ごちゃまぜドルフロ短編集   作:なぁのいも

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 この前、私のこだわりの問題でROを入手しなければならなかったのです。

 その時に、彼女を喪失したショックで書いた作品なのです……。


『ST AR-15』Only U

 うん……。どうしたの……あなた……?こんな夜中に目が覚めるなんて珍しい……。

 

 ……あなた?どうして震えてるの?……大丈夫?

 

 あっ……、あなた……、泣いて、いるのね。

 

 どうしたの?あなたが泣くなんて珍しい。

 

 大丈夫。私は、あなたのコルトAR-15はあなたの傍に居るわ。ほら、ぎゅっと……。ねっ?私はここに居るでしょ。

 

 きゃっ!?あなた……、今日は抱きしめる力が強いわね。フレームに歪みが入ってしまいそうよ。

 

 ……!?じょ、冗談よ!ごめんなさい……。ほんの冗談だったの。泣いてるあなたをみたく無かったから……。

 

 ほ、ほら!?私からも抱きしめ返してあげる。ぎゅうう、って。ふふっ、こんなに力を入れても私のフレームは歪みなんてしないわ。

 

 だから、あなたももっと私を抱きしめて、さっきみたいに強く。強く。

 

 苦しくないか?ううん。苦しくなんかないわ。あなたに抱きしめられて不快に思う事なんて全く。

 

 よしよし……。私の腕の中でいっぱい泣いて……。大丈夫よ。ここには私以外誰もいない。だから、たくさん泣いて、私に想いを全部ぶつけて大丈夫……。

 

 よしよし……。あなたの髪の毛、いつもは固いのに、今の髪はとっても柔らかい。萎びた植物のよう……。いいのよ……。無理して元気な振りをしてなんて言わないわ、いいの、私があなたを受け止めるから。

 

 うん……。よしよし、怖がらなくて平気、私はここに居るから。指揮官の傍に居るから。

 

 …………怖い夢を見たの?私が居なくなる夢?

 

 確かに私は戦術人形。いつかあなたの傍から居なくなるかもしれないわ。

 

 だ、だから、泣かないで!怯えた目で私のことを見ないで平気だから!!!

 

 こ、コホン!私は戦術人形です。IOP社製のそれも特別なモデル。役割を果たす過程であなたの傍から離れることになるかもしれない。人間から与えられた役割を果たす。それが戦術人形の、いや、人形達の役目です。

 

 でも、私はペルシカから一つだけ、あなたと誓約をしたお祝いに自分で自分に命令を刻むことを許されたの。最優先の命令として。

 

 何って命令したと思う?

 

 わからない?ふふっ、そうでしょうね。あなたにはわからないでしょう。

 

 正解はどんなことがあっても最後にはあなたの傍に戻ってくること。

 

 たとえ手足が無くなろうとも、例えコアだけになっても。どんなになっても、最後にはあなたの元に戻ってくること。

 

 うん?コアだけになっても困る?

 

 だ、だから、そう言うのは冗談ですって!

 

 ……あなた、泣いた振りをして楽しんでないかしら?

 

 ふふ、これも冗談よ。だから、怯えないで。

 

 コアだけになっても、メンタルモデルだけの存在になっても、私が私であるために必要なモノが残ってれば、元の姿であなたのもとに戻れるわ。

 

 あなたが大好きな。わたしに。

 

 あなたが送ってくれたこの指輪がその証。この指輪が私達を繋ぎとめてくれる。そう、人間の言葉を借りるなら、愛の結晶ね。

 

 ……私もあなたに絆されたものね。昔だったら、こんなこと絶対に言わなかったのに。恥ずかしくて言えなかったのに。

 

 あなたのせいよ。いえ、あなたのおかげよ。あなたが私に愛を教えてくれた。

 

 私は変ってしまった。M4を補佐するだけの存在であった私は、あなたを愛する存在に変わってしまった。

 

 何度も定期検査でペルシカに笑われたわ。AR-15がそういう悩みをもって、そんな顔をするようになるなんて、って。

 

 だから、あなたには私の仕様を変えた責任をとって貰うわ。私をあなた好みの仕様にずっと書き換えて貰うことで。だから、私はどんなんことがあってもあなたのもとに帰ってくる。絶対に。

 

 ……やっと、安心できた?

 

 ……よかった。

 

 弱ったあなたの顔も嫌いじゃないけれど、あなたにはやっぱり笑って欲しいわ。

 

 っ!?そう、そういう笑顔!私が好きなのはその笑顔!

 

 んっ……笑顔が好きだっていう時の、私の笑顔も好きだって?ふふっ、ありがとう指揮官。

 

 安心出来た?眠くなってきた?

 

 ふふっ、自分勝手なんだから。でも、そう言うところも好きです。あなたはそうやって私達を引っ張ってきたくれたんですから。

 

 ぎゅうっと、今日はぎゅっとあなたのことを抱きしめてあげる。頭もたくさん撫でてあげる。ずっとずっと、私があなたの傍に居るんだって、あなたの夢の世界でも私が出てきてあなたを安心させてあげるために。

 

 だから、安心しておやすみなさい……。

 

 私はどんなことがあっても、あなたの傍に帰ってくるから。

 

 ありがとう、あなた。こんなにも私を想ってくれて―――

 

 

 

 ――寝た、かしら?

 

 ――……あなたが寝ている間はいつも、長時間寝顔を眺めてることがバレたのかと思ったわ

 

 ――仕方無いじゃない……。誰も知らないあなたの表情の一つを独占できる時間なんだから。

 

 ――心配してくれてありがとう、あなた。

 

 ――大丈夫。わたしは何があっても、たとえ、この体が砕け散っても、パーツの一欠片になっても、またこの姿に戻ってあなたのもとに帰るから

 

 ――んっ……。今日のあなたの唇はしょっぱいわね。

 

 ――あんなに泣いてたんだもの仕方ないわ。

 

 ――あなたに泣き顔は似合わない。だから、あなたの笑顔は私が守ってみせる。あなたが、私の笑顔を引き出してくれたように。あなたの傍で笑える喜びを教えてくれたように

 

 ――ありがとうあなた。

 

 ――これ以上起きてると明日に支障を来すわね。私のこと、あなたの夢の世界にちゃんと連れて行って貰えてる?

 

 ――……心配する必要ないわね。そんなにも安らかな寝顔を浮べている理由、私以外の要因だったら許さないわ。

 

 ――ふふっ、おやすみあなた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 愛してるわ――――

 

 

 

 

 




 AR-15……。頼むから幸せになって……
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