一般人・イン・フロントライン   作:全緑小隊

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SG製造アップと妖精製造で爆死して全資源四桁まで溶かした挙げ句狙ってたKSGも挑発妖精もゲット出来なかった馬鹿はどこのどいつだい?


……あたいだよっ!!(白目)


くやしいのう……くやしいのう……


一般人・イグジット・フロントライン3

「そいつには帰還後厳しく言っておいたが、本当に済まなかった。部隊の面々にもフルボッ……いや、注意されていたから今後はあんな無茶はするまい」

「いやフルボッコて……ま、まあ、そちらには悪意は無かったみたいだし、とりあえずは助かったから良いけどさ。それだったら、あの指揮官とこの人形達だって、俺を助けてくれたって良かっただろうに」

 

首をさすりながら謝るクルーガーに、何となくではあるが苦労人のような雰囲気を感じ、若干申し訳なさにも似た感情を抱いたソウガはこくりと頷く。やや蟠りは残るが、自身が助けられた理由には納得がいったようだ。

 

「彼の司令部の人形達は、君の事を案じていたよ……表だってこそは表明出来なかったろうがね。先程も少し説明したが、司令部の最高権力は指揮官だ。指揮官が命令した事に対して、人形達は逆らう事が出来ない。……ソーガ、君はロボット工学三原則を知っているかな?」

「ロボット?んーと、昔中学か高校の授業で習ったような……自身の防衛、命令遵守、安全である、だったけ?」

 

クルーガーの問い掛けに、虚空を見つめ頭を捻りながらソウガは答えを考える。何故ロボットの話がそこで出てくるのかが彼には理解出来なかった。

 

「うむ、大まかには合っている。彼女ら人形はそのほとんどを人工皮革など生体部品にて構成し、所謂擬似感情モジュールを搭載する事で人間となんら変わらぬ対応や行動、判断を行う事が可能だ。

だが、それでも人形は人形……ロボットたる故に優先事項に据えている項目がいくつかある。その中でも『人間、特に指揮官の命令への服従』、ついで『自己保全』、そして『人命の救助』。人形の中でも『戦術人形』と呼ばれる戦闘特化型カスタマイズをされている彼女らは、この三点を最優先項目としているのだ。故に指揮官が下した指示に対して反旗を翻す事は出来ない。が、その指示に反しない程度であれば自由に動くことは出来る」

「あー、そういう事かよ」

 

クルーガーの説明を聞き終えたソウガはぼすん、と枕に頭を沈めた。そこまで聞いてしまえば、あの場での扱いにも青年には納得がいった。そして、武器以外にスタングレネードやスモークグレネードを貰えた理由、輸送ヘリ内部であの人形がやたらとフォローをしてくれた理由も何となく理解出来た。

 

 

「……廃墟で、あの子が助けてくれたのも、その優先順序のおかげだったのか。命令、したつもりはなかったんだけどな」

「その件についてなのだが、少々疑問点があってな」

「……ん?」

 

ぽつり、と寂しそうに呟いた青年の言葉にクルーガーは首を振る。

 

「君の言葉通り、あの廃墟内部でのやり取りはとても人形に命令を下す体とはなっていなかった。であれば、本来は君に銃を貸すことも、その使い方を伝授することもしないはずなのだ。だが、あの人形はそれを行った」

「え、ちょっと待ってくれよ。なんであの場にいなかったあんたがあの廃墟内でのやりとりを知ってるんだ。そもそもイヤホンはあんとき外してたし」

「先程話をしただろう、あの日私は彼の基地に監査へ赴いていたと。……それと、君が外したのはイヤホンだけだろう?ヘルメット内部にマイクが取り付けてあったはずだ。だから、こちらでのやり取りこそ君には聞こえていないが、君の状況は全部筒抜けだったのだよ」

「……全然気付いてなかった。マジかよ、イヤホンと一体になってんのかと思ってた。うわ、くそ恥ずかしい」

 

はあぁ、と深いため息をついて目元を押さえながらソウガは天を仰ぐ。今更ながら思い返してみると、中々に恥ずかしいやり取りをしていた筈であり、それが目の前にいる人間に筒抜けだったのだ。いくら極限状態で相手は人形だという点を差し引いてもよくもまああんな歯の浮く台詞を吐けたものだ、と青年は嘆息した。

 

「何も肩を落とすことはない、君は別に悪い事をしていた訳ではないからな。むしろこちらのやり取りが君へ伝わらなかった事の方が幸いだったかも知れん。かなりドタバタになったからな」

「それは聞きたかったような、聞きたくなかったような……まあ、どんな内容かは知らんけど、聞いてたらどうなってた事やら」

 

右肩を竦めたソウガにクルーガーも苦笑を返す。実際あの司令室での問答は流血沙汰の大捕物と化してしまっており、それが彼の知るところとなっていたらそのあとの状況もまた違った物になっていた事だろう。少なくとも、クルーガーはその廃墟から出ることなく籠城をするよう指示する事を考えていた。

故に、青年が武器を携え再度外へ飛び出す事を選択した時は度胆を抜かれたのだ。

 

 

「ふふ……話が脱線してしまったな。君の人形への言葉は指示でも命令でもなかった、それであれば次の優先項目である『自己保全』に従い、銃の使い方を教えること、ましてやその銃を貸し与える事などしないはずなのだ。下手すればその相手に破壊される可能性も有り得る為だ、っと失礼」

 

ボトルに入っている液体を飲み干し、クルーガーは続ける。

 

「それが、君に対しては『自己保全』よりも下位の『人命の救助』を選択した。しかも、その人形自身は損傷しておりそれを遂行出来る状態にはあらず、自分の得物を与えた。

……修復と同時にログ解析をしてその事実が発覚してからというもののI.O.P.、彼女を製造した会社は大わらわだよ。バグやウィルスも発見出来ずシステム書き換えの痕跡もない、ともあってI.O.P.社内でも先進技術の開発を担う部門に丸投げされた状況だよ。一部では、君自身を解析するべきだとの声も上がっている……が、ざっくり調べた限りでは君を示すデータは過去にいた一般人そのものでね、そこの主任研究員も頭を抱えていたよ」

「へ、へぇ……ま、まあ彼女が無事ならとりあえずはそれでいいけど。あ、でもだからって解剖とかは勘弁してくれよ?」

 

微妙そうな表情を浮かべつつ、ソウガも水を口に含む。どうも話を聞いている限り、何とも言えない立場に置かれているようだ。この時代の人間からすれば青年はある種の貴重な過去時代のサンプルであるのだ。あれこれ理由をつけてモルモット扱いされても不思議ではない。

 

 

「う、うむ……次に、その左腕についてなのだがね。実は今の話にも関わりがない訳ではないのだよ」

「え"っ……ま、まさかとは思うけどその為だけに切られたの?しかもバッサリ」

 

嘘でしょ?とでも言いたげにソウガは目を見開く。確かにあの場での戦闘で何発もの弾丸を貰っており、その威力で骨も砕けてぐにゃぐにゃになってはいたが、それでも本人の了解も無しに思いっきり切断するのは如何なものか。

青年が訴えようとした矢先だった。

 

「ちょ、ちょっと君、廊下は走っては」

「煩いっ!!」

 

ダダダダダ、と駆けるような足音が突如響き渡る。困惑混じりの静止に鋭い返事が返ると、その足音はどんどんと大きくなっていく。

 

「な、なんだ?」

「む、来たか。予想していたより早かったな」

 

当惑するソウガとは対照的にその主の正体を察したクルーガーがそっと部屋の隅へと動く。

そして、走る音が最大に達した時だった。

 

 

「ここっ!?」

 

部屋の入り口に、小さな姿が飛び込んできた。

肩や胸元が大きく開いた服に赤いスカートと白いニーソックスに長手袋。

床にまで届きそうな長い黄緑色の髪は濃紺のリボンでポニーテール状に纏められ、毛先もまた毛ゴムで束ねられている。

そして、幼げな顔立ちに映える紅い瞳がソウガを捉えると、その目元が潤んだように煌めき。

 

 

「……いた」

「きみ、は」

「お兄さんっ!!」

「ゲグハァッ!?」

 

そして、砲弾のように飛び込み、青年の腹に突っ込んだ。

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