一般人・イン・フロントライン   作:全緑小隊

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気づけばUAが17000を超えておりました……ほげぇ(失神)。
拙い小説を応援してくださりほんと毎度毎度ありがとうございます!


あと、中途半端になりそうだったのを一気に書き上げたら1ページがやや長くなりました。


一般人・イン・メイビーセーフティ6

ある種予想だにしていなかったM4からのトドメの一撃にソウガが両手両膝を床につけガックリと落ち込む。いくらI.O.P.や16labでも流石に物理法則を無視した兵器は作れないよ、とは口には出さずペルシカはソウガを慰める。

 

「まあまあ、さっきも説明したけど今回君に取り付けたのは普通の奴だしね?あんまり気にする必要は無いわよ」

「えー、普通な奴かよ。男ならもっとどしっと構えてなんでもこいや!とかいう気位を見せてみろよ」

「そうよ、いくらここがそんな無茶を通せる技術がない普通の研究所だとしても、自爆装置を積みたいくらいの心意気は欲しいわね」

「お前ら人を何だと思ってんだ」

「……AR15、後で特製コーヒーが待ってるからね?」

「ごめんなさい!」

 

カチンと来たらしいペルシカが目の笑っていない笑顔でそんな宣告をすると、一瞬でAR15の顔色が真っ青になる。余程そのコーヒーが嫌なのだろうか、次の瞬間には深々と頭を下げていた。

 

「……そんなに不味いのか?ペルシカの特製コーヒーとやらは」

「ええ、まあ、その……はい」

「濃すぎるんですよ、無駄に。後、濃いだけじゃない変な味が」

 

ソウガが尋ねると、M4は口ごもりながらも肯定し、ROはバッサリと辛辣な評価を下す。彼女らも飲まされた事があるのだろう、その表情は実に苦々しいものだった。

 

「えー、そんなに不味いかい?研究者仲間の間じゃ二十四時間ぶっ続け研究を乗り切る切り札として好評なんだけど」

「それ好評というかただの最終手段じゃないのか……?」

「ペルシカ……お前らいつか身体壊すぞ。というかもう既に壊れてるんじゃねーの?隈とかやべーし」

「う、うるさーい!というか隈に関してはソーガに言われたくないわよ、貴方だって相当な隈が出来てたんだから!」

 

ジト目で指摘するM16とソウガの目線に耐えきれなくなったのかペルシカがソウガを指差して反論する。

 

「その割には今は隈はないよね?」

「おう、ここ数年で一番健康なレベルの睡眠時間を確保出来てるからな!」

「どんな生活送ってきたのよ貴方は」

 

顔を覗きこむSOPⅡに良い笑顔で返すソウガにAR15が突っ込む。事情を大して知らないM4らは軽く首を傾げていたが、既に青年から多少なりとも話を聞いていたペルシカ及びAATは何ともいえない微妙な表情を浮かべていた。

 

 

「ん、着信……?っと、はいもしもし。あら、もう到着したの?うん、こっちは今さっき取り付け終わったとこ。りょーかい、玄関に向かわせるよ」

「もしかしてクルーガーさんか?」

「ご名答。着いたってさ」

 

突如着信した携帯電話での会話を終えたペルシカに問いかけたソウガ。AATも何となく察したのだろう、ちらりと横目で視線をペルシカへと向けていた。

 

「そ。割りとタイミング良く着いたもんだね」

「へー、グリフィンの社長自らお出迎えとはな!ソーガ、あんた実はVIPだったりするってか?」

「ハハハ、VIPというよりかはただの被害者だけどな」

 

おちょくるような口振りのM16に乾いた笑いを返し、ソウガは部屋の入り口へと歩を進める。

 

「そう言えば、先日そんな事も仰ってましたね」

「にしても、やたら気の早い事で。そんなに急ぐ事があるのでしょうか?」

「時は金なりってあるだろ?仮にも一企業のトップを務めているんだ、時間の浪費は避けたいって事だろ。待たせちゃ悪いし、さっさと行くよ」

「わ、待ってよソーガ!」

「おん?どしたよAAT」

 

M4とROの言葉に肩を竦めながらソウガがノブに手を掛けると、慌てた様子でAATが傍へと駆け寄る。

 

「どうしたも何も、私はソーガの人形になったんだから、一緒に着いてくのは当たり前でしょ?」

「はいぃ!?そんなの俺初めて聞いたぞ!?」

「あれ、こないだ説明されてなかったけ?AAT-52は現在、君専属の戦術人形として契約を変更されてるんだよ。元はI.O.P.からグリフィンへ貸与されてた形だったけれど、今はその貸与先が君個人へとなってるって訳で」

「な、なんじゃそりゃ!?大丈夫なのかよ、それ?ていうかAATは良いのかよ、勝手にそんな事言われてさ」

 

目の前の科学者から、いきなり自分が戦術人形を与えられていたという事に困惑するソウガ。しかも話をされていたというが、彼自身には少なくともはっきりとその事実を示された記憶がない。目の前の少女とはこのI.O.P.で割りと長いこと一緒にいたりはしたが、そんな話を持ち出された事も無かったのだ。

 

 

「私は別に全然良いよ?というかソーガが相手だったらむしろ喜んで!身辺警護から敵兵殲滅、分隊支援に荷物持ちまで何でもやるよ!」

「この話はクルーガーからの依頼でね。彼女は君に相当懐いているし、このご時世戦術人形による護衛はあって損はないしね。勿論理由はそれだけじゃないけど」

「いやまあ、それは嬉しいけどよ?マシンガンでの護衛って字面だけみたらやべーんだけど」

 

弾けるような満面の笑顔のAATとそれと比べどこか含みのある笑顔のペルシカに青年はやや頬をひきつらせる。あの鉄血人形すら紙を引き裂くように撃ち砕いてみせた圧倒的破壊力で護衛などされたら、その銃口を向けられた相手は恐らくミンチよりも酷いことになるだろう。

一瞬そんなシーンが脳裏に思い浮かんだソウガは思考をやめると、目の前でニコニコしている少女を視界に収め、相好を崩す。

 

「ま、AATなら俺も歓迎だよ」

「ほんとに?良かったぁ!」

「おうよ。じゃ、行くか。っと」

 

部屋を出ようとして、ソウガはくるりとペルシカ達に向き直る。

 

 

「ペルシカ、数日間だけど世話になったよ。左腕、あんがとな。他の人達にも宜しく言っといてくれよ」

「ん、こっちこそ色々無茶な研究に付き合ってもらって助かったよ。玄関の場所は大丈夫かい?」

「最初ここに来たときのあそこだろ?覚えてるよ。いざとなったらAATに案内してもらうしな」

「そっか。じゃ、頑張ってね。まあうちとはグリフィンの戦術指揮官になったらまた色々あると思うし、そうでなくてもAATの事で何かあったら力になるよ」

「ん、サンキュー。あとAR小隊の皆も元気でな、訓練とか任務頑張れよ」

 

にっ、と笑顔を浮かべながら激励するソウガに五人の戦術人形も顔をほころばせる。

 

「はい、ソーガさんもお元気で!」

「またここに来てニホンの話を聞かせてよね。AATもまた遊ぼ!」

「ま、グリフィンに入るのなら顔を会わせる機会もあるでしょ」

「もし戦場で会う事があったらよろしく頼むぜ」

「私も早く正式な一員となれるよう努力します。ソーガさんもAATさんも頑張って下さい」

「おうよ。うし、AAT行くぞ」

「うん!じゃーねー皆!」

 

それぞれの応援の言葉を背に、ソウガとAAT-52は部屋を出るのだった。

 

 

 

 

 

「……何と言うか、不思議な感じの人でしたね。良い意味で、私達を特別扱いしない方で」

「そうね。最初は四十年以上も昔の人間、なんて聞いて身構えたけれど、蓋を開けてみればほんと普通の青年って感じ」

「むしろ私達の事を人形と見ずに接していた節すら感じられました。ペルシカさんを除けばI.O.P.でもそのような人はほとんどいませんね」

「私達と最初に話しをしてた時も、全然緊張とかしてなかったよね」

「あのAATへの態度を見ても、人形に対してこれといった感情は持っていなさそうだな」

 

青年が立ち去った後、16labではそんな感想が述べられていた。数日前にソウガと話をした時から、彼女らは彼が人形に対する畏怖や特別視を一切持っていなかった事に少なからず驚いていた。

 

「そうねー、研究の合間にちょこちょこ調べてみたけどやっぱり彼の時代のニホンって国は面白いよ。それこそ人みたいな人形が出るゲームとかアニメとか色々あったし、やっぱりそういう意味では慣れてるのかもね」

「サブカルチャーはともかくとして、現実でそれほど精巧な人形がいたのかしら?いくらなんでも慣れすぎな気もするけど」

「さあな。むしろソーガの場合、私らの事も人間と同じに見てたりしてな」

 

ペルシカの言葉にAR15は首を傾げる。そんな彼女におどけたようにM16は返すと、そこで視線が鋭さを帯びる。

 

「にしても……気になるのはソーガに対するグリフィンの処遇だ。あいつ、いくら前列の無い特殊な身元とはいえまだ正式にグリフィンに就職したって訳でもあるまいに、戦術人形を専属で付けるなんて話、聞いたことがないぞ」

「というより、マシンガンのような分隊支援火器を用いる戦術人形が護衛って何から護衛するんでしょうね。最前線に出るのでもなければいくらなんでもあの火力は過剰かと思います。彼は大して疑問に思っていないようでしたが」

「護衛、ってのはAATをなるべくソーガと一緒に行動させる為の口実だったりして」

「まさか」

 

考え込むROにポツリとSOPⅡが呟く。冗談でしょ、とM4は言葉を漏らすが、ペルシカは内心舌を巻いていた。クルーガーはSOPⅡが予想した通りの言動を病院で見せていたからだ。勿論、単純にその為だけという訳でもないだろうが。

 

「ペルシカ、彼はそんなに重要な人間なの?特にこれといった技能もない普通の人にしか見えなかったけど」

「うん、普通の人間だよ。過去から来たってのを除けば」

「なら、なんでグリフィンはソーガにここまで目をかけるんだ?明らかに割りに合わんだろ」

「さーね。きっとクルーガーには何かしらの考えがあるんでしょ、私にはよく分からないけど」

 

AR15とM16の問い掛けにペルシカはあっさりとそう答え、でもねと口には出さず心の中で続ける。

 

『彼の人形に対する思考。環境変化、苦痛に対する異様な程の順応性。そして先日の戦闘中の映像、そしてハイエンドモデル相手との会話にも現れていた、極限状態下における彼の決断力と意志の硬さ。もしかすると、その特異性は通常時ではなく……?』

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