一般人・イン・フロントライン   作:全緑小隊

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UAが10000の大台に到達致しました……おかしい、先週8000になったばかりやぞ。しかもようやく主人公の名前出たとはいえまだほぼプロローグ部やぞこの小説……。
感想やお気に入り登録も本当にありがとうございます。
これからも精進して参りますのでよろしくお願いいたします!


一般人・イグジット・フロントライン4

「良かった!ほんとに、本当に目を覚ましたんだね!」

「がふ、げほっ、ごほ……お、おう、なんとか……な、うん」

 

青年の身体を抱き締めながら腹部辺りに顔を埋めて無事を喜ぶ少女に、突撃を喰らって大ダメージを貰いながらもソウガは何とか堪える。その様子をみたクルーガーも先日貰った(おまけでの)一撃に若干顔色が青白くなっていく。

それなりに鍛えていると自負している己でさえノされてしまったのだ、ベッド上で人間大砲ならぬ人形大砲が直撃した青年のダメージは推して知るべし、といったところか。

 

「うぅ……良かったよぉ」

 

そんな二人の状況の事は知ってか知らずか、ソウガの身体に押し付けられくぐもった声ではあるものの少女は嬉しさを隠そうとはしないものの、その声にやや湿り気を帯びていく。

 

「いや、まあ、君のおかげで何とかなったよ。ほんと助かった……そのあとで色々あったけど」

「ほんとですよ!」

 

ソウガが声を掛けると、弾かれたように少女は顔を上げる。

 

「I.O.P.で修復されて、本当に助けてくれたんだと思ってたら、お兄さんは昏睡しててどうなるか分からないって言われたし!グリフィンの社長からはお兄さんが鉄血相手に生きるチャンスを与えて貰ったのに私なんかの為にそれをふいにしたなんて言ってたし!しかも、しかも、お兄さんの腕がボロボロになってるのに、マシンガンから逃げる時に、私を置いていけば良いのに!!わ、私はただの人形なの、に、それを、私を担いで、担いで……う、うううぅぅぅ!!!」

 

 

余程言いたい事を溜め込んでいたのだろう、涙混じりに一気にソウガに叩き付けると、少女はまた青年の身体に顔を押し付ける。だが、今度のそれは嗚咽混じりだった。その様を見て、

 

「とても人形なんかには思えないんだけどなぁ……あーよしよし、心配してくれてありがとな?」

 

と呟き、右手で少女の背中をあやす様に擦りながら、あることに気付き目線を部屋の隅で所在無さげにしているクルーガーへと向ける。

 

「そいやクルーガーさん。なんで俺が鉄血人形相手に選択肢突き付けられた事とか、この子を背負って逃げた事とか知ってるんだ?」

「鉄血とのやり取りに関してはヘルメットを通じて。その人形を背負っていたのは、戦場のドローンからの映像を通じてだな。最初は目を疑ったが、ヘリの部隊からの報告もあったから確信したよ……本当にその人形を、出会ったばかりの人形を君が全力で助けようとしたことを」

「……別に良いじゃねーかよ、文句あるかよ」

 

呆れ混じりに答えたクルーガーに、ソウガは唇を尖らせる。少女を撫でていた手を止めると、人差し指で自分の頭を指し示す。

 

「こちとら訳も分からずいきなり四十年以上も後の世界とやらに飛ばされてきて住む場所はおろか身寄りも顔見知りも皆無な状態で戦場に見捨てられたんだ。そんな中でこの子とあそこで出会った、それで助けようと思った。それだけだし」

「全く、単純と言うべきかお人好しと言うべきか」

「単純で結構、お人好しで結構。それが人形だろうが何だったろうが、あそこで助けると決めた事に後悔はしてねーよ」

 

強い決意の表情。廃墟の中で少女に、戦場で鉄血人形相手に見せたソウガの眦を少女は吸い込まれるかのように見つめ、視線を向けられたクルーガーは頬を緩めた。

 

 

「なるほどな……後悔はしていない、か。その年で面白い事を言う……いや、決して悪いとは思わない、寧ろ好ましい物だ」

「お兄さん……」

「ああ。だから、君も気にしないでいいよ」

 

鋭い目線を和らげると、ソウガはゆっくりと少女の頭を撫でる。その感覚が心地好いのか、少女は目を細める。

 

「ふわぁ。で、でも、その左腕は……」

「大丈夫だって。君のせいじゃない、そもそもあそこで撃たれたのは俺が時間を掛けてたからだし、ぶったぎったのはここの人らだし」

「う、で、でも」

「どーしても、気になるってんなら」

 

頭を撫でるのを止めると、青年は真っ直ぐに少女を見据える。

何を要求されるのだろう、と少女は身体を硬直させる。

 

 

 

「名前、教えてくれよ」

「「……はい?」」

 

少女とクルーガー、二人の言葉が交錯する。ポカン、という擬音が聞こえてきそうではあるが。

 

「いやさ、ほんとはあそこで聞こうと思ってたんだけど聞きそびれちゃってさ?名前も知らずにあれこれ言ってたけど、やっぱちゃんと知っておきたいしさ。

な、教えてくれよ。あ、俺はソウガ。ソウガ・タケウチっていうんだ」

 

自己紹介を交えて青年が少女に名前を要求すると、少ししてから少女はクスクスと笑いだす。

 

「やっぱりお兄さん……ソーガって変な人だね」

「ぐふっ……それ、あそこでも言われたなチクショー」

「まあ確かに、間違いなく変わっているな」

「やかましいわ」

「いいよ、教えてあげる」

 

そこで少女はソウガから身体を離し、床に足を下ろす。

 

「あたしの名前はね、

 

 

『Arme Automatique Transformable Modèle《アーム・オートマティック・トランスフォーマブル・モデル》 1952(ミルヌフ・ソン・サンカント・ドゥ)』って言うの」

「……す、すごいふるねーむだね」

 

明らかにソウガの処理容量を超えた長さの名前に思わず思考がフリーズする。そんな青年を見て思わず少女は笑いを堪えられずにお腹を抱えだした。

 

「あっはははは!そんなに長かった?」

「いやごめん、流石になげえって。ていうか何その名前、何かの武器の名前なの?」

「そうだよ。例外はあるけど、戦術人形は皆銃から名前が取られてるの。私はマシンガンの戦術人形だよ」

 

あっけらかん、と返す少女に思わず青年はマジかよと呟いた。もっと人間らしい名前が来るかと思ったらまさかの兵器名と来たのだ、完全に予想外だったようだ。

 

「な、なるほどな。ちなみにだけど、愛称っていうかさ、短縮した名前とかってないか?」

「普通にあるよ」

「あるんかい」

「うん。『AAT-52』機関銃、これが私の通称名だよ」

「AAT-52……」

 

その名前を、ソウガは噛み締めるように呟く。

 

「AAT-52、か。うん、覚えた。ありがと、よろしくな」

「うん、こちらこそよろしくね、ソーガ。ソーガはこれからどうするの?グリフィンで働くの?」

「いや、まだ何も決めてないし、そもそも腕の状態どうなってんのかそこの社長さんに聞かないと何とも」

「うむ、先ほど丁度その件について話をしていたところでな。せっかくだしAAT-52、君も話を「は、はひ、はひ、ぜひぃ……つ、着いたぁ」……絶妙なタイミングで来たものだな」

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