一般人・イン・フロントライン   作:全緑小隊

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小説を書くに当たって世界観とか色々調べてみてはいますが、これ調べれば調べるほど世紀末過ぎて笑えなくなってきますね

まあドルフロのメインストーリーガン無視してやりたい放題する(予定)と考えればあんまり気にしなくても良いんでしょうが


一般人・イン・フロントライン・サドゥンリィ2

青年の頭を、鈍器で強かに殴られたかのような衝撃が襲う。それだけ、指揮官の男に今宣告された言葉が信じられなかったのだ。

 

「例え貴様が本当にニホンの人間だったとして、それを証明する術はない。貴様の持っていた何れの代物も、我々にとって宛になる物とは成り得なかった」

「嘘だろ……何だよ、それ。何かの冗談だろ、そうだと言ってくれよ」

「嘘も冗談も何もいっていない。何なら今の『2061年』の世界地図でも見せてやろうか、ん?」

「……は、は、は。2061年て。40年も、以上の、あとの世界ってなんだよ……」

 

思わずその場にへたり込む青年。ここは青年が数時間前までいた場所とは全然違う所、しかも自分がいたはずの場所は、国は、何十年も前に消えてしまっている、そんな衝撃的な事を受け入れられるはずも無かった。

 

「これ、何かの悪い夢だろ、夢なら覚めてくれよ……」

「現実逃避したくなる気持ちも分かるがな、諦めろ。何ならつねるか殴るかしてやろうか?」

「いらねーよ……それに覚めたら覚めたでどうせ仕事漬けの日々に戻るだけだし。今のこの状況よかマシだろうけどさ」

 

ギロリと目で指揮官を睨み付ける青年だが、その瞳には力も光もない。そして、その視線はすぐに床へと落ちるのだった。

 

 

「まあ、それはそうだろうな。……で、絶望に浸っているところ悪いが」

「……何だよ」

「今の貴様は身元不明の不審人物だ。そんな人間を置いておけるほどにここの支部に……グリフィンに余裕はない。ましてや貴様が人類人権団体や反戦団体、テロリストの手先の者でないとも限らんからな、危険過ぎる」

「は……はあぁ!?ちょ、ちょっと勘弁してくれよ!」

 

指揮官からの思いもよらぬ言葉に思わず青年は顔をあげる。いくら自身が唐突に天涯孤独の身となってしまったとはいえ、いきなり危険人物呼ばわりされる謂れはない

 

「こちとら知りもしない世界に、未来に放り出されてどうしようもない状態だってのに、なんでそんな扱いされなきゃならないんだよ!!」

「残念だが貴様の身の上など知ったことじゃない。そもそも過去から飛ばされてきた、とどうやって証明するんだ?貴様のデータなど存在しないというのに」

「そ、そんな、血も涙もない事を……」

 

青年の言葉を聞いた指揮官は、唐突にくつくつと笑い出す。

 

「血も涙も、か。くくっ、残念だが、俺以外の今この部屋にいる奴は実際血も涙もないぞ」

「いや、そんな言葉遊びはどうでもーー」

「こいつらは人間じゃない、人形だ」

「……えっ」

 

この日、最大のショックが青年を包む。

それこそ軋む音の聞こえそうな動作で青年は助けを求めるように指揮官の側に立つ女性らへと顔を向ける。

だが、誰一人として否定の言葉を口にする者はいなかった。それどころか、サングラスを掛けたそれこそ言うなればマフィアの風体を成した女性は自分の得物を自分の脚に向けると、

 

「いい機会だ、よーく見とけ」

「ちょっ、まっ」

 

青年が制止する間もなく、その引き金を引き絞った。途端に響き渡った銃声と凄惨たる光景を想像した青年は思わず顔を背けたが、悲鳴も呻き声も何一つ上がらない状況に流石に視線を元に戻す、と。

 

 

 

「き、きか……い……?」

「言ったろ、人形だって。正確には戦術人形、戦闘向けの人形だ」

 

銃弾が抉った皮膚の下には肉のようなナニカこそ見えはするが真っ赤な血が溢れ出すことはなかった。

代わりに飛び散ったのは少々濁った茶色い液体、そして裂けた肉らしき物体の奥には骨の代わりに鈍く光る機械部品が顔を覗かせていた。明らかに、人のそれとは異なる光景、異質な現実。

周りの者達も、誰一人顔色一つ変えるものはいなかった……表情を引き攣らせている指揮官を除いて。

 

「おいトンプソン、お前いきなり何してくれてんだ」

「百聞はなんとやら、真実を知らしめる為には実際に見せた方が早いだろ」

「あのな、だからってフルオートでぶっぱなすんじゃない!弾だってタダじゃねえしガッツリ修理しなきゃならんだろうが!」

「ハッハッハ、これはすまない。ま、これでこいつも現実をはっきりと思い知ったことだろう」

 

怒れる己の指揮官をいなす様に笑うと、トンプソンと呼ばれた女性はその足で何処かへと歩き去って行く。

去り際に、視線を少し青年に向けたが、特に何か言うでもなくその姿は消えていった。

 

「全く……あいつにも困ったもんだ。優秀な奴なんだがな」

「ほ、本当に……人間、じゃなかった」

「だから言っただろうに。まあ、その様子じゃこちらの言葉をハッキリと信じて貰えただろうが」

 

その言葉には、青年も頷く。自分自身に銃をぶっぱなす、それも何発も連射して痛くも痒くもありません、そんな姿を見せられれば流石に信じる他なかった。

 

「で、でも、それでもいきなり出てけって言われても、どこに行けば」

「知らん、自分で何とかしろ……と言うのは簡単だが、いきなり斬って捨てるのも中々に気分が悪い。危険団体に拾われてこちらの敵になられても厄介だ。だから、これから少々テストをしようと思う」

「テスト?」

「ああ。そのテストに合格すれば、貴様をこの支部にて面倒を見てやらんでもない」

「ほ、本当か!?」

 

降ってわいたような提案に食い付くように青年は立ち上がる。その様子を見て指揮官は薄く口角を吊り上げる。

まるで、獲物が餌に食い付くのをまっていたかのように。

 

「嘘は言わんさ。俺はここの指揮官だ、その程度の権限は持ち合わせている」

「よ、良かった……そ、それで、そのテストっていうのは?」

 

周りの人形達が、ほんの一瞬顔をしかめたのを気付かないままに、指揮官から出された条件を青年は真面目に聞いた。

 

 

その、指揮官から提示された内容とは。

 

 

 

 

「ま、分かりやすいことだ。とりあえず今から戦場に向かってもらう」

「……なんだって?」

 

 

無茶振りだった。

 




主人公、2ページ目にして戦場送りです。

慈悲はない。
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