それでも初級はまだいいんですがこのペースだと中級上級で地獄を見そうです。妖精ヤバい。
そして調子に乗って製造してたらコアがげっそり減りました。妖精惨い。
皆さんは、計画的に育成しましょう……。
「こ、これで全部……か?疲れた……きっつぅ」
輸送ヘリから降下して数分後、十数体はいたであろう多脚戦車達を何とかかんとか撃破した青年は盾を地面に置き、ヘルメットを外す。顔中には玉のような汗が浮かび、肩で息をするほど呼吸もかなり荒い。
『ほー、意外とやるもんだなお前。うちの戦術人形ほどじゃないが、まあそこまで出来れば上出来だ』
青年の耳に掛けられたイヤホンからいきなり声が聞こえた。つい先程まで完全に無音だったそれが急に声を発した事により、青年はわかりやすくビクンと身体を震わせた。
「び、ビビった……そりゃあんたんとこの人形と違って俺は普通の人間だし、そもそもこれが初めての戦いだっての。これだけ色々装備を準備してもらって何とかギリギリやれてるってのに」
『ま、それもそうだな。使い心地はどうだ?』
「んー、この鎧は一応走れはするけど結構重いし動きにくい。盾は……これくらいの相手だったら無くても良かったかもしれん。
『ふむ。それならば
何の抑揚もない台詞に、青年の動きがピタリと止まる。
「い、今なんつった?第二陣?今の奴等で終わりじゃないのかよ?」
『当たり前だろう。そんな簡単なテストがこの世界のどこにある』
「嘘だろおい……」
『嘘は言わん。凡そ五分後、第二陣の標的が北方より到着する。数は大体10体だが、先程の
手強い。その言葉に、青年の顔つきが強張る。びっしょりと濡れた顔に新たに汗が浮かび、流れ落ちるが、青年は気にもとめずに問いかける。
「……だ、大丈夫、なんだよな?死ぬことはないよな?」
『それだけの装備があるんだ、問題ない。先の標的にちゃんと通用しているのであれば次の相手にも問題なくダメージは通るし鎧や盾も着けているんだ、心配するな』
「わ、分かった」
『では幸運を祈る』
ブツン、と嫌な音を立てて通話が切れる。そこで顔が汗だらけな事に気付いた青年は何か拭くものが無いかと辺りを見回すが、先程倒した
「んー……町の外れの開けた土地、ってとこか?」
周囲にはほとんど物陰はなく、やや離れたところにポツンと一軒崩れた廃屋が見えるのみ。地面は、と見ると以前は舗装されていたのであろう、かなり罅だらけではあるが灰色のコンクリートの線が幅数メートルに渡って続いているのが見えた。青年がその先を視線で追うと、街のようなナニカが見えた。
ナニカと形容したのは、彼から見える限り、そこに見える建物に全て破壊の跡が見えたからだった。
「完全にボロボロ、街が街として体を成してねーよな。アレ明らかに滅んでるっつーか放置されてるよな」
そこへ助けを求めに行っても間違いなく誰もいない。どころか、何がいるのか分からない状況で勝手にそんなところに行くのは無謀過ぎる。グリフィン以外の人に助けを求めるのは無理と判断した青年は街の方から視線を離し、おもむろに上を見上げる。
「……ムカつくくらい、晴れてんな」
彼の暗澹たる心中とは裏腹に、雲一つない青空は吸い込まれそうな程。そんな空を見上げ、青年はポツンと呟く。
「なんで、こんなとんでもないとこに来ちまったんだよ。俺、生きて、無事に帰れんのかな……」
数時間前まで自分がいたはずの平和な日本から一辺、気付けば絶望している余裕すら無く何十年も後のどこか知らない国で鎧を着て銃を持たされて戦場に送られる。しかも相手は生き物ではなく機械や人形である。彼の常識を遥かに超えた展開に、精神は半ば限界近くにまで達していた。
「……でも、今は何とか、テストをクリアしねーと」
ツン、と鼻の奥に来るものを感じた青年は慌てて視線を周囲に向ける。指揮官の言葉が正しければ、次の標的が現れるまでは五分。何分経過したのかはっきりとは分からないが、余り猶予はないはずだと青年は考える。
そして、青年の予想は的中した。
「……っ、来やがった!」
先程見つけた街の方角から、人の姿をした何かが近付いてくる。どれもこれも暗褐色のタイツのような物に上から紫色のボディスーツを纏い、脚部や肘部分に灰色の装甲をつけた女性達が走ってくる。
違いがあるとすれば、赤紫のショートヘアに濃いピンクのサングラスをつけ、両の手にそれぞれ銃を持った女性が六人に、SF然とした形状の灰色のヘルメットを被り前者の物よりは大きな銃を両手で抱えた女性が四人。二種類の見た目に別れているとはいえ同じ姿をした女性達が、青年へとどんどん距離を詰める。
「いぃっ……な、なんじゃありゃ、まさかあれが鉄血の人形なのか!?」
衝撃の光景に青年は一瞬呆然とする。グリフィンの支部で出会った人形達とは似ても似つかなかったからだ。そもそも今こちらに近付いてくるのが本当の人形で先程の面子はやはり人間ではないのか、とすら彼には思えてきた。
だが、トンプソンと呼ばれた人形は自分で自分が人形である事を証明して見せた。やはり、彼女達も人形である事に間違いないのだろう。
「あれか、量産型とワンオフの違いみたいな奴か?」
そんな事を呟きつつも、青年は盾とM110を構え直す。どうあろうと、こちらへ向かってくるのは倒すべき相手なのだ。それも、先程の多脚戦車より強い敵。
「……ふぅ。行くぞ!倒す、倒すんだ!」
息を整え、己に言い聞かせ、青年はM110の引き金を引く。
二戦目が、始まった。
よくよく考えると人型の相手が全く同じ姿で迫ってくるのって中々恐怖ですよね。目元は隠れてるけど口元は見えてるし、顔は一緒でしょうし。