一般人・イン・フロントライン   作:全緑小隊

34 / 35
小説を書き進めたい時に深酒するもんじゃないですね……(←飲み過ぎて二日連続で寝落ちた愚か者)
新規追加人形はSMG以外確保出来ました。四百連する羽目になるとは思いませんでしたが……。




一般人・イン・メイビーセーフティ11

「ぐはぁ……言葉が通じるから一縷の望みを賭けたけどやっぱり駄目だったかー」

「仕方ないよソーガ。生きてたってだけでも充分じゃない?」

「そりゃそうなんだけどさ。一応これでも金だけはそれなりに持ってたんだよなぁ、忙しすぎて使うことがあんま無かったから。まあその貯めてた銀行もオシャカだろうからどうしようもないんだけどさ……一から稼ぎ直しだ」

 

深々とため息をつくソウガの肩をAATが軽く撫でる。唐突に有り金が全て無くなる、それも奪われた訳でも無くした訳でも使い込んだ訳でもないという理不尽な消え方には、流石の三人も閉口した。

 

「ま、すぐに入り用になる訳じゃないから暫くは我慢だ。ここであくせく働いてお給金貰えるように頑張る他ないだろ。という訳でカリーナさん、ショップとやらはまた別の機会にお願いします」

「いやまあ、所持金0ですもんね、仕方ないですよアハハ」

その同情が胸に突き刺さる

 

気を遣うカリーナの様子に遠い目をするソウガを横目で見つつ、クルーガーはヘリアンに声を掛ける。

 

「済まないがこの後会議があるので私はこれで失礼する、後は頼むぞヘリアン」

「分かりましたクルーガーさん、お気をつけて」

「うむ……っと、そうだった。ソーガ、これを君に」

 

部屋から退出しようとした身体を翻して青年に近付くと、クルーガーは胸のポケットから板状の紺色の物体を取り出す。

それは、ソウガにとって見慣れた代物だった。

 

「それって、スマホ……それも私のですか?しかし、お金と同じでそれも使い物にならないのでは」

「何、中身のOSをごっそり入れ換えて通信基地局から何から現状に合わせて一から設定し直してやれば旧世代の機体でも問題なく使えるようになる。ついでに私の連絡先も登録しておいた、何かあれば連絡するといい……その時に出れるかはさておきな」

「はぁ、ありがとうございます。にしても話だけきくとかなり無茶苦茶な事してる気がするんですけど」

「君のいた時代からどれだけ経っていると思っているのかね。この程度、専門屋に頼めば一時間程度で済ませてくれるぞ」

「何それすげえ……っとと、技術の進歩は凄いですね」

 

 

自分のいた時代との違いを今更ながら痛感しつつ、ソウガはクルーガーからガワだけは自分のスマホを受けとる。青年自身分かったつもりではいたが、身近な物の方がやはりその違いを感じやすいようだ。

ボタンを押して真っ暗だった画面を点灯させると、全く見覚えのないトップ画面やアプリケーションがお出まししていた。一瞬ソウガは固まりはしたものの、ヤバい代物を目の前の社長が態々分かりやすく入れるだろうか、と思い直し消灯してポケットにしまう。

 

「ふっ、その技術革新の最先端たる存在が君のすぐ横にいるのだがね……それではな」

 

そう呟くと、今度こそクルーガーは背を向け部屋から出ていった。そのクルーガーが言及したAAT-52本人は気付いていないのか、小首を傾げながら横の青年に尋ねる。

 

「何の事だろう?」

「いやいや、お前の事だよAAT。最も、社長の口振りだと戦術人形全般の事を指しているんだろうけどさ。さて、と」

 

肩を竦めつつAATに告げると、ソウガはヘリアンへと向き直る。

 

「とりあえずこれからどうするのでしょうか。基地内を挨拶回りした方が宜しいでしょうか?」

「いや、君の容姿等々のデータは既にこの基地の全員にインストールしてある。態々そんな事を行う必要はない、精々すれ違ったら挨拶する程度で構わない」

「は、はぁ……ですがって、んん?」

 

自分の提案をアッサリと却下されたソウガは、いくらなんでも最低限のコミュニケーションを取るべきだろうと反論しようとした。だが、ヘリアンの言葉の中に引っ掛かるものを感じとり眉を顰める。

 

「どうした、何か不満でも?」

「不満というより……その、全員にインストールって仰いましたか?」

「そうだが?……あぁなるほど、この基地について深くは聞かされていないのだな」

 

 

これは失礼した、とヘリアンは表情を改めてから口を開く。

 

「今現在、このT地区基地に常駐している人間は私とカリーナの二名。君を含めれば三名になるな」

「え?で、でもさっき道中に清掃員が何人かいましたけど」

「最後まで聞け。『人間』は我々三人だけだが、それ以外は全員『人形』だ」

「……マジかよ。いやすみません、そうなんですか。あぁ、だから先程インストールと」

 

衝撃的な発言に思わずソウガの口から素の感想が漏れる。確かに先程クルーガーと一緒にいた際にすれ違った人達の様子に若干の違和感をソウガは感じ取っていたが、これがその正体だった訳である。

既に青年のデータはインストールしてあるから、完全に部外者たるソウガとすれ違っても特にリアクションを起こす必要は無かったのだ。

 

「ビックリしましたか?そもそもこの基地は元々前任の指揮官の時代はその指揮官以外全員人形でしたからね。全く、いくらこのご時世人の手が足りないからって態々人間の配属を減らすなんて理解出来ませんよ!」

「いや、あの男ならやるだろうなと思いました。人間嫌いなのか知らないですが、いくら不審者だからと言って初対面の人間を戦場送りにするくらいですし。……他の人達の事もそうやって処理してきたんですかね」

「いや、流石に君にしでかしたような事を正規の従業員に対してしたら即刻バレるだろう。まあ奴の事だ、好き勝手をする為に自分の箱庭たる基地を素直に命令を聞き反抗する事もない従順な人形で固めておきたかった、といった所だろう」

 

カリーナとヘリアンの言葉に、確かにあいつならやりかねんとソウガは嘆息する。クルーガーの話を聞く限り自分やAATの件以外にもやらかしているようだし、敢えて己以外の人間の数を0にしてやりたい放題やっていた事は容易にソウガにも想像がついた。

 

「というか、流石に戦場送りにされたのは私だけでしたか」

「むしろ戦闘能力の無いただの一般人を戦場送りにした事に私達は驚愕しましたよ」

「まさかそんな事までするとは思っていなかったからな。無論、全部吐かせたら奴には相応の刑が待っているだろう。いや、奴にはその咎を負わせなければならない」

 

厳しい表情で断言したヘリアンに頷きつつ、だけどとソウガはAATを見つめる。

 

「まあそれでも、あいつに送り出された事でAATに会えたのは唯一感謝してますよ。そうで無かったら私は誰も信じられなかったし、この子の銃が無ければ間違いなく死んでいましたから」

「うん。私もソーガのおかげで助けられて、こうやって戻ってこれたよ」

 

ニッ、とソウガとAATは笑いあう。その様子を見ていたカリーナとヘリアンは思わず顔を見合わせた。

 

「顛末は少し聞いていましたけど、そんな事があったんですね」

「……フッ。人生、何があるか分からんな」






しかし展開が思うように進まないです、どうも脇道に逸れてる感がしてしまう。
他の方達の構成力が羨ましいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。