自分の遅筆さを何とかしたいものです。
「お、おい、聞こえるか指揮官!?っていうか聞こえてるんだろ!?おい!!」
完全ににっちもさっちもいかなくなった青年は可能な限り盾の影に身を潜めると、通信機の向こう側にいるであろう指揮官へと必死に呼び掛ける。
だがすぐには返答はなく、反応があったのは十秒程経ってからだった。
『全く煩いな……聞こえてる、どうしたんだ』
「どうしたも何も、超ヤバいんだよ!銃は今さっきマガジンを取り換えたばかりだってのにすぐに弾が出なくなるし、敵の弾丸が鎧の装甲を貫通しちまったんだぞ!話が違うじゃねーか!!」
『……ふーん』
「いやふーんってふーんじゃねえよおい!このままじゃ死んじまうよ!!」
自身の危機を伝えたにも関わらずのあまりの温度差のある返事に青年は怒鳴りつける。そもそも先の戦闘が終わった後の通信も、どこか投げやりとも取れる……端的に言えばあまり感心無さげなように聞こえていた。
『銃に関しては俺も大して知識が無いからよく分からん、後で用意したM950Aにでも聞くんだな。鎧に関しちゃ……んー、ちゃんとしたところからもらったはずだったんだがな。すまん。ふん、使えん物と交換して貰えて万歳と思ってたが所詮はゴミ同士の交換だったか』
「な、何を言って……ってそんな事はどうでも良いっ、とにかくどうすりゃ良いんだよ!」
ぼそり、と僅かに聞こえた気になる台詞に一瞬青年は戸惑ったが、それよりも自分の危機的状況を脱する方法を指揮官へと求めた。何よりも、今のままではどうあがこうとも彼はあの人形達に立ち向かう事は出来ない。
『こっちじゃすぐに貴様を救出出来る手段はない、自力で頑張れとしか言えないな』
だが、その返答はそれこそ青年にとって愕然とする、余りにも慈悲のない物でしかなかった。
「……何だよ、それ。自力でなんて、そんな適当な指示ってあんのかよ」
『適当であるものか。お前を輸送したヘリはもう司令部近くまで戻って来ている、そちらへ再度向かわせるにしても給油等々済ませなきゃならんからな、時間が掛かるのは分かるだろ』
「ざっけんな!こっちはあんたにいきなり戦場に出て戦えって、テストだから大丈夫だからって無理やり戦場に送られてんだぞ!それを」
『それならばこっちも言ったはずだが』
半分狂乱状態の青年を遮るように、冷酷な台詞が紡がれる。
『現状貴様は不審人物であると。テストするに辺り多少なりとも支援はしたが、一から十まで保護する等とは一言も言っていない。そこを忘れるな』
「っ!そん、なのって、そんなのって!!」
『迎えのヘリは準備しといてやる、生きたいなら迎えがくるまで自分で何とか生き延びろ、以上だ』
一方的に話を終わらされ、通信を切られる。青年は、ただただ呆然とするしかなかった。司令部の者達ーー少なくとも指揮官には、自分の存在など最早危険人物一歩手前、厄介者でしかないという事実を突き付けられたも同然だった。冷たい現実が、青年の思考を、視界を暗く昏く蝕んでいく。
「……くそぅ。くそ、たれが」
呟きが絞り出されるように青年の口から漏れる。先の通話の間もたった今も、人形からの射撃が止むことはない。どういうつもりなのか、幸いな事に彼との距離を詰めている様子は無かったが、いつ変化を起こすのか分かったものではない。
只一つの武器であるM110は撃てなくなってしまい、纏う鎧も弾丸を防げていないこの状況下、青年にとって今この距離で構えている盾こそが唯一無二の命綱に等しかった。その盾でさえもいつまで保つのか分からない以上、何か行動を起こさねばと青年は焦りを募らす。
「どう、すりゃ良い。何が、出来るんだ。何が、あるんだ」
極限状態でろくに働かない思考をフル回転させ、打開策は何か無いかと身を屈めながら青年は辺りを見回す。しかし目につくのは第二陣と戦闘が始まる前、先程見つけた廃墟のみ、しかも今の青年の位置からはそれなりに距離が離れている。
「移動するまでに包囲されたら終わるし、逃げ込めたってあんなボロ家なんかすぐに制圧されちまう……」
何か、相手の目を塞げて、時間を稼ぐ手段を。ギリリ、と歯を噛み締めた青年の手が、腰の右側に付けられた何かに触れる。視線を向けると、小型の水筒のような物体がいくつか括り付けられていた。輸送ヘリからの降下時に、自分で腰に取り付けたのを青年は思い出した。
「確か、銃を貰った時に一緒に渡されたんだったけか」
緑髪ツインテールの少女が『普通の人間なら余程大丈夫だとは思うけど、あんたはなんかやらかしそうだし、念のために渡しておく』と心配なのか嫌味なのかよく分からない言葉と共に渡してきたものだ。
「やらかした訳じゃねーし、つーかあいつの武器がやらかしたようなもんだけどさ……!」
文句を言いながらも青年がそれらを腰から取り外して眺めると、それぞれには何やらマークが描いてあるのが確認出来た。それぞれのマークの受けた説明を、必死に思い出す。
「……説明を、信じるなら。今、このタイミングで使うなら」
言葉と共に、選んだ一つ以外を腰に戻す。そして、その一つ……青白い落雷のようなマークの描かれたそれのピンを引き抜くと、決死の思いで立ち上がり彼は思い切り投げ付けた。
「頼む、効いてくれ……っ!」
青年の祈りと共に、その物体が地面に当たった瞬間、鮮烈な輝きと凄まじい轟音が辺りを包んだ。
容赦がない?
普通主人公には容赦なんてしないですよね?(おめめぐるぐる)
まあ導入部分ですし、それなりには頑張っていただかないと……ねぇ。
あと後半の方のVESPIDとJAEGERの火力が同等クラスってなんか納得いかないような(ry