……っは!? つ、次のポーズを!!』

 

ナレーターが我に帰ったのか、指示を出す。それを皮切りにこの会場へ音が戻ってきた。

 

「……なんだったのアレ」

 

「きれい……」

 

SAAとG11が先ほどの光景を噛み締めるように言う。

本当になんだったんだろうか。訳がわからない。あの静寂とは……ウーム。

 

 

 

 

暫くボディビル大会そっちのけで考えこんでいたら、いつの間にかしなやかさの部は終了していた。

はてさて、次は確か表彰式だったか……。

 

『えー、次はPMC武器庫取締役社長、ジョン・マーカス氏と、PMCG&K取締役社長、ベレゾウィッチ・クルーガー氏による……マッスル公演?です!』

 

 

 

 

 

やめろ。

 

 

 

 

 

 

……………………………………………………

…………………………………

………………

……

 

 

「結局しなやかさの部で優勝したのはLWMMGか……」

 

「強さの部の優勝はツヴァイだ。悔しいな……」

 

「お前はよく頑張ったよトライデント」

 

ボディビル大会が終わって一時間後、結局俺は社長とクルーガー社長のマッスル公演なるものは見ずに帰った為、結果を知ることが出来なかった。なので、トライデントを捕まえて結果を聞いた。まぁ想定通りというか想定外というか。俺としてはLWのやつが優勝するとは思ってなかった。まぁ素人にはわからない何かがあったんだろ。

 

「完璧なポーズをとっていた筈なのに……」

 

「416、ポーズ関係ないから。設計者を恨まないと」

 

「くっ……」

 

ふと、俺の隣で突っ伏してる416と慰めてるのかそうでないのか微妙なセリフを416へ掛けるG11が居た。そうだよなー……416はなんというか、むっちりしてるもん。それこそ出場してたイージスさんと同じくさ。言葉に表すとしたらボンむにっボン(?)だから。筋肉と脂肪が程よくついてるような感じ。だから元気出せ、お前は十分魅力的だ。

 

「な……何よ。もう…」

 

「チョロい」

 

「五月蝿いわよ!」

 

俺の言葉に嬉しそうな反応を示す416。良かった良かった……。一先ずG11のほっぺ伸ばすの止めてやれ。凄い伸びてる。

 

「トンプソン、かっこ良かったよ!」

 

「おっ、嬉しいこと言うねぇSAA!何か欲しいものは無いか?」

 

「コーラ!」

 

「1ダース買ってやるよ!」

 

さて今度は俺の向かいに居る親子。トンプソンはな……彼女は身体が締まっていた。筋肉質というか、陸上部の身体だな。それに筋肉がしっかりとついてるようなイメージ。

 

そしてトンプソン、余りSAAを甘やかしてくれるなよ? 可愛らしいのは分かるがやはりビシッとな?

 

「ジャベリンは……私のこと嫌いなの?」

 

ごめん嘘ちゃんと甘やかしちゃう。コーラのグミもあげちゃう。

 

「わーい!」

 

「ジャベリン……お前本当に骨抜きだな」

 

五月蝿いぞトライデント。俺だってこうなっちまうときは有るんだよ。お前も嫁さんの前じゃふにゃっとしちまうんだろ?

 

「いやそれはない」

 

なんだよつまらねぇな。

 

「それはそうとジャベリン、お前体力とか筋肉はちゃんと元に戻ってるのか?」

 

「ん?あぁ、抜かりなくな」

 

俺はトライデントへ二の腕を見せながら答える。それを彼はまじまじと見つめ、一人納得したような顔をする。

 

「チョモランマか、成る程」

 

「何て??」

 

「何でもない。お前の今の筋肉だとあのレールガン担いで走り回るのはキツそうだな」

 

「そりゃ分かってるさ。だから明日もしっかり追い込んでいくつもりだよ」

 

因みにこのブートキャンプはあと10日ぐらいで終わる。ブートキャンプが終われば次はいつものお仕事(日常)だ。2ヶ月も仕事から離れてると却って何だか落ち着かなくなってしまってる。戦場なくして仕事(日常)なし。傭兵家業は仕事仕事の仕事づくし。

これが俗にいう社畜精神だな。悲しいことだ。まぁ俺はこういう生き方しか知らないってのもあるがね。

ウーン、バイクで走りに行きたいぜ。

 

そんな事を考えていたら、トライデントが何かを思い出したかのように口を開いた。

 

「そういえば、スピアが向こうでスプリングフィールドっていう人形に詰め寄られてたぞ」

 

…………神様っていうのは騒動が大好きで平穏ってのを毛嫌いしてるようだ。

俺は椅子から立ち上がり、416達に席を外すことを伝える。そして軽く準備運動をする。

 

「さァて、愛する友人の救出と行こうか」

 

「相手はへべれげだぞ、気を付けたほうがいい」

 

「そんなの分かってるさ。酔っ払いの相手なんざ幾らでもしてるだろ?」

 

「そりゃ違いない。それが槍部隊の仕事だもんな」

 

トライデントのセリフに俺はサムズアップで応える。そしてそのままスピアが居る場所まで小走りで向かう。

 

明日もしっかり追い込んでいく為にも、今日頑張っていこう。

 

そんな気持ちで動く。心なしか、スピアのもとへ向かう俺の足取りは軽いようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、スプリングフィールドの酔拳によって全滅した模様。社長が出てくる事態になってしまった。スプリングフィールドが強すぎる。こいつバトルフィールドかよ。








LW「……なんで私が優勝したんだろ」

ウェル「おめでとうございます」

LW「あんまり嬉しくない…」








戦うスプリングフィールドさん、略してバトルフィールドさん。漢字に直せば戦場さん(?)
彼女は様々な戦いを見せてくれる面白い存在なのです……。

さて、今回は突然のマッスルタイムでした。どうしてこうなったのかって?俺が聞きたい。
ギャグ回なのかは不明なところ。だが、それでもいいのです。楽しく書けたから……(ダンベル何キロ持てるのOPを聴きながら)

この作品への感想及び評価は心の支えです。どうぞよろしくお願いいたします!それでは!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。