自律作戦が全般的に効率向上な上、さらに課金アイテムを使えば2ヵ所平行で同時進行で出来るらしい(詳細は明日要確認ですが)。
これは仕事中の放置レベリングが捗りますな……。
……ピピッ
『なんですか、連絡事項?』
……カタカタ、ピッ
『え、装甲兵がPROWLER部隊を撃破した後にVESPID、RIPPERの部隊と交戦していたけど逃げた?』
……ピピ、カタカタ、ピピピッ
『しかも、装甲にはダメージが通り、武器も故障の様子あり……な、何なのそれ、そんな事あるの?仮にも正規軍の装甲でしょうに』
……ピーピーピー
『で、挙げ句の果てに
カタカタカタカタ……
『完全に袋小路の鼠じゃない。時間を稼ぐにしてももっとやりようがあるでしょうに。素人ってレベルじゃない』
……ピピピッ
『とりあえず監視だけはしておきなさい。ここまで来たのだからそちらに行くけど、武器もなし、装甲も役立たず、こちらの害にはなり得ない。殺すのは情報を得るだけ得てからでも遅くないわ』
……ピピピッ、ピー
『グリフィンの手の者なのか正規軍の新兵なのか知らないけれど、何を考えているのかさっぱりだわ、ほんと……』
「……そう、か。今の、今までか」
「そ。でもお兄さん、グリフィンの人、じゃないでしょ?」
「……申し訳ないけど、全然関係ない。ごめん、な。期待させちゃって」
「ううん、いいよ」
くすりと笑うと、少女は目線だけを青年の手へ……否、手中の銃へと向ける。先程、青年が埃の中から持ち上げたそれを。
「それ、使いたいの?私の銃、だよね」
「え、あ、ごめん。勝手に取って」
「いいよ、別に。使い方、わかる?」
「……わからん、って言ったらどうする?教えてくれるのか?」
「教えてあげる」
「マジかよ」
あっけらかん、とした少女の答えに青年は思わず呟く。まさか、教えてもらえるなどとは露にも思っていなかったようだ。
「え、いやでも良いのかよ。俺みたいなのに使わせて」
「……お兄さん、悪い人じゃ、なさそうだし。それにきっと、あんまり時間、ないでしょ?」
「え、時間……っ!!」
あまりに衝撃的な事態に青年は自分の置かれている状況をすっかり忘れていた。こうしている間にも、鉄血人形が廃墟を目指して接近しているのかもしれないのだ。むしろ、今このときまで来ていない事の方が奇跡的だった。
慌てて青年は外の様子を伺いに立ち上がる。青年が幸運なのか人形達がポンコツなのか、いまだに廃墟目掛けて進軍してくる様子は見られない。
「そ、そうだった。すまん、教えてくれ、どうすれば撃てる?」
「難しく、考えなくても、だいじょうぶ。片手で、銃の後ろを押さえて、もう片手で、引き金を引くの」
「……それだけ?」
「うん。引き続けば、引き続けた、だけ撃てるよ。でも、反動が、凄いから、台みたいなのが、あるといいよ。あと、音も凄いから、耳当てが、あるといいよ」
台と、耳当て。そんなものどこにあるんだ、と青年は辺りを見回す。無論そんな都合よく廃墟などに用意されてるはずもない。だが、現状探す時間はない事を分かりきっている青年は頷く。
「台と耳当てだな、分かった」
「あと……私の左ポケットに、替えの弾倉が、あるの。弾が無くなったら、それに変えて」
「ポケット……んっと、この箱みたいなのか」
少女の言うとおりポケットを探ると、薄茶色の箱が出てきた。見た目のサイズに反し、どれだけの弾丸が詰まっているのか、それはかなりずっしりとした印象を青年に与えた。
「そ。弾が切れたら、それを、取り替えて、ちゃんとはめてから、レバーを引けば、装填されるの」
「なるほどな。……でも、その、いいか?」
少女の説明に頷いた青年だったが、そこでふと遠慮がちに尋ねる。その目は、どこか後ろめたい色を含んでいた。
「どうしたの?」
「俺は、嬉しいんだけどさ、いいのかよ。もう、エネルギー残ってないって言ってたのに、俺なんかに使ってくれて、教えてくれてさ」
彼女がスリープモードに陥っていた理由。絶望的といえども、一縷の望みにかけて保っていたエネルギーを、全くの赤の他人に使ってしまっていいのか、と。そんな青年に、少女は紅い目を細めながら微笑む。
「お兄さんは、生きたいん……でしょ?」
「そりゃ、そうだけど……でも、俺が今どういう状況かなんて、一言も」
「わかるよ。今ここが、どんなとこかって。あと、どうせ、仲間は助けに、来ないって。……私はこのまま、ここで朽ちる事も」
だけど、と少女は続けた。
「ずっと、転び続けてきた、私だけど。最後くらい、誰かの為に、役に立ちたいな、って。
きっと、私は、役立たずだから、見捨てられたけど、それでも、最後に少しでも、誰かの為に、役に立てたら、いいなって」
笑顔の少女の頬を、透明な雫が伝う。
「だから、最期に、お兄さんに会えて、良かった。その銃を、お兄さんが生き残るのに、役立てて、もらえたら、嬉しいなって」
「……『最期』、か」
悲壮とも言うべき彼女の言葉に、青年は手に持った銃へと目線を向ける。
(そもそも、俺……これをつかって生き残ったとして、どうするんだよ?)
青年の中で、そもそもの前提が揺らぎ始める。
(ここは、俺が知ってる平和な2018年の日本じゃない、四十年以上もあとの世界なんだぞ。勝手なんて全くわからない、それどころか人形が戦争をしてるような世紀末世界なんだぞ)
銃を持つ腕が、震え出す。
(外のあいつらを何とか倒したとしても、グリフィンの奴らはこっちの状況を確認出来る手段を持ってるみたいだ。もし俺が生きてるって知ったら、下手すりゃ口封じに殺しにくるかもしれない。外の人形達を頼るのは論外……意志疎通が出来るかすら怪しい。地理も分からん、そもそも常識が通じるかも怪しい。どうすれば、どうすればいいんだよ……!)
暗い表情の中、思考の海に沈み掛ける青年。
その顔に光を差したのは、少女だった。
「……うん、最期だよ。だから、頑張って、生き残ってね。私の分も……って、変だよね、私人形なの、に」
青年は、おかしそうに笑った少女を見る。
(違う、違うだろ。生き残った後どうすればいい、じゃないんだ。何をしたいのか、だ。ここで生き残って、俺が何をしたいのか、するべきか、じゃねーのか?)
彼のなかでぐるぐると渦巻いていた思考が、パズルをはめるかのようにピタリピタリと形をなす。
(この子だってこんな最期なんて、嫌だろうに。こんな最期を迎える為に作られた訳じゃないだろうに。俺は嫌だ。いくら人形だからって、目の前でこんな最期を見せられるのは御免だ。
だったら、俺は、俺は)
「そうだ。死ぬのなんてクソクラエだ。俺は生き残る。生きて君を助ける」